「朱里〜、おるかぁ〜?」
「…なんだ、またアンタなの」
聞こえてくる足音が敵ではないとわかり、朱里は銃を下ろした。

ツナミグループの誕生から半年ほどたち、裏の世界の戦争は終結した。
近頃ではあんなに頻繁に襲ってきたサイボーグ兵も全く姿を見せなくなり、
そのため、カズ達正義の味方は隠れ家で束の間の平和な日々をすごしていた。
そんなある日、カズは唯一のお出かけ先の廃ビルで朱里と話していた。


「んー…ちょっと左耳の聞こえが悪いわね…もう寿命かしら」
「さぁ…老けたんとちゃうん?」
この時間にはよく朱里はラジオを聞いている。
もう追っ手も来ないのだし、直接球場に応援しに行ってやればいいのに。
「な、なんであたしがわざわざアイツの応援なんか…」
…こんな調子で、朱里は未だに意地を張って廃ビルから出ようとしない。





(やっぱりアンタはずるいなぁ)
「何がよ?」
聞こえていたらしい。…どうやら、寿命なのは拾ってきたラジオの方のようだ。
「…会おうと思えばいつでも会えるのに」
ややうつむきがちにカズはつぶやく。
「別にアンタだって会いにいけばいいじゃない。…まだ好きなんでしょ?」
「そうやけど…」
そう言って、カズはジャージの袖をまくった。


「…こことか…キズ、残ってもうたし…」
「あと…こことこっちも…」
彼女が指さしているのはは両腕、腹部、左腿。
それぞれに刻まれた、痛々しい傷痕だった。
「こういう時は、サイボーグのほうが便利でええなぁ…」
カズは朱里のほとんど人のものと変わりない、いやむしろ人並み以上にキレイになった肌を見ながら言った。
「だったら博士に改造してもらえば?…やめた方がいいと思うけどね」
あえてぶっきらぼうに返して、朱里は続けた。
「アンタらしくないわねぇ。そんな事でクヨクヨ悩むなんて…
アイツもそんなの気にするほど小さい男じゃないでしょ?」
気にしてるのはそこじゃないでしょ、と朱里は内心ため息をつく。
「…そーやけど…でも…」
そう、小波はそんな男じゃない。…少なくとも自分の知っていた小波は。


小波はいまやただの野球バカではなくなった。
プロ野球選手としてデビューし、1年目にして新人王を獲得し、
いまや所属するチーム内でもその存在は欠かせないものになり、
期待の新人、スーパールーキー、
おおげさな解説者は「これからの野球界を背負って立つ存在」とまで
彼を評している。


そんな輝かしい選手生活を送っている彼なら、
声をかけずとも女はホイホイ寄ってくるだろう。
つまるところカズの悩みの種は主に「小波が他の女性に心奪われてはいないだろうか」という点であり、
傷の件は彼女を不安にさせる要因の1つと言った方が正しいだろう。
…当の本人も自分の本心に気づけてはいないようだが。
とにかくそれを見抜いた朱里は、なんとかカズに自信をつけさせようとしているのだが…

(こういう所は、女の子なのよねぇ…)



「うぅ…なんであの時、「こんな傷ツバでもつけときゃ治る」ですませたんや…
応急処置ぐらいはってリーダーもいってたのに…そういえばあの時も…」
一人負のループに陥るカズを尻目に、応急処置と聞いて、朱里は思うところがあった。
(そういえば、いつものコンビニの近くに小さい診療所が出来てたわね…)
(あそこなら通りから離れてて目立たないし…なによりこうでもしないと立ち直りそうにないし…)
本来なら、目立つ上に一番危険視されているカズをあまり外出させるべきではないのだろうが。
「ここ、行ってみれば?」
そう言って、拾ったチラシをつきだす。そこには、数日前にできた診療所の広告が載っていた。



…効果はてきめんだった。
「そうや!ケガしたら医者のセンセに見てもらえばええんや!」
前言撤回、これのどこが女の子だ。どちらかといえばアホの子だ。こういう発想は全く無かったのだろうか。
…まあそれだけ、カズ自身も人目につかない方がいいと自覚していたのかもしれないが。


「よっしゃ、じゃあちょっと行ってくる!」
言うやいなや、カズは階段を駆け下りていった。
「ちょ…待ちなさい!診察券とか、いやそれ以前にお金とか…」
「大丈夫!ルッカがカードとかよくわからん国のお金の入った財布落としてってくれたし!
いざとなったらアンタかリーダーに連絡するから!」
言い終わる頃には、すでにカズの姿は見えなくなっていた。



