スマブラのエロパロスレまとめ

雨の日のマントネタで萌えたので書いてみた。
エロくない。


スタジアムの近所の雑貨店から出てれば、天気は大荒れ。大雨だった。
ピーチはひとつ、息をつく。
(ちょっとお買い物に夢中になりすぎたかしら?)
仕方ないわ、可愛いアクセサリーがいっぱいあったんだもの。
それらを選ぶあいだにも、間をおかずに雷鳴が轟いていたのだろうが、全く
耳に入らなかった。
そういえば出がけに、ロボットとファルコが何か話していたような気もする。
『羽がしけちまって気分悪いぜ。こいつは降るな』
『天気ノ落チ着カナイ時期デスカラネ』
……とかなんとか、そんな内容だった。
一昨日は曇りのち雨、夕方に晴れ。昨日は快晴。今朝も秋晴れ。今は雨。
洗濯担当のワドルディたちはさぞかし大変だろう。空が一喜一憂するたびに、
わにゃわにゃと洗濯物を出し入れしている。
しかし、彼らには申し訳ないが、ピーチは雨が嫌いではない。水滴が弾ける
音を聞くと、ついリズミカルに足が踊る。屋根や窓枠が叩かれる音を聞きな
がら、友達と紅茶を飲むのもいい。
(マリオはいつも気がそぞろで、あんまりお話聞いてくれないけど)
彼の職業柄、仕方のないことだと理解はしている。なにせマリオは配管工だ。
雨となれば、水道管や下水道のことが心配になってしまうのだ。今年の夏は、
近年まれに見る豪雨のせいで、あちこちの水道整備に大忙しだった。
さすがの創造神マスターハンドも、無から有を生み出すことこそ可能でも、
修理ができるほどの専門知識は持っていないらしい。大活躍する恋人の姿は
ピーチにとっても誇らしいものであった。
だがやはり、寂しいのだ。
姫という立場同士、話の合うことの多いゼルダにも恋人はいる。リンクという
精悍な青年だ。彼はいつも、ゼルダや子供達の側にある。どんなときも。
何故とはなしに、ピーチは左手の袋を見やる。中には、ピアスとブローチが一つ
ずつ入っている。
本当はゼルダへの土産を購入することも考えていた。しかし結局買ったのは
自分の分だけだ。こういうものは恋人の手からもらったほうが嬉しいだろうという
気持ちと、ほんの少しの嫉妬心が邪魔をした。

雨の日は心が浮つく。楽しいことだけでなく、寂しさも思い出してしまう。
いっそ濡れて帰ろうか。それも悪くない。
思案しているうちにだいぶ軒先に居座ってしまった。
この天気とあっては新たに店にくる客もない。これ幸いと、ピーチは鞄の口を開いた。
そして財布と携帯電話の下から、クリップのケースを出す。
そのまま外を歩けば、ドレスの裾が泥だらけになってしまう。足首の少し上まで
ドレスをたくしあげ、クリップでとめるのが、雨の日の散歩スタイルだ。
「ピーチ姫、どうされたのです?」
声がかかったのは、裾を固定するべくピーチが腰をかがめた瞬間だった。
誰だろうかと身を起こして周囲を見回すが、自分以外の人影はない。
「こちらです、姫」
声は背後の足元から聞こえる。目線を下にやり、ピーチは顔をほころばせた。
直径20センチメートルほどの青い球体が、上下するスカートに視界を遮られて
もがいていた。
「あら、メタナイトちゃん」
「かがんでおられましたが、どこか具合でも?」
「ううん、なんでもないのよ。雨だし、ドレスが汚れちゃうからちょっと裾を、ね」
ようやくスカートから顔を出し、なるほど、とメタナイトは全身でうなずいた。
「妙なことをお聞きしました。申し訳ない。これからお帰りですか?」
「ええ。メタナイトちゃんもね。同じお店にいたの、気づかなかったわ」
メタナイトの腕には、紙の包みが抱えられている。
スマブラの世界には、本来の体格が小さな者も多い。そういった客のために
店主が配慮したのだろう。
「ええ、少々……頼まれまして」
ははあん、とピーチは目を細める。
小柄とはいえ、実力も威厳もあるメタナイトに使いを頼める者などそうはいない。
上司であるデデデ大王か、友人のマルスかアイクくらいのものだ。
しかし雑貨屋から出てきたところを見るに、「頼まれた」というのはどうも嘘らしい。
カービィへの贈り物を物色しにきた、といったところだろう。

