南京大虐殺；占領後の捕虜虐殺は ？
それでは、；松井石根大将が慰霊祭が訓戒を出し、兵達の『暴行や略奪』を諌めた後も、捕虜や敗残兵の虐殺は続いたのであろうか。
この証言に、奥宮正武氏からの文章を引用したい。
・下関は、南京と揚子江の対岸にある浦ロとともに、交通の要衝であった。浦ロは、私が上海着任
直後に、最初に、爆撃したところでもあった。下関にはかなり大規模な停車場と開源碼頭（波止場）
があった。そこで、その付近を見回っているうちに、陸軍部隊が多数の中国人を文字通り虐殺して
いる現場を見た。（中略）
・構内の広場に入って見ると、両手を後ろ手に縛られた中国人十数名が、江岸の縁にそって数メート
ル毎に引き出されて、軍刀や銃剣で惨殺されたのち、揚子江に投棄されていた。
（中略）
・そこで、私は、付近にいた一人の若い陸軍士官に、尋ねた。
「なぜこのようなことをするのか」
答えて日く、
「数日前の夜、一人の勇敢な中国人が、わが陸軍の小隊長級の若い士官十名か十一名かは
分かりませんが寝ている寝室に侵入して、全員を刺殺したそうです。そこで、彼らの戦友
や部下たちが、報復のために、その宿舎の付近の住民を処刑しているとのことです」
（中略）
・このような処刑が、南京占領から二週間近くを経た後の二十五日と二十七日に手際よく行なわれていた。
同じ時期に『ペン記者』として南京にいた作家の杉山平助が、１２月２７日に南京に着き、２８日に出発する予定であったが、下関から上海に至る揚子江を下航する船の出航を３１日に延ばされたコトを考えると、この奥宮正武氏の『２５日と２７日に捕虜の虐殺が、南京港である下関で行われた。』との証言は信憑性が高くなる。
もっとも、杉山平助氏は出航が延期する理由を「船の故障」と聞かされたようだが、多分、本当の理由は明かさないだろうし、「船の故障」にしては、３日間の延期は不自然である。
この時の船の航海の様子について、このように記載してある。
・私を乗せた軍用船××丸は、大晦日の朝、南京の下関から錨を抜いて、その日の夕方には、江陰に
投錨した。水雷やらその他の危険があって、この川筋の夜間の航行は、絶対に禁ぜられていたからだ。
（中略）
右側には、江陰の砲台が見えた。また、支那軍が、この川筋を閉塞するために沈めた十数隻の船のマ
ストや、煙突の突端などが、河波に洗われているのが見えた。
と記している。奥宮氏の証言だと２５日と２７日の捕虜の虐殺数は１万５千名と書いてあるが、そのような大量虐殺であれば、杉山平助が下関から上海まで下航する船から、少なくとも、数体の死体は見たであろうが、著書の中で全く触れていないのには疑問点が残る、南京郊外や城内では、あれほど「死体が散乱」してあると書いているのに関わらずにだ。
それほど死体が揚子江に浮いている状況で船が出航できたのだろうかという疑問も残る。
杉山平助の記述に拠ればその日の天候は「空は珍しいほど晴れ渡って、船は微風の中を静かに走っていた」とある。
また、奥宮正武は、『このような処刑が、南京占領から二週間近くを経た後の二十五日と二十七日に手際よく行なわれていた。』と書いてある、他の捕虜虐殺の見聞も同様な記述が見られる。これだけ、読むと「日本軍が南京占領して、その日から南京周辺は平和になり、いかにも日本軍が快楽殺人のように中国人を殺しまくった。」との印象を与えるが、実際は、日本軍の目の届かない周辺部では、小競り合いやテロ行為が頻繁に起きていた。これは、翌年９月下旬に久米正雄・尾崎士郎たちの「ペン記者；陸軍部隊」が南京から九江に至る船の中の記述である。
・夜になると蕪湖の街にはときどき便衣隊が出没するそうである。（中略）彼の話によると十日ほど
前に、今度御用船になった「×丸」が敵弾にやられて就航困難になったという。（中略）帆を張った
船が本船のすぐ前を滑っていった。双眼鏡をみると５０ぐらいの男と１５，６の娘が乗っている。
親子なのだろう。
朝飯が済むと、船長がしっかりとした声で「あと２時間ぐらい経ったら、左の甲板に集まってもらう
ようにしてもらいたい。」と言った。
「砲撃が始まるんですかね？」
「ええ、必ず撃つとも決まってませんがね。」（中略）
