正直、最初にその話を聞いた時は、とんだ与太やと思っとったよ。
めたりんこやルーズが、子宮に特殊な魔法陣を張って、男の精液を吸収して、魔力として取り入れとるーなんて。
だいたい、連中そんな魔力強くないやん。もし仮に事実だったとしても、あたしにとっちゃたかが知れてる効果やないか。

話の出処は、割と確かやった。あたしが悪魔グループの支店長と話した時、世間話で聞いた。
前に、赤の暴君の件で、悪魔グループさんには、ごっつい迷惑かけてな。
だから、詫び代わりっちゃなんやけど、ガンダーゴーレムの件で、どさくさ紛れに、
よさげなガラクタ集めて、割安で売り込みに行ったんや。そん時に聞いたんよ。

話によると、魔法陣の効力はおよそ一晩。張るのに、さしたる手間はかからんね。
子宮内に魔法陣を張って――連中、器用なことするんやなぁ――そこに触れる精液を、魔力に還元する仕組み。
魔力に還元された精液は消えてしまうから、妊娠することはない。
これ、他人にかけるやり方を開発したら、商売に使えんかなぁ。でも、手間の割に儲からなさそうや。
で、精液の主である男の力が強ければ強いほど、あたしが得られる力も強くなるそうな。

ルクハイドの港町の酒場で、あたしはたまたまコナミの姿を見かけた。
この間の件では、随分世話になったな。で、酒の勢いもあって、話し込んだんよ。
コナミとは敵同士やったけど、あれはお互いの雇い主同士が敵対してただけやったし、
おまけにアイツもあたしも、雇い主から難癖つけられて、報酬踏み倒されててな。
もう雇われはこりごりやって話で、盛り上がったんだわ。

その時の季節は、オクトビア漁の解禁間際で、コナミとあたしは、二人で漁に参加することにした。
オクトビアは、あのタコの怪物どもの卵で、高価な珍味。獲りまくれば、それなりの稼ぎになる。
そん代わり、タコどもは普通に人間殺しまくるから、命懸けの稼ぎ口や。
まぁ、あたしやコナミは、もっと強いモンスター共と戦ってきたから、気にしなかったけど。

その漁のために、ボーゼル行きの船に乗る前の晩、あたしはコナミに抱かれた。
あくまであたしが『抱かれた』んやで。間違えちゃあかんよ。口説いたのはあたしの方やけど。

あたしだって、そんな尻軽女やないわ。確かに、魔法陣を試してみたい気持ちはあった。
魔法使いやから当然やろ。それでも、あたしかて一端の女。相手は選ぶで。
コナミとは成り行きで、敵同士にも味方同士にもなったことがある。
あたしがコナミを仲間に引き込もうとして、フラれたこともあったなぁ。
そういうの色々あって、アイツの腕前とか、人となりは、もう見切っとるわ。
それで、こいつならば、と見込んで、落としにかかったんよ。

口説き文句は、適当やったな。
コナミのやっちゃ、せっかくあたしが誘っとるのに、初心なネンネみたいにモジモジしおって。
『アンタ、これからあたしと、背中に命預け合って戦うんやぞ』
『ハダカの付き合いができん程度の野郎に、あたしはそんな話せんわ』
なんて丸め込んだ。アイツ、お人好しで、しかも女日照りやった。
最初から知ってたけどな。とくれば、もうあたしの思う壺よ。



身支度の合間に、例の魔法陣を仕込んでおいたわ。で、ルクハイドの宿に、一緒の部屋を取った。
受付があたしら見てニヤつきやがったから、妙に癪に障って、わざとアイツに身体寄せて、見せ付けてやった。
ニヤついてた顔が引き攣りおった。傑作だったわ。

そうして、アイツの近くによると、身体が熱うなってくる。魔法陣の副作用やね。好都合や。
鼻息荒くなっとるアイツを止めて、最後の確認。ええで、仕上げを御覧じろ、ってな。

