スマブラのエロパロスレまとめ

「さて、どうするか?」
捨てればいいのだが、さすがに自室のゴミ箱に捨てたくはない。
というか捨てるわけにはいかない。
仮に見つかってしまえば妙な誤解を招く可能性は大だ。
やはり焼却炉まで持っていくのが一番だろう。
「はァ」
アイクは大きなため息をつき、腰をあげる。
まず表紙を見たくないのでその対処から。
中身が見えないように包むのがよさそうだが。
「何か風呂敷みたいなものなんてあったか?」
部屋を見渡しても見当たらないし、そもそも置いた覚えもない。
ならば代用品は?
「……」
真っ先に目に入ったのは、首に巻きつけ、背中に長く垂れ下がったマント。
ちょっと(?)風呂敷代わりにしてはでかい。
「さすがにこれは、な」
却下し、他のものを探す。
次に目に入ったのは机の上の包帯。
Dr.マリオに返しにいかなければならないのだが、時間の都合でまだ返せていない。
表紙を隠すだけならこれでも使えるだろう。
怪我は日常茶飯事のため、包帯も沢山溜まっていた。
これでなんとか、と思った矢先。
コンコン。
「げっ」
ドアをノックする音が。
まさかの来訪者である。
「アイクさーん?います?」
声からしてピットと思われる。
少年組の一人という時点で状況がかなり危ういものになってしまった。
「今日の昼からの作戦練りましょうよー。いますかー!」
叫びながら再びノック。
こうなったら居留守を決め込むしか……
「中にいるのは知ってるんですからねー!出てこないとドア壊しますよっ」
「お前、本当に天使か?」
つい突っ込んでしまった。
「あっ」
「やっぱりいるんですね!開けてくださいー」
居留守失敗。
直接顔を見なくても、ピットの目が輝きに満ちているのが分かった。
ここは潔く諦める。
「ちょっと待ってくれ。散らかってるから」
ありきたりな言い訳をしてドアを開けるのを先延ばしする。
「なるべく早くしてくださいよ」
「はあぁぁ……」
また、ため息。さっきよりも長く重くなっていた。
早くしないとあの堕天使にドアを壊される。
どう考えても包帯を巻きつける時間はない。
もう、一か八か。
机の上の小さな本棚に突っ込む。
一応本と本の間に挟んでおくが、もし見られれば……
見つからないことを心の奥で祈りながら、アイクはドアを開けた。
「待たせてすまないな」
「いえいえ。こちらこそ急にお訪ねして」
固めの口調とは裏腹に、友達の家に遊びに来たかのようにはしゃいでいる。
「そんなに散らかってないじゃないですか」
「片付けたんだよ」
「あっ、そうか」
彼も良識人に近いのだが、このとおり天然ボケ。
さらに肝心なところでとんでもないことをやらかすため、良識人とは言いづらい。
ピットは出された座布団の上にきっちり正座して言った。
「じゃっ、会議しましょうか」

