創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

反進化論州法動向

反進化論州法動向

反進化論の時代

州法という手段によって、進化論教育を阻止しようとした時代。実際に成立したのは5州。オクラホマ州の反進化論州法は2年で消滅、フロリダ州の反進化論州法は実効的な意味を持たなかった。これに対して、テネシー州とアーカンソー州とミシシッピ州の反進化論州法は、1967〜1970年の裁判により無効化されるまで、存続した。

進化論教育を禁じる州法:
これらの反進化論州法にまつわる歴史的事件Scopes Monkey Trial (1925)
その後も、反進化論州法を成立させようという動きはあったが、うまくいかなかった。
そして、進化論禁止は終焉を迎える。
創造科学の時代

創造科学という名のものとで"若い地球の創造論"を理科の授業で教えた時代。しかし、義務付けられたのはテネシー・アーカンソー・ルイジアナの3州だけ。最短1年・最長6年で違憲判決により無効化された。

唯一、聖書創造論を教える州法が成立したのはテネシー州。聖書創造論を等時間教えることを義務付けた
しかし、その2年後の1975年のDaniel v. Waters裁判とSteele v. Waters裁判で違憲判決(確定)
この裁判により、聖書創造論から聖書への言及が削除された創造科学への転換が起きた。

まず創造科学を教える州法を成立させたのはケンタッキー州だった。しかし、実際に適用された事例はなく、特に教育内容にも影響をあえていない。また、その後の1987年のEdwards v. Aguillard裁判が判例となっているため、実際にこの州法を運用すると違憲となる
続いて、アーカンソー州とルイジアナ州で、進化論と創造科学を等しい時間を教えることを義務付ける州法が成立した。
しかし、これらも、それほど長くは続かなかった。それぞれ、裁判で「創造科学を宗教と認定し、政教分離原則違反と判断」され、違憲判決を受けて無効になった。
もう少し小さな抵抗としては、教科書に「反進化論ステッカー」を貼るという動きも、このとき始まった。ただし、州レベルで実施しているのはアラバマ州のみ。
インテリジェントデザインの時代

もはや、聖書に言及する形で、創造論を理科の授業に持ち込むことが不可能となった1987年から、新たな試みが始まる。それは、神への言及や地球の年代などを捨てて、インテリジェントデザインと呼称した時代。Discovery Instituteがインテリジェントデザインの本山としてインテリジェントデザイン教育を推進し始める。

まずは、創造科学からインテリジェントデザインへの転換期。
しかし、インテリジェントデザイン教育を義務付けるどころか、可能にする州法すら成立しなかった。そして、学区レベルの試みも、Kitzmiller v. Dover裁判で終焉を迎え、インテリジェントデザインという看板が意味を失った。
さらなる言い換えの時代

Discovery Instituteはインテリジェントデザインにも言及しない形のモデル州法案を作成し、各州に展開。反進化論活動を継続させた。

その過程で、ルイジアナ州とテネシー州で、「言い換え州法」が成立した。
進化論教育を蝕む州法を作ったものの、創造論教育を求める人々にとって、それはまったく役に立たないものだった。これらの州法は、創造論教育を認めてくれない。








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