部屋に入ってきたあたしを見て、アイツが一言――イル、綺麗だ――はは、芸の無い台詞、
そのくせ胸にとぉんと来る響きしくさって。この女殺しが。アイツの硬い腕を、肩に回されて、寝台で抱き締められる。
アイツも顔真っ赤でな。なんや、さすがは男やね。あたしが誘いかけた時から、もう臨戦態勢やったんやろ。

口は、まぁ、最初はくちびるを甘噛みし合う程度やった。ハナっからがっついてもな。
一応あたしら、ベッドでは初顔合わせやし。挨拶は大事やで。
頃合いを見計らって舌を捩じ込んでやったら、生意気にも、コナミのやつ反撃してきた。
はは、人畜無害そうな面ぶら下げといて、やることはやっとったみたいやな。
口の中に、捩じ込まれると、頭もいい感じに酔ってくる。息が荒くなってるのとか、お互い丸わかり。
へへ。キス、好きなんか。男のくせに、乙女じみた奴や。あたしのくちびるの虜にしてやろうか。

そうかと思ってたら、アイツはあたしの胸に手を回してきた。はは、ヤラシいわー。
魔法陣のせいか、いつもより少し胸が張ってて、敏感になってしまっとる。
アイツの触り方、焦れったくてあかんよ。アイツの指、剣や盾を握って肉刺まみれで、ゴツゴツした肌が、
ひび割れのひとつひとつまで感じられるぐらいで。あはは、あたしの玉の肌と大違いやん。有難く触っていきや、ホンマ。

で、胸が張ってるのに合わせられたのか、乳首も早々に起ってしまってな。とんだ売女やね。
勿論そんなのがアイツに見つからんはずもなく。男ったら、エロいことばっか目敏いんやから。
指が迫ってくる。乳腺が透けそうなほど膨らんだ乳輪をに向かって――おいコナミ、今喉鳴らしたろ。
アンタかて興奮しとるのは、一緒や。そのまま指が――アハハ、震えとるぞ――先に触れて、
あたしは悲鳴じみた声をあげてしまった。アイツにこんな声聞かせるなんて、初めてやわ。
戦闘でこんな追い詰められたこと、なかったしな。

アイツは心配気な素振りだったが、あたしはどうしたもんかと思った。
まずい。今、敏感になってた乳首をやられた時、子宮の魔法陣が揺らいだのが、分かってしまった。
これ、どうすればええねん。ヨガらされてしまったら、これダメになってしまうんか。そんなアホな。
黙ってるあたしを見て、我慢の限界が来たのか、アイツはまたあたしの胸を弄りだした。
どうやら、あたしが隙を見せてしまったのが、ハマってしまったようだ。この鬼畜が。

けれど、あたしにアイツを罵る余裕はなかった。
あたしみたいな大魔導師が、色ボケで魔法陣を失敗するとか、ないわ。ありえないわ。
胸の先を、虐められる。細い指ぐらいまで起った乳首を、扱かれても、ダメや。耐えるしかないやろ。

アイツは、痛いぐらい強いのと、焦れったい触り方を織り交ぜてくる。いやらしい男。
強いのを食らうと、心臓から背中まで食い込む感覚がする。
息がつまり、血が出たかと思う。でも、痛くはない、熱いばかり。声は抑えられない。
一方、ゆっくりしている方は、声は抑えられるが、べたべたと続く。
あたしを追い詰めるように、途切れずに、じっと、ずっと。生意気やね。

身体の中が繋がってるから、アイツの指を感じないようにすることも、
魔法陣を刺激に晒さないようにすることも無理……これ、綻びる度に張り直さなきゃあかんの。
大魔導師のあたしでも、ちょっとばかし荷が重いかも知れんわ。
荷が重い、てね。その予感は当たってたわ。でも、今更どうしようもないわ。
下手にアタマが回ると、いらんことまで考えてしまう。
子宮の魔法陣が崩れだして、いちいちソレを繕うのやから、当然そっちに意識が向く。
その間も、アイツは手を休めない。休める理由、ないしな。
胸、捻られて、引っ掻かれて、引っ張られて、人のことオモチャにしよってからに。
それ、全部、こっちにやってくるんやで。まず、心臓にキて、肺を掴まれて、火照った呼吸を吐かされる。

