〜あらすじ〜 
 人類が宇宙に進出して長い年月が経った…。 
 宇宙をデスパレスという名の恐怖で支配していた宇宙連邦はキャプテンコナミによって縮小され、世界は多少不安定ながらも、多くの人々の努力により平穏を保ち続けた…。 
…これは宇宙連邦を倒した後のとある兵士と傭兵の物語である。 

 〜ルナリング酒場〜 
ブラッド「おい、ヘルガ…お前これからどうするつもりだ?」 
ヘルガ「特にやる事も無いから、とりあえず故郷に帰る。」 
ブラッド「どうしてもか?」 
ヘルガ「…そもそも何故おまえにそんな事を話す必要がある?」 
ブラッド「…ちょっと相談があってだな…。」 
ヘルガ「何だ?」 
ブラッド「その…お前さ、賞金稼ぎとして俺と組む気は無いか?えっと…なんつーかお前が一緒だと戦いやすいし…安心して背中を任せられるっつーか…」 
ヘルガ「…おまえほどの腕があれば一人でも十分に戦えるだろう。」 
ブラッド「いや、だからそうじゃなくって……あぁ、めんどくせぇ!!とにかくお前が俺の見えないところで無茶しそうで心配なんだよ!!」 
ヘルガ「女に戦場から引っ張られて帰ってきた奴に心配されるほど、私は落ちぶれていないのだが…。」 
ブラッド「うるせぇよ…で、どうなんだ!!」 
ヘルガ「…私は別に構わない。」 
ブラッド「本当か!?」 
ヘルガ「二言は無い。…それにおまえみたいな訳の分からんバカが犬死するのは宇宙の損失だからな。」 
ブラッド「…それ、俺の台詞だろ。」 
ヘルガ「今更ながらあんな恥ずかしい事をよく言えたものだ。…ところで、これからどうするつもりだ?」 
ブラッド「…実はキャプテンやルナリングの奴らからの報酬を全部はたいて小型宇宙船をローンで買ったんだ。免許もすでに持っているから、当分はこいつで賞金稼ぎだ。」 
ヘルガ「それはいいのだが…おまえは賞金稼ぎのライセンスは持っているのか?無ければ違法だぞ。」 
ブラッド「……へっ?」 
ヘルガ「…先が思いやられるな…。」 

ブラッド「派手にいくぜ!!」 
バン!バン!バン! 
 宇宙ギャング「バカめ…上にもいることに気づいていないな…ここからなr…」 
バスッ!バスッ!ドサッドサッ 
 ヘルガ「…2つ。」 
ギャング団ボス「くそっ!!どこから撃ってきy…。」 
バスッ!ドサッ 
宇宙ギャング「うわっ!ボスがやられた!!逃げろぉ!!」 
ブラッド「…大体片付いたな。後はここを爆破したら依頼達成だ。」 
ヘルガ「!!」 
バスッバスッ!! 
 宇宙ギャング「グハッ…」 
ドサッ 
 ヘルガ「…最後まで油断するな!!」 
ブラッド「ハハ…悪りぃ悪りぃ。」 
ヘルガ(…これでよく今まで生き延びてこられたものだ…。) 
・・・・・・・・・・・・。 
〜宇宙船ブリッジ〜 
ヘルガ「水でも飲むか?」 
ブラッド「おぅサンキュー…ところで、この生活は慣れたか?」 
ヘルガ「あぁ、誰かのお守りのせいで実に充実している。」 
ブラッド「お守りって俺はガキかよ……それにしても、この三ヶ月でおまえキャプテンの船に乗っていた時よりよくしゃべるようになったな。」 
ヘルガ「!!」 
ブラッド「何だ図星か?」 
ヘルガ「…私がいつも注意しなければならんほど貴様がバカだからだ。今日の戦いもそうだ。早く私が何も言わなくても済むようにして欲しいものだな。」 
ブラッド「わ、分かったから睨むなよ…。」 
ヘルガ「…今日はこのくらいにしてやろう…。シャワーを浴びてくる。血生臭くてかなわん。」 
ブラッド「あぁ…。」(…シャワーか………って何考えてんだよ俺は!!) 
ヘルガ「どうかしたのか?」 
ブラッド「なっ、なんでもねぇよ。俺も入るから早くしろ!!」 
ヘルガ「……。」 

