スマブラのエロパロスレまとめ

「―それではお天気です。今日は全面的に曇りのお天気となりそうです。晴れ間がのぞく時もありますが、洗濯物は外で干さないが吉です!
降水確率は午前が30%、午後から80%と高確率で雨が降ることが予測されます。お出かけの際は折り畳み傘など
お持ちいただくと安心いただけるかと思います。お忘れなく!それでは占いです。今日、一番運勢のいいのは−」


昼すぎ。
天気予報が嘘をついたように太陽はすべてを照らしている。それがあくまでも“予報”だったことを再認識させるように。
空気は涼しいが、日差しは暖かい。時々、遮る様に分厚い丸々と太った雲が通り過ぎ、太陽が顔を出す。その繰り返
しが何度かあるだけで、雨は降る場所を無くしてしまったようだ。
飛行機雲が一筋入った空をしかめっ面になりながら見上げると、ウルフは穏やかに流れる時間がここにあることに気
づく。ただ歩く。舗装された道を歩く。それだけでも時間は過ぎていく。ゆっくりと、歩く早さで。飛行機雲は広がりながらうすれてゆく。
「ぴかぁ〜…」
ウルフの後ろでピカチュウが尻尾の動きを追いかけるように左右に揺れながらついてきている。
時々、ウルフは立ち止まる。それに合わせるように、合わせようとして少し遅れながらピカチュウも立ち止まる。時々、足にぶつかる。また歩き出す。
「変わってるな」ウルフが誰にでもなく言う、または呟く。「俺なんかについてきて」
ウルフが言った言葉を理解したのか、ピカチュウは首をかしげるような仕草をする。もちろんウルフはそれを見てい
ない。彼はただ前だけ、もしくは必要なときだけ前にある現実の風景を見ている。数十四方メートルの空間を見る。
または、何も見ない。ほとんど無意識に足を動かし、避けるものは避け、曲がるところは曲がる。
ふと後ろを見ると寮からあまり離れていないことが分かる。そんなにのんびりと歩いていたのだろうか?とウルフは考える。
また新しい飛行機雲が、一線、斜めに青を切る。覆うように厚く太った灰色の雲がのっそりと被さる。


昼すぎ。
天気予報が嘘をついたように太陽はすべてを照らしている。それがあくまでも“予報”だったことを再認識させるように。
空気は涼しいが、日差しがとても暖かい。時々、遮る様に分厚い丸々と太った雲が通り過ぎ、太陽が顔を出す。その
繰り返しが何度かあるだけで、雨は降る場所を無くしてしまったようだ。
飛行機雲が一筋入った空をゼルダは上目で見る。
ゼルダは特に何をするわけでもなく、ただ広場に設けられたベンチに座っていた。後ろに大きな樹が影を作り、日傘
代わりになっている。その中で妙に早く過ぎていく時間を眺めていた。あるいは、その時間の中で慌ただしく、活発
に遊ぶリュカたちを眺めていた。黄色い大きなボールが飛んだり弾んだり転がったりしている。それを彼らは追いか
ける。手に取り投げつける。ネスがそれに当たる。微笑ましい光景が、時間の経過を早めている。そう感じさせる。
「いいなぁ…」ゼルダが誰に言うでもなく呟く。「子供って平和で」
長く、少し強い風が吹く。ネスの手から投げられたボールは真っ直ぐではなく、軌道を変えてよれた放物線を描き地
面に乾いた微かな音を立て落ちる。転がりゼルダの足元に転がってくる。当たり前のように手に取り、向こうで「こ
っち、こっち」と両手を振る無邪気な笑顔の少年たちのほうへ投げる。
「それっ!」
一度地面でバウンドして導かれるようにネスの手に収まり、また彼らは遊び始める。
ゼルダは風であおられた髪を直し、ベンチに座ろうとする前に空を見上げる。また新しい飛行機雲が、一線、斜めに
青を切る。覆うように厚く太った灰色の雲がのっそりと被さる。


