スマブラのエロパロスレまとめ


今日の俺は、ソードマンとして戦うことに決めていた。
『むしゃのぼうし』に『むしゃよろい』を着込み、手には身の丈ほどの長さがある大刀。
俺の一番のお気に入りのセットである。
もちろん、帽子と服で変わるのは見た目だけでどれも性能に差はないのだが、鎧武者の姿はなかなか気分がいい。
男の子なら誰でも一度は憧れたと思う。最近の仮面ライダーも武者だったことだし。
そんな俺が戦っている相手は、同じ剣士のマルスやアイク……ではなく。
でかいハンマーを持った、紫色のでかいゴリラだった。

ボンカース。
星のカービィシリーズに登場する中ボスで、吸い込むとハンマーの能力をコピーできる。
自分の何倍もでかいゴリラを食うつもりはないが、こいつが落とす宝物は魅力的だ。
繰り出されるハンマーをかわしながら、俺は鋭く刃を打ち込んだ。
こいつ、自分が出てた元のゲームより明らかに手強いのは何のつもりだ?

前転する俺の頭上を、炎を纏うハンマーが猛スピードで通り過ぎてゆく。
直撃したらと思うと腹の奥がきゅっとしたが、いちいち恐怖を感じている暇などありはしない。
俺はすぐに立ち上がり、跳躍。体を独楽のように回転させながら刀を振り、ボンカースの脛から顔までを斬り刻んでゆく。
握った柄に感じる手ごたえは良いものの、それだけで倒せる相手ではないことはわかっていた。
俺は着地すると同時に、素早くボンカースの後ろに回った。奴は強いが、素早くはない。

ボンカースが振り返ろうとした時には、俺は刃を前方で突き出し、ジェット機の如き勢いで襲いかかっていた。
一閃。刀の切っ先が、ボンカースの巨体をふっ飛ばす。
厄介なハンマーゴリラは、途中でヘイホーやノコノコなんかにぶつかりながら、遥か彼方に消えていった。
俺はふうと一息つき、後に残っていたゴールドやパワーアップアイテムを回収すると、ダンジョンの奥深くに進んでいった。

今回、俺はフィールドスマッシュに参加していた。
この世界の上空を漂う巨大な浮島を舞台にした、言ってみれば宝探しゲームだ。
ゲームと言っても、島の中はモンスターでいっぱいだし、最後には他の参加者三人と戦わなければならない。
この間のレースでは、スピードを上げて調子に乗っていたらまんまとトラップに引っ掛かり、見事な最下位に終わってしまった。
しかし、勝っても負けても拾ったアイテムはもらえるので、俺も積極的に参加している。
どんな宝物に出会えるかは運次第。できれば、新しい衣装や装備が手に入るといいのだが。

スタルフォスやピーハットなどの敵を倒し、時にはうまくかわしつつ。
俺は、マップで言えば島の右端の辺りにやってきた。観覧車と俺が勝手に呼んでいる、動く足場があるエリアだ。
宝箱が置いてある可能性は高いものの、出現する敵も強く、また島の外に続く大きな穴もあるため、長居はしたくない場所である。
特に今は、道中受けたダメージがかなり蓄積されているため、戦闘はできるだけ控えたい。
武者の姿をしながら、忍者のようにこそこそと歩いていると、そこには先客がいた。
黒と金のフード付きコート。白いズボンに、それもやはり黒いロングブーツ。
両手には青銅の剣と、分厚い本をそれぞれ持っていた。

「サンダー!」

銀色のツインテールを振り回し、少女は呪文を唱え、後ろから迫ってきていたポックンに電撃を浴びせた。
声には焦りが滲んでいた。少女が休む間もなく、次から次へとモンスターが襲いかかってゆく。
彼女はルフレだ。ファイアーエムブレム覚醒で、マイユニットとしてプレイヤーの分身を務めるキャラクターである。
ゲームでは男女どちらかを選べるが、この世界には両方とも存在していた。
二人が一緒にいると、なんと声をかけていいかわからなくなる。今ピンチに陥っているのは、女性の方のルフレだが。
この島にいる以上、彼女もフィールドスマッシュの参加者であり、つまりはライバルだった。

「ギガファイ……きゃああっ」

地上の寄せ手を火柱で足止めしようとしたルフレは、上空から飛んできたモノアイの群れが放った弾を避けることができなかった。
集中砲火にふっ飛ばされ、転がる彼女に、新たに現れたボックン達が棍棒を振り上げて殺到する。
モノアイもポックンも、一体一体は雑魚もいいところだが、数が揃えばそれなりに脅威だ。
さらに悪いことに、上に向かう足場から、花の形をした砲台・ダリオスがルフレを狙っている。
絶体絶命の危機。俺はとりあえず、崩れた壁の破片に隠れていた。