 〜ゲフェン〜 
ブラッド「よし着いたぜ。早速、依頼達成の報告に行くぞ。」 
ヘルガ「待て、ここは連邦所有の犯罪者を収容するための星じゃないか。…こんなところに私が行けばどうなる?」 
ブラッド「あぁ…じゃあ、ここで待っていてくれ。」 
ヘルガ「…なるべく早く頼む。あまり居心地の良い所じゃないからな。」 
・・・・・・・・・・・。 
ブラッド「さて、早く帰って飯にでも…ってあれはメガネじゃねぇか。おい!!メガネ!!」 
オチタ「…その声はブラッドでやんす!!」 
ブラッド「キャプテンもいるのか?」 
オチタ「コナミ君ならゲフェンの家具を仕入れているでやんす。もう少しで…あっ来たでやんす。」 
コナミ「ごめん、オチタ君待たせたみたいだね…おや、ブラッドじゃないか!!」 
ブラッド「久しぶりだな。景気はどうだい?…つもる話もあるしひとまず俺の船に来ないか?」 
・・・・・・・・・・・・・。 
コナミ「へぇ…これが君の船か…良い船じゃないか。」 
ブラッド「…ヘルガ、今帰った。それと客だ。」 
ヘルガ「コナミにオチタじゃないか…オーブールとフローラの件は聞いているぞ。感謝している。」 
コナミ&オチタ「なっ…なんだってー!!!!」 
ヘルガ「どうかしたのか?」 
コナミ「…ちょっとオチタの奥様…今の見ました?」 
オチタ「ヤバイでやんす!!同棲でやんす!!ブラッドなんかに先を越されたでやんす!!グレイが侵攻してくるでやんす!!世界が滅ぶでやんす!!」 
ブラッド「…お前ら…少し黙れ。」 
・・・・・・・・・・・・・・・。 
コナミ「つまり、君たちは賞金稼ぎとしてペアを組んでいるんだね。」 
ヘルガ「そうだ。」 
オチタ「実際の所怪しいでやんす。」 
ブラッド「少し黙ってろメガネ。」 
コナミ「だけど、意外だったよ。君なら独立したフローラに戻って祖国の代表として、国を復興させると思っていたのに。」 
ヘルガ「実際にその様な誘いもあった。けれど、私の名声はすべて戦場で得た物だ…戦場の英雄は同時に、相手側から見れば恐怖の象徴となる。 
…そんな人間が政権に携っていたら外交的に不利だと思って辞退したのだ。…それに今の生活も悪くは無い。」 
コナミ「そうか…。」 
オチタ「良かったでやんすね。」 
ブラッド「だから、おまえはうるせぇっての。」 
・・・・・・・・・・・・・・・・。 
コナミ「さて、そろそろ僕らは失礼するよ。」 
オチタ「ごちそうになったでやんす。」 
ヘルガ「そうか…また来るといい。」 
ブラッド「俺が見送ってくる。」 
・・・・・・・・・・・・・・・・・。 
ブラッド「今日は楽しかったな。」 
コナミ「次はこっちが招待するよ。じゃあまた…。」 
オチタ「待つでやんす!!まだ、大事な事を聞いていないでやんす!!」 
ブラッド「なんだよ?」 
オチタ「ずばり、ブラッドはヘルガと何処までいったでやんす?」 
ブラッド「おい、話を聞いていなかったのか?単なる仕事仲間だっての!!…少なくとも向こうはそう思っている。」 
コナミ「さて…それはどうかなぁ?…あの氷の様な心の持ち主を口説いた男だからねぇ。」 
オチタ「どうやって口説いたか、教えて欲しいでやんす。」 
ブラッド「…だから、ただの仕事仲間だって…。」 
オチタ「顔を赤くしていっても意味無いでやんす。」 
コナミ「まぁまぁオチタ君。そろそろ帰らないと二人だけの時間が短くなってしまうから早く行こう。…じゃあ、またなブラッド…次に会う時を楽しみにしているよ。」 
オチタ「幸せになるでやんすよ〜。」 
ブラッド「お前らもう二度と来るな!!」 

…その日、ブラッドはヘルガをまともに見る事が出来なかった。 

 〜宇宙船居住区〜 
ブラッド(ふぁ〜…よく寝たぜ…もうこんな時間かよ…あいつも誘って飯でも食うか…。) 
ドン!ドン! 
ブラッド「起きろ!!飯だ。」 
・・・・・・・・・・・。 
ブラッド「(寝ているのか?)…起きないのなら入るぞ。」 
ウィーン…カシャ。 
ブラッド「…どうやら居ないみたいだな。」 
ヘルガ「…そこで何をしている?」 
ブラッド「うわっ!いたのかよ!」 
ヘルガ「全く…貴様はそんなに私の部屋が好きか?」 
ブラッド「違う!!飯に誘うつもりだったんだよ!!」 
ヘルガ「…今何時だと思っている?飯ならもう食った。貴様の分もあるからさっさと食って片づけておけ。」 
ブラッド「なんだ…それは悪かった。」 
ヘルガ「ふぅ…一応、私は朝におまえを起こしに行ったのだが、あれでも起きないのか?」 
ブラッド「まぁな、一度寝たら中々起きねぇぜ。」 
ヘルガ「誰も褒めていない。…むしろ戦いに身を置くなら、寝込みを襲われても対処できるようにするべきだ。」 
ブラッド「いや、一応ベッドの下にピストルは隠してあるんだぜ。」 
ヘルガ「寝ていたら意味が無いだろ!!私は起きろと言っているのだ!!」 
ブラッド「わ、分かったから怒鳴るなよ…。」 
・・・・・・・・・・・・・・。 
ブラッド「あぁ…食った食った。」 
ヘルガ「さっさと片付けろ。汚れが落ちなくなる。」 
ブラッド「分かったよ…それにしてもお前、料理ができたんだな。」 
ヘルガ「ゲリラ軍で訓練した…兵隊に食は重要だからな。…それに全部一人でする必要があった…物心ついた時には家族は誰もいなかったんだ…。」 
ブラッド「……。」 
ヘルガ「それでも仲間がいた…乱暴だが、気の良い奴らだった。だから毎日の訓練も辛くは無かった…だけど…あの時の…無差別爆撃作戦で…皆…。」 
ブラッド「……。」 
ヘルガ「…すまないな…こんな話をして…。」 
ブラッド「…なぁヘルガ…これから二人でフローラに行かないか?辛いかもしれないが、おまえが会いに行ってやればきっとそいつらも喜んでくれると思う。…今でも大切なんだろ?」 
ヘルガ「あぁ…でも、たった一人生き延びた私を彼らは許してくれるだろうか?」 
ブラッド「例え自分が死んだとしても仲間が生きて帰れたことを恨む奴などいるかよ!!」 
ヘルガ「ふふっ…そうかもしれんな…分かった、行こう。」 
ブラッド「よし、そうと決まれば今から準備に取りかかるか。」 
ヘルガ「…ブラッド…。」 
ブラッド「どうした?」 
ヘルガ「その…あr…気を遣わせてすまない。」 