砲口から赤い火がパッと閃いたと思ふと耳の中へ砲弾の響きがジーンと滅入りこんでくる。
みんなぞろぞろと右舷に集まった。（中略）
木船からは立てつづけに撃ってくる。みんな顔を見合すごとにどっと笑ひだす。
笑ひながら冷や汗がべっとりかいている。砲座がたちまち薄い砲煙に包まれた。（中略）
やっと、危険地域を通り過ぎたらしい。本船からは８１発撃ったと言う。
「命中度はどうです。」と聞くと、
「さあ」と言いながら考えこんでいた「よくわからんですなァ」
これは、日本軍占領から９ヶ月以上たった時の話である。また、一緒に同行した富沢有為男はこう記述している。
９月２３日
午後兵站病院を訪れ、負傷兵と木陰にて語り合う、いずれもそれぞれの部隊の苦戦を語る。支那兵の強さにはみな感心いたし居る様子なり。○○部隊の如き逆襲を受けること多きを語る。
占領より、９ヶ月立った時点で、いまだに戦闘状態であるコトがわかる。負傷兵についても、９月２３日時点で多数発生している可能性が高い。南京占領の戦記やニュースでは、昭和12年12月1日に南京攻撃の指令が下り、12月10日に総攻撃が開始され、12月13日には電光石火の如くほぼ占領が完了し、12月18日の慰霊祭で、この南京作戦は終了と見ると、この「9ヵ月後の時点で多くの負傷兵が存在する。」「某部隊では、多くの逆襲を受けている。」ことがわかりづらくなる。
これは、南京というか揚子江特有の事情で、多くが「捕虜」「敗残兵」の虐殺と言われるが、南京に駐屯した｢中支那方面｣部隊では、「遊撃隊と戦っている」認識していたようで、あの世で、「無抵抗な捕虜や敗残兵の虐殺」との認識には、さぞやびっくりしているのではないか？
「遊撃隊」等の説明は後編に
・上述で捕虜の虐殺を書いた奥宮正武氏とは、海軍兵学校を出た後、支那事変・大東亜戦争では各航空戦
隊参謀を務めている。このような戦闘状態か非戦闘状態かわからないゲリラ戦については知識が無いよ
うに思われる。
・なお、「ペン記者；陸軍部隊」が襲われた蕪湖とは、安徽省蕪湖市のことをいい、南京からは揚子江上
流に登って９０ｋｍ程度にある街。
この証言に、奥宮正武氏からの文章を引用したい。
・下関は、南京と揚子江の対岸にある浦ロとともに、交通の要衝であった。浦ロは、私が上海着任
直後に、最初に、爆撃したところでもあった。下関にはかなり大規模な停車場と開源碼頭（波止場）
があった。そこで、その付近を見回っているうちに、陸軍部隊が多数の中国人を文字通り虐殺して
いる現場を見た。（中略）
・構内の広場に入って見ると、両手を後ろ手に縛られた中国人十数名が、江岸の縁にそって数メート
ル毎に引き出されて、軍刀や銃剣で惨殺されたのち、揚子江に投棄されていた。
（中略）
・そこで、私は、付近にいた一人の若い陸軍士官に、尋ねた。
「なぜこのようなことをするのか」
答えて日く、
「数日前の夜、一人の勇敢な中国人が、わが陸軍の小隊長級の若い士官十名か十一名かは
分かりませんが寝ている寝室に侵入して、全員を刺殺したそうです。そこで、彼らの戦友
や部下たちが、報復のために、その宿舎の付近の住民を処刑しているとのことです」
（中略）
・このような処刑が、南京占領から二週間近くを経た後の二十五日と二十七日に手際よく行なわれていた。
同じ時期に『ペン記者』として南京にいた作家の杉山平助が、１２月２７日に南京に着き、２８日に出発する予定であったが、下関から上海に至る揚子江を下航する船の出航を３１日に延ばされたコトを考えると、この奥宮正武氏の『２５日と２７日に捕虜の虐殺が、南京港である下関で行われた。』との証言は信憑性が高くなる。
もっとも、杉山平助氏は出航が延期する理由を「船の故障」と聞かされたようだが、多分、本当の理由は明かさないだろうし、「船の故障」にしては、３日間の延期は不自然である。
この時の船の航海の様子について、このように記載してある。
・私を乗せた軍用船××丸は、大晦日の朝、南京の下関から錨を抜いて、その日の夕方には、江陰に
投錨した。水雷やらその他の危険があって、この川筋の夜間の航行は、絶対に禁ぜられていたからだ。
（中略）