時刻は午後参時を丁度過ぎ、雲はやうやう大きくなりつ。雨、降らねばと誰となく思ふ。


わたあめのようだった雲は一層深く灰色を落とし、ぶくぶくと太っていったかと思うと急に雨が降り出した。どしゃ
ぶりの雨だった。盥でもひっくり返したようにひどい雨で、誰もが予想していないタイミングで降り出した。
もちろん、ゼルダもその被害者で、多少は濡れてしまったが、ひどくない。
あれからベンチを立ち、少し中庭を歩いていたときに降ってきた。すぐに近くにあった石造りで屋根の付いた狭いテ
ーブルスペースを見つけ、飛び込んだ。細くも頑丈そうな柱たちが球体を半分に切ったような形の屋根を支えている。
テーブルスペースといってもベランダに置くようなテーブルを置けないくらい狭い。立ったままその柱にもたれかか
れるだけのスペースといったところだ。
ゼルダは雨水の水滴がついたままの髪を振り、滴を落とす。白い花崗岩の石畳がすぐに吸い、消す。肩に付いた滴も
落とす。 落ちて消える。


ウルフは舌打ちをした後、椿が咲く庭園を抜け、まだ降り始めて間もないというのに水を張ったような石畳を走って
いく。必死についてきたピカチュウは今彼の腕に抱えられている。濡れた地面を走るとどろどろに汚れてしまうと思
ったからだ。
雨は容赦なく振り続ける。
激しい雨のせいで、霧がかかったように地上が白く曇っている。異常に湿気を含んだ空気が十分な酸素を補給させて
くれない。息苦しくなるほどだった。
大気はぐんぐんと温度を下げ、容赦なく自分より温度が高いものから熱を奪っていく。
目の前に雨をしのげそうな建築物のシルエットが本来の色より白くぼやけた形で見えた。ウルフはそこに駆け込む。
駆け込む前から先客がいることは分かったが、それはゼルダだということは大きく一呼吸する時間が必要だった。

「あら…」「おう…」
目が合った二人が同時に言う。おくれて「ぴか」とウルフの小脇に抱えられたピカチュウが鳴く。
「ひどい雨ね」ゼルダがずぶ濡れのウルフとピカチュウを頭からつま先まで見た後に言う。すこし可笑しそうに言う。
ウルフは雨の日に捨てられた猫のようにしぼんでいた。全体に毛束ができていて滴を先に溜めている。
ピカチュウはウルフの腕から離れ、地面に着地したあとぶるぶると体を震わせ水を飛ばす。
「ああ、まったくだ。」
ウルフが顔を掻くピカチュウの仕草を見ながら答える。そして、雨に向かってため息をつく。その時、吐いた息が白
いことに気づく。寒い…。息の白さが寒さを認識させ、誇張する。
「あまり濡れていないんだな」ウルフが腕を組みながら、寒そうに、空から垂れる雨を見ているゼルダに言う。「俺はこのとおりベタベタだ」
「私はこのあたりをうろうろしていたからすぐ雨宿りできたの」ゼルダが言う。「走ってきたけど、どこから?」
ウルフが指を指しながら「向こうのほうだ。森の頭がみえる辺りだ」と言う。頭の毛から鼻先に滴が落ちる。
「ふうん。この雨じゃそうなっても仕方ないわね」ゼルダが足に擦り寄ってくるピカチュウをしゃがんで撫でながら言う。そして寒そうに腕をこする。
「…寒いのか?」
「えぇ、少し…」
「そいつを抱いとけば温いかもな。…いや、服が濡れるから逆か」
「ふふ、そうかも。でもピカチュウも寒そうだから、ちょっとでもお互い温めあうのもいいかも」
ゼルダはピカチュウを抱いてやる。ピカチュウの小さな振るえが治まる。「ちゅう、ちゅう」と小さな可愛らしい鳴き声を出す。
「勝手に俺についてきたんだ」聞かれる前にウルフが言う。
「…なんで?」ゼルダが少し笑いながら聞く。ウルフが短く「わからん」と答える。「最近くっ付いて来るようになったんだが…」
「ねぇウルフ、もしかして餌付けでもしたの?」
「…覚えはないな。頭に乗っかってきたり、尻尾を掴んできたり、よくわからんやつだ」
「ふうん…。あ!ウルフって親分肌な所あるでしょ?そういうの感じ取ってるんじゃないの?『この人についてけば安心だ』みたいな」
「まさか、な」ウルフが微笑交じりに言う。抱えられたピカチュウがきょとんとした目でウルフを見つめている。


