まず初めに私が言っておきたいのは、冬休みは体を休める為にあるという事。
確かに冬休み中にはクリスマスやお正月っていった楽しいイベントが目白押しなんだろうけど、 私から言わせればキリスト教を信仰してない人がキリストの誕生日を祝うだなんておかしいし、年賀状だって郵便局の考えた金儲けの政策にしか思えない。 家族や友達と旅行するだなんて以っての外。何で二週間程度の休みをクリスマスがあって、お正月を迎えて、更に遠出するというハードスケジュールにしなければいけないんだろう。
もう一度言う。
冬休みは体を休める為にある。
プロペラ団を抜けて危険な身でもあるし、私は今年も初詣で以外は自宅でゆっくりと過ごすつもりだった。

そのつもりだった。つもりだったんだけど……。
「………なのになんで私はこんな所にいるのかしらね」
私のぼやきは、露天風呂から湧き出る湯気に紛れて夜空に消えた。
『もしも1智美ベストが正史だったら』

それは数日前、終業式の日の帰り道のことだった。
帰り道といっても小波君が自主トレをしているため、受験生と呼ばれる他の三年生よりはかなり遅い。
もう辺りはけっこう暗いし、夕日も既に沈んでいる。
いつもの様に二人で話しながら帰っていると、冬休みの予定の事が話題にあがった。
「なぁ、智美って冬休みに何か予定あるのか?」 「特に無いわね。もともとゆっくりと過ごすつもりだったし」 街頭が明るく照らす暗い夜道を二人並んで歩いていく。 夏の甲子園からずっと変わらない習慣。野良犬がわんわんと騒がしく鳴く声が耳に入ってくる。 「そうか…………じゃあ、一緒にどこか遊びに行かないか?」 「いいわね。どこ行くの? カラオケ?それとも映画?」 「そうだなー……………」顎に手を当てて考え始めた。 普段あんまり頭を使わないから考えるのに時間が掛かるかなって思ってたんだけど、どうやらそうでもなかったらしい。 「よし!」 10秒ほど黙り込んだ後、小波君は手をポンと叩いて、とっても元気な声で言った。
「泊まり込みでスキーにでも行かないか?」

一匹だけタイミングのずれた野良犬の遠吠えが、やけに遠くに感じられた。

「あの〜……小波君?」 「何?」 「私達ってまだ未成年よね?」 「そんなの二十歳きてないんだから当たり前だろ」
いや、私が言いたいのはそういう事じゃなくって。
「……未成年の男女二人が外泊っていうのは少し問題だと思うんだけど」 「……智美って変なところで真面目だよな」 小波君が少し呆れた顔をした。 何よ、私間違った事は言ってないと思うんだけど。
それに妨害作戦に最後まで反対してたあなたがそんな事を言う?
「でもさ、俺達だって夜遅くまで遊んだことは何回もあるだろ? それの延長戦みたいなもんさ」 「まぁ、それはそれは長い延長戦になりそうね」
サッカーは十五分ハーフ、野球だって十五回までしかないじゃない。延長戦一日ってどんな遊びなのよ。
………まぁ小波君となら別にかまわないけど。
「それにさ」
まだ理由はあるらしい。
顔が真剣な表情に変わるってことは相当立派な理由なんだろう。
じゃあじっくりと聞かせてもらいましょうか。
「俺もドラフトでプロ入団が決まったからこれから忙しくなるし、
それこそ寮生活になったら遊ぶことだってなかなか出来ないんだぞ?」
「………言われてみればそうよね」
そうだった。小波君は仮にも甲子園優勝投手で、ドラフト上位指名者。
冬休みが明けたら色々と忙しくなる。 年が明けてキャンプインしたら、それこそ練習の毎日のはずだ。
………そう思うと、この休みが一緒に思いっ切り遊べる最後のチャンスかもしれないわね。
私は小波君の前に廻って頷いた。 「………いいでしょ。遊びに行こうじゃない! そのかわり場所はしっかり選んでよね」 「あぁ、分かったよ」 小波君も笑顔で頷いた。