右側には、江陰の砲台が見えた。また、支那軍が、この川筋を閉塞するために沈めた十数隻の船のマ
ストや、煙突の突端などが、河波に洗われているのが見えた。
と記している。奥宮氏の証言だと２５日と２７日の捕虜の虐殺数は１万５千名と書いてあるが、そのような大量虐殺であれば、杉山平助が下関から上海まで下航する船から、少なくとも、数体の死体は見たであろうが、著書の中で全く触れていないのには疑問点が残る、南京郊外や城内では、あれほど「死体が散乱」してあると書いているのに関わらずにだ。
それほど死体が揚子江に浮いている状況で船が出航できたのだろうかという疑問も残る。
杉山平助の記述に拠ればその日の天候は「空は珍しいほど晴れ渡って、船は微風の中を静かに走っていた」とある。
また、奥宮正武は、『このような処刑が、南京占領から二週間近くを経た後の二十五日と二十七日に手際よく行なわれていた。』と書いてある、他の捕虜虐殺の見聞も同様な記述が見られる。これだけ、読むと「日本軍が南京占領して、その日から南京周辺は平和になり、いかにも日本軍が快楽殺人のように中国人を殺しまくった。」との印象を与えるが、実際は、日本軍の目の届かない周辺部では、小競り合いやテロ行為が頻繁に起きていた。これは、翌年９月下旬に久米正雄・尾崎士郎たちの「ペン記者；陸軍部隊」が南京から九江に至る船の中の記述である。
・夜になると蕪湖の街にはときどき便衣隊が出没するそうである。（中略）彼の話によると十日ほど
前に、今度御用船になった「×丸」が敵弾にやられて就航困難になったという。（中略）帆を張った
船が本船のすぐ前を滑っていった。双眼鏡をみると５０ぐらいの男と１５，６の娘が乗っている。
親子なのだろう。
朝飯が済むと、船長がしっかりとした声で「あと２時間ぐらい経ったら、左の甲板に集まってもらう
ようにしてもらいたい。」と言った。
「砲撃が始まるんですかね？」
「ええ、必ず撃つとも決まってませんがね。」（中略）
砲口から赤い火がパッと閃いたと思ふと耳の中へ砲弾の響きがジーンと滅入りこんでくる。
みんなぞろぞろと右舷に集まった。（中略）
木船からは立てつづけに撃ってくる。みんな顔を見合すごとにどっと笑ひだす。
笑ひながら冷や汗がべっとりかいている。砲座がたちまち薄い砲煙に包まれた。（中略）
やっと、危険地域を通り過ぎたらしい。本船からは８１発撃ったと言う。
「命中度はどうです。」と聞くと、
「さあ」と言いながら考えこんでいた「よくわからんですなァ」
これは、日本軍占領から９ヶ月以上たった時の話である。また、一緒に同行した富沢有為男はこう記述している。
９月２３日
午後兵站病院を訪れ、負傷兵と木陰にて語り合う、いずれもそれぞれの部隊の苦戦を語る。支那兵の強さにはみな感心いたし居る様子なり。○○部隊の如き逆襲を受けること多きを語る。
占領より、９ヶ月立った時点で、いまだに戦闘状態であるコトがわかる。負傷兵についても、９月２３日時点で多数発生している可能性が高い。南京占領の戦記やニュースでは、昭和12年12月1日に南京攻撃の指令が下り、12月10日に総攻撃が開始され、12月13日には電光石火の如くほぼ占領が完了し、12月18日の慰霊祭で、この南京作戦は終了と見ると、この「9ヵ月後の時点で多くの負傷兵が存在する。」「某部隊では、多くの逆襲を受けている。」ことがわかりづらくなる。
これは、南京というか揚子江特有の事情で、多くが「捕虜」「敗残兵」の虐殺と言われるが、南京に駐屯した｢中支那方面｣部隊では、「遊撃隊と戦っている」認識していたようで、あの世で、「無抵抗な捕虜や敗残兵の虐殺」との認識には、さぞやびっくりしているのではないか？
「遊撃隊」等の説明は後編に
・上述で捕虜の虐殺を書いた奥宮正武氏とは、海軍兵学校を出た後、支那事変・大東亜戦争では各航空戦
隊参謀を務めている。このような戦闘状態か非戦闘状態かわからないゲリラ戦については知識が無いよ
うに思われる。
・なお、「ペン記者；陸軍部隊」が襲われた蕪湖とは、安徽省蕪湖市のことをいい、南京からは揚子江上
流に登って９０ｋｍ程度にある街。
2007年04月03日(火) 21:08:21 Modified by yuyu122222