バーチャルキャストから生まれた、創作系 RPG シェアワールド

私はここで多くを学ばせてもらった。
知らない道具、知らない用語、知らない術式。
帰ったら全てを話そうと思う。
それが故郷で何かの役に立ってくれれば嬉しい。
渡航を許してくれた親との約束がある。
「年100日間はこちらに居なさい。」とのことだ。
その約束の日がもうすぐやってくる。
私は帰省の支度を進めていた。

私は2回目のエスティア滞在からポイズンフォレストの散策を始めた。
地図を作り、必要な防具等も作成した。
素材を集めては毒素を抽出し成分分析を進めている。
3回目のエスティア滞在では、ポイズンフォレスト探索中に秘境の地下牢を発見した。
内部はモンスターが寄り付かないほど強い毒が蔓延していた。
自ら設計開発した防毒スーツを身に纏い何度も探索し、見たこともないような植物や鉱石を発見。
そして意外にも安全地帯や綺麗な地下水があった。
私は何度もそこに通った。
いっそのこと研究所を作ってしまおうかと考えた。そして少しずつ設備を運び出し環境を作っていった。

私はこのダンジョンを冒険者ギルドに報告した。そもそもポイズンフォレストはその特性により冒険には不向きで、需要の低い森なのである。
どうしても通過しなければならない場合は、対毒スキルなどを用いてさっさと通り過ぎるか、予算を削りたい場合は迂回しているらしい。
なのでこの森を攻略するような依頼がそもそも少ないのだ。
それゆえに未確認な部分が非常に多い。
この時代に新たなダンジョンが見つかるなんて事も十分あり得る話なのである。

その翌日、私はギルドで臨時ダンジョン滞在名簿を記入しダンジョンへ向かう。
ダンジョンとして正式登録する為の調査任務である。
向かうのは国家公認冒険者と調査団と案内人の私のパーティだった。
私は医学者として国から認められていたので、彼らに提供した防毒スーツも信用してくれた。
こういうときに”肩書き”というのは役に立つのである。
冒険者のレベルは凄まじく高く安心感があった。払い除けるように襲ってくるモンスターを淡々と処理していた。
調査団は地図や概要を一所懸命に書いていた。
私が言うのもなんだが想像していたより結構地味な作業である。
その日は安全地帯で一晩過ごし、翌日の朝にエスティアへ出発した。
そして日が暮れる前には全ての工程を終える事が出来た。
「お疲れ様でした」とギルド受付のお姉さんが笑顔で迎えてくれた。
それから数日が経って私はまたポイズンフォレストへと向かう準備をしていた。
どうやらあそこは「腐下牢ウィザーズフード」という名が付いたらしい。

もうすぐ故郷に帰る時期がやってくる。
木々の葉も色づき始めてきて、吹き付ける風もひんやりとしていた。
街に帰り食事をしていると「ポイズンフォレストに住み着く魔女が居る」という噂話を耳にした。
まさか私の事じゃないよね?

終わり

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