「はぁ…大丈夫かしら」
やっぱり後を追ってみようか、そんなことを思っていると、
(…おぉーっと、パワポケ選手、セカンドゴロに打ち取られました!)
「もう何やってるのよアイツは!!まだ3点差もあるのに!」
ラジオの音声に反応して、朱里は再び腰を下ろした。
まあ、カズなら多少トラブルがあっても最悪力づくで何とかしてくるだろう。
そう思い直して、今度は不甲斐ない彼氏の方を応援することにした。


「キズを治してもらって…、治してもらったらすぐに…♪」
カズははやる気持ちを抑えつつ、早足でチラシの地図通りに歩いて行った。
待ち続けた、小波との再会を想像しながら。



   
   |   ーーー(当医院は○○書店を曲がって右200m!)ーーー     |
   |           ーーー(ーー大丈夫総合外科ーー)ーーー     |
   |                                   |
   |                                   |                                  
   |___________________________________|




「次の方…南雲さん、中へどうぞー」


「…他には誰もおらんし、次やな…」
ここは、ミルキー通りのさらに裏通り。地元の人でも気付かないような町の隅、
ひっそりとした診療所の待合室。
一人そわそわしながら、カズは今か今かと順番を待っていた。


「…それにしても、親切なセンセーで助かったなぁ」
今部屋にはカズ以外の患者はいない。
というのも、受付時間を過ぎていて断られそうになった所を、中から出てきたまだ若い、医者
らしき男が入れさせてくれたのだ。
とにかく、他に人がいないというのは人目を気にしなくていい分
長身で目立ちがちなカズにはこの上なく好都合だった。


「さっきの人も、体に傷があったり…いや、ないか」
カズは自分以外にたった一人いた患者のことを思い出した。
その女性は作業着のまま思い詰めた表情をしていて、その姿からカズはどことなく自分と似たものを感じた。
まあ女性の方は長身でもなんでもなく実に女性らしい女性であったが。

もう一時間は過ぎただろうか、時計がないのでわからないが、ようやく前の女性が部屋から出てきた。
女性は診てもらう前よりいっそう思い詰めた、むしろ絶望したような表情で出て行った。
なんか悪い病気でも見つかったんかなと、カズは目で女性を追いながら思った。
あくまでここは外科なのだが。


「大江さん、中へどうぞー」
診察室にはいるとやはりさっきの男は医者だったことがわかった。
「それで、今日はどうしました?」
カズは腕の所の傷を見せながら、階段で転んだとか忙しかったので病院には行けなかったとか
傷の具合ととても不釣り合いな説明を繰り広げた。男はしばらく黙って頷いていたが、やがて深刻そうな顔で言った。

「なるほど、それならすぐにでも処置しないといけませんね」
「な、治りそうですか?」
カズは若干震えた声で聞いた。医者に手遅れと言われたら、もう望みは無いに等しい。
「何とも言えませんが、対処は早ければ早いほどいい。すぐに手術しましょう」

まさかいきなり手術するとは思わなかったが…医者が言うんだからその方がいいんだろう。
とカズは言われるまま地下の手術室へついて行った…


手術室。
カズは中央のベッドに腰かけて、準備があるからと言って出て行った医者の男を待っていた。
…他に看護師はいないのだろうか。
それとも、本来診療時間ではないため皆帰ってしまったのだろうか。
その疑問と、無機質な手術室の空気がカズを不安にした。


「いや、お待たせして申し訳ない」
数分後に男は戻ってきた。
「なにぶん、時間の都合上他のスタッフがいないもので」
「あ…、えろうすいません」
どうやら後者が正解だったようだ。
男が準備してきたのはメスやガーゼ、いかにも手術といった道具が並んだカート。
カズはいよいよといった面持ちでそれを見つめた。

