スマブラのエロパロスレまとめ

ちょっとした日常譚を書いてみた。
内容は、X参戦のプレイヤーキャラ総出演。
ただエロ分が皆無なので申し訳ないが、スレ終わりかけの、おまけとでも思って許してほしい。



 私の名はマスターハンド。
 この世界、すなわち、ニンテンドーの英雄たちを模して造られた特別なフィギュアたち
の生きている仮想世界の創造者……ではない。
 ではないのだが、その管理を任されている存在だ。
 ちなみに真の創造者がだれかは、無粋をおかしてまでは語るまい。
 ともあれ彼らフィギュアたちの存在理由は、この仮想世界にて、スマッシュブラザーズ
と名付けられた乱闘勝負をすることなのは、現実世界の諸君がよく知っていることだと思う。

 マリオが得意のジャンプでリンクの剣先を舞えば、原始の生命力をみなぎらせたドンキ
ーコングが、サムスの未来兵器を相手どって暴れ回る。
 スチール・ボディも古めかしいバスが行き交うイーグルランドの田舎町を、スターフォ
ックスの宇宙戦闘機とF-ZEROマシンが猛然と駆け抜け、その森にポケットモンスターの群
あれば、カービィが混じって意気揚々と跳ねまわる。
 そんな光景に心躍らせる人々がいるかぎり、彼らは目一杯に奮闘するのだ。

 ……だが。
 いくらフィギュアでも戦いっぱなしでは疲れもしよう。
 ときには休ませてやりたい。
 そんな想いもあって、私は大乱闘の節目節目に倒すべき最終目標として現れる。見事、
私を倒した者は、一旦ただのフィギュアへ戻って眠りにつくのだ。
 というのは、そういうルールを「この世界」の創造者が設定してあるからだが、目覚め
れば彼らは再び乱闘に身を投じていった。
 その繰り返しである。

 戦うことでしか己の存在意義を確かめられない、哀れな人形達などと言うなかれ。
 彼らはその生活に十分、満足しているのだから。
 ただ、そういう哲学的な思索は別にして、このごろ私は、フィギュアたちが乱闘から離
れて思い思いの生活を楽しんでみても、よいと思うようになった。
 フィギュアたちの戦いを楽しみにしている現実世界の諸君には、申し訳ないとも思うが
……スマッシュブラザーズの人気も、一段落ついた頃であろう。
 マンネリズムからの脱却を試みてみるのも、ひとつの楽しみであると、そう思って許し
ていただければ嬉しい。
 さて。
 それがゆえ、私はフィギュア一同をフィールド「平地」の前に集めてから、こんなこと
を言い出すのだった。

「今日から一週間ほど、スマッシュブラザーズを閉幕する」
「ホホゥ。そりゃまたなぜだい?」
「私の気まぐれだよ、マリオ。しかしあまりない機会だ、この期間は修行やトレーニング
からも離れ、遊ぶことに宛てて欲しい。
 いや、むしろ宛てるのだ。無闇に乱闘を行う者には、相応のペナルティが待っているの
で、覚悟しておくように」
「平和的なこといっているようで、ずいぶん横暴だな」
「アイクよ。なにをいまさらいうんだ。横暴なのは私の特徴だろう、なあスネーク」
「大佐みたいな言い回しで同意を求めないでくれ、まったく……ところでだ、ペナルティ
の内容はなんだ」
「24ジカン メタルジョウタイ トスル。…OVER」
「マスターハンド……お前の悪癖には付き合いきれぬわ。俺は時が来るまで寝ているぞ」