と、これが事の始まりだった。
更に言うと亀田君がこの計画を知って「一緒に連れていけでやんす」と駄々をこねたり、 佐藤君とゆきちゃんが同じ様な計画を立てていて色々と慌てたんだけど、特に詳しく説明する必要もないから省略しておく。

時間を現実に戻すと、今私は温泉に浸かりながらのんびりとしている。
さすがにスキーシーズン真っ只中だし貸し切り状態とはいかないけど、疲れた体を癒すには十分すぎるくらい気持ちいいお湯だった。
少し疲れたけど、まぁ楽しかったし別にいいか。
そう思いながらお湯で顔を洗う。
今朝ここに着いた私達を待っていたのは、一面の銀世界だった。
スキー用具一式はレンタルするつもりだったので軽荷物だった私達は、さっさと旅館に荷物を預けた後思う存分スキーを楽しんだ。
これといったトラブルもなかったんだけど、私をナンパしようとした男の顔面に小波君の剛速球(雪球、推定140Km)が炸裂して気絶に追い込んだ事だけは言っておく。
(さて、そろそろ出ようかしら)
けっこう長湯してしまったのかもしれない。
タオルを巻いて脱衣所へと歩いていく。
まぁ温泉は出入りを繰り返しながら30分くらい浸かるのが本当の入り方だから長湯とは言えないんだけど、
男の小波君からしたら十分すぎるほど長湯かもしれない。
バスタオルで体の水気をしっかりと取って、お気に入りの下着を着けて、浴衣を着てから帯を巻く。
髪を乾かして、櫛で解いて、細かいことを色々した後、鏡の前で一回り。
……よし、準備完了。
少し時間がかかったのかもしれない。 早足気味に暖簾を潜って歩いていく。 小波君のことだ、とっくに出てそこら辺でぶらぶらしとているか、部屋で筋トレでもしているだろう。 「一人で待たせるのは悪いわよね………」 歩くペースを少し上げる。小走りになっているけど気にしない。 角を曲がる、そこにあるのは共同の娯楽ゾーン。家族連れのお父さん達がのんびりとくつろいでいる。 私の予想は外れて、小波君もその中にいた。 按摩機にかかりながら「あ゙〜〜」とか言っている。
……ちょっとじじくさいわね。
「お、智美もでたか」 私に気づいて顔だけをこっちに向ける。だからその声はやめなさい。 「小波君、何やってるのよ」 「いやこれけっこう気持ち良いんだぞ?」
そう言って按摩機から腰を上げる。
いや、私に薦めなくていいから。そんなことよりも
「ごめんね、かなり待ったんじゃない?」
「いや、あんまり待ってないぞ」 「ならよかったわ」 「さて……そろそろご飯みたいだし行くか」
そう行って、さっさと歩きだす小波君。
(ご飯ってメニューは何のなのかしらね)
そんな事を思いながら私もその後ろに続いた。
部屋にきた料理はかなり美味しかった。ここは山だし、現地直送でもないことを考えると上々よね。 食事中、「あ〜ん」ぐらいしてあげようかな、って思ったけど結局止めた。
だって私そんなキャラじゃないし。
ご飯を食べた後は、テレビ見たり、トランプしたり、話をしたり、いろいろしたんだけど別に普通の事だから多くは言わないでおく。
「ねぇ、そろそろ布団敷いた方がいいんじゃない?」 「ん〜、もうそんな時間か」 日の昇らない朝がないように、日の沈まない夜はない。 壁に掛かってある時計は、小学生なら寝ていても可笑しくない時刻を指していた。 「じゃあまずは机とかをのけなきゃな」
そう言って小波君は立ち上がって机を運び始めた。
力仕事は任せて、私は荷物を端に寄せてから襖を開けた。
ここの旅館はこういうのは各自でするシステムらしい。まぁよっぽどサービスのいい旅館じゃないかぎりそれが当たり前の事なんだろうけど。