フィールドスマッシュで、他のファイターを助けるメリットはほとんどない。
ここで一度ダウンしてもらい、強化アイテムの失ってもらった方が、後々の最終決戦で俺が有利になる。
ルフレとタッグを組む可能性も無くはないが、そういうことはいちいち考えても切りがない。
たとえ俺が同じ状況下にあったとしても、彼女が助けに入ってくれることは、きっとないだろう。
かつての世界ではヒーローや英雄と言われたファイター達も、その辺りは実にシビアなのだ。

……それが出来ないからこそ、俺はいつまでも半人前なのだが。

俺は壁の破片の陰から飛び出すと、剣を横薙ぎに走らせた。
びゅう、と小規模な竜巻が発生。ソードマンの必殺技の一つ、トルネードショットだ。
それは埃や石を巻き上げながら直進し、棍棒を振り回しているボックンたちを吹き飛ばした。
地上の安全が確保されたなら、次は上だ。
俺はジャンプし、高台でエネルギーを溜めていたダリオスを掴む。
普通に叩いても倒しにくいが、こうすれば動きは止められる。もがく生物兵器を、俺は空行くモノアイどもにぶつけてやった。
先刻のボンカースのように、モンスターたちは壁や天井ぶつかりながら、どこかに消えていった。

俺は頬に垂れた汗を篭手で拭った。
まともにぶつかっていたら、俺も危なかっただろう。
うまく不意を突けたからこそ、多勢の敵を一気に退治できたのだ。

困惑し、目をしばたかせるルフレに、俺は駆け寄った。
大丈夫かと声をかけると、ようやく地面に片膝立ちになった少女が顔を上げた。

「……助けてくれたんですね。でも、どうして……今の私はライバルですよ?」

ルフレの疑問に、俺は大仰に肩をすくめて見せた。
人に親切にするのに、いちいち理屈をつけたりする必要があるのか?
そう考える程度には、俺にも一応善意らしきものがある。
すると、ルフレはくすりと笑った。

「あなたって、顔に似合わずキザなところがありますよね」

顔に似合わずは余計だ。
まあ、たしかにマルスやらリンクなんかのイケメン組と対面すると死にたくはなる。
そもそもツラの出来具合でゲームのキャラクターに勝とうと言う方が間違いなのだ。
さもなくば、デデデ大王とでも競うか。果てしなく不毛な戦いになりそうだが。

「危ないところをありがとうございました。あなたには、助けてもらってばっかりです」

そう言って笑うルフレに、俺は首を傾げた。前にも、彼女に何か親切にしたことがあったのか?
残念ながら、俺には日記をつける習慣はない。
ルフレが「えー」と唇を尖らせる。銀髪と、雪のように白い肌がどこか儚げでミステリアスな感のある彼女は、割と表情が豊かだ。

「もう、忘れちゃったんですか? ほら……いつか、私が亜空軍の残党に襲われた時にも駆けつけてくれたでしょう?」

その件なら覚えている。
フィールドスマッシュでもないのに、ルフレが大量のガルファイアやガルサンダーに攻撃されているのを見た時は驚いた。
どうにか二人で力を合わせて撃退したが、最後に巨大な鎌を備えたギラーンが出てきた時は、正直死を覚悟したものだ。
ルールやセーフティーを設けられている乱闘とは違い、亜空軍との戦いは怖い。
他のファイターは、やられてもフィギュアに戻るだけだが、俺の場合は命を落とす可能性すらある(と、マスターハンドが言っていた)。

だからといって、ルフレを見捨てるという選択肢はなかった。
何の力もなかった以前とは違い、今の俺には少なからず戦う術があるのだ。
怪物に追い詰められている女の子を見捨てるくらいなら、一物をもぎ取って男を辞める方がずっとマシだ。
マリオやファルコンだって同じことを言うし、同じことをするだろう。
単にその時、その場にいたのが俺だったというだけの話であり、わざわざ感謝してもらうようなことではなかった。

「たとえそうだとしても、実際に助けてくれたのはあなたなんですから。それに、この前だって」

ルフレが語ろうとした、その時。
俺たちの頭上に、大きな影が差した。不気味な音楽が流れ始める。
見上げて、俺は凍りついた。紫の瘴気を放ち、角の生えた巨大な髑髏が口を開閉させながら近づいてくる。
オーン。新・パルテナの鏡に登場する怪物で、触れたら一発でアウト。
こちらの攻撃もまったく通用せず、俺が何をしようと足止めにもならないだろう。

ここは逃げるしかない。俺はルフレをひょいと小脇に抱えた。

「えっ、ちょっ……!」と慌てふためく少女を連れ、俺はオーンが追って来れない場所まで逃げた。
オーンは無敵だが、幸いスピードは遅い。死ぬ気で走ればどうにかなる。
道中、腕の中でルフレがばたばたと暴れていたが、とりあえずは気にしないことにした。