 〜フローラ〜 
ヘルガ「ここの空気も久しぶりだな…。」 
ブラッド「寒ぃ!!」 
ヘルガ「…スノーモービルを借りてくる。私が運転しよう。」 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 
ヘルガ「あれを見てくれ。」 
ブラッド「…こいつは…ひでぇな…。」 
ヘルガ「この村は我々とは何も関係なかったのだが、連邦の奴らはもろとも焼き払ったのだ…前線の味方ごと…な。」 
ブラッド「……。」 
・・・・・・・・・・・・・・。 
ヘルガ「…ここだ。」 
ブラッド「ここがどうしたんだ?」 
ヘルガ「…マガツという男が死んだ場所だ…そいつと私はいつもペアを組んで動いていた…しかし、連邦が無差別攻撃を仕掛けて来た日に重傷を負い私の足を引っ張らない為に…死んだ。」 
ブラッド「…好きだったのか?」 
ヘルガ「いや、彼は私の理解者だった…すまないが、少し後ろを向いていてくれないか?」 
ブラッド「あ?…あぁ。」 
ヘルガ「・・・・・・・・・・。」 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 
ヘルガ「・・・待たせたな。暗くなってきたし、そろそろ戻ろう。」 
ブラッド「あぁ…だが、ちょっと待ってくれ…俺のパートナーを命懸けで守ってくれたんだ…祈る理由はあるだろう。」 
ヘルガ「…すまない。」 

…二人が行った後、フローラにしんしんと雪が降り始めた。


 〜ウインダスト〜 
ブラッド「だぁ〜あっちぃ〜ヘルガ、水くれ。」 
ヘルガ「もう水は無い。もう少しで町に着くから我慢しろ。」 
ブラッド「俺はパワードスーツだぜ?」 
ヘルガ「細かく内容を見ずに仕事を取ってきたお前が悪い。」 
ブラッド「わ、分かったから睨むなって。」 
・・・・・・・・・・。 
ブラッド「ふぅ…やっと着いたぜ…早く水を…。」 
ヘルガ「…その前に依頼人に会いに行くぞ。」 
ブラッド「うへぇ…。」 
・・・・・・・・・・・・。 
〜ウインダスト酒場〜 
ブラッド「ぷはぁ〜うまい!!いやぁこんなにたくさん悪いな。」 
ヘルガ「貴様、依頼人に失礼だぞ!!…申し訳ない、後でたっぷり言い聞かせておくので、どうか許して貰いたい。」 
ジュン「いえいえ、いいんですよ。(…後で報酬から水代を引かせて貰うだけだし。)」 
ヘルガ「ところで、ワームと言ったな?一体どういう奴なんだ?」 
ジュン「…この星に連邦のとある兵器が撃ちこまれたのはご存知ですか?」 
ヘルガ「人工太陽のことか?」 
ジュン「はい、それによってもともと緑豊かだったこの星は、オアシス以外すべて砂漠の星となってしまいました。」 
ヘルガ「……。」 
ジュン「そして、その人工太陽の熱エネルギーで突然変異を起こしたのが、あの巨大ワームです。」 
ヘルガ「…そいつがここへ真っ直ぐ直進しているのか。」 
ジュン「はい。…どうかお受け頂けないでしょうか?このままではここがめちゃくちゃにされてしまいます。」 
ブラッド「その為に俺たちはここに来たんだぜ?受けないでどうする?」 
ジュン「では、お受け頂けるのですね!?…ありがとうございます。…ですが、今日はもう暗いし、夜の砂漠は危険ですので明日出発されてはいかがでしょう?宿はとっておりますので今日はそこでお休み下さい。」 
ヘルガ「ご好意痛み入る…ブラッド、私は先に休んでおくぞ。明日があるのだからほどほどにしておけ。」 
ブラッド「あぁこれを飲んだらすぐに行く。」 
カランカラン… 
ブラッド「…さて、俺も早く明日に備えておかないとな…。」 
ジュン「明日はお願いしますね。…ところで、お兄さんはあの方と仲がよろしいのですね。」 
ブラッド「…どこがだ?あんな冷徹女と。」 
ジュン「いや、何となく…あっ一応、防音は完璧ですよ。」 
ブラッド「はぁ?何言ってんだよ?」 
ジュン「いえ、別に…(ニヤリ)」 