下段から少し固めの敷布団を一つ取り出す。 胸に抱えて回れ右。小波君とすれ違がった。
さっきまで机があった場所に布団を広げる。シワが無いようにピッシリと。
さて、次は掛け布団。
襖に戻る途中で敷布団を抱えた小波君にすれ違う。 掛け布団があるのは上段だ。女の私が一番上のを取るのは少し苦労した。
ついでに小波君のも一緒に取ってあげる。
「お、ありがとう」 「どういたしまして」 素直でよろしい。 掛け布団を一つ掴んで後ろに振り返る。
と、
私の布団の横には、小波君の布団がほんの少しの隙間もなく並べられていた。
もうそれはもともと一枚の布団だったかのようにピッシリと。
「…………………」 予想してたとはいえ、ここまであからさまだと言葉もでない。 「どうしたんだ?」 「いえ………小波君は小波君ってことよ」 「? それはありがとう」 「いや、誉めてはないからね?」 別に小波君とHは初めてなんかじゃないし私も全然かまわないからいいんだけど、
こんな時くらい少しロマンチックにできないのかしら。
「はぁ………」 自然とため息がでる。
でもまぁ、いいか。
「智美?」 不思議そうな顔をしている小波君に向き直る。
そして
「んっ!」
笑顔で小波君の唇を奪った。
「ん……あ、…ん………」 小鳥のような合わせるだけのキスを何度も何度も繰り返す。 口には出さないけれど、私はこれが一番好きだったりする。小波君は恥ずかしがって普段あんまりしてくれないんだけど。 「あ、ん………んんっ」
たっぷり優しいキスを楽しんだ後は、大人のキスを堪能する。
小波君の中に私の舌を差し入れる。舌と舌が絡みあって口の中が熱い。
まだ足りない。歯茎、前歯、門歯、小波君の口の中を私の舌が犯していく。
「はぁ…………ぁ、ん!」 小波君もその気になったらしい。私の顔を手で固定しながらディープキスを開始した。 身長の都合上、私は上を向かなければいけない。重力に従って小波君の唾液が舌と一緒に私の中に入ってくる。 「んん………ん…はぁ……」
それを全部飲む勢いでキスに没頭する。
5分くらいそうしていただろうか。私達はお互いにやっと唇を離した。 「……なんか今日は積極的じゃないか?」 「そうかしら、別に普通だと思うけど」 「確かにいきなりキスするのはいつもの事だけどさ……」 積極的に見えるのは冬休みが明けたらなかなか出来なくなると思ったから、ではないと思うんだけどあながち否定もできない。 淋しくなるな、とはずっと思ってるんだけどね。 「まぁどっちだっていいじゃない」 「……そうだな。……智美……」 「ん……」 再び唇を合わせる。 小波君がゆっくりと私を布団へと押し倒した。 「あっ……」 首筋にキスをされた。口から少し甘い声がでる。 呼吸も荒くなっているかもしれない。体が熱くなっていくのが分かる。 「あ、………うぁ………やぁ!」 首筋に吸い付いてきた。こそばゆい快感が私の中を走る。 小波君が吸い付いた場所には赤い傷痕が残った。それを広げるように首筋から鎖骨、胸へと小波君の顔が下りてくる。 「んっ!……あぁ……」 胸に顔を埋めるように顔が下がった。小波君の両手が浴衣の中に入ってくる。 浴衣なんだし今はブラをしていない。この布を取り外すと私はパンツ一枚になってしまう。
……そう思うと少し恥ずかしいわね。
「あっ………はぁ、や……」 小波君の手が私の胸を包む。マッサージするみたいに優しく揉んだと思えば、 大きく円を書くように揉んだり指で乳首をつついたり。不揃いな刺激が私の体を熱くしていく。 快楽に酔いしれていると、シュルリと布が擦れる音が聞こえた。