「そうなの。お疲れ様ね、メタナイトちゃん」
頭はいいのだが、分かりやすい人物だ。そこが可愛らしいと、ピーチは思う。
プライドのためのささやかな嘘には気づかないふりをして、ピーチはメタナイトを
抱え上げた。
「ひ、姫! 何をなさるのです!」
「メタナイトちゃんも、お使いは終わったのよね。なら一緒に帰りましょ?」
「それはそうなのですが…少し、お待ちください」
ぽん、と音を立て、メタナイトの体が膨らむ。
通常のおよそ4倍。乱闘時のサイズである。
「いいわね、アイテムがなくても体の大きさが変わるのって。私もマスターハンドに
頼んでみようかしら」
「どうしてまた、そのようなことを」
「楽しそうじゃない。大きくなったら星が近くに見えそうよ」
「マリオが驚きますね」
今このときには聞きたくない名だった。今、誰よりもピーチを気にかけてくれない男だ。
そうね、と返したピーチの声音の変化に、仮面の向こうの瞳がわずかに色味を変える。
しかし追求はせず、メタナイトは肩に手をかけた。
「姫、これを」
差し出された腕の上に載っていたのは、メタナイトのマントだった。
スタジアムでは周囲を闇に包むマントも、使用者の手を離れてはただの防寒着に過ぎない。
「お体が冷えます」
「でもあなたは?」
自分は濡れてもすぐに乾く、とメタナイトは苦笑した。
なるほどそうだろう。星の戦士には体毛がない。
「ありがとう。でも、体が冷えやすいのはあなたのほうね? 私は平気よ。傘を持ってきてるの」
やんわりと固辞したピーチの手に、メタナイトは強くマントを押し付ける。
「お使いください。せめてお顔が濡れないように」
メタナイトのマントは暖かかった。頭と肩と、そして目元がちょうど隠れる。
雑貨店はスタジアムのすぐ側だ。そこから宿舎までは、女性の足でも30分とかからない。
道のりの短さを惜しむのは久しぶりだった。初めてマリオに救われたとき以来かもしれない。
ピーチは右手に抱えたメタナイトを見て頬をゆるめる。
メタナイトの肩あてには、先ほどピーチが買ったブローチが輝いていた。女性用の意匠だが、
なかなかよく似合っている。メタナイト自身も、恥ずかしそうにしているもののまんざらではない
様子だった。
「メタナイトちゃんはほんとに可愛いわね」
ぷに、とピーチが指で体を押すたびに、いちいち抗議してくれるのが嬉しい。雨の日のマリオは、
頬をつついても顔に落書きをしても、ろくに相手をしてくれないのだから。
「姫、私は小動物ではありません。可愛くありません。撫でないでください」
「だって可愛いんだもの。仕方ないわ。ね?」
「姫!」

ねえメタナイトちゃん、今日これから時間あるかしら。

本当? よかった。じゃあ一緒にお茶を飲みましょ?

ええ、そうね、3時になったら私の部屋に来てちょうだい。待ってるから。

カービィちゃんは一緒じゃないの? 残念。ケーキの試作品があったんだけど。

うん……それもそうね、メタナイトちゃんなら、カービィちゃんの好みも分かるわよね。

ケーキ、改善したほうがいいところがあったら教えてね。頑張るわ。アドバイスお願いね?

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