熱は上に立ち昇って、首に筋を走らせ、脳髄を茹だててくる。
頬が熱い、口が熱い、舌が、喉が――アイツ、ここで、口塞いでくるかぁ……。
舌、ナカに捩じ込まれる。掻き回される。さっきとは、熱量が段違い。しかも、それが大きくなるばかり。
熱が、籠もる。燻されてる。じくじく胸弄りながら、こっちまでなんて、欲張りな奴、こんなん、されたら、なぁ。

熱は上に、残り火は下に落ちてくる。下っ腹が、余計なものが無いから、すぐに来よる。
頭の熱はぐるぐる周り、落ちてくる燃えさしは、腹やら腰やらに降り積もる。
子宮が揺らぐ度に、そっちに意識向けて、張り直す。目に見えなくても、様子が分かってしまう。

下が、濡れる。冷えないけどな。腿までなんてあっという間。ほら、あたし脚も細いしな。
この分じゃ、近くに寄ってるアイツも、濡らしてしまっとるやろ。とんだ粗相や。いい加減恥ずかしくなってきたわ。
気づいたアイツは、あたしに声をかけて――こっち触っても、いい?――とか、てんごう言いよって。
アンタ、ダメ言うたら止めるんか。止めたら、あたしでも承知せんわ。ここで止めたら、男やないで。

すっかり盛ってたクリトリスに、アイツの指先が近づく。気配だけで戦慄が這い寄ってくる。
触れる。腰が浮く。離れそうになって、まだ言う事を聞いてくれる両腕を、アイツの背に回す。
魔法陣に亀裂が入る。そっちばっかに気を向けてるから、物欲しげに蠢く膣道まで、分かってしまう。
アイツはそろそろと慎重に触れてくる。そうやで、ここは、デリケートなんやから、それぐらいで丁度ええ。
胸は、まだ許したるよ。でも、こっちは乱暴にしたらあかん。男も堪え性が大事やろ。
アイツは、腿を撫で擦ってくる。親父臭い触り方しよって。肌の濡れを広げられ、熱いんだか、冷たいんだか。
両手で、腿、開かせて、見世物みたいに。まじまじとした目つきが、圧してくる。されるがまま。
今、必死に魔法陣組み直してる、その子宮まで、見透かされてるようで、変に力が入る。
筋が伸びて、縮んで、火照りを伝えてしまう。火照りに子宮が取り巻かれる。
アイツが、あたしの、入り口を、指で開こうとする。指の頭を、添えて。それだけで、もうあかん。

『ナカ、入れるなら、指よりソレにしてや。アンタも、ソッチのが、ええやろ』

あたしは観念して、耐久戦術を捨てた。このままじゃ、神経が持たないわ。
それにさっきから、魔法陣を張り直してばっかりで、つまらないにも程がある。
もうええわ。これ、精液を受けたそばから、力に還元してくれるはずや。
なら、射精されたあとは、壊れてもええ。当初の目的は達成できる。問題ないわ。

『生意気なデカブツおっ勃てて。責任とって、あたしが世話したるよ。安心し』

あたしはコナミを仰向けに寝かせて、自分はその上に跨った。
腰使いには、そう自信があるわけやないけど、仕方ないやん。
アイツに主導権取らせて、ナカ突っ込まれるタイミング待ってるなんて、今のあたしにはちょっと冒険過ぎる。
自分で心の準備整えて迎えるのが、無難やろうて。


あたしの不慣れな様子を悟ってしまったのか、コナミは――手、握ろうか――なんて言ってきた。
そら、両手握ってくれたほうが、体勢も安定するし、こっちも安心するけどな。なんか悔しいなぁ。
でも、あたしは手を伸ばした。アイツと指を絡めて、がっちり手を組んだ。