「さて、」
男は向き直って言った。
「まずはもう一度傷をみせてもらいましょうか?」
「う…はい」
カズは、服ーーといっても下着以外はTシャツとジャージだがーーを脱ぎ始めた。
傷は身体の各部にわたってあるため、全個所を見せるには下着姿になる必要があった。
「…これでいいですか」
さすがに恥ずかしくて、カズはうつむく。
いまや彼女の身体を隠すものは水色のスポーツブラに、清純さを絵に書いたような白いパンティーのみだった。
「…へぇ、いい身体をしているね。何かスポーツでもやってるのかい?」
男は遠慮なくカズの身体をみつめながら話しかける。さすがに耐えきれなくなって、
「あの…早く取りかかってくれまへんか?」
いくらなんでも、この格好は恥ずかしすぎる。そう思って、カズは男に催促した。
「ああ、そうだね…それじゃ、ベッドにうつ伏せになって」
身体の前側は隠せるぶん、まだそっちの方が恥ずかしくない。
そう思い、速やかにベッドに寝転んだ。ギシッ、という手術台特有の音が室内に響いた。

「それじゃ、麻酔を打つ前に軽くマッサージをするから。血流が悪いと、薬が効きにくいからね」
「っ…お願いします」
カズは少し驚きつつ答えた。やはり、男に触れられるのはまだ抵抗がある。
「じゃあ、いくよ……っ」
背中に男の手が触れる。最初は弱く。だんだんと押し込むように強く揉んでくる。


しだいに、男の指は腰のあたりまで降りてきた。恐怖と恥ずかしさで、触れられる度に身体がピクッ、と反応する。
「痛かったら、言ってくれよ?」
男が問いかけてくるが、もはや答える余裕などない。ただ、この時が早く過ぎるのを待っていた。
いよいよ、男の手はわき腹の傷へと伸びてゆく。

「…んっ…」
傷を指がなぞった瞬間、思わず声がでた。男は手を休めることなく、
「大丈夫かい?」
と聞いてきた。…こころなしか、声が楽しそうに聞こえるのは気のせいだろうか。
「っ…だいじょうぶ…ですっ」
羞恥心により、余計に触れられている場所が敏感になる。
腿に手をやられると、思わずひっと声が出た。


「やっぱり痛むのかい?…だったらやめた方がいいかな…?」
声を抑えようと必死のカズに、なおも男は問いかけてくる。
「だ…っ、いじょうぶ、です…っん!つ、つづけて…くださ…ぃ」
「マッサージ」はより広範囲にわたり、少々きわどい所まで手を伸ばしてくる。
(!っ…そんなとこまで…!?)
下着の辺りまではさすがに及ばないが、それでも体じゅうを撫で回され、
カズの顔は上気し、呼吸も少し間隔が短くなってきた。


いったいどのくらいの間耐え続けていたのだろうか。
ほんの十分程度の時間だったが、カズにはとてつもなく長く感じられた。
「…そろそろいいかな、では仰向けになって下さい」
「はぁ…はぁ…はい…」
やっと終わった、そう思いつつ仰向けになる。
…うっすら汗をかいていることに気づき、慌てて目をそらした。


「麻酔を打つから、しばらくは手足の感覚が鈍るので気をつけて」
全身麻酔じゃないのか。いっそ眠った方が楽なのに…
そんなことを思っていると、いつの間に注射されたのか、確かに、肩より下がじんわりしてきた。
「じゃあ、始めるけど…あんまり見てて気持ちのいいものじゃないし、目を閉じていたほうがいいと思うよ?」
慌てて、カズは目を閉じた。確かに切開したりするのだろうし、
見ない方が楽だろう。
カズは目を閉じている間、小波のことを考えることにした。


小波は今何をしているのだろうか。
今頃、遠くの球場で今日も観客を沸かせているのだろうか。
(早く…会いたいなぁ…)
もうすぐだ。傷が治ったら、すぐに会いに行こう。
(…小波に会うには、どっちに「落ちて」いけばええんかな?)
そんなことを考えていると、かすかに医者の手が腿のところにあるのが感じられた。


…かすかに…?
いや、はっきりと!?