「あ…………小波君、脱がすのはちょっと待って」 「……いやだって言ったら?」 「やめなさい!」 「い・や・だ」 「ちょっ、こら……って、きゃあ!」 私の抵抗も虚しく、帯がするすると外されていく。それにさっき少し暴れたから浴衣もはだけてるし、私一応女の子だし、 結局されるがままに前を思いっ切り広げた格好にされてしまった。。 胸が露になって、体中に外気のひんやりと冷たい空気があたる。 「え゙? 智美………ノーブラ?」 「……浴衣ってそんな物よ」 「そ、そうなのか……」 脱がした本人がうろたえてどうするのよ。 「何? ブラを脱がせられなくて残念なの?」 「い、いや。そんなことはないぞ?」 「……こっちを見て言いなさい」 服を脱がせるのは男のロマンって言うけど、脱がされる方からしたらけっこう恥ずかしいから私はあんまり好きじゃない。
でも自分で脱ぐよりも遥かに興奮するのも確かな事。
……それにしても私だけ脱いでるっていうのは不公平よね。
「……って、智美!?」 「ほら、小波君も脱いで」
そう言って小波君の帯を外していく。
下からだから少し苦労したけど、たいした抵抗も無くあっという間に浴衣を剥ぎ取った。
そして私達は今お互い下着一枚で重なりあっている。
「智美の胸、少し大きくなった?」 「知らないわよ…………ん……はぁ……」 愛撫がまた開始される。直に小波君に見られている所為なのか、さっきよりも感度が凄い。 軽く揉まれただけなのに体が震えてしまう。 「やぁっ!」 胸をキュンっとした快感が襲う。小波君が乳首に吸い付いていた。
それを唇で挟んで、舌で軽く弾いて、仕上げに甘い噛み。胸がむずむずとしてたまらない。
「んっ、………あ……ふぁ……ん」 胸の快感に翻弄されていると、小波君が私のあそこに触れた。 布越しに感じる指の細くて固い感触。私のあそこは多分湿っているのだろう。 「あ、……うぁ………やんっ!」 胸とあそこが同時に責められる。胸に吸い付いたと思ったら、あそこに指を食い込ませる。 下着を使って擦りつけて、浮かび上がった筋を指でなぞられる。 「はぁ………ぁぁ………ふぁ……」 体中が熱い。乳首が固くなって、あそこがベタついているのが分かる。