そうして手を組みながら、アイツの顔に目をやると、アイツの視線が妙に下がってる。
どこ見とるんや。しょうがないやつや。あたしの、胸か、それより下か。
あたしは、肌も薄いし、余計な肉ついとらんからなぁ。肌一枚の下が、ぐずぐずになっとるの、目で分かるか。
膝までやらしい涎で濡れてしまっとるのも、よく見えるやろ。全部アンタのせいや。

『見てて、そんな面白いか。しかと目に焼き付けるんよ。こんな拝ませるの、アンタだけやから』

コナミの露骨な視線を存分に浴びながら、あたしは勿体振って狙いを定めた。
あたしの涎が垂れて、アイツのデカブツの先走りを上塗りした。
中腰の体勢が、長く続くと、熱がどんどん子宮に集まってくる。ここに重心があることが、分かりやすいなぁ。

『いくで、往生せいよ』

さて、こっからが、本当の勝負。
疾く往生してもらな、あたしが困ってしまうからな。悪いけど、最初から飛ばしていくわ。
握る指に力を込めて、腰を落としていく。粘膜が、待ちかねて、触れて、ナカに、

『ひ、あっ、は、あっ、んぁぁあああ!!』

最初に、声を噛み殺そうとして、すぐにあたしは諦めた。そんな余裕は無かった。

――い、イル、待って、待ってくれ、これ、凄、過ぎ、てっ

我慢なんかしないで。ほら、あたしが、待ってるんやから。
子宮までがくんと落ちてくる。デカブツにナカが割られる。でも、割られるばかりじゃ済まさない。
ほら、ここや。ここに、出すんや。そしたら、絶対キモチええから。

『堪え性が、無いやっちゃ、な。一度、出しとこか。ナカ、出したいやろ』

精子、来たら、どうなるやろうか。
震える子宮、ガタつく魔法陣、奥まで、届いて、ナカが跳ね回る。
来た、来た、コナミのが、ここまで。すぐ、そこに、ある。
なんや、アンタ、そないなけったいな顔して。アハハ、もしかして、これに気づいたか。

『出したい、やろ。正直に言いや』

噛みそうな舌を回す。ナカの、ナカを、つつかせる。
合わせて、しこたまアイツのデカブツを絞ってやる。アイツの表情が歪む。
苦しそうやなぁ。今、楽にしたるから。

――イ、ル、ごめん、もう、我慢、できなさそう

ええよ、出しいや。ぎょうさん出し。あたし、ずっと待ってたんやから。
ほら、動く。デカブツが、ナカで、暴れる。手でも、ナカでも、ぎゅっと、握り締めて。
いって、あたしで、いって。あたしを――

ソレがやってきたのは、すぐに分かった。アイツのデカブツに浮かれてた意識が、一気に覚醒する。
魔法陣が、子宮が、不思議な力に包まれる。アイツの、力が、あたしにも、伝わる、染みこんでく。
まるで心臓が一個増えたみたいだ。魔力が湧いて、身体の隅々まで広がっていくのが、分かる。

『ええよ、コナミ、もっと、あたしのナカに、もっと出してやっ』

アイツの射精は、どれくらい続いたんかな。
少なくとも、あたしが新たな力を知覚するまでは続いていた。
女日照りやったから、相当長たらしかったやろうね。
アイツは、汗だくでぜぇぜぇと息をついている。あたしも汗だくやけど、涼しいもんやね。

『あはは、これ、身体ぜんぶ、アンタのものに、されたみたいやわ』

あたしは、心の底からそう思った。アイツからもらった力が漲る。勝負は完璧にあたしの勝ちやった。
はは、男から力を搾り取るとか、まるで淫魔。しかも勇者からとか、悪の魔女にお似合いや。
ま、あたしはサキュバス(下に寝る者)と違って、上に跨っとるが。

