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参考資料: 天気は地球平板仮説を否定する


Capital Weather Gangの気象担当で、2019年にHarvardで大気科学科学卒のMatthew Cappucciによる解説記事

地球は球体である。小学校から理解していた明らかな事実のように思えるかもしれないが、「地球平板説」団体にとって、球体地球という考え、これまでに存在した最大の陰謀だと彼らが主張するものにとって最重要である。彼らの科学は笑えるもので、証拠に根拠もなく、その主張はまったくうまくいかないが、そんなことで地球平板論者は、無に等しい大義に努力を注ぎ込むのをやめない。

その大義が週末に死を招くことになった。「自称挑戦者で、地球平板論者で、リムジンジャンプスタントマン」である"Mad" Mike Hughesは、地球平板説が正しいことを証明しようとしてロケット事故で死亡した。

しかし、天気だけでも地球が平板でないことを示せる。こうだ。

もし、地球平板仮説が正しいとしたら・・・

圧死するだろう

我々全員が日常生活で遭遇する重力のしくみのため、空気分子すべてが地球の重心に引き寄せられる。地球は球体であるため、大気は地球の中心に向かって引っ張られるが、地球の表面によって止められ、地球の周りに落ち着く。気圧は、静水圧平衡と呼ばれる関係を通じて高さに依存する。しかし、我々が住んでいるほとんどの場所では、気圧は許容範囲内である。

しかし、地球が平板なら、不釣り合いに大きな大気塊が、地球平板仮論者が信じる「円盤」の中心に向かって引き寄せられる。気圧は、円盤の端でほぼゼロ(あるいは真空)になり、円盤中心に向かって大きな値となる。したがって、たとえばオーストラリアや南アメリカ南部に住んでいた場合は、おそらく酸素不足で窒息するだろう。また、北極に近すぎると、大気の重みに押しつぶされてしまう。

雨と雹が横に降ってきて、溺れるかもしれない

平板地球では、重力は円盤の中心に向く。地球平板説はそれが北極であると主張する。そのため、雨、雹、その他のあらゆる形態の降水が北極に向かって降る。

北極点及びその近傍には、大気中の降水はすべて収束し、最終的に積みあがる。北極点上空及び近傍には、水分が空高く積みあがる。海洋も膨らむだろう。北極の低温で凍結し、巨大な氷柱が空高く聳え立つことになるだろう。一部は液体の可能性があり、空中に水柱がぶら下がっているかもしれない。同じプロセスにより、空中に発射されたロケットは、最終的には地球の表面ではなく、北極に向かって戻ってくることになる。

太陽は決して沈まない

夜を経験したことがあるだろうか?それなら、地球が平板ではないという証拠を目撃したことになる。

地球平板論者によれば、太陽は50kmの大きさ、すなわちHouston市程度の大きさである。そして、地球の上空4800kmの円周上を周回している。

もしそうなら、太陽は決して沈まないだろう。地球は平板ということなので、そのような弧に沿って移動する場合、太陽が地平線の下に沈むことはない。

地球平板説の支持者の言うことに基づいて計算してみた。真冬でも、ワシントンDCでは太陽が高度14.7度を下回ることはない。これは、7月の夜の午後7時頃に太陽が現れる高さとほぼ同じである。

我々は凍りつくか、燃えるか

地球平板説によれば、太陽の幅は50kmである。(補足:彼らの数字を精査し、誤りを見つけた。彼らが主張するように、太陽が実際に我々の上方4800kmにある場合、幅は48kmではなく約45kmでなければならない。しかし、他の問題は無視するとしてだが。)

議論のために、太陽の幅が48kmだとしよう。それが平板地球の表面から4800kmにとどまっているとしよう。その小さな太陽が実際の太陽と同じ温度(実際には直径約140万km)に保つと、どのくらいの日射が得られるかを計算できる。

平板地球の円盤が実際の湾曲した地球の約2.5倍の表面積を持っていることを知って驚くかもしれない。 地球平面説の小さな太陽がすべてを加熱していると仮定すると、地表は凍結する。実際に太陽から得られる太陽放射の3分の1以上、少なくなる。

言い換えるなら、人類は生存できない

しかし、平板地球の表面積を実際の地球と同じだとしよう。同じ遮断された太陽エネルギーをその地球に分配した場合、我々は非常に暑くなる。すべてではないにしても、地球上のほとんどの場所は住むことができなくなる。