「どんどん寒くなってくるな…」ウルフがゼルダに抱かれ、眠たそうに目を閉じているピカチュウの頭を指の腹で優しく掻いてやりながら言う。
「ウルフは寒くないの?」ぽたぽたとウルフの毛から滴る水滴を見ながらゼルダが言う。ゼルダはピカチュウの背中を撫でている。
「俺はどちらかというと冷寒仕様だからな。…だが、こう濡れているとさすがに寒いな」
「早く乾かさないと風邪引きそうね…。寮へ帰ったらまず熱いシャワーを浴びるべきだわ」
「ふん、風邪引くほどヤワじゃない。お前の方こそ風邪引くんじゃないのか?」
「私は大丈夫、風邪引くほどヤワじゃないから」
二人が顔を見合わせてくすくすと笑う。だが、ウルフだけすぐ真顔に戻る。「さて、どうする、か…」と自分に問うように呟いた後、目の前の白く曇った景色を、目を細めて見ている。
「待ってろ」
ウルフは突然言う。そして前へ歩いていく。当然、さっきよりも濡れていく。地面のぬかるんだ音がする。ウルフの靴が泥でさらに汚れていく。
ゼルダは「どこへいくの?」と呼びかけたが、そのまま雨の中を歩いていってしまった。呼びかけたとき、振り向かず手を振っていた。


しとしとびちゃびちゃ、降る雨曰く、ぽたぽたじゃばじゃば、滴る雨は仰る。


柱にもたれ掛ってから15分くらい経った。背中は空気以上に冷えてしまった。
身震いがしてきたので、ゼルダはもたれるのを止めて地面に腰を屈めることにした。背中とは対照的に、湿っている
が胸のあたりはピカチュウのおかげで温い。
「ウルフ、待っとけって言ってたけど…。どうしたんだろ…」
「ぴかちゅ?」
「そう、ウルフ。…今頃、熱いシャワーでも浴びてたりして…」
ほとんど独り言に近いことを言いながら、ウルフが残していった影のような水の跡を見ていると、 びしゃ 、 びしゃ 、 と足音が近づいてくるのが聞こえた。
曇りの中でも、透明の傘をさしたウルフの姿が見えた。
「おい」ウルフはしゃがみ込んでいるゼルダに言う。どうやらシャワーを浴びてきた様子はない。さっきと同じようにべっとりと濡れて萎んでいる。
「一つしか無かった」
傘をゼルダのほうに差し出す。取っ手の部分も濡れている。
その取っ手のところには、ちぎり忘れたのか値札がついたままになっていた。あわててウルフが糸切り歯で切ってポケットに隠す。
「えーっと…、買ってきたの?私のために?」
「…あぁ」
ぷいっとそっぽを向きながらウルフが答える。ゼルダには照れているように見えた。


ゼルダがピカチュウを抱え、ウルフが傘を差して歩く。傘はゼルダのほうに傾いている。
ウルフは「もうこれだけずぶ濡れなんだ。いまさら雨凌いでも意味無いだろ」と言ったが、ゼルダはそれを良しとしなかった。
二人では小さすぎるビニール傘に肩を窄めながら二人と一匹は入り、ぼつぼつと叩く雨音を聞きながら、ウルフがゼ
ルダの歩幅にあわせて歩く。
「肩、濡れてるよ?」ゼルダがウルフの左肩を見て言う。
「いまさら濡れようが関係ないだろ」ウルフが呆れたような声で言う。「それよりあんまり寄るな。俺のせいで姫様の
召し物に染みでも付けたら後が怖そうだしな」
にやりと笑うウルフにつられてゼルダがくすくすと笑う。「罰金ね」と冗談で返す。


雨雲 絞れば 雪の出来損ない 落ちてく水は 氷のやうに 冷たく冷たくざあざあと


寮の入り口で傘を閉じているウルフの姿をゼルダは見ていた。なんとなく寂しそうな表情をしているように見える。
その視線に気づき、ウルフが「何だ?」と鼻を啜りながらゼルダのほうを見る。
「なんでも…っくしゅ!」
小さなくしゃみが出た。お互い顔を見合わせて一瞬だけ動きが止まる。そして苦笑する。
「明日は風邪で寝込むかもな」
「そうね、早くシャワー浴びて体温めないと」

「こいつは俺の部屋で風呂に入れてやる」とウルフが言うので、ゼルダはピカチュウを渡したあと途中まで一緒に通
路を歩き、途中でそれぞれの部屋の方向へ別れていった。
二人が歩いた後には泥で出来た靴跡が数メートル続いて薄れていっていた。


誰だらう? 雨々降れ降れと歌うのは 誰だらう 誰だらう

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