余りにも生真面目な日本の宣伝工作
- 筆者の手元に幾つかの日本軍のプロパガンダの資料がある、
プロパガンダについては、『大本営発表の勝ち戦報道のウソ』や『盧溝橋の事件』等プロパガンダ工作にかけては、陰謀に満ち、オドロオドロしたモノを想像して手にとるのだが、
あにはからんや、ほとんどが戦前の道徳教育の『修身』の読本かと見間違うような内容である。ガッカリである。
○手元にある『宣伝参考 （将校用）』の冊子から引用した。
本冊子は、
- 当然、将校のみの配布で丸秘扱いである。
- 発行は、昭和７年７月となっており、発行元は「関東軍 参謀本部」
【宣伝工作の姿勢】
◇当局者は、誠意を持って政務にいそしみ・・・
◇ウソを言い、ペテンにかけるモノではなくて、・・・
【手段】
◇打ち解けた態度を示すこと
◇地方の主だった者を集めて、・・趣旨を以て口頭にて解き明かすモノ・・
◇有力者をも招待して一席の宴を張る。
◇宣伝の効果は、すぐに表れてくるものではない。
□□ 何度も、「誠実」「真実」という言葉が登場する。
要は、誠実に持って、真実を愚直に説けば、おのずと相手もわかってくれるという論法であろう。
○そして、最後もこう締めくってある。
・最後に宣伝の本義は真実を告ぐるにあるコトを繰り返して置く。
・誇張を以て、宣伝の本義の至るを、世間の常套手段なりとなす
世間の考えは誤りである。
・自信を持って行えばこそ他もこれを信じる。
□□ そして、付録で各国の宣伝工作に触れ、プロパガンダ上手な
英国と不得手なドイツの例を挙げているが、
最後はこうなってしまう。
・仏外相ブションの如きは、宣伝の指示をする為に、毎晩深夜まで自らペンを執ったという有様で・・・・。
■かたや、敵国の中国はの行動論理に
【指桑罵■←エンジュ／しそうばかい】
という言葉がある、これは、桑を指して「エンジュの樹」を罵るとされ、本当の怒りとは、別なものを攻撃する手法を取る。
・孫子にも、徹底的に「兵法とは敵を欺く」コトと述べている。
そして、謀攻編 その２で「上兵は謀を伐つ。その次は交わりを伐つ。その次は兵を伐つ。」と記されている。
■ヒットラーは、孫子を読んで『こんな書物を読んでいるなら、日本軍は強いはずだ。』と言ったそうだが、ほとんど学んでいないようだ。
上層部の無能と言えばそれまでだが、ここいら辺が日本人の限界だろう。
『誠意を持って対応すれば・・』は世界的にはお笑い草で、特に大衆煽動の世界では、『悪貨は良貨を駆逐する。』方が歴史を鑑みれば常識であろう。
■戦後、『日本軍の陰謀で・・』という非難をよく聞くが、それはホメスギ。
中国人のそれには、遠く及ばない。
2007年03月03日(土) 08:38:48 Modified by yuyu122222