「パンツ、脱がすぞ?」 「………うん」 最後の薄い砦が奪われる。 私が持っている中では1番可愛いと思うピンクの縞が入った下着。 脱がしている最中の小波君は本当にキラキラといい顔をしていた。 「…………スケベ」 「? 何か言ったか?」 「いいえ、別に」
まぁ小波君のそんなところも嫌いじゃないし、これで誘惑出来るなら、それはそれで嬉しいしね。
下着を取り払うと小波君は私のあそこを見つめ始めた。 「………もうけっこう濡れてるな」 「……恥ずかしい事言わないでよ」 自覚していても、人に言われたら一気に恥ずかしさが増してしまう。 私の顔はきっと真っ赤になっているに違いない。 「智美……舐めて」 「ん……」 顔の前に小波君の指が差し出される。私はそれを一本づつ丁寧に舐めていく。 指からは小波君の匂いと私の愛液が混ざった不思議な匂いがした。 「そろそろいいかな」 小波君の指が私の顔から離れていく。胸を通り過ぎ、お腹を通過して下半身へ。
そして完全に愛液で濡れているあそこに、小波君の指が入った。
「んっ!」 体中が震える。声が我慢できない。咄嗟に口を手で塞いだ。 「手、のけろって。智美の声が聞きたいし」 「んっ、……ふぁ!んん〜〜!」 耳元で囁かれる甘い声。なぜか無意識に手を口から外してしまう。 小波君は満足そうに微笑んで、私のあそこをいじくり始めた。 「ひぁ! うぁ、んっ……ぁあ!」 指が奥に入ってくる。いや、それだけじゃない。 中で指を開いたり閉じたりしてあそこが広げられていく。 「智美のあそこから、やらしい汁がどんどん溢れてくるよ」 「いやぁ! いわ……ない、で………ふぁああ!」 愛撫が止まることはない。一方的に私は小波君の刺激を受けつづける。 快楽に歪んだ私の顔を見て満足気な小波君。その顔を掴んで唇を強引に奪う。 「んっ!ふ、ふぁ………んん!」 目を閉じていても何をされているか分かる。 指の数が増えたと思う。入ってくる指の感覚が今までよりも太い。 私の中をいっぱいに擦って、私の意識を刈り取っていく。 「ふぁ………ふぅ、んっ!」 刺激されながら、唇を押し付けるようにキスをする。口から涎がたれて布団を汚していく。 多分下も同じ。私の愛液でビショビショだと思う。 「んー! はぁ………あぅ、んんっ!」 指の動きが変わった。出し入れをする動きから、あそこを横に広げて陰核をめくっていく。 少し戸惑うようにまさぐった後、指の腹が豆に触れた。 「んっ!」
その瞬間、全身に電撃が走った。
それは体を巡りに巡って、私を絶頂においやった。

「ふっ! んっ!ふっ! ふっ! んん゙ーーーーーー!!」 抱きしめる腕に力がこもる。唇を奪ったまま小波君を強く抱きしめる体制。 体はまだビクビク震えていて、あそこも小波君の指を締め続けている。
まだしばらくは動けそうもない。
「……イったのか?」 「………そうみたい」 小波君が私の体から離れていく。
ほてった体に冷たい空気が当たって気持ち良い。
ふと、前を見る。小波君が自分の最後の鎧を脱いでいた。
鎧って言っても脱いだ方が強くなるんだけど。 「………いつ見ても立派よね」 「それはどうも」 他の人のはどうなのか知らないけど、小波君のそれは日本人平均サイズよりかは遥かに大きい。 他の女の人もこれでメロメロにしてきたんじゃないだろうかって、時々不安になってしまう。 「智美………」 「ん………きて、小波君」 少し股を広げて小波君の動きを待つ。 内心この格好はすっごく恥ずかしいけど、後の快感のことを考えたら安いもの。
そう思うと、私ってバカよね。
「いくぞ……」 「うん…………ん、あ………うぁ!!」 私の中に小波君が入った。 指とは比べ物にならないほど太くて長くて熱いものが私の中を満たしていく。 「うぁ! あ、おくに………あぁ!だめぇ!」 一気に奥まで貫かれる。先端が子宮を突く。 小波君のが中でビクビク震えて、それがまた私を刺激する。 「あぁ! うぁ……やぁ!あ、……きゃあ!」 突然小波君に抱き抱えられた。お互いに座った状態で私が小波君の上になる。 小波君は私の腰を掴んで、深く自分に押し付けた。 「うあ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!」
さっきまでよりも更に深い。私の体重がそのまま刺激になって襲ってくる。
ぐりぐり奥を掻き乱し、擦れに擦れて愛液が泊まらない。
快楽のせいで腰が抜けてしまいそうになる。上手く入らない力を振り絞って小波君の体を抱きしめた。 「ん、あっ゙! ふぁ……はぁ! ふぁ、あぁっ!」 乳首をまた吸われた。胸がキュンとして力が抜ける。 上と下を同時に責められる。これ以上立たないほど固くなった乳首を舐めながら、腰を奥に打ち込んでくる。 母乳でもでているのかもしれない。小波君を掴んでいるのも限界だった。 「うぁ゙あ゙! こなみ、くん……もう、ぁぁあ!」 「ぐっ! 俺もそろそろ……」
より一層激しく動いて、欲望を吐き出そうと動いてくる。腰はもうがくがくで小波君にされるがままだ。
時々意識が飛んで、すぐにまた押し戻される。 私もそろそろ限界。

