バーチャルキャストから生まれた、創作系 RPG シェアワールド

おしお 作





これは夢だ。
夢で自問自答のために適当な人間を用意するあれだ。
「よう、お前の中の俺を呼び出すとは珍しいな。」
義父であり初代大公その人だった。
多分私の知っている限り相談事に最も向いていない人物だ。
「ほんと、なんであなたなんでしょうね。飲み物はコーヒーでいいですか。」
そう言うと手の中にコーヒーサーバーとカップがあったのでカップにコーヒーを注いで義父に差し出す。
「カップはひとつでいいのか?」
「構いませんよ、そのまま飲みますから。」
コーヒーサーバーに口をつけてそのままコーヒーを口に含む。コーヒーの味という情報がそのまま頭に流れ込む感覚がした。
「お前、俺が生きてる頃それやったら嫌な顔してただろ。」
「そうでしたっけ?」
「とぼけるなよ。最初に言っただろうお前の中の俺だって。その俺が知ってることをお前が知らないはずがないだろ。」
「ごもっとも。」
確かに私は父がサーバーに口をつけるのを見ていい気はしなかった。
「で、何か相談でもあるなら言ってみろ。自問自答みたいなもんだが何か得られるかもしれないしなんなら地獄にいる俺の本体も聞いてるかもしれない。」
「私ってお義父さんが地獄にいると思ってるんですね。」
「いや、お前は物質的なことを第一に考えるから俺が墓にいると思ってる。」
「じゃあなんで地獄にいるなんて言ったんですか。」
「誰かから聞いたのが頭に残ってたんだろ。俺の妻とか弟とか。」
そういえばそんなこと言ってたような。酷い話だ。
「そうだな、この国を一言で言うとなんの国だと思う?」
「話が飛びますね。」
「そうか?」
確か以前こんな会話をした気がする。
「えっと、『自由な国』とか?」
「そうだ、お前はそう言った。そして俺は『ゴミの国』と言った。」


目が覚めた。
なんか酷い夢を見た気がした。
やはり相談などする相手ではなかった。





《ヒストリー》
・2020/05/13 一部投稿。

《クレジット》



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