ここはとある惑星のとある研究施設。 
  協力関係にあったマッドサイエンティストからの朗報を受け、アヤカが遠路遥々訪れているところだった。 
 「エーベル博士」 
 「どうかしましたかな?」 
  目の前の檻の中に収まっている巨大なそれを見上げながらアヤカは聞いた。 
 「これは、なんなの?」 
 「なに、と申されましても、仰られたとおりの物を造り上げましたが」 
 「そうね、確かにお願いしたわ。で、これはなに?」 
 「ですから、最強の戦闘生物です」 
 「これが?」 
 「ええ」 
  自信たっぷりに頷くエーベル。 
  アヤカは疑わしげなその眼差しを博士からそれへと移した。 
 「これがねぇ……」 
 「そうですとも! なかなかの威圧感でしょう? 苦心の末の傑作です!」 
  確かにプレッシャーを感じなくも無いが、何かもっと別のもののような気がする。 
  巨大な瞳がじっとアヤカを見つめている。 
  なんというか、凄まじくシンプルな生物だった。 
  まるで子供が絵に描いたような姿だった。 
  最強を謳っている割には図体だけの間抜けな容姿にしか見えない。 
 「そういえば、名前はあるのかしら?」 
 「名前ですか? 特に決めてはいませんが、ふむ、そうですね……」 
  エーベルは思案の後こう言った。 
 「うってつけの名前があります。私の故郷に御伽噺がありましてね。その中に出てくる恐ろしい邪神の名を冠するのはどうでしょう?」 
 「それで、名前は?」 
 「――ほるひす」 

 『続・スペースキャプテン <邪神覚醒>』 乞うご期待

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