バーチャルキャストから生まれた、創作系 RPG シェアワールド

おしお 作




私、ルミナ=ソーソルミアは大公という立場だが先代の弟であり私の叔父がこの国のシステムをあらかた完成させたおかげで政治的な仕事はほぼ議会任せ。
私がすることはほとんどない。代わりと言ってはなんだがこの国の経済の中心となっている企業、『ソーソルミア国立魔法研究所』の代表をやっている。
代表の最も重要なお仕事と言えばこの代表室で書類にサインを書くお仕事だ。今日は軍事開発部の部長が書類の束を持ってきた。
一番上の稟議書と書いてある紙がサインを書く場所だろう。ということで私はペンを構えた。

今回、都市開発部と共同でパワードスーツを開発する事になりました。そのための予算を頂きたい。

都市開発部と共同なの?

すぐにサインを書いて終わりだろうと思ったがなかなか書類を机の上に置こうとしない。
どうやら自分の口で企画のプレゼンをしたいようだ。余程の自信作なんだろう。
振り上げたペンは降ろす場所を失い仕方なく近くにあったメモ帳に向かう。適当な落書きをしながら話を聞いた。
はい、主に市街地の工事現場での交通案内の為のパワードスーツで物理、魔導両面で防御性能を追求しどのような攻撃を受けても装着者に一切ダメージが無い仕様になります。

確かに以前から交通案内に人を配置するように言われてたけどそのパワードスーツを着せる必要はあるの?

都市開発部は国内外で土木建築工事を行っている。
彼らの現場は危険だから周囲に看板を立てるなどして侵入対策をしているが僻地になると識字率が低かったりなどで効果が無く人が入ってくることはままあった。
それを防ぐために監視を立てれば口頭で、それが無理でもボディランゲージ等でどうにかなるだろうという事だがそこにパワードスーツというのはどういうことだろう。
交通案内だけで人を雇うのは予算的にも難しいので労働災害発生時の救助活動にも利用できるようにとのことです。

なるほど、二次災害の防止の為ってことね。

メモ帳の落書きを見ながら話す。どうやら私には絵心が無いらしい。
はい、さらに救急キットを内蔵することでその場で負傷者の回復もできるようにします。ただ、エネルギー供給の関係で防御性能と救急キットを両させることは難しく
回復中は外部からのダメージに無防備になりますので安全圏まで被災者を運んでそこで治療ということになるでしょう。

でもそれだと軍事利用は難しいんじゃない?

つまり戦闘中の回復には使えないということだ。
そうですね、なので今回軍事開発部はデータをとる為の研究と考えています。

まあ、あんたらがいいんならそれでいいんじゃない

ではお願い出来ますでしょうか。

軍事開発部長がようやく書類を机の上に置いたので代表の欄にサインを書く。
ありがとうございます。

軍事開発部長は机の上の書類をまとめると胸に抱え込んでドアの前で挨拶して部屋を出た。
その姿を見届けると一仕事終えた私はコーヒーを淹れることにした。カップは・・・まぁいいか。





《ヒストリー》
・2020/04/09 おしお

《クレジット》



メンバーのみ編集できます