 と、ガノンなどは早々に場から退出してしまったのだが、まあ仕方あるまい。あの男は
破壊と殺戮に身を任せていないと、気分がすまない一種の異常者だ。
 だが、そんな「毒」は、この世界の維持には是非必要なものでもある。
 英雄が集うこの世界は、理想が高い者ばかりゆえ、時として、その空気はぎこちなくもなる。
 現実の世の中であれば、怠惰な者や悪意に満ちた者が溢れているおかげで、高い理想は
常に輝いていられるのだが、そればかりになれば、今度はみな、その崇高さに疲れてきてしまう。
 その状態があまりにも永くつづけば、やがては生きる気力までも失っていく。
 生き物とは、そういうものだ。
 だから不謹慎なことをいうようだが、その意味でタブーの襲来はこの世界のフィギュア
たちにとって、一服の清涼剤になっただろう。
 負の感情は生き物に必要な感覚なのだ。
 そのためにも、欲望に正直な彼の存在は貴重だった。
 クッパ大魔王やワリオと共に。
 思えば、メタナイトなどは私と似たような感覚をもって、プププランドで騒動を引き起
こしたこともあったはずだ。

(もっとも、カービィの世界は逆にひとびとが戦うことも、働くことも忘れたような、怠
惰を絵に描いたようなところだったが……)

 まあ、とはいえ、ルールはルール。
 彼にもきっちり従ってもらうとしよう。
 破れば、メタル魔王がしばらく暴れるだけである。

「なるほど、国民の休日ってわけだなぁ。じゃあ俺様は、自慢のこのバイクで、ぶりぶり
バリバリゴージャスなツーリングでも愉しむとするか」
「ワリオ、下品だぞ」
「あぁ〜ん? うるせえなポニテねえちゃん。俺様にケチをつけるなよ」
「ぽにっ……貴様、いわせておけばッ」
「よせサムス、大人げない」
「だがファルコン」
「いいから。しかしワリオ、君のバイクではすぐにガス欠になってしまうぞ。たしか排気
量が五〇〇〇ccもあっただろう」
「おお、よく知ってるな。そう、直列対向四気筒のモンスターバイクだぜ」
「レシプロエンジンか。レトロな響きだ、悪くない……だが、たぶん、形状と音から推測
するに君のバイクはV型二気筒だと思うぞ」
「あ? そうなのか?」
「うむ。それに、直列エンジンはその名の通り、一列に各気筒が並んでいるものを指すわ
けで、逆に対向エンジンとは、気筒が水平に寝た状態で向かい合うように置かれているも
のでな、直列対向というエンジン形式は物理的に造れるものでは……」
「んがー」
「おっと、寝てしまったか。彼には難しすぎたようだ」
「……ファルコン。あなた、頭がいいな」
「無用な争いは避けるのも俺のポリシーだ。しかし、ツーリングはいいアイデアじゃない
か、どうだサムス。一緒にタンデムライドでも」
「あなたはバイクを持っていないだろう」
「いや。あるぞ。一台……戦友から預かったやつがな」
「それってまさか」
「うむ。「ロードマシーン」だ。奴は、マッハライダーは、今頃どこでどうしているのや
ら」
「知り合いだったのか……」

 さて。
 まず私が目を向けたのは、ワリオたちツーリング組だった。
 当の本人はファルコンからムツカシイ言葉のマシンガンを浴びて寝ているが、周りには
他にソニックにネスとリュカ、さらにカービィなどが集って、ツーリングに洒落込もうと
盛り上がっている。
 ネスとリュカは、あの歳で大きな運命を背負いはしたが、それでも背伸びしたい年頃なのだろう。
 自転車で着いていくと言い張って、ソニックがそれを笑っていた。
 が、見込みが甘い。
 彼らのPSIを駆使した脚力なら、たとえばカーボンフレームで造られた、日本円にして
数十万以上の価格がするキチンとしたロードレーサーさえ与えれば、九〇キロぐらいは軽
く出してしまうだろうから。
 その時の、ソニックの反応が楽しみである。
 また、カービィはああ見えて一輪バイク(ウィリーバイク)歴の長い玉だ。
 フルスロットルやキックターンに、ジャンプもお手の物。
 案外ツーリング中はベテランとして、最前列か最後列を走って集団をリードして
いくかもしれない。