がばっ、とカズは起きあがった…つもりだった。
動いたのは首だけで、あとは全く力が入らない。
「な、なにしてはるんですか!?」
男はちょうど、カズの下着に手をかけている所だった。
「ん?…ああ、やっと効いてきたか。反応がないから本当に痺れているのかと思ったよ」
痺れる、という感じじゃない。しかし力が入らず、胸の奥からどんどん身体が熱くなってきて、
神経が異常に敏感になっている。

「せっ…センセ、一体何する気…」
いや、言われなくてもわかっている。
とどめを刺すかのごとく、男はカズの上に圧し掛かって言った。
「男女が密室でするコトといえば、一つしかないだろう?」
カズの顔が青ざめた。親切そうに思えたこの医者の男も、
カズが恐れてきた、自分に危害を加えるものでしかなかったのだ。


驚くカズを気にも留めず、男はカズのブラを外しにかかった。
カズは身をよじって抵抗しようとするが、身体は全く動かない。
そして、とうとうカズの胸が露にされた。
「小ぶりだが…いい形だし、弾力もある。やはりこれ位が一番だな」
そう言って、男は両手でカズの双頭を揉み始めた。
「ん…あっ、やめっ…んん!」
カズは、思わず自分の耳を疑った。
(何やこれ…なんでウチ、こんなーーー)
触れられる度に、声が出る。まさかーー

「どうだい?いいだろう、この薬は?もうすっかり出来上がっているんじゃないのか?」
男の打ったのは麻酔薬などでは無かった。確かに力は入らないが、別の感覚がカズの神経を蝕む。
男は、カズの耳元で問いかけながら右手で胸を弄りつつ、左手で体中を愛撫してくる。
「そんなワケ…っ、な…いっ…んあっ!」
「無理は良くないな。…こんなに感じてるのに?」
「あっ…っっ〜!?」
男がうなじを舐め上げると、思わず背筋が震えた。
(嫌や…こんなの…感じたくなんかないのに…、)


「あっ、やあっ、こんな……や、むぐっ!?」
不意に男の舌が口内に入ってきて、突然の事にカズは抵抗できなかった。
「んっ…ぴちゃ、んあっ…うぅ…」
(そんな…小波以外の男と…こんな…)
唇を奪われたショックで、カズの思考が止まる。
男はそのスキを逃さず、カズの口内を蹂躙していく。
「んぐっ、ん…ちゅっ、んん…ぷはぁ…」
男が口を離すと、絵にかいた様な銀の橋がかかる。
呼吸を荒げて涎をたらし、放心しているカズの姿は、余りに扇情的だった。


男は満足すると、今度はぴんと立った乳首を舌で転がしつつ、
右手をまだ誰も触れたことのない秘所へと伸ばした。

「んんっ…そ、そこは…っ!」
「どうした?そっちも今さら止めたくないだろう?ここはすごいことになってるぞ?」
「い、や…あっ」
男はいやらしく笑いながら、くぱぁ、とカズの秘所を思い切り広げた。
濡れそぼったそこが糸を引いているのを、カズは見えなくても感じた。
(嘘…ウチのココ、どうなっとんねん…!)
花弁からは愛液が垂れ、狭い手術台を濡らしている。


「これで動かしたら、どうなるんだろうな」
男の指が微かに触れる、そのたびに、カズの身体は敏感に震える。
そして、男の指はついに秘所の中に侵入してきた。
「んああっ!あんっ、やっ、ひゃあん!」
男が指を出入りさせると、それに合わせて甘い嬌声が上がる。
もはや、カズは押し寄せる快感の波に抗うことができなくなっていた。


「はあっ、あっく…んんっ!あああっ!」
愛液が男の指とカズの花弁に絡み合い、くちゅくちゅと卑猥な音をさせる。
「あんっ、んっ!も、もうやめ…っんああっ!」
「なんだ…?もうイきそうなのか?」
カズの表情からそれを察すると、男は一旦指を抜き、そこに顔を近づけた。
「んっ…?ひっ…!!」
カズは突然目の前に現れたモノに思わず顔を背けた。
それもそのはず、狭い手術台の上で男の顔が
カズの秘所に近付いているということは、男のモノもカズの顔に近付く。
初めて見る男のモノに、カズは思わず目を奪われた。


(あれが男の人の…!あんな大きいのをみんな入れるもんなん!?)
カズの意識が男のモノに移ったその時、再びカズは快感に襲われた。
男が舌でカズの秘所を愛撫し始めたのだ。
「ひいっ!?あはあっ、やっ、な、なめちゃダメえっ!」
「近くで見ると壮観だな。…どんどん汁が溢れてくるじゃないか」
男は、舌で探り当てた小さな突起物を執拗に攻めてくる。

「ひゃん、ああんっ!へん、変にな…るうんっ!」
「そろそろか…ほら、いいから変になれよッ!」
さらに舌使いを激しく。水音が部屋中にこだまし、聴覚からも犯されている感じになる。そして、
「うん、ああっ、んああーーっっ!」
軽く痙攣しつつ、カズは遂に絶頂を迎えた。