――イル、イルっ! キミにそんなこと言われたら、俺、もうっ

あ、今、突かれたんで、あたし、舌、ちょっと噛んでしもうた、かな。あは、ははは、さすが、勇者、やね。

――イル、キミが、好きだっ

こんな時に、何を言うとんねん。見たか。こないに悪くて強い、恐怖の大魔女イル様のご降臨やで。
火の精――懐かしいなぁ。初めてコナミに仕掛けた罠や。今なら数百体でも呼べる。街ひとつ一晩で消し炭や。
永遠なるもの――問題外や。あたし、あそこでアンタに手を貸してやったな。まだ借りを返してもらってないやん。
ロック鳥、悪魔グループ、ユイ――あの時、この力があれば、全部蹴散らして、アンタを、ムリヤリあたしのものに、

『あ、あっ、コナミ。それ、それは』

また、一突き、子宮に、響く。力で完全修復したはずの魔法陣が、またガタつきだす。

――イル、イルっ!
名前、言うなや。何度も、そんな大声で。自分の名前くらい、言われんでも、分かっとる。
アンタの、声で、言われると、あたしが、なんか、おかしくなる。何でか、知らんけど、泣けてきてしまう、から。

コナミのデカブツで、あたしのナカはやり放題にぼこぼこされとる。子宮ガンガンいわされてる。
さっきより堅く入念に張ったはずの魔法陣が、ひび割れる。ひびの筋が走り回る。
これ、壊れたら、精液が、還元されなくなる。そしたら、あたしは、コナミに、孕まされるやないか。

『あ、はは、これ、あかんわ。あかん、て』

さっきまでの、身体を奥から焦がし燻ししてくる熱に、また別の感覚が混ざる。
熱くはないけど、身体が躍りだしてしまいそうな、逆らい難い衝動が、あたしを襲っている。
ああ、さっきお預け食らった子宮が、寄越せ寄越せと五月蝿いんやな。

ダメやんか、そんなん。あたしは、悪の魔女イルやで。
勇者コナミに、そんな好き勝手やられるなんて。

『ひぅうっ、ふぅう、うぁ、あ、はああっ!!』

だから、ソコは、子宮は、あかん。あかんとこや。魔法陣なんて、もう持たないわ。


あたしが、本気でコナミを振り払おうと思えば、話は簡単やった。
魔法のひとつでもぶちかましとけばええ。殺してまうかも知れんが、しゃあないやろ。あたし、悪党やし。
でも、ダメや。そうする気に、なれへん。

『……っく……い、……ひぃ……っッ』

ナカに意識を向けていたから、またコナミの射精が近づいているのを、感じ取ってしまう。
男が出す寸前の動きは、露骨やな。たった一回で、覚えてしまったやないか。
しかも、アンタだって、あたしのソコの入り口、覚えてしまったろ。さっきから、狙って突いてるの、バレてるんやで。
そんな、しつこくやられたら、ソコの我儘な子が、むずかって止まらなくなる。

『あ、はあっ……あ、くあっ』

あたしの上体が、へたる。前に倒れそうになる。
ぶつかりそうになったあたしを、アイツが――咄嗟に上体を起こしたのか――支えてくれる。
アイツの肩に、あたしの顔が埋まる。手を――いや、やめて、離さんといて。
だって、あたしがアンタの手を離したら、空いた手で、アンタは。

――好きだ、イル、キミが、好きなんだ!
頭、撫でながら、そんなん言われたら。
今まで、ナカの、魔法陣の、見てたのが、全部、こっちに持ってかれてしまう。
ソコを無防備にされてしまう。今度こそ確実に、ソコを、アンタのものにされてしまう。

『……きよ、あたしも、コナミ……』

今まで、頭で考えたことすらない台詞なのに、あれ、くちびるが、喉が、勝手に喋っとる。
口に出したら、アンタに聞かせたら、戻れなくなる台詞を。

『アンタのことが、好き、よ』

魔法陣が、砕けた。残滓を一欠片も残さず、散って消えた。
それでも、子宮のことが分かる。雛鳥みたいに、やかましくぴいぴい鳴いてからに。

――イル、出すよ、キミの中に、出すから!
それ、聞いたら、あたしは逃げられない。言われたら、あたしはイヤとは言えない。
出されたら、あたしは堪らない。あたしはどうしようもない。詰んでるわ。