 〜ホテル〜 
ヘルガ「…これは一体どういうことか説明してくれるか?ブラッド。」 
ブラッド「いや、俺は言われた通りにしただけだ!!」 
ヘルガ「では、何故貴様がここに居る?何故、相部屋なのだ!?」 
ブラッド「…俺に聞くなよ。(…あのメイド…そういうことか。)」 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 
ヘルガ「ダメだ…他の部屋はどれも空いていないらしい。」 
ブラッド「マジかよ?じゃあ今夜は二人…」 
ヘルガ「…変な真似をしたら地獄に落ちると思え。」 
ブラッド「わ、分かってるよ…。」 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 
ヘルガ「……。」 
ブラッド「…ハクション!…くそぅ…なんで俺がこんな粗末なソファーで寝なきゃなんねぇんだよ?」 
ヘルガ「……。」 
ブラッド「…ハクション!!…ちくしょう、ヘルガの奴、自分だけベッドで寝やがって…俺は毛布一枚かよ…寒くてかなわん…。」 
ヘルガ「……。」 
ブラッド「…ハクション!!!!…止まらねぇな…それにしても、ヘルガから見たらやっぱ、俺は単なる同業者なのか…もうちょっと大切に…」 
ヘルガ「……ブラッド。」 
ブラッド「お、お前、起きてたのか!?」 
ヘルガ「…貴様のクシャミがあまりにもうるさいから目を覚ました。…とにかくこっちへ来い。」 
ブラッド「な…なんだよ。」 
ヘルガ「寒いのだろう?入れてやるからさっさと入れ。」 
ブラッド「おい…冗談だろ…?」 
ヘルガ「貴様に風邪を引かれたら誰が看病するんだ?それにワームとの戦いに差し障っても困る。」 
ブラッド「…だけどよ…。」 
ヘルガ「嫌なら無理強いはしない。」 
ブラッド「…分かった…すまねぇ…。」 
ヘルガ「…言っておくがこっちを向くなよ。」 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 
ブラッド(…ダメだ。興奮して眠れん…。) 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 
〜二日目の朝〜 
ヘルガ「起きろ!」 
ブラッド「…ZZZ。」 
ヘルガ「起きろブラッド!!」 
ブラッド「……ZZZ。」 
ヘルガ「……。」 
カチャカチャ…カシャッ! 
ヘルガ「起きろっ!!!!」 
バスッ!バスッ!! 
ガバッ!! 
ブラッド「うおおおおおおおおおおお!!!!」 
ヘルガ「…やっと起きたか。早く仕度をしろ。」 
ブラッド「お前今撃ったな?撃ったよな!?」 
ヘルガ「…これで起きなければ…次は永遠に眠らせてやるところだった。」 
ブラッド(…怖ぇよ。) 
・・・・・・・・・。 
ブラッド「さて、飯も食ったし今日も頼むぜ、相棒。」 
ヘルガ「……。」 
ブラッド「何だよ、不服そうな顔して…。」 
ヘルガ「…別に…それよりも標的がどこにいるのかちゃんと覚えているのか?」 
ブラッド「えーっと…。」 
ヘルガ「…北だ。それぐらい頭に叩き込んでおけ。」 

 〜砂漠〜 
ブラッド「…なんだこれは?」 
ヘルガ「恐らくこれが奴の住処なのだろう…。」 
ブラッド「こんな奴が町にやってきたらひとたまりもねぇぞ…って何する気だよ!?」 
ヘルガ「誘き出す…下がっていろ。」 
ポイッ…ドカーン!! 
キシャアアアアア!! 
ヘルガ「来る!!」 
・・・・・・・・・・。 
バン!バン! 
ドガガガガガ… 
ブラッド「くそっ!!デカイわりにすばしっこい奴だ!!」 
ガァアアアアア!!!! 
ヘルガ「…地面に潜れるというのは中々厄介なものだな。(何よりもこの暑さが不味い…長期戦は避けなければ…)。」 
ブラッド「ヘルガ、そっちだ!!」 
ヘルガ「チッ!!」 
バスッ!バスッ! 
ガァアアアアアアア!! 
ヘルガ「ブラッド早くけりを付けなければ、私たちがやられる。」 
ブラッド「分かってる!!」 
・・・・・・・・・・・・・。 
ブラッド「!!…ヘルガ、穴の中にありったけのグレネードを投げ入れてくれ!!」 
ヘルガ「…分かった。」 
ポイッポイッ…ドカーン!! 
ギャアアアアア!!!! 
ブラッド「やっぱりそうか!!自分の掘った穴は全部繋がっているんだな!!」 
ヘルガ「今だ!!ブラッド!!」 
バババババ… 
ドカン!ドカーン!! 
ギャアアアアアアアアア!!!! 
・・・・・・・・・・・・・・・。 
ブラッド「ふぅ…やっと終わったか…ヘルガ!?」 
ヘルガ「……。」 
ブラッド「おい、しっかりしろ!!……熱中症かもしれんな…すぐに医者に診せてやるから、今はこれで我慢してくれ…。」  
・・・・・・・・・・・・・・・・・。 
〜ホテル自室〜 
ドクター「…ヒロウト、アツサガ、ゲンインデース。 
シカシ、アナタノ、テキセツナオウキュウショチノオカゲデ、シバラクグッスリトすりーぴんぐシテイレバ、モウ・ダイジョーブ!…ソロソロワタシハごーほーむシマス。」 
ブラッド「…感謝する(それにしても変な奴だな。)」 