「っはぁ…はぁ…」
体の熱はまだおさまらない。全身が熱にうかされ、頭がクラクラする。
でも、早く逃げないとーーわずかに残った理性が、必死で叫ぶ。
しかし、相変わらず身体が動く気配は無く、指先がわずかに震えるのみだ。
「いいイきっぷりだなぁ。前戯でこれなら、挿れたりしたらどうなるんだろうな…?」
男はくくく、とほくそ笑み、そそり立ったモノを花弁にあてがった。
「初めてなんだろう?触った感じでわかったよ…良かったじゃないか、きっと痛みなんて微塵も感じないぞ?」
「い、嫌や!それだけは!お願い、やめーーひぎいいっ!!」


カズの願いも空しく、男のモノは勢いよく処女膜を引き裂いた。
「う…あ…!いあ、いっ…抜いっ…て…」
破瓜の痛みに、或いは別のある思いに、カズの目からは大粒の涙がこぼれる。
「大丈夫、すぐ慣れるさ…、こんな風に、動き続けりゃあな!」

男は激しく腰を振り始めた。
処女であったにもかかわらず、血が混じった愛液が結合部の動きを滑らかにする。
「あ゛あっ!ぐ、うん、あっ、んんっ!」
男が腰を打ちつけるたびに、愛液が飛沫となって飛び散る。
カズは、痛みとは違う感覚が、再び襲ってくるのを感じ始めていた。
「あっ、あん、あは、はあっ、あああっ!」
「君を引きとめたのはやはり正解だったよ!
まさか処女で、しかもこんなにいい具合をしているとはね!」
男はカズの身体を反転させ、引き締まった尻を持ち上げる。
いわゆる後背位のかたちで、そのままモノを突き入れた。


男はさっきよりいっそう激しく腰を打ちつけ始めた。
ぱんぱんと小気味よい音がよりいっそう男を興奮させる。
「はあっ、はあっ、…いいぞ!最高だ…」
「んんっ、あっ、あん、あはあっ、やめ、てえ…ふああ!」
拒絶の言葉も、これだけとろけた声で言われては、男をいっそう駆り立たせる誘いにしか聞こえない。

「あはあっ、あっ、んぐっ、んっ、むっ、んあっ、んん…っぷぁ」
繋がったまま、男は再びキスをしてきて、無理やり舌を絡ませ、唾液を交換する。
カズの目は虚ろで、もはや何も考えられなくなっている。
「っはあっ、もうすぐ、出すぞ…っ」
男の体がわずかにふるえ、動きにスパートをかけていく。
「あはっ、ああっ、い…嫌や、外にっ…いぃん!」
一瞬言っている意味がわからなかったが、慌てて懇願する。しかしーー
「っっ!出るっ!!!」
「いやっ、あっ、…あああああーーっ!!!!」
ほとんど同じタイミングで二人は絶頂に達した。
男のモノからたっぷりと精液が注がれる。
膣内が満たされていくのが、カズにも感じとれた。


(こな…み…)
想い人の名を浮かべて、カズの意識は途絶えた。


「はあっ、っ…はあ…」
(ん…ここは…?…誰かおるん……、っ!!?)
激しい息遣いと、口の中の異物に気づいて、カズは目を覚ました。
「むぐっ、んぐ…!?っぷはっ、な、何を!?」
カズは首を後ろに引き、さっきまで自分が男のモノを咥えさせられていた事に気づいた。
さっきの手術室のようだが、室内はむせかえるような汗と精液の臭いに満たされている。
男は服を脱いでいて、カズの方は汗と唾液−ー−
それと、どちらのものかわからない白濁液でべとべとだった。


手術台は壁際に寄せられ、今カズは壁を背もたれにに座っている状態だ。
「やっとお目覚めかい?案外起きないものだね」
そう言って男は立ったままカズの頭を両手で掴むと、
カズの口をまるで性器のように犯し始めた。
「んぶううっ!むぐっ、んぶ、はっ、んぐっ!」
喉の深くを繰り返し突かれ、カズは苦悶の表情を浮かべる。
「んむっ、うぷ、んんー!」
その顔を見下ろしつつ、一枚の写真をカズに見せる。
「…ところで、君があまりに可愛いからついこんな写真を撮ってしまったんだけど」
「んぐ、んむっ…?、……!!?」
カズは目を見開いた。(気を失っとる間に、こんな事されとったん!?)
写真の中のカズは、両腕をテープで縛られ、下では男のモノをぎっちり締め上げている。
意識が無いとは到底思えない恍惚とした表情だ。
本人は全く記憶に無いが、確かに手首にはテープの跡があり、秘所からは今も男の精液が溢れ出ている。