『あっ、は、ははっ、ナカ、ナカ出した、出したなぁ……』

急激な力の高まりをくれた一発目の射精に比べると、二発目の射精は大人しいものだった。
それだからか、あたしのナカを、コナミの精液が埋めていく感覚を、克明に味わうことができる。
そうされてる、という事実そのものが、あたしをアイツへ絆(ほだ)していく。

『はぁ、はあっ、コナミ、アンタも、たまらんやろ』

あたしは、アイツの肩に齧りついたような姿勢だから、アイツの顔は直接見えない。でも、あいつは頷いた。
こんなに息遣いは近いし、肌も触れ合ってるし、中まで粘膜を重ねてるから、見えなくても分かるもんだわ。

一発目の射精は、あたしが力をつけるために、コナミから精液騙しとったもんや。
それに対する後ろめたさは無い。だってあたし、悪党やし。自分のために、やったことやから。
じゃあ、この二発目は何やねん。一度じゃ収まらず、男の上で腰振って、オメコにごっぽごっぽ呑ませて。
ホンマ、何やっとるんやろうな、あたし。一週間前の自分に、この有り様見られたら、張っ倒されるわ。

あたしは、ナカにぶっ刺されたまま、汗ばむ身体でコナミに抱き着いていた。
余韻が身体のあちこちに絡みついて、指一本動かす気にならない。
コナミの射精を、生の子宮で受けたことに、後悔は無かった。
ただ、後悔が湧いてこない自分の心境に、あたしは驚いていた。

コナミの方も、もう息が整ってきたみたいだ。
さっきの反応で味を占めたのか、飽かずにあたしの頭を撫でている。くすぐったいなぁ。

『なぁ、コナミ。気持ち、良かったか』

なんや。笑うことないやろ――気持良過ぎて、止まらなかったて。
よくもまぁ、恥ずかしげもなくそんなこと言えるわ。盛っとるなぁ。

『あたしは……いやや、恥ずかしい。いけずなこと、言わんといて』

コナミめ。今さっきまでのあたしを眺めておいて、そんなこと聞くか。
女が男に聞いていい質問でも、男が女に聞いたらあかん質問なんて、いくらでもあるやろ。分かっとけや。

『何やて。じゃあ、代わりに……もう一回、好き、言うて、っての。あたしが、アンタに』

アンタ、あたしの身体じゃ飽きたらず、心まで嬲り者にしようってか。
ひどい男やな。まぁ、女の悪党具合と釣り合いが取れてて、ちょうどええかもな。

『好きやよ、コナミ。アンタのことが、大好き』

素面の頭なのに、今度はするすると言えた。もう、戻れないと分かってしまったから、かね。
でも、どこか慣れなくて、照れ笑いが込み上げてくる。そうなったら、もう声を上げて笑て誤魔化す。

『――え、ちょ、コナミ、何やの、この感触は』

笑ってたら、ナカに刺しっぱのデカブツが、復活してきた気がするんやけど。
コナミさん。あんな濃いのどっぷり流し込んでおいて、もしや抜かずの三発ですか。
いやぁ、男ですわ。勇者ですわ。英雄ですわ。ええ、やる気まんまんですか。こら困ったな。
アンタが三国一の英雄なら、こっちは沈魚落雁閉月羞花の手弱女よ。
手加減なしであんましガンガンやられたら、腰立たなくなって、稼ぎに差し障りが出たりとか。

『いや、あたし、茶化すつもりはあらへんよ。だから、もう堪忍、なんて言わんわ』

あたしも一端の女。
アンタに向かって、ナカに出せ出せ言うたのも、清き明き心のまにまに。翻そうだなんて、毫も思ってないわ。
ただ、アンタの気が済むまでの間は、あたしもしっかりと付き合いたい。
後で言い訳のしようも無いくらい、最後まではっきりと記憶に刻んでおきたい。