 なるほど、彼らはこういう風に平穏を過ごすわけだ。
 私もカラダがあったなら、オートバイに乗って大陸横断などしてみても、よかったかもしれない。
 そんなことを思っていると、ワリオを筆頭にしたツーリング軍団はルートの談義しはじめた。
 しばらくあっちにいきたい、こっちにいこう、と意見が分かれていたが、最終的には、
自転車がマシンのネスとリュカのことも考慮したらしい。
 平地から湖畔を行き、戦場の砦で休憩を挟んで、一気に荒野を抜けてから遺跡の前で解
散という、割と平坦なルートを選ぶ形になったようだった。
 ちなみに、あれよあれよと持ち寄った各々のマシンは、

 ファルコンとサムスが、レーサーバイクのようなフルカウルに身を包み、おまけにガト
リングガンが車体左右に張り出した「ロードマシーン」、
 カービィが、ウィリーから生み出したヘルパー「ウィリーバイク」、
 ソニックは少々変わっていて、浮遊するボード「エクストリームギア」を持ち出した。
自分で走った方が速そうだが、そこは、せっかくだから、というのであろう。
 ネスとリュカは人力二輪車最強の荒地走破性能を持った「マウンテン・バイク」、
 ワリオは、もちろんリッター二キロしか走らず環境に悪い「ワリオバイク」……に、大
量の予備ガソリンタンクをくくりつけていた。
 さらに、飛び入りでマリオ兄弟がモトクロッサー「エキサイトバイク」に乗って参加。

 という内訳であった。
 見るからに、集まったバイクのジャンルがぐちゃぐちゃである。
 それが一斉にエンジンをスタートさせると、これまたウォンウォンといったり、ドゴド
ゴといったり、バランバランといったり、まったく調和しない合唱を響かせながら平地を
去っていった。
 ……少々不安だが、まあ、よい。
 あとは事故のないことと、珍走団などと罵られないよう、祈っておく。
 そう思った矢先に、ルイージが出遅れた。
 クラッチ操作に失敗してエンストしてしまったのだ。

「まってよ兄さん、まってよみんな〜〜!!」

 まあ、緑はどうでもいいか。
 次の連中を見ていくとしよう。
 今度はアイスクライマーの二人を中心にした、氷山へのロッククライミング組である。
 これは一言でいえばハーケン(クサビ)やボルトをハンマーでもって岩肌へ突き刺し、
そこへかけたロープと己の肉体を頼りに、岸壁をよじ登るという、命の危険が大きいスポーツだ。
 それだけに登頂した時の悦びは、何にも代え難い達成感となるのだが、ハードな行程ゆ
えに集った者は、限られた。
 そのうちのひとりは、アイク。
 彼は、

「剣の素振りも禁止なら、仕方ない。ポポ。ひとつクライミングで鍛えさせてくれ」

 といって、クライミングの基礎をアイスクライマーから学んでいた。
 休みをのんびり過ごす、というような感覚は彼にはないのだろう。
 そして、またのひとりは、スネークだった。
「俺はアラスカ暮らしが長かったからな。久しぶりの寒さを満喫するとしよう」

 と、やや皮肉めいたことを言いながら、しかしその割りには乗り気の表情で自分のザイ
ルやハーネスを用意して、満悦そうだった。
 やはり、硝煙の薫る世界に生きる男には、命懸けのスポーツさえも血しぶきを忘れられ
る癒しの時間だったのかもしれない。

「ところでナナ、シロクマを食べてみたいんだが、味を教えてくれないか」
「ヘッ!? す、スネークさん、あたしはクマなんて食べたことないですよ」
「そうかぁ……ううん、まあキャプチャーしてみるか」
「ワイルドなんですね」
「そうか?」
「うん。結構、カッコイイかも!」
「そうか!」

 ポポにしてみれば、厄介な男が出現しただけだったかもしれないが。
 ビッグボスと、ソリッドの集合意思が相手では、あの童顔ではなかなか厳しいかもしれなかった。
 ただその中でひとり、

「心配だよ。僕もついていく、何かあったら助けられるから」

 と、最近わずかばかりの滑空能力を手に入れただけの、飛べない天使が居た。
 ロッククライミングをスポーツではなく、苦行かなにかと勘違いしている節があるよう
だが、天界の住人に地上人のやることは理解しにくいのだろう。
 まあ今回のことで、少しはニンゲンを