逃げに逃げて、俺は地上に出ていた。この辺りにもオーンは出現するが、今のところその気配はない。
近くにいるのはノコノコやヘイホーくらいなものだ。
ひとまず安全は確保できたので、俺はいい加減ルフレを下ろしてやろうと、彼女の方を見た。

………白いはずの少女の顔は、今にも破裂しそうなほど、真っ赤に染まっていた。
カービィの大好物のマキシマムトマトにも匹敵するだろう。
ぷるぷると小刻みに震えている姿は、生まれたてのチワワ顔負けだ。
そこで俺はようやく、彼女を抱えている手が、その胸の膨らみをモロに掴んでいることに気がついた。

全身がひんやり冷たくなった。控えめに言っても、これはセクハラだ。
俺は急いでルフレを解放したが、もはや手遅れだった。
彼女はすっと立ち上がり、コートの裾を払うと、俺を見据えた。顔は真っ赤なまま、涙目で。

「――――トロン!!」

視界が閃光で満たされる。俺という痴漢は、正当に裁かれたのであった。




結局、今回のフィールドスマッシュにおける俺の成績は無残なものになった。
欲しいアイテムは手に入らなかったし、最終決戦である『どせいさん乱闘』でも最下位。
ルフレによる俺への集中攻撃は、他の参加者であるメタナイトやシュルクも恐れをなすほど怒りに満ちていた。
まあ、痴漢として警察に突き出されるよりはずっとマシだ。この世界には警察なんていないが。
「何かしたの?」と聞いてくるシュルクを無視し、頭にひっついていたどせいさんを剥がすと、俺は溜息をついた。
人生には、何もかもうまくいかない日もあるものだと自分を納得させる。

そうだ、最近何かと家に入り浸っているピーチに慰めてもらおう。
それとも、サムスと健全に汗を掻いて気分転換しようか。
カービィとグルメレースで遊ぶのも悪くない。

そんなことを考えていると、「あの……」と後ろから声をかけられた。
首を後ろに振り向けた先のルフレは、胸の前で手を組み合わせ、気まずそうにもじもじとしていた。
俺が完全に振り返るなり、顔面に風圧を感じるほどの速度で頭が下げられる。

「ご、ごめんなさい! いえ、今さらなんですけど……うう、二度も助けてもらったのに、私ってば思わず……!」

できれば、場外に落ち行く俺に鬼の形相でエルウィンドを叩き込む前に、気を静めてほしかった。
しかし、俺にも反省すべき点はあるのだ。
ここ最近の爛れた性生活によって、女性の体に触れることに抵抗を失いつつある。
親しき仲にも礼儀あり。ルフレを抱える時、俺はもっと慎重になるべきだったのだ。
ちなみに服の上からちょっと触った感じでは、ルフレのバストサイズは大きからず小さからず。
ピーチのをもう少し小さくしたぐらいだろうか。もちろん、詳しくは脱いでもらわなければわからないが。
………我ながら最低の男だ。

ともあれ、俺も頭を下げて謝った。
決してわざとではないが、変なところを触ってすまない、と。
ルフレが慌てて返してくる。

「わかってますよ、わざとじゃないって! 私が勝手に過剰反応しちゃっただけで! 本当にごめんなさい……」

しばらくの間、「すまない」と「ごめんなさい」が、二人の間を飛び交った。
何時まで経っても切りがなく、互いに謝り疲れてきたところで視線が合い、二人で笑い合った。

「あははは。日が暮れちゃいますし、この辺で終わりにしておきましょうか……今日は、本当にありがとうございました。また、あなたに借りができちゃいましたね」

目尻の涙を指で拭うと、ルフレは柔らかく微笑んだ。
人形めいた、とすら言える整った顔が笑うと、美しく輝いて見えた。

借りだなんて思わなくていいが、頼むから今日のことは旦那のクロムには黙っておいてくれ。
俺は冗談めかしてそう言った。
この世界の住人は、ファイターやモンスターだけではない。
アシストフィギュアや、『最後の切りふだ』で出てくるようなキャラクターもしっかりと存在している。
ファイアーエムブレム覚醒において、ルフレの半身とさえ言えるクロムも例外ではない。
二人で話しているところはよく見るし、この世界でもそういう仲だと、俺は勝手に思っていたのだが。

「――――なんで、そこでクロムさんが出てくるんですか? なんですか、旦那って」

ルフレの声は、氷の剣のように冷たく尖っていた。表情は、もはや描写するのも恐ろしい。
後ろの方で、シュルクが「ひっ」と悲鳴を上げるのが聞こえた。
……どうして足元に転がっていた大きめの石を拾っている? それをいったいどうするつもり……


ルフレが分け目も振らず走り去った時、俺は大の字になって地面に倒れていた。顔面に石を埋め込まれた状態で。
夕焼け空を、カラスがかぁかぁと鳴きながら飛んでゆく。こんなところで夜を迎えるつもりはない。
俺はむっくり体を起こすと、頭を振り、顔から石を剥がした。
まだ鼻血は出ているし、顔面がひりひりする。俺はグローブで口の辺りまで垂れてきた血を拭った。

怒る怒らない以前に、もう何が何だか分からない。
クロムの話題が、そんなに気に障ったのだろうか。二人が喧嘩してるという話は聞いたことがない。
それとも、俺の口から出たからいけなかったのか?人間、どこに地雷のスイッチがあるかわからないものだ。
俺が悩んでいると、マントを体に巻き付けたメタナイトが「ふふふ」と含み笑いしながら近づいてきた。

「だいぶ腕が立つようになってきたが、乙女心がわからないようではまだまだ青い」

彼が剣の達人であることは知っていたが、この球形の生命体に乙女心を語られるとは思わなかった。
疲れが一気に全身に襲いかかってくる。正直なところ、もう帰って風呂に入って寝たい。
しかし、ルフレを放っておくのは気が引ける。このまま明日を迎えて、それ以降どんな顔をして彼女に会えばいい?
嫌がられるのを覚悟して、俺はルフレを探すことにした。


空には紫色が広がり、夜の足音が近づいてきた頃。
俺は、自分の身長ほどもあるぎざぎざの葉っぱを掻き分けて、森の中を進んでいた。
顔を上げると、葉っぱの根元からは緑色の細い茎が伸び、その先端に黄色い花がついているのが見えた。
タンポポの花だ。
ただし、大きさは俺が見たことがあるのとはまったくレベルが違う。

俺が今いるのは「とある星」。ピクミンシリーズの舞台となった惑星をモチーフに作られたステージだ。
ここではすべての物がビッグサイズで、小人になった気分を味わえる。
変な生物がうようよいる以外は、なかなか楽しい場所である。
ちなみに、フィールドスマッシュに出てくるチャッピーなんかは、ここから派遣されてくるらしい。
なんで俺がこんな所に来たのかと言えば、通りすがったオリマーに、ルフレがここに入るのを見たと聞いたからだった。

寄って来たコチャッピーたちを、いちいち相手にするのも面倒なので、適当にかわす。
勝手に探しに来ておいてなんだが、せめてファイヤーエムブレム系列のステージに居てほしいものだ。
ここは原作のゲームと同じ程度には広く、障害物が多くて視界が悪い。
地上にいても埒が明かないと、俺は近くにあった木……ではなく、花の茎をよじ登った。すさまじく青臭い。
上から探した方が見つけやすいだろうと考えただけだったのだが、奇しくも、その選択が正解だったらしい。

花の茎の中腹、細い蔦同士が偶然に絡まって生まれた橋。
ルフレはそこにいた。膝を抱えて、じっと座っている。

俺は橋の上に乗り、ルフレに駆け寄った。
声をかけたが、彼女は目を向けさえしない。どうやら、怒りはまだ継続しているようだ。
だが、これは予想よりずっといい反応だ。出会い頭にサンダーを食らうくらいなら、心の準備ができていた。
俺は少し迷ってから、ルフレの隣に腰かけた。まさか放って帰るわけにもいくまい。
どうせ返事はしないだろうから、話しかけたりはもうしない。ただ傍にいるだけだ。
地上を闊歩する原生生物の鳴き声をBGMに、太陽が沈んでゆく。
やがて夜の帳が下り、辺りは闇に包まれた。月と星が明かりとなって、真っ暗闇とは言えないが。
吹きゆく風に、少し寒さを感じてきた頃。ようやく、ルフレが口を開いた。

「あなたは、私とクロムさんが恋人同士だと思ってるんですか?」

俺は少し考えてから、違うのか?と答えた。
また怒りに油を注ぎかねない話題だが、話を反らすのも不誠実だ。
ルフレは苦い顔をして言った。

「たしかに、私とクロムさんがそういう関係になって……子供まで産んだ記憶はあります。でもそれは、『私』ではないんです」

ご存じの通り、このスマッシュブラザーズの世界の住人は本物ではなく、マスターハンドが生み出したコピーだ。
性格や行動、そしてキャラクターとしての記憶は、オリジナルと何も変わらない。
だがその記憶には、経験が伴わないのだ。

たとえばマリオなら、クッパに攫われたピーチ姫を助けるために冒険をした、その記憶はある。
しかし、実際に自分がそれをしたのだという実感が湧かない。
自分ではない、自分の姿をした誰かがやったかのような、そんな違和感があるのだという。

つまり、ルフレもそういうことなのだ。
ファイヤーエムブレムの世界で、オリジナルがクロムと恋仲になっていたとしても、この世界のルフレには関係ない。
その記憶があったとしても「そんなこともあったかもしれない」程度で、感覚としては元彼のようなものではないだろうか。
俺が推察を口にすると、ルフレは控えめに頷いた。

「正直、こっちでクロムさんと会った時、なんだか気まずかったですね。愛を誓いあったことは覚えているのに、お互いそういう気持ちになれないっていうのが。もちろん、クロムさんはいい人ですし、嫌いというわけではないんですけど」

そうだったのか、と俺は納得した。
そんな心境で、他人から二人の関係を揶揄されたら、たしかに激怒するだろう。
俺は軽い気持ちで、地雷原に足を踏み込んでしまったわけだ。
本当に悪いことをした、と俺は深く頭を下げた。
ルフレが首を横に振る。それから少し口を閉ざして、やがて何かを決心したかのように頷く。

「それに、ですね。私は、他に好きな人がいるんです。この世界で出会った……」

吐息に紛れてしまう程にか細く、途切れ途切れに紡がれる言葉。俺は目を皿のように丸くした。
クロムと良い仲と勘違いしていたので、彼以外にそんな相手がいるとは思わなかったのだ。
となると、相手は誰だろう。同じシリーズ出身の、マルスやアイク辺りだろうか?
まあ、自分で考えるより、本人に聞いた方が早いのだが。
俺が尋ねると、ルフレは口を閉ざしたまま、ゆっくりとこちらの方を見た。

ざあ、と風が吹き、少女のツインテールが揺れ動く。
黒曜石を思わせる瞳は、真っすぐな視線で、俺を射抜いていた。




…………ので、俺は視線の行く先を追って、反対側に顔を向けた。




しかし、こんな所にいるのは、せいぜいチャッピーかピクミンくらいなものだが。
もしかしたらオリマーとかかも知れない。いや、彼は妻子持ちだった筈………
不意に、ひゅっと後ろから白い手が伸びてきて、俺の首を無理やり捻じり戻す。
ぐえっ、と俺は呻き声を上げる。目の前に、半泣きになったルフレの顔があった。

「ばっ……バカなんですかあなたは!? 私、明らかにあなたのこと見てたでしょうが! 察してくれるでしょう、普通は!!」

俺の頭を両手で固定しながら、ルフレがガルルルルと吠える。
彼女のテンションに差があり過ぎて、俺の頭は、洪水の中に落ちた木の葉のように混乱していた。
しかし、今の必死な言葉を受けてさえ、何もわからないほど俺は鈍くはないつもりだ。
それを改めて認識すると、心臓が激しく脈打ち始めた。
つまり、要するに、どういうわけかは知らないが、彼女は俺を………
ふと、目と目が合う。ルフレは下唇を噛み、緊張した面持ちをしていた。
彼女に釣られて、俺の体も固くなる。油を切らした機械になった気分だ。
熱い吐息が顔にかかる。いつの間にか、ルフレの顔が迫ってきていた。
ここまでくれば、もう勘違いのしようもない。
顔が近づいてくるということは、当然そこに付いている唇も一緒というわけで。
少しずつ、二人の間に横たわる距離が縮まってゆく。少しずつ、少しずつ………

その時。突然、ざあっ、と雨が降り出した。
まるで滝の真下にいるかのように、大量の水が頭上から襲いかかってくる。
冷えた頭で思い出した。この「とある星」は、いきなり大雨が降ってくるのだ。
ロマンスな感じの雰囲気は何処へやら。俺とルフレはぱっと体を離して立ち上がった。

「と、とにかく雨宿りできる場所を探しましょう」

俺は頷き、鎧の飾りをがちゃがちゃ言わせながら走り出した。



幸運なことに、それほど離れていない場所に、うまい具合に樹の枝が屋根代わりとなっている大きな岩を見つけた。
高台だから、溜まった雨水に溺れたり、地上の原生生物に襲われることもない。
乾いた葉っぱを集め、ルフレに火を点けてもらう。
ぼっ、とたちどころに炎が燃え盛り、その明るさと熱が心に安心をもたらしてくれる。
俺は地面に刀を突き立てると、そこに脱いだ鎧と兜を吊るした。
へっくし、とくしゃみをする。さすがに、トランクス一丁だと肌寒い。

しかし、それは隣で体育座りしているルフレも同じはずだ。
びしょ濡れになったコートやシャツ、ズボンを脱ぎ捨て、黒のブラとパンティだけの姿になっている。
男がすぐ傍にいるのに、さほど抵抗感なく半裸になったことに俺は驚いていた。
眼潰しくらいはされるかと思っていたが、その心配はないらしい。
明かりの外に目を向ければ、相変わらず雨が夜闇を貫いていた。
雨音は、聴覚を麻痺させようとしているのかと思うほど騒々しかった。

「……えーっと。さっきの話の続き、いいですか……?」

火に当たり、濡れた体が幾分か乾き、じんわりと温まってきた頃。
もごもごと唇を動かしてから、ルフレが口を開いた。
先ほどのカミングアウトの決着は、まだついていない。少女の頬に差す赤は、はたして焚き火の照り返しだろうか。

「昼間も言いましたけど……普段からいろいろ助けてもらってて。亜空軍の残党と一緒に戦った時には、もう意識しちゃって、て……
ううう、改めて説明すると恥ずかしい……こ、ここまで言ってもわからなかったらサンダーですからね!」

最後の方はまくしたてるように言って、ルフレは顔面を両手で覆い、俯いた。
ピーチやサムスとは何度となく体を重ね、少なくとも嫌われているということはないだろうが、互いの感情を明言化することはあまりない。
こういう風に愛の告白……らしきことをされたのは、この世界に来てからどころか、生まれて初めてだ。
だからというわけではないが、俺は半信半疑だった。
ちょっと親切にしたぐらいで自分のことを好きになってくれるのなら、今頃俺はハーレムを築いている。
第一、好意があるというのなら、うっかり胸を触ったからといって魔法をぶちかましたりはしないと思うのだが。

「わ、私だって女の子なんですから! 男の人の、頼りになるとこ見せられたら胸がキュンってしちゃうんです!」

喚き立てるルフレの耳は、明らかに炎のせいでなく赤かった。
こっちまで赤くなりそうだ。

「胸のことも……むしろ、好きな人だから触られると恥ずかしいんですよ。他の人と比べて大きくないし……というより小さい方だし……って何言わせるんですか!」

照れ隠しか何なのか、ルフレがバシバシ俺の頭にチョップを食らわせてくる。わりと痛い。
ここまで来ても、俺の胸にはまだ疑念が渦巻いていた。
我ながらどうしてここまで疑り深いのかと嫌になるが、今まで人に好きとか言われたことがないので仕方がない。
その気になったところで「ドッキリでしたー!」なんて言われたら、俺は自害する。

「なんですかその目。言葉だけじゃ、信用できないってことですか? ……し、仕方ないですね、もう……」

ルフレはそう言って、手櫛で特に乱れている様子もない髪を、何度も何度も梳く。
それからの動きは、実に素早かった。
彼女は目を閉じ、何をするつもりだと思う間すら与えず、キスをしてきた。
下着越しに俺と肌を密着させているということに、ルフレは気付いているだろうか。
唇を重ねる間、こちらにもたれかかってきている少女の体は、緊張によって固く縮こまっていた。
しっとりとした感触を、俺は目を白黒させながらも味わっていた。
舌も入れていない、触れ合うだけのキスだが、これもなかなか気持ちいい。
それと並行して、ここでこっちから攻めまくったら引かれるかなあ、なんて思ったりもする。
やがて鼻で呼吸するのが苦しくなってきたか、「ぷはっ」とルフレの方から離れた。

「はっ……はっ……ど、どうです? これで私の告白……信じてもらえましたか?」

酸素不足のためか涙目で、顔を赤らめた下着姿の少女。
真正面から見てみると、特別に出っ張った部分は無いものの、その分均整の取れた美しいスタイルをしている。
新雪のように白く滑らかな肌に、俺は固唾を飲んだ。
もっと触れてみたい。その思いに連動したらしく、俺のトランクスの前部分が、内側からむくりと膨れた。
ここのところ、この手の誘惑に弱くなっている気がする。いくらなんでも盛り過ぎだ。

この至近距離ではごまかしようがない。直視したルフレが「ひゃっ」と裏返った声を上げる。
しかし目をそらしたりはせず、そのまままじまじと男の局部に視線を注いでいた。
そんなに見られるとこっちの方が恥ずかしい。

「あ……あぅ……それって、そ……そういうことですよね? いくらなんでも気が早すぎますって! 駄目です! 駄目駄目っ!」

こっちが何も言わないうちに、ルフレは首をぶんぶん横に振る。
俺としても、そこまでしてもらうつもりはないのだが。放っておけば、いずれは収まってくるだろう。
しかし、ルフレは舌の根も乾かないうちに、自分の言葉を撤回した。

「……でも、私のせいでそうなったんだし……そうですよね? 男の人って、そこが固くなったままだと苦しいそうですから……わ、私が責任取ります!」

そう言うやいなや。ルフレは素早く俺に襲いかかってきた。
俺を突き飛ばすように押し倒すと、一気呵成とばかりにトランクスをずり下ろす。
さすが軍師。攻めるときは躊躇わない。
半勃ちになったモノが露出し、少女の視線を浴びる。ルフレが「わあ……」と感嘆らしき声を上げた。

「なんとなく、記憶にはありますけど……改めて見てみると、すごい、男の人って感じがしますね……!」

よくわからない感想を述べると、ルフレは白い指で俺の肉棒触れた。
ひんやりとした感触に、俺は身を竦ませる。同時に心地よさもあるのだが。
新しい玩具を与えられた子供のように、ルフレは無心に男の象徴を弄っていた。
くんくんと臭いを嗅いでみたり、亀頭をやわやわと手のひらで包んでみたり。茎の部分を軽く扱いてみたり、球袋をたぷたぷと揺らしてみたり。
技術は拙いが、それらはたしかに刺激で。俺の肉棒がむくむくと膨れ上がってゆく。

「うわー、うわー、私の青銅の剣みたいですね……きゃあっ!?」

ルフレが悲鳴をあげたのは、俺が彼女を押し倒し返したからだ。攻められる一方では男がすたる。
柔らかいベッドでなく、硬い岩の上なのは申し訳ないが、我慢してもらおう。
ルフレは体を強張らせ、両手を胸の前で組んでもじもじとしていたが、やがて観念したかのように腕を横に広げた。

「や……優しくしてください……」

不安と期待が、ルフレの顔から見て取れた。俺は頷くと、まずは彼女の額に口づけした。
それから頬に、脇腹に、太ももにと少しずつ下降しながらキスをしてゆく。
その度に、ルフレが艶めかしい声を上げて悶えた。性感帯とは、体のあちこちに散らばっているものだ。
キスと並行して、俺は胸部を覆う黒いブラをずり上げた。
白い丘が、ふるんと揺れる。先端を飾る、朱色の蕾が映えて見えた。
やはりボリュームという点ではピーチやサムスに一歩引いてしまうものの、十分美味しそうだ。
俺はルフレの右胸に吸い付いた。乳首を唇で甘噛みしつつ、先端を舌でくりくりと抉る。

「んふ……エッチな赤ちゃんですねー」

ルフレが熱い吐息を洩らしながら、俺の頭を撫でてきた。
それを余裕の表れと取った俺は、少しくムキになり、左手でもう片方の乳房を攻撃した。
形の良いお椀形の柔肉を五本の指で揉みこむ。押せば跳ね返してくる弾力が楽しい。
乳首を手のひらを使って撫で回してやると、すぐにぴんと硬くなった。

「ふぁっ、あぁぁ……」

ルフレが声を押し殺して喘ぐ。白い肌は、全体が赤みを帯び始めていた。
まだ誰も足を踏み入れたことのない聖域を荒らしているかのようで、俺は背徳的な興奮を禁じ得なかった。
もっと、彼女が乱れる姿が見たい。ここからの攻めは、声を隠せなくなるくらい激しくしてやろう。
俺は、顔をルフレの股間の上に移動させた。
自身の、もっともデリケートな部分に男が触れることを予想して、少女が息を呑む。
俺は、赤ん坊のおしめを替えてやる時のように、ルフレの両足を上に持ち上げた。

そして、黒いパンツを剥ぎ取る。俺は内心で、ほうと溜息をついた。
俺の前にさらけ出されたルフレの秘所は、前人未到であることを示し、肉の門で左右からぴっちりと閉ざされていた。
その上のなだらかな丘には、白銀の陰毛が狭い範囲に生えていた。白い肌のために、注視しないと見えにくい。
綺麗だ、と素直に感じる。ピーチやサムスのそれとは、また印象が違った。
焚き火が作る薄明かりの中、サーモンピンクの縦筋から、かすかに半透明の滴が垂れているのが見える。
しかし、まだまだ濡れ方が足りない。俺は岩の上に腹這いになり、今度はルフレの秘所にキスを落とした。

「ひゃうっ!」

ルフレの体がびくんと揺れる。裏返った声に滲むのは、羞恥心と快楽だ。
俺は膣口に唇をくっつけたまま、舌でその部分をべろりと舐めた。
糊のような味がするのは、どの女性もそうは変わらない。
縦筋に唾液を塗り込むかのように、俺はじゅるじゅる舌を動かした。

「あっ! やっ……そんなとこ、汚いですからぁ! ぺろぺろしないでぇ……」

ルフレが体を仰け反らせる。
何が汚いものか。少なくとも、汚すのはこれからだ。
俺は時折、舌先で小さなクリトリスを刺激しつつ、肉の門をほぐしていった。
真っ白な画用紙に、色鉛筆で好き勝手に絵を描いた、幼い頃を何故か思い出す。
しばらく犬のように舐め回していると、ルフレの秘所が俺の唾液ではない汁で潤いだした。
下は、尻を乗せている岩の上まで垂れ流しになり、上は白銀の茂みまで浸食している。
なんとも淫らな光景だ。これで、準備は整っただろうか。
舌を引っ込め、代わりに指を一本入れてみれば、膣口はさほど苦もなく飲み込んだ。

「んっ」

ルフレははあふうと荒い息を吐き、涎を垂らして舌による前戯の余韻に浸っていた。
指を抜く。俺は体を起こし、膝立ちになると、すっかり力の抜けた彼女の足を両脇に抱えた。
腰を、少し前へ。広がった股間に、すっかり硬く反り返った肉棒の先端を突き付ける。
彼女もその動きに気付いていただろうが、もはや拒否の声は上がらなかった。
それでも俺は、最後に聞いた。いいのか、と。
ルフレは綺麗に微笑し、首を縦に振った。

「……いいですよ。来てください」

それが誘い水となった。俺は腰をぐいと前に突き出した。
亀頭が、とろとろの陰唇と接触する。お湯のような熱さを感じた。
左右の肉を押し広げつつ、さらに奥へと進む。根元まで入ったあたりで、俺は情けなく呻いた。
膣の締りがきつ過ぎて、痛いくらいの快感が脳に送られてくる。もっと奥へと、と本能が囁く。

「はっ……ぐぅぅぅぅ……っ!!」

しかし、ルフレの苦しげな声を聞いて、俺はいくらか頭を冷やした。
少女は、瞑った瞼から涙を流し、自分の唇を噛んでいた。挿入による痛みに耐えるためだろう。
俺は慌てた。これまでの性交は、多くの場合女性側に流されてのことだったし、彼女たちが苦痛を示すこともなかった。
だから、こういう時にどう対応すればいいのか、まるでわからない。
せめて彼女の体内に埋まっている一物を引き抜くべきだろうか?
思考が纏まらない中、不意に下から伸ばされた手が、俺の頬を撫でた。

「だいじょうぶ、ですから……痛いのも、あなたと繋がれた証ですから、し……私、幸せです」

俺の下で、ルフレは笑っていた。
男を安心させるためのそれは、笑みというにはあまりにも痛々しい。頬は涙で濡れ、額には汗が浮かんでいる。
一度深呼吸して、俺は心を落ち着かせた。少なからず経験がある男が、初体験の女の子に励まされるとは情けない。
拡張の痛みに反応してか、ルフレの膣肉はでたらめにくねり、異物を体外に排除しようとしていた。
俺は腕を伸ばし、少女の胸の上に手を置いた。ゆっくりと、パンの生地をこねるように優しく揉む。
痛みを、性感帯への刺激で中和するのだ。
正直なところ、どれだけ効果があるかはわからないが、ルフレが少しでも楽になるよう祈る。

「はあっ、ふっ、はあ……あ、う……くふぅ……」

しばらく続けていると、荒く息を吐いていたルフレが、甘い声を出すようになってきた。
膣肉のきつすぎる締りも、少しずつ緩んでくる。

「……ありがとうございます。だいぶ、落ち付いてきました」

ルフレがそう言うと、俺はほっと胸を撫で下ろした。
女の子が苦しむ姿なんて、できれば見たくはないものだ。
ルフレは、胸の上にあった俺の右手を取ると、顔の前に引き寄せて、指先に口づけをした。
そして、「だから」と囁くよう言う。それはじんわりと、俺の鼓膜を痺れさせた。

「もう我慢しないで……動いて、私の体で気持ちよくなってください」

その瞬間は、限界まで水が溜められた堰が決壊するのにも似ていた。
俺は万感を込めて、ルフレのくびれた腰を掴んだ。







「あっ……あっ……いいですよっ、出してっ、私の中に……んああああっ」







「はふぅ……すごかった、です……まだお腹に入ってるみたいで……え? もう一回?」







「ひいいいいっ! 深ぁ……そんなっ、上から押しつぶすみたいに……あぐうっ」







「も……もうダメでひゅ……や、やすまへてぇぇ……はぁあああ……」






翌朝。前日の雨が嘘のように、雲一つない青空が広がっていた。
足を泥濘に取られないように注意深く進み、頭上の葉から垂れる滴をかわしつつ、俺は森の中を進んでいた。
ルフレをおんぶしながら。

「ほらほら、転んだら二人とも泥だらけですよー。気をつけてー」

背中のルフレが、兜越しに俺の頭をぺしぺし叩く。
昨晩、俺の情欲は異様に燃え上がり、結局夜通しで四回戦もしてしまった。
それによってルフレの腰は徹底的に破壊され、歩行が不可能だったため、俺が責任を持って彼女をおぶっていくことになったのだ。
幸い、ルフレの体は軽く、大した負担にはならないのだが。

「まったく……あなたがあんなにケダモノだったなんて知りませんでしたよ。これじゃあしばらく乱闘はお休みですね」

そう言うルフレの口調は、如何にも「私怒ってます!」という感じではあったが、声は弾んでいた。
表情はわからないが、おそらくは笑っているのではないかと思う。

「あなたの家についたら、まずはシャワーを浴びましょう。そのあと二人で食事して……あ、昨日は徹夜だったから、ちゃんと寝たいかも」

俺は目を丸くした。このままウチに来るつもりなのか?
ルフレはふふんと鼻を鳴らし、俺の耳たぶを舌先でぺろりと舐めてから、楽しそうに言った。

「………子供の名前は、マークでいいですか?」

ぞっ。俺の背筋に、ひやりと冷たいものが走った。

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