バーチャルキャストから生まれた、創作系 RPG シェアワールド

おしお 作





「しかし、ただの賊にしては色々と疑問もある。まず、薬を飲んでた。あれは夜の種族の血を加工したものだ。」
「飲んだらどうなるんですか?」
「夜目が効くようになる。」
「あぁ」
思い出した。確かにあの日彼らの目は明らかにおかしかった。
「体を強引に夜に慣らすために飲んだんだろう。しかし、そう簡単に手に入る者でもないと思うんだが。それにあの矢だ」
私の足に刺さっていた矢。
植物から作られた毒薬が鏃に取り付けられさらに治癒魔法に反応してダメージを与える呪いまで付与されていた。
魔法職があの攻撃を食らった場合慌てて治癒魔法を使うが回復できずそのうちに毒が全身に回り死ぬ事だろう。
私の場合最初に矢を分析したことと呪われた足を切断したことでかろうじて命拾いできたが。
「あの矢については全くわからん。とにかく何者なのか聞き出したいところだが。」
「でも大体目星は付いてるんでしょう。」
「森の民ですか?」
「最近森の民と思われるエルフと獣人のグループがこの国の森林東部の植林地帯にちょっかいをだす事件も起きてる。それなりの集落なら薬に詳しい者もいるだろうしそう考えるのが妥当だろうな。」
叔父は少々考え込むような仕草をした。
「なにかおかしいところでも?」
「おかしいというほどでもないが森の民はその名の通り元々この辺の森に住んでいた人々の総称だ。その一部は人間の社会に入っていったが排他的な人々は小さな集落を作り分散して森の中で暮らしていた。」
「ふむふむ。」
とりあえず頷いておく。聞いてますアピールをしておかないと向こうも話を続けづらいだろう。
「『出ていけ』が口癖の排他を絵に描いたような奴らだ。他の種族を受け入れる器も無く昔は森の中央はエルフだけ、西は獣人だけで集落を作るのが当たり前だった。」
省略されているが東は人間の縄張りということだろう。
「なるほど、それが仲良く出てくるのがおかしいってことですね。」
「そうなるまでになにがあったのか聞ければ彼らとの関係を動かす糸口になるかもしれんが。」
「大方魔物が増えて追い詰められたとかでしょ。」
「まぁそうだろう。聞き出すのは裏付けと詳細と言ったところかな。」
一段落ついたらしく叔父がケーキを真っ二つに切り義母に差し出した。
二人がケーキを頬張るのを見ながら私は傷の周囲にできた口内炎に舌を押し付ける。
「とりあえず情報待ちと言ったところですか?」
「そうだな、拷問が駄目だというなら気長に取り調べか。」
「ふうん、なら私に任せてくれない。」
口の中のケーキのせいで発声がは行寄りになっている義母が名乗り出た。
「なにか案でも?」
「シャーマンだった実家の知恵を生かしてってね。」
「わかった、義姉さんに任せよう。」
そういう叔父の顔は苦虫を噛み潰したようだった。






《ヒストリー》
・2020/05/24 投稿。

《クレジット》



メンバーのみ編集できます