『その代わり、優しく扱って、あたしを最後まで、付き合わさせて、な。お願いやから』

最初は、あたしが我儘して。次は、アンタが我儘して。ここまでは、おあいこ。
そういう青臭いやり方は、いったん脇に擱(お)いて、ここから大人の付き合いと行こうか。


今度は、あたしがベッドに仰向けで寝っ転がる。枕を使って、腰の高さを整える。

『さっきは、あたしが入れたからな。場所、分かるか。ゆっくりでええんよ』

何言ってるんだろうね、あたしは。
コナミがどれくらい女コマしてきたか、あたしは知る由もないが、ここで穴間違えるはず無いわ。
だって、さっきどっぷどっぷ流し込まれたコナミの精液が、少し垂れて見えてるんだから。

『あたしは、どっちか言うと上付きらしいわ。だから、この絡みで、腰を抱えられると、よう見える』

さっきは、あたしが上だったから、アンタのデカブツ突っ込まれてるところ、
じっくり見られんかったのよ。だから、見せてな。枕使って、あたしの腰を少し上げれば、ほら。

『具合はどんなよ。あたしは、まぁまぁやね』

アンタは、聞くまでも無いわ。動きはずっとゆっくり優しげになってるのに、
アンタの表情の余裕の無さったら、さっきと大差無く見えるよ。

『そこ、弄るんか。優しくな。デリケートやから』

角度が、さっきと違っていて、今度は浅いところに、キく。
しかも、アイツの手は塞がっていないから、手でも責められる。
まずアイツが目をつけたのは、デカブツの往来でぐしぐしと根本を責められてるクリトリス。

『おっぱいも、触ってや。好きやろ。さっきは、手離せなかったから』

アイツの、ごっつごつした手で、あたしは良い様にヨガらされる。アンタもいい顔しとんな。
やっぱ、触り心地を味わうなら、手が一番か。

『ん、んんっ! ひゃあ、あっちこっち責められて、おかしくなりそうよ』

腰が、浮く。自然と浮いてしまう。こうなると、特にクリトリスが堪らない。
デカブツがナカの浅いところを攻めると、クリトリスの根っこがやられて、
アイツはその瞬間を狙って、表に出てる方を、指で摘んでくる。

『あは、はは、あっ、あ、あっ、ダメや、はあんっ、んんっ!』

できるだけ長く楽しみたいから、あちこちから行き来する快楽の痺れを、あたしは身体をよじっていなす。
それでも、徐々にあたしの身体は盛り上がって、口が開きっぱなしになっていく。
精液で酔わされた子宮の酩酊が、ふわふわと体中に回る。ああ、アイツに、中てられてる。

『ごめんな、軽く、来そうだわ。先に、先に』

あたしの、腰が、奔り始めて、枕の上で、落ち着かなげに下肢を揺する。
ナカが、言う事を聞かなくて、かろうじて入り口で、あいつのデカブツを咥え込んでるだけ。
ごめんな、つまらないやね。なんか、ナカが全部、ぽんと浮かされてる心地で、締められなくて、

『あ――か、はっ、あ、ひっ――な、何、これっ』

ああ、コナミも、驚いてら。軽く奥を突いただけ、突かれただけ、だと思ったのに、さっきよりガツンと子宮に来た。
ああ、緩んだナカのせいだ。締まってないからって、我儘な子が、どこまで下りてきとるのよ。

アイツも、あたしのソレが下りてきてしまったのを悟ったらしく、デカブツの扱いを変えてきた。
えげつないことで、あいつはソレに、まるでキスするように、軽く触れては離し、触れては離し。

『ひ、ひどいわ、この女殺しぃ』

その一回ごとに、腰が暴れて、涎が泡立つほど痺れる。また、その刺激が、こっちのアタマが吹っ飛ぶ直前の塩梅。
アイツ、あたしの言ったこと覚えてて、手加減しとる。律儀なんだが、それも場合によっちゃ考えもの。
最後まで付き合わせてって、確かにそう言ったけど、これじゃ生殺しやないか。