「智美…………!いくぞ!!」 小波君の胸元に倒れ込んで、行為が終わるのを待つ。 体に腕を回す。小波君の体が震えて、最後とばかりに深く腰を打ち込んできた。 体がピッタリと重なる。
その瞬間、体の中に何が吐き出された。
「んぁ、あぅ! ぁぁあぁあぁあ゙あ゙あ゙ああああ!!」
ドクドクと中に熱い液体が流れ込んでくる。私の中をいっぱいにしても、まだ出つづけて最後にはあそこの外に溢れてしまった。
強く抱きしめられて、逃げる事も出来ない。
「あ………ふぁ、………はぁ……」 体の震えが止まる。下は繋がったままで、お腹の中が何かタプタプする。
だけど、このまま時が止まってもいいって思えるほどの甘い時間。
しばらくはこのままでいようと思った。
「………小波君、思いっ切り中に出したわね……」 「………あー、その………ゴメン」 「………まぁ多分大丈夫だと思うからいいけど……」
そう言って小波君と繋がっているところから体を外す。
ヌチュっというやらしい音と一緒に、あそこに入りきらなかった白い液体がポトリと下に落ちた。
それに目を奪われて、布団へと視線が移る。
私の頬を一筋の汗が流れた。 脱ぎ散らかされた浴衣、遠くの方に放り出された掛け布団。
それは、まだいい。
問題なのは……
「…………小波君…………」
「? 何?」 「この敷布団………どうするのよ」 「…………………あ゙」 敷布団は、私の愛液やら小波君の精子やらでグシャグシャで、大変なことなっていた。
「やっぱり、これじゃ少し狭いな」 「そう?丁度いいんじゃない?」
それからのことを詳しく説明すると、もう一枚敷くのはめんどくさいし、旅館の人にも悪いという事で私達は一枚の布団で一緒に寝ることにした。
だけど、もともと一人用の布団だからお互いにピッタリとくっつき合う体制になる。
小波君は少し恥ずかししそうだけど、私はかなりご機嫌だ。 「………寒くないか?」 「………全然、むしろ暑いくらいよ」
そう言って、更に体を小波君に擦り寄せる。少し汗っぽい男の匂いがした。
「智美…………」 「何?」 呼ばれて、小波君の横顔を見つめる。
いつも通りの表情の中に、少し寂し気な雰囲気が混じりこんでいた。
「………冬休みが終わったら、こうする事もあんまり出来なくなるのかな……」 独り言のように小波君が呟く。
この言葉は自分に向けたものなのか、それとも私に向けたものなのか。
でも、私にはそんなのどっちだっていい。大切なのはそんな事じゃない。
「大丈夫よ」 小波君の腕を掴んで私の胸に引き寄せた。驚いた顔して小波君が私の顔を見つめる。
私に言わせるなら、私は自分がこんなに風になれるだなんて信じてもいなかった。 親が自殺して、プロペラ団に入った時点で人生は暗いと思っていたし、できた友達だってすぐに別れる事の方が多かった。 彼氏だなんて以っての外。自分には絶対にありえない話だったし、第一こんな私を好きになってくれる人なんかいない。

だけど、
極亜久高校に潜入して、友達ができて、小波君っていう彼氏ができた。
そしてプロペラ団を裏切って、殺されそうになって、みんなに助けられた。
今までずっと生きてきて、初めて手に入れた最高の幸せ。 私は絶対に手放しはしない。たとえ小波君が「ダメだ」って言ったとしても。
「………私はどこまでも付いていくわよ」

そう言って小波君の唇を、優しく奪った。 .

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