「僕がこう合図したらアイクさんがあちらへ突っ込んで……」
「で、俺が……」
会議が始まって二十分ほどが経過していた。
最初は見つかったらどうしようかと気が気でなかったが、気づきそうな素振りもないので安心しきっている様子のアイク。
が。
コンコン、コンコン。
もはやお約束といわんばかりにそれをぶち壊す人物が現れる。
「すぐ開ける」
ドアを開けたアイクが、一瞬で顔をしかめたのは言うまでもない。
ドアの前に立っていたのは、変態ダンボールことスネーク。
「客に対して何なんだ、そのいやそうな顔は」
「なんか用か?早々にお引取り願いたい」
小さく睨み合い。
後ろの方からピットが嫌な雰囲気の二人を眺めている。
「で、本題だが」
「十字以内で簡潔に述べろ」
「毛虫のように俺を扱うんじゃない!」
「字数オーバーだ帰れ」
「だから違う!」
再びおっさんと青年の睨み合いが勃発。
「いいから聞いてくれ。俺の愛読書がなくなったんだが知らないか?」
「あんたの愛読書なんか知るか」
冷たく言い放ち、アイクはドアを閉めようとしたのだが。
「君のような青年が興味を持ちそうなものだ」
これを聞いて、ピタリと止まってしまう。
「……」
まさか。
直感的にブツが頭をよぎる。
「なぁ、あんたが探してるのは……ひょっとして……」
ここから先は、ピットに聞こえないように小声で。
「……エロ本、じゃないか?」
「おお、知っているのか」
スネークもアイクの心中を察したらしく小声になった。
「ちょっと待ってろ」
ピットから見えないように細心の注意を払いつつ本棚へ本を取りに行く。
ひとまず、ここは成功。
「これか?」
「そうだ、これだ!いやーありがとう、助かった」
アイクから受け取るなり頬ずりを始めるスネーク。
見事にアイクどん引き。
後ろで様子を見ているピットが頭に?を浮かべている。
「結局あんたが犯人だったんだな……」
「何の話だ?」
「いやなんでも」
「うむ、それにしても君もこういうのが好きだったのだな」
しっかり予想通りの展開に。
「違う。断じて違う。一切ない」
……ないと言い切ると少々語弊が生じるが。
「恥ずかしがらなくていいんだぞ、それでこそ男というものだ」
「あんたが興味津々なだけだろ」
「君だって全くないわけじゃあるまい、ほれ」
そういっていきなり本の中身をアイクに見せ付けるスネーク。
わざわざ最も過激なページを選んでいるのはどういうことだろうか。
「うわぁっ!?」
アイクは咄嗟に目を瞑り、両腕を顔の前でクロスさせる。
せっかく直ったというのにまた顔が真っ赤である。
「ほう、ずいぶんと初心な反応だな」
「初心で悪かったな!」
反論するために腕を下ろし、目を開けたところへもう一度。
「ほれほれ」
「わあぁ!」
不可抗力で直視してしまった。
そのせいか、なんか鼻の奥から流れてき……
鼻血!?
「鼻血が出ているぞ、大丈夫か?」
スネークが勝ち誇った顔で笑う。
「くっ……」
睨み付けるアイクだが、鼻血が出ていては怖くもなんともない。
かなり嫌な雰囲気になっているのを、空気になりかけていたピットが壊した。
「あのぉ、お二人とも何の話を?」
「」「なんでもない!」
スネークが何か言う前にアイクが封じた。
「待て、俺何も言ってないんだが」
「何か余計なことを言おうとしただろう」
「??」
「そうだピット。その辺にティッシュが……」
鼻血を何とかしようとティッシュを取りに行こうとした。
後ろを向いた、その時。
「あっ……そ、それは……?」
ピットが目を丸くしてこちらを指差す。
驚きというより、信じられない、と言った方が近いかもしれない。
見られた!?
条件反射でスネークは本を自分の後ろへ隠す。
さっきまではアイクのおかげで見えていなかったが、彼が動いたことで見られてしまったのだろう。
「あ、あ……」
次の瞬間、ピットの視界にアイクはいなかった。
居合い切りの要領でピットの背後に回りこんだのだ。
その手にはラグネル。
「すまないっ!」
「えっ!?」
鈍い音が響き、ピットの脳天に叩き割りが直撃。
もちろんみね打ちだが、それでもかなり痛いだろう。
そのままピットは気絶した。
「ふぅ……」
本来ならば格好良いのだろうが、鼻血のせいで台無しだ。
「今ので忘れてくれれば儲け物だがな」
「そううまくはいかないだろう……というか、根源はあんただぞ」
「うむ、とりあえず君は鼻血を拭いたらどうだ」
「そう……だな」
ひとまず鼻血を拭くアイク。
「で?その子はどうするんだ」
「医務室にでも運んどくから、あんたはそれ持ってさっさと帰れ」
「分かった、そうさせてもらおう」
やっと帰っていく原因。
他の少年組に見られないように帰れ、ときつめに言っておいたので大丈夫とは思うが。

「ふふふ、やっと戻ってきたぞ。今夜が楽しみだ」
部屋に戻り、スネークは大量のそういう本を眺めていた。
「そうね、楽しみでしょうね……」
背後から女性の声。
そこには女性陣の中でも最も厳しいといわれる、サムスが立っていた。
完全に油断して鍵を掛けていなかったのが命取り。
「な、なぜここに!?」
「いろんな人の部屋を回っているからおかしいと思ってね。だから尾けさせてもらったわ」
「……いつからだ?」
「いつからかしら。かなり最初の方からね」
サムスは笑っているものの、目は全く笑っていない。
背後から黒いオーラのようなものも出ている。
「何があって彼の手に渡ってしまったのかは知らないけれど……」
言わずもがな、彼とはアイクのことだ。
「せっかく私が焼却炉へ捨てておいたのに水の泡だわ」
「お、お前が捨てたのか!?」
「そうよ。目に見えるところに置いてあったから処分しとこうと思って」
「勝手に人のものを捨てるんじゃない!」
「そう言われてもねぇ。あんな卑猥な物ほっとけないじゃない?」
そしておもむろにパラライザーを構えるサムス。
「だから……この際あなたの部屋の猥褻物全部処分させてもらうわ!」
「ちょ、待っ」
「それからあなたもね!!!」
サムスの目が妖しく光った。
数秒後、スネークの悲鳴、いや断末魔が寮中に響き渡ったのは言うまでもない。

今日も平和なスマブラ寮。
こうして事件は幕を閉じた。




その後のピット君。医務室にて


「なぁ、なんであんたが先に医務室にいるんだ?」
「色々あってな」
そのときにはもはや目も当てられない状態のスネークがいたのである。
これはモザイクが必要かもしれない。
「色々?」
首を傾げるアイク。当然先ほどの出来事を彼が知るはずがない。
「うーん……」
ピットが目を覚ましたようだ。
「あ、アイクさん。ひどいですよ、急に殴るなんて」
「許せ、お前のためだ」
何も分かっていない様子のピット。忘れてくれたのだろうか?
「でも、殴ったって見たのは忘れるわけないですからね!」
「……」
終わった、色々と。

「あの時アイクさんの肩にクモがいたんですよ〜。ちょうどこれくらいの……」

「は?」
二人とも唖然。
確かにピットはそう言った。真顔で、クソ真面目に。
「もービックリしました。僕クモ苦手で」
さすが天然。まさかここまでとは。
こんなときですら、隊長はしっかりやらかしてくれましたパルテナ様。
ヤラレチャッタ☆
「幸せだな、お前」
こうして事件は幕を閉じた。本当に。

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