月蝕はどうだろうか、これもだめ

皆既月蝕の最中に月が真っ赤な色合いになり、薄暗い太陽光が大気を通過して月を不気味な輝きに染めるのを見たことがあるだろう。月蝕は日蝕よりもはるかに容易に見られる。しかし、地球平板説には、月蝕を引き起こす原因についての別の説明がある。

実際には、それは地球が太陽と月の間に介在し、月に向かう太陽光を遮る配置をとる。しかし、地球平面論者によれば、太陽と月は平板地球の表面上空を常に円を描いて漂っており、そのようま配置は実現できない。

代わりに、彼らの仮説では、太陽を周回する「影の物体」が太陽と月の間に入る。 「反月(Anti Moon)」とも呼ばれるこの影の物体は、明らかに半透明である。つまり、すべてではないが、一部の光をフィルターで除去する。

しかし、ちょっと待て。太陽は平板地球の地平線の下に沈むことがないということは無視するとしても、なおかつ実現不可能だ。

月蝕の部分段階を見ると、月は直線的な影ではなく、地球の影の丸い端の後ろに背後にきていることがわかる。

しかし、地球平板説が正しいなら、太陽と月の配列上に何百万もの人々がいて、皆既月蝕の最初の1/4と最後の1/4を見ることになる。これは起きていない。

地球平板説はまた、月の満ち欠けの説明にも苦労している。彼らの理論が正しければ、地球上の誰もが、幅48kmの月のどちら側にいるかで、同時に異なる月の満ち欠けを見ることになる。そんなことは起きていない。

ジェット気流?それは忘れよう

ジェット気流は、中緯度で急な温度勾配を超えて形成される。熱風によって駆動され、大気全体に熱エネルギーを分配している。急速に移動する空気の流れは東に向かって流れ、その極方向の動きはコリオリ力と釣り合っている。コリオリ力は地球の自転から生じる。

北半球では、コリオリ力が大気塊を右に偏向させる。赤道の南では左に偏向させる。

しかし、自転していないなら、ジェット気流が極の周りを蛇行することはない。北東の強風のような大規模な暴風雨は存在しえない。高気圧や低気圧の回転領域はない。それらの気団は存在しているかもしれないが、それらの向きや回転方向に「規則性」はない。弱い回転の方向はランダムになる。

それでも、地上や海上の竜巻は平板地球上にも存在できるだろう。それらは小規模な風のダイナミクスに依存しており、地球の自転を「感じ」られない。しかし、現在、半球のほぼすべての竜巻は反時計回りに回転している。これは、竜巻を引き起こす大規模な暴風システムがコリオリ力を「感じる」ためである。これらの大規模な中緯度システムは、スーパーセルの雷雨と竜巻が特定の方法で回転するのを促進する。

ハリケーンは存在しないだろう

ハリケーンも形成できまない。赤道上あるいは赤道付近にハリケーンがないのと同じ理由である。コリオリ力の強さはゼロである。

オーロラにも同様の問題がある

地球平板説の「モデル」には明確な北極があるが、南極はどうだろうか。地球平板説によると、世界の南端は南極大陸という氷壁に囲まれている。ただし、モデルには明確な南極点がないようだ。

手始めに、南極ではオーロラは日常的に見られ、タスマニア南部とニュージーランドでは時折見られる。これは、磁南極に近いためである。南極点がないなら、南極近傍のもオーロラもありえない。これは地球が球体であることを示唆する。

しかし、さらに、地球の磁場は、主に鉄で構成された回転する高温の核で生じている。非常に高温だが、非常に大きな圧力がかかるため、固体のように振る舞うにもかかわらず、プラズマの可能性もあるという仮説もあるす。その回転する質量は、地球の保護する磁場を生成する。

磁石には北極と南極がある。地球平板説のように北極点が存在する場合、通常、南極点は南極の近くではなく、地球の「下側」にある北極の真下にある。地球平板説では説明できないもう1つの問題である。

彼らが地球の核や磁場の考えを軽視しているとしたら、光はどこから来るのだろうか?彼らが回転する磁気核のアイデアを導入した場合、1200kmサイズの質量をどこに置くのだろうか?地球平板説はまだこれを説明できていない。

海流も厄介だろう

平板地球の海流は実に奇妙だろう。コリオリ力がないので、加熱の方法と分布とともに、事実上横向きの重力と相まって、真に奇妙な海流になるだろう。

世界に存在するすべての海流は、地球が球体であるという証明された事実によって説明できる。繰り返しになるが、地球平板説は完成できない。

[ Matthew Cappucci: "The weather helps disprove the flat-Earth hypothesis" (2020/02/24) on WashingtonPost ]





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