「あとこれとか、こんな感じかな?残りは全部パソコンの中さ」
「な…っ、こんなことまで…!」
(そんな…こんなの、小波に見られたら…!!)
「これらはもう受付の奴にデータを送信してあるから、
ここにあるパソコンを全部壊してもデータは消えやしないよ。
…バラまかれたくなければ、今度は自分でしてごらん?」

邪悪な笑みを浮かべて、男は奉仕を要求した。
カズは恐る恐る男のモノに顔を近づけ、やがて観念したように、ちろちろと舌を這わせた。
(うぅ…くさい…誰か助けて…)
「そうだ、咥えろ」
「っ…、ひっく…あむ、んむ…」
カズは泣きながらモノをしゃぶり始めた。不器用に、前後運動を繰り返す。
「はむ…んちゅ、んぐ、ん、んう…」


口中に男の臭いが広がり、気持ち悪さで吐きそうになる。
「そんなにゆっくりやってたんじゃ、夜が明けるぞ?こっちは構わないけどな」
男はなおも要求を続ける。カズも腹をくくり、一気に動きを激しくする。
「んぐっ、んん、ぐぼっ、んんんっ、んはっ、むぐ…」
(苦しい、早く…、早くイって…)
カズは解放されたい一心で、必死で男のモノに刺激を与える。

男も限界が近づき、
「よし、イくぞ…全部飲めよッ!!」
「んぶっ、んあ、…んんむうーーー!!?」
カズの口内に大量の精液が吐き出される。
何回目の射精かわからないが、この男はどんな体をしているのだろうか。
そう思うほど、重く、濃いものが流し込まれた。


「んぐ、んっ、…ごくん、んはぁ…」
精液を飲みきった所で、パシャッとシャッター音がした。
「…ふう、お疲れ。…心配しなくても、君が何かしない限りは、
写真をどうこうする気は無いよ」
男は棚から注射器を取り出し、
「それじゃあ。…楽しませてもらったよ」


そして、カズは深い眠りに落ちたーーー




「…!!…カズ!起きなさい!」
目を覚ますと、そこは見慣れた廃ビル。
見慣れた顔が、自分を呼んでいた。

「やっと起きたわね!ーーアンタ、なんで路地裏で爆睡してんのよ!
全っ然起きやしないし、運ぶ方の身にもなってみなさいよ!」
「なんで…?路地裏?ウチが…?」
「そうよ!夜中になっても帰ってこないし、連絡もつかないから心配して探しに行ったのに!」
そこまで朱里は言い終えると、窓の外を見て辺りを確認した。
外は夜が明けて、人のかげもちらほら見える。
カズはまだ夢うつつといった面持ちだ。
(あれ…昨日、ウチ何してたっけ…?)
カズは前日の記憶をたどり始める。たしか、夕方頃ここに来て、それから…?
「結局病院は行かなかったの?傷、元のままじゃない。最近は技術も進んーーー」
(ここで、病院のチラシをもらって、それで…)
ーーーそこまで辿って、全てが思い出された。


「ーーーもあるんだし、このぐらい治せないはずが……ど、どうしたのよ?」
「あ、あ、うああ……」
思い出した。自分は汚されたんだ。小波以外の男に。
「な…なによ、泣くことないじゃない。こっちも大変だったんだからーーー」
「うあああああああーーーーん!!」
奪われた。いつか彼と一緒に過ごせる日を夢見て、大事に守ってきたものを、たった一晩で。
ほんの数時間の悪夢。それが、カズがこの3年間拠り所としてきたある希望を、粉々に打ち砕いた。


(ウチの、初めて、知らない男に、小波より先にーーー)
事情を話せるわけもなく、ただカズは朱里にすがりついて泣き続けた。
「わかった、わかったわよ、ちょっと…どうしたのよ…?」
朱里はわけもわからず、うろたえながらカズの身体を支える事しかできなかった。
彼女にまた一つ、今度は一生消えない傷が刻まれたことなど知る由もなくーーーー

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます