スマブラのエロパロスレまとめ

ふと思いついた話ですが勢いで書いたアイク×ピーチ投下(需要少ないので不安ですが…
エロはなしです





「まあアイク!どうしたの、これ」

乱闘を終え控え室に戻ってくると桃色のドレスを身に纏った姫がいた。
自分の姿を見るなり驚いた声を発される。
何がだ?と疑問を抱いたが彼女の目線がマントに向けられているものだと気付き同じ場所に目を向ける。

「ひどく破れちゃってるじゃない」
「…気付かなかった」
目に映るのはすっかりボロボロに破れた自分のマント。深く裂けてしまった部分が痛々しく目立っている。
乱闘に夢中で気付かなかったが相手の攻撃を間近で避けているうちについた傷だろう。

「このままじゃ余計に傷んじゃうわ。ちょっと貸してくれる?」
「いや…このくらい平気だ」
「こんなに裂けちゃってるともっと破れちゃうわ。次も乱闘の予定でもあるの?」
「今日はもう予定ない。しかしピーチの方の予定は大丈夫なのか?」
「ええ大丈夫よ。すぐ済むから」

改めてマントの裂け具合を目にするとどうしようもない気持ちになった。
元々裾が多少破けてはいたものの、今のマントの破け様といえば気持ちがいいくらいだ。
裁縫などの経験が無い自分じゃどうにもできそうにない。
ましてやこんなに裂けてしまっていては修復が不可能に近いのでは、と思う。
このまま使っていたらこのマントも今以上に無残な姿になってしまうだろう。
「任せる」
半ば強引にも思える誘いだったが、ここは大人しく彼女に託すしかないようだ。

身につけていたマントを取り彼女に手渡すと、テーブルの上には既に裁縫セットが用意されていた。
近くにあった椅子に腰掛けるとピーチもソファに座りなおして作業開始の準備をしている。
てきぱきと準備が早いその行動から裁縫に手馴れているものだと思わせた。

***

「すごいな…」

作業開始から時間はあまり経っていなかった。不思議なことに時間の感覚が曖昧に感じる。
それは彼女の手作業が見事なもので、つい見入ってしまっていたからだ。

「裁縫は小さい頃から好きでよく婆やに教わってたのよ」
テンポよく縫われる動きは見ていて飽きなかった。

「アイクは時間があると普段何しているの?」
「俺か?そうだな…主に剣の素振りかトレーニングだな」
「普段から努力しているのね。だからあんなに強いのかしら」
「そうでもない。まだまだだ」
「あんまり無茶しないようにね」
「ああ、気をつける」

話を交わしながらも作業は順序よく進められていて、もうじき仕上がるところに差し掛かっていた。
しまいには手に針を刺してしまうのではないかとハラハラさせられたが、なんと手際のいいことか。
みるみるうちに裂けていた部分が元の形を取り戻してゆく。

「器用なんだな」
「ふふっありがとう。もうすぐ仕上がるわ」

ちまちました作業が苦手な自分にとって、それはすごい才能に思える。
尊い目で彼女の手元を見ながら仕上がりを心待ちにした。

「できたわ!」
ばさっとマントが広げられると、先ほどの裂けていた部分が嘘のようにくっついていた。
「これはすごいな…予想以上の仕上がりで驚いた」
想像していた以上のいい仕事っぷりに思わず歓声が沸く。

「一応しっかり縫っておいたけど、また破れちゃったら裁縫だけじゃ間に合わないわ」
「わかった。なるべく気をつける」

早速直してもらったマントを身につけてみる。
さっきまで自分が身につけていたものなのに、なんだか新しいマントでも身につけている気分だ。
しかもよく見るとボロボロだった裾まできれいに直っていた。

「裾まで直してくれたのか?」
「ええ、気になったから…いけなかったかしら?」
「いや、ありがとう。まるで新品みたいだな」

よかった、と笑顔で返事をしながらピーチは裁縫セットを片した。
普段衣類が破けていても自分では特に気に留めてはいなかったが、彼女は気にしてくれていたのだろうか。
「そうだわ、おいしいお肉が送られてきたのよ。今日のご飯はみんなですき焼きね!」
だとしたら自分も少しは身だしなみを気をつけるように心がけようと思った。

「すき焼きか。楽しみだな。」
「ふふふ、楽しみに待っててね!」
「悪いな。何から何まで世話になって」
「いいのよ、気にしないで。じゃあ料理の準備に取り掛かろうかしら」

「そうだ。礼させてくれないか?」
礼をしたい。ふと思ったが、ここまで世話になったからには礼の一つくらいしないと気が済まない。
時間を割いてまで手がけてくれた裁縫は上出来。
おまけに今晩のおかずは好物の肉をご馳走してくれるようだったから。

「お礼なんて別にいいわよ?私がしたくてしたんだもの」
「そうかもしれないが…一つくらい礼したって悪くはないだろう?」
「う〜ん、じゃあお言葉に甘えようかしら」

とはいったものの、礼なんか考えていなかった。
しかも手持ちのものなんか何もない。何をしたら彼女が喜ぶのかもサッパリだ。

「ピーチはお礼するとき何をするんだ?」
「私?そうねぇ…お料理を作ったり手紙を出したり、あとはキスなんかもそうね」

思い出すように話す彼女を顔を見て自分の中で繰り返した。
キス?

「悪いが今は手持ちがないんだ…そのキスでも構わないな?」
「えっ、」

目の前に影がかぶさった。
ピーチの頬に手が添えられる。柔らかいものが触れる感触。
体の力がサァッと抜け、時間が止まったかのような感覚に陥った。
何が起こったのか分からず瞬きをした。目の前にあるやや釣り目の蒼い瞳がこちらを見ている。

キス、されたのだと現状把握したのは頬に添えられたアイクの手の熱が伝わってきた時だった。
同時に目の前に光が差した。

「…また破れた時は頼む」
「…あ。ま、またいつでも」
彼が部屋を去って行く姿から目が離せなかった。
声が少し裏返ったかもしれない。

キス、とは言ったが自分の場合は頬や鼻にキスをするのだと説明することを忘れた。
唇になんて初めてなのに。

部屋の外から小さく咳払いが聞こえた。
どうやらお互い初心があったようだ。
普段無愛想な彼からは考えられない行動に内心驚きを隠せないでいたが、あれは彼なりの気遣いなのだろう。
すごく優しい口付けだった。

「…い、いけない!ご飯の準備しなくちゃ」
なんだかやられた気分だったが、何もなかったかのようにご飯の支度を始めることにする。
意識してしまっては心臓の音がうるさいからだ。


――end――

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