ブラッド「さて、着替えるか…そうだ、あいつも着替えさせてやらんとな…汗も拭いてやらないと駄目だ…でも、いいのか?」 
ヘルガ「……。」 
ブラッド「…まだ、起きそうにねぇよな…だけど、このままじゃ風邪をひくかもしれない…ヘルガ、許せよ…。」 
パチッ パチッ パチッ パチッ 
 ブラッド(…よし後はこれを脱がすだけ…覚悟は決めた!!) 
ジーーーーッ 
 ヘルガ「……。」 
ブラッド(なんだ、このおびただしい傷跡は…?並大抵ではこうはならねぇよ 
…それよりもヘルガって結構大きいんだな……いやいや、早く拭いてやらねぇと…。) 
ヘルガ「………。」 
ブラッド(…背中は拭き終えた…問題は前だよな…ええい、ままよ!!) 
ヘルガ「…………。」 
ブラッド(…うわ、柔らかい…布越しでも分かる…あ、ちょっと手に当たっ…。) 
ガシッ!! 
ブラッド(…ガシッ?) 
ヘルガ「…殺す!!」 
ドカッ!バキッ!グシャッ!! 
・・・・・・・・・・・・・・・・・。 
ヘルガ「全く…油断も隙もない奴だ…。」 
ブラッド「だ、だから違うって…。」 
ヘルガ「まぁ今日の所はこれくらいにしておこう…。」 
ブラッド「た、頼むから、話を聞いてくれ…。」 
ヘルガ「…ブラッド。」 
ブラッド「何だよ?」 
ヘルガ「…私の体を見てどう思った?」 
ブラッド「!!い、いきなり何聞いてんだよ!?…まぁ、すごく大きかったな…。」 
ヘルガ「そこじゃない。私の体中の傷を見てどう思ったか聞いている。」 
ブラッド「…並大抵じゃあそこまでならない…そう思った。」 
ヘルガ「そうだ。…私は数多の戦場を戦い、罪の無い者も殺し、生き延びてきた。…私の手は血まみれだ…。」 
ブラッド「……。」 
ヘルガ「…時々怖くなる…自分が奪った命を考えるとその者の無念が、苦しみが、悲しみが、伝わってくるのだ…。私はここにいて本当にいいのか…分からなくなる…。」 
ブラッド「……だったら、まずは生きろよ。」 
ヘルガ「…ブラッド?」 
ブラッド「命の重みに苦しむのだったら、まず、自分の命を大切にしろってんだよ!! 
…命を大切にしない奴が命の重みに苦しむ資格なんてねぇぜ。」 
ヘルガ「……。」 

ブラッド「兵士なんてやっていたら皆、戦って命のやり取りをするんだ。 
 俺だってそうだ…だから…奪った命の分も生きてみせろ。殺した事を苦に犬死になんてしたら、それこそ資源の無駄使いだろ。」 
ヘルガ「……バカのくせに…。」 
ブラッド「うるせぇよ。」 
ヘルガ「…ブラッド。」 
ブラッド「…今度は何だ?」 
ヘルガ「…私はこんな血生臭い女だが、…これからも一緒に居てくれるか?」 
ブラッド「何言ってんだ?…当たり前だろ?相棒なんだからよ…。」 
ヘルガ「違う…。」 
ブラッド「…?」 
ヘルガ「…生涯そばに居て私を見て欲しい…。」 
ブラッド「!!…そ、それって…つまり…。」 
ヘルガ「…私も女だ。あまり恥をかかすな…。」 
ブラッド「・・・・・・・・・・・。」 
ヘルガ「・・・・・・・・・・・。」 
ブラッド「…俺も…ずっと同じ気持ちだった…。」 
ヘルガ「じゃあ…」 
ブラッド「…だけど、一つだけ頼みがある…。」 
ヘルガ「…何だ?」 
ブラッド「二度と『私が何処で死のうとお前には関係ない』なんて事言うな。…もう、お前一人だけの命じゃないんだぜ…。」 
ヘルガ「…分かった、約束する。だから…キスを…」 
ブラッド「!!」 
ガバッ!! 
チュッ・・・クチャ・・・クチャ・・・ 
 ヘルガ「むうっ!!・・・・・・ぷはぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」 
ブラッド「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ヘルガ…もう一度服を脱がすが…いいか?」 
ヘルガ(こくん) 
パチッ パチッ パチッ パチッ 
 ヘルガ「ブラッド…。」 
ブラッド「何だ?」 
ヘルガ「その・・・傷だらけの体だけど、私は・・・女らしいか?」 
ブラッド「心配すんな。十分に女らしい・・・。だから昨日は緊張して、寝るのに苦労したぜ…。」 

ヘルガ「・・・だからと言って寝坊は良くないけどな。」 
ブラッド「・・・減らず口を叩けなくしてやるぜ。」 
キュッ・・・ 
 ヘルガ「うぁっ・・・そんなに・・・つまむな・・・。」 
ブラッド「じゃあこっちはこうしてやる・・・。」 
カプッ・・・ピチャピチャ・・・ 
 ヘルガ「あっ・・・く、くすぐったい・・・。」 
ピチャピチャ・・・ピチャピチャ・・・ 
 ヘルガ「くうっ・・・ブ、ブラッド・・・。」 
ブラッド「・・・そろそろ下も脱がすぞ・・・。」 
ヘルガ「あ・・・あんまり見るな・・・。」 
ブラッド「・・・何も恥ずかしがる事などねぇよ・・・よし、指を入れるぞ・・・。」 
クチュクチュ・・・。 
ヘルガ「ま、待てっ・・・その・・・ゆっくり頼む・・・。」 
ブラッド「あ、あぁ悪りぃ・・・。」 
クチュ・・・キチュ・・・ 
 ヘルガ「ふぁ・・・ああっ・・・」 
クチャッ・・・クチャッ・・・ 
 ブラッド(ヘルガの奴・・・膣が湿ってきたな・・・もう少し攻めてみるか・・・。) 
ペチャ・・ピチャ・・ 
「そ、そんなところ舐めるな!!。」 
クチャッ・・ピチャッ・・クチャッ・・ピチャッ・・ 
 ヘルガ「だ・・・駄目だ、ブラッド!!」 
キチャッ・・キチャッ・・キチャッ・・キチャッ・・ 
 ブラッド(指が締め付けられる・・・。) 
ヘルガ「はぁっ・・・あぁぁぁぁ・・・。」 
プシュゥゥゥ・・・。 
ヘルガ「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」 
ブラッド「感じたのか?」 
ヘルガ「うぅ・・・恥ずかしい事を言わすな・・・。」 
ブラッド「悪りぃ・・・。」 
ヘルガ「・・・やはりお前はバカだ・・・。」 
ブラッド「バカなりに配慮はしたんだぜ?」 
ヘルガ「・・・当然だ。」 

ブラッド「まぁな・・・それよりもそろそろ準備はいいか?・・・痛かったら、ちゃんと言えよ。」 
ヘルガ「分かった。」 
ブラッド「・・・いくぞ。」 
ズブッ!! 
ブラッド「き・・・キツイな・・・」 
ヘルガ「ああっ・・・くぅ・・・」 
ブラッド「・・・動くぞ。」 
ヘルガ「任せる・・・。」 
キチャッ・・キチャッ・・キチャッ・・ 
 ヘルガ「あ・・あんっ・・」 
ブラッド(気持ちいい・・。) 
キチャッ・・キチャッ・・ 
 ヘルガ「ふっ・・ふぁ・・」 
クチュッ・・クチュッ・・クチュッ 
 ヘルガ「あっ・・ひぁっ・・」 
ブラッド(・・・滑りが良くなってきたな・・・俺もやばい・・。) 
クチュッ・・クチュッ・・ 
 ヘルガ「ブラッド・・もう・・はむっ」 
チュッ・・ぴちゃ・・ちゃぷ・・ 
 ブラッド「ぷはっ・・はぁ・・俺も限界だ・・いくぞ・・。」 
クチュッ クチュッ クチュッ・・ 
 ブラッド「へ・・ヘルガッ!!」 
ヘルガ「ブ、ブラッド・・」 
クチャッ クチャッ クチャッ・・ 
 ヘルガ「ああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!」 
ブラッド「クッ・・・出る!!」 
ビュゥゥゥゥゥッ!!ビュッ!! 
 二人「・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・。」 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 
ヘルガ「朝だ、ブラッド。」 
ブラッド「…ZZZ。」 
ヘルガ「……。」 
カチャ…カチャ…カシャン!! 
ブラッド「うわっ!!撃つな!!」 
ヘルガ「ほう…少しだが、早く起きるようになったか。」 
ブラッド「…それは冗談にならねぇよ。」 
ヘルガ「冗談ではない。…私に命を大切にするように言ったのだから、貴様にも大切にしてもらわないと困る。」 
ブラッド「わ、分かったから早く銃をしまってくれ(やれやれ、こりゃ言い返せないな・・・)。」 

 〜三日目朝〜 
ジュン「ワームを退治して頂き本当にありがとうございました。」 
ブラッド「……(ギロリ)。」 
ジュン「…どうかされましたかぁ?(棒読み)」 
ブラッド「てめぇ、わざとだろ!!」 
ジュン「そんなことないですよ〜。本当に部屋を2つとるつもりだったんですが、たまたま空いていなかっただけですぅ〜。(棒読み)」 
ブラッド「嘘だ!!」 
ヘルガ「ブラッド!!依頼人に失礼だと何度言えばわかる!!船に戻ったら覚えておけ!!」 
ブラッド「くっ…。」 
ジュン「まぁまぁ…(ざまぁw)そのくらいにしておいて、報酬をお受け取り下さい。」 
ヘルガ「すまない……これはどういう事だ?少し少ないみたいだが…。」 
ジュン「…あと、これもお受け取り下さい。」 
ヘルガ「!!…ブラッド!!」 
ブラッド「何だ?」 
ヘルガ「水代1000ペラとはどういう事か説明しろ!!」 
ブラッド「はぁ?水はタダだろ!?」 
ジュン「ウインダストでは水は貴重なので有料ですよ。メニューにも1杯20ペラって書いてありますよ。(小さい字だけど)。」 
ブラッド「ちょっと待てよ!!そんな詐欺めいた話あr…。」 
ゴゴゴゴゴ・・・。 
ヘルガ「…ブラッド…覚悟は出来たか?」 
ブラッド「ま、待て!!話せば分かる!!話せば・・・」 
ヘルガ「問答無用!!」 

ゴキ!!メキ!!グチャッ!!ドサッ!!!! 

ジュン「…それ、ここに捨てていかないで下さいね…。(それにしても本当に仲が良さそうだなぁ)。」



 〜ディープグリーン〜 
ブラッド「…懐かしいもんだ…。」 
ヘルガ「ここは…?」 
ブラッド「俺の故郷だよ…。」 
ヘルガ「…意外ときちんとする事はするのだな…しかし、この格好ではいささか不味い…。」 
ブラッド「はぁ?俺はただ、故郷の空気が吸いたくなっただけだぜ。」 
ヘルガ「え?…そうなのか?(てっきりご両親にご挨拶するのかと焦ったではないか)。」 
ブラッド「…何か言いたそうな顔だな?」 
ヘルガ「別に何でもない。さっさと行くぞ…ところで、この船名…『愛しのクソッタレ死んじまえバカ号』…何だ、これは?」 
・・・・・・・・・・・。 
〜ディープグリーン酒場〜 
ボブ「…それで、最近仕事はどうなんだい?議長閣下殿?」 
アンヌ「…プライベートで議長閣下は余計だ。」 
ボブ「ハハハ…ごめんアンヌ…。」 
アンヌ「全く、お前にまで議長呼ばわりされたら息つく暇がない…。」 
カランカラン 
 ブラッド「…ここも懐かしいな…マスター、ビール。」 
マスター「そちらのお嬢さんは?」 
ヘルガ「…カシスソーダ。」 
マスター「畏まりました。」 
ボブ「?…あれは…ブラッドにヘルガ!!」 
ブラッド「あれ?…ボブじゃないか。なんでこんなところに居るんだよ?…それにその女は…議長じゃないか!!」 
ボブ「…あまり大声を出すなよ、彼女はお忍びなんだ…とりあえずこっちに座りなよ。」 
・・・・・・・・・・・・・・・。 
ボブ「アンヌ、この二人は、キャプテンコナミと共に戦った仲間だ。」 
アンヌ「そうか…私はアンヌだ、この星の評議会議長を務めている…よろしくな。」 
ブラッド「つっても俺はこの星の出身だから、あんたの事は知ってるぜ。」 
バシッ!! 
ブラッド「いってぇな!!」 
ヘルガ「貴様!!態度が悪いと何度言えば分かる!!…申し訳ありません議長閣下…私はヘルガと申します…。」 
アンヌ「よろしくな…まぁ、今はプライベートだから気軽に接してくれてもかまわん。」 
ブラッド「ったく殴る事ねぇだろ…俺はブラッドだ。」 
アンヌ「何?…ブラッドだと?…ひょっとしてお前の母親の名は『ヤシャ』か?」 
ブラッド「あれ?お袋を知っているのか?」 
アンヌ「あ、あぁ…昔、世話になった…。(…するとこいつの父親が…)」 
ヘルガ「……。」 

ブラッド「…それにしてもさすが『宇宙の男』だよな。惑星の代表まで口説き落とすとは恐れ入るぜ。」 
アンヌ「彼はプライベートでのボディガードだ…そんな関係じゃない。」 
ボブ「ごめんよ…彼女、凄く照れ屋で…」 
アンヌ「ボブ!!」 
ボブ「ハハ…ところで君たちはどうなんだ?見たところ前よりも随分仲良くなったんじゃないかい?」 
ブラッド「おう、聞いてくれ。俺たち、この前やっとS…」 
バスッ!バスッ! 
ヘルガ「…済まない。銃の手入れをしていたら暴発した。」 
アンヌ「……。」 
ボブ「……。」 
ブラッド「…とまぁ、こんな感じでお互い傭兵家業だ。」 
ボブ「そうか…(これは完全に尻に敷かれているな)。」 
・・・・・・・・・・・・・・・・。 
ブラッド「ところでボブ、お前なんでここにいるんだ?」 
ボブ「あぁ、実は、もうすぐアンヌがオーブールを訪問するのだが、その際デートを申し込まれてね…。」 
アンヌ「だからデートではない!!お前は私のボディガードだ。」 
ブラッド「それでここにいるのか?羨ましいもんだな…そうだ、今度俺たちもオーブールに行かねぇか?」 
ヘルガ「…貴様、私達が金銭的に苦しい事を知って物を言っているのか?」 
ブラッド「え?…何でだよ?」 
ヘルガ「宇宙船のローンに維持費、燃料、食費、生活費そして貴様の無駄遣いで私が常に頭を抱えているのだが…。」 
ゴゴゴゴゴゴ・・・。 
ブラッド「わ、分かった気をつけるから…。」 
アンヌ「…苦労しているな…。」 
ボブ「大変な男について行ってしまったな、ヘルガは…さて、俺たちは他に行くところがあるから失礼するよ。」 
ブラッド「そうか、またな。」 
アンヌ「二人とも、今日は楽しかったぞ。」 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 
ブラッド「…さて、俺たちも行くか。」 
ヘルガ「分かった…。」 
カランカラン 
 ブラッド「…ヘルガ、少し寄り道したい所がある…。」 
ヘルガ「別に構わないが…それよりもブラッド。」 
ブラッド「何だ?」 
ヘルガ「その…ブラッドの両親の事なのだが…。」 
ブラッド「へぇ、ヘルガから尋ねてくるなんて珍しいな。まぁ少し歩いてから話してやるよ。」 

 〜墓地〜 
ブラッド「…ここだ。」 
ヘルガ「あ…。」 
ブラッド「『ヤシャ』…俺のお袋の名だ…ここに眠っている…。」 
ヘルガ「……。」 
ブラッド「…そんな顔するなよ…。」 
ヘルガ「…墓が一つしか無いみたいだが…。」 
ブラッド「あぁ、親父は生きているぜ…あいつがお袋を殺したけどな。」 
ヘルガ「!!」 
ブラッド「…俺の両親は共に傭兵でさ、『ラセツ』と『ヤシャ』って言えば、それなりに有名だったらしい…だけど、ある日、突然親父は狂った。」 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 

 〜回想〜 

ヤシャ「ええか?何があっても走り続けるんや…振り向いたらあかん」 
ブラッド「…母ちゃんは?」 
ヤシャ「…ウチはあいつをひきつける…後から行くから…(ブラッド…何があっても生きるんやで…)。」 
ブラッド「母ちゃん!!」 
ヤシャ(…ろくに母親らしいこと言うてやれへんでごめんな…。) 
タッタッタッタッタッタッ…。 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 
ヤシャ「あんた…そろそろええ加減にしよか?」 
ラセツ「無駄だ。貴様は勝てない。」 
ヤシャ「…『剣術三倍段』って知っとるか?剣が槍に勝つには三倍の技術が要るんやで。」 
ラセツ「…たった三倍でいいのか?」 
ヤシャ「ぼざけ!!」 
キィン!!キィン!!ガキィン!! 
ザクッ! 
ヤシャ「自分の腕を…犠牲に!?」 
ラセツ「これで動きは封じた…終わりだ。」 
ズブッ!! 
ヤシャ「ぐっ…ブラッド…。」 
バタッ 
 ラセツ「…馬鹿な事をしたな…さて…。」 
ブシュゥ! 
ラセツ「…これで…長居は無用…。」 
タッタッタッタッタッタッ… 
・・・・・・・・・・・・・・・。 

ブラッド「…俺のお袋は殺されていたよ…。」 
ヘルガ「……。」 
ブラッド「俺は親父を見つけだして、こんな事をした理由を知りたい。だから、あちこち飛び回れる賞金稼ぎになったんだ。 
…さて、そろそろ腹も減ったし帰るか。」 
ヘルガ「…ブラッド。」 
ブラッド「まだ、なんかあるのか?」 
ヘルガ「…その後はどうした?」 
ブラッド「…親族なんていなかったし、金も無いから学校にも行けなかった。だから、ずっと一人で生きていく必要があった。 
…だから、俺は働けるようになるまでは、雨水を啜って、ゴミを漁って、物を盗んで、何とか生きてきた…。 
…生きたかったんだ…俺を庇って死んだ母の分も…それしか、親孝行できなかったからな…。」 
ヘルガ「…私には耐えられない。」 
ブラッド「俺はバカだから、きっと鈍いんだよ。」 
ヘルガ「…ブラッド…本当にすまない。それでもやはり、こんな事を聞くべきじゃなかった。」 
ブラッド「だからいいんだって、俺が勝手に喋っただけだ。」 
ヘルガ「…ブラッド…。」 
ブラッド「むしろ俺は嬉しいんだぜ?お前が俺のことをいろいろ聞いてくれてよ。 
…昔のお前は他人と距離を置いて近づこうとしなかったからな。」 
ヘルガ「…そうだったな…。」 
ブラッド「…それに今が楽しければそれでいいじゃないか…。」 
ヘルガ「そうか、よかった…私も今が楽しい…。」 
チュッ 
 ブラッド「…………。」 
ヘルガ「…………。」 
ブラッド「…帰るか。」 
ヘルガ「…あぁ。」 

・・・・・・・・・・・・・・・・。 
ブラッド「それにしても、腹が減ったぜ…なんか食いたい物はあるか?」 
ヘルガ「…何でもいい。」 
ブラッド「まぁ、そう言うと思ったけどな…それにしても、なんかあっちが騒がしいな…あっボブ、なんかあったのか?!」 
ボブ「二人ともちょうどいいところに来たな…実はモンスターの群れが街に入り込んだみたいなんだ。」 
ブラッド「はぁ?こっちはハラペコだ…ってヘルガ!?」 
ヘルガ「…先に行く。早く着替えて来い。」 
ボブ「僕も一緒に行こう。」 
ダッダッダッダッダッ…。 
ブラッド「…あいつら行きやがった…ったく。」 

シャァァァァァァ!!!! 
バスッ!バスッ!!バスッ!バスッ!! 
ヘルガ「…4つ。」 
パシュ!パシュ! 
ボブ「…キリが無いな…。」 
シュルルルルル… 
ヘルガ「…クッ!!」 
ブラッド「ヘルガ!!しゃがめ!!」 
ヘルガ「!!」 
バン!バン!バン! 
ブチッ! 
ヘルガ「…すまない。」 
ブラッド「どけ、こいつらにはこうするんだ!!」 
ひゅんひゅんひゅんひゅん・・・ 
 ドカンドカンドカンドカン!!!! 
・・・・・・・・・・・・・・・。 
〜議長室〜 
アンヌ「お前たちには迷惑をかけたな…感謝する。」 
ブラッド「そんな堅苦しい挨拶なんかいらねぇって。俺はさっさと飯に行きてぇんだよ。」 
ギュッ! 
ブラッド「イテッ!!」 
ヘルガ「…そろそろいい加減にしろ。」 
ブラッド「…クソッ。」 
アンヌ「まぁ、ヘルガもそのへんにしてやれ…。それよりもこれは報酬だ。」 
ヘルガ「…いえ、当然の事をしたまでです。」 
ブラッド「そうそう、だから早く終わりに…。」 
ギュゥゥゥゥッ!! 
ブラッド「痛い!!痛いって、分かったから離せ!!」 
ヘルガ「…フン」 
アンヌ「難しいものではない、単なる警備だ。オーブールの船に警備兵として搭乗して欲しい。」 
アンヌ「…今はボブ以外に誰もいないから別に構わないのだが…。しかし、報酬は受け取って貰わないと困る…そうだ、ではこの報酬で仕事を引き受けて貰えないか?それなら構わないだろう?」 
ブラッド「依頼か?内容によるけどな。」 
ヘルガ「…詳細を伺いましょう。」 
アンヌ「もうすぐ私はオーブール訪問を控えているのは知っているな?その訪問の二日目にオーブールの海を船で視察する予定なのだ。だから、二人に警備を頼みたい。もちろん、その間の宿などは私が手配しよう…受けてくれるか?」 
ヘルガ「…何故、我々を雇う必要があるのですか?他に警備は?」 
ボブ「もちろん、スズナ姫も乗られるから警備は厳重だろうね…それに君達も一度は行ってみたい所だろ?」 
ヘルガ「(…つまり、これは御好意か…断るのは逆に失礼だな…。)…分かりました。」 
ブラッド「俺もいいぜ。」 
アンヌ「そうか、二人とも感謝するぞ。」 .

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