――イル。それじゃ、舌、噛むぞ。あまり喋ってると、こうするから。

そう言って、アイツは、あたしの口に、アイツの指を三本も突っ込んできた。
何しとるねん。アンタの指、剣を握る大事な大事な商売道具やんか。こんなん、噛みでもしたら、あたしは。

――イルの、これ、子宮の入り口かな。軽くやられるのが好みでしょ。さっきは、乱暴にしてごめん

せやけど、もう文字通り後生やから、トドメ刺してって……指突っ込まれてて、口で言う事はできない。
腰は、かくんかくんと、デカブツにされるがまま。ナカはもう溶けてしまった。
いや、まだ。いかせて、いかせてや、と、あたしは目で訴える。
霞み潤みで不自由な視界の向こう、あいつの顔に向かって、瞳を投げつける勢いで訴える。

あたしの眼力が効いたのか、あのデカブツががっくん言った。ああ、コナミ出しそうなんやな。
あたしの一番大事な処、ここまで釣り出して、タダで済むと思うなや。

――あ、やっ、そこに、くっつけて、出る、出しちゃう、イル、イルっ

出せや、出しいや。あたし、一人で往生なんかせんよ。アンタとあたしは、もう道連れ。
この脚は、意地でも離さんから、観念することや。さあ、さあ、これで、最後――
コナミが呻きを一声。デカブツが、断末魔の震えと共に、ついに果てる。
あたしは、もう頭も身体もぐずぐずに蕩けてたから、あいつの反応で、かろうじて終わりを悟った。
アイツの表情がでれっと崩れていって、張り合いが緩んで、あたしの意識も、ぷつんと切れた。


翌朝に目覚めたのは、あたしの方が先だった。身体の具合は、思ったよりすっきりしている。
でも、危なかったわ。最初の射精で力を吸収してなかったら、ここまで身が持たなかったんやなかろうか。
力も上がったことだし、あの魔法陣も意外と使えるシロモノやったね。難易度の高さも意外やったけど。

それにしても、コナミの奴。まぁしこたまナカに出してくれて。
これ、今魔法陣組んだら、吸収できるんかな。まあ、やめとこか。
アイツの精液、魔法陣に呑ませるには、勿体無いわ。

朝の身支度をしていると、コナミも起きだした。『おい、朝起ちを隠しいや』
なんて開口一番突っ込むと、コナミはいきなり土下座した。

――ご、ごめん、イル! 俺、イルを襲って、その、中に、

コナミ、人の子宮の中までコマしといて、アンタは謝って済ませようって気か。
そもそも、昨日はあたしがアンタに擦り寄って、ナカに出せ出せってせっついて、
そんでアンタが都合三発ナカに出した。アンタぜんぜん悪うないやん。

――で、でも。これは、悪い悪くない関係なく、俺も責任取らないと。そのためなら、俺、何でもするから

アホがここにおる。あたし、悪党やって何度も言うとるやん。
悪党相手に、何でもするなんて、言ったらあかんよ。何させられるか分からん。

それでも、アイツは聞かんかった。
とりあえず、見苦しいから服着いや。と言うと、やっと土下座を解いた。

部屋を出て宿帳を書こうとすると、昨夜の受付が居た。
『ありがとな、ええ部屋やったで』って言ったら、顔赤くして、もごもご言っとった。ざまあみろ。

『なぁ、コナミ。アンタは危なっかしい奴やから、あたしが面倒見たるわ』

あたしは、顔半分くらい高めの、コナミの目を見て言った。

『だから、アンタはそれに付き合え。あたしがいいって言うまで、ずっとやで。しょうがないから、それで許したる』

あたしの顔が緩んだ。顔が勝手にニヤけて、どうにもならない。
でも、こういうことは、目と目を合わせて、しっかり言わんとな。

『ほら、コナミ。返事は』

あたしが、ずっとって言ったら、ホンマにずっとやで。ええやろ、コナミ。

『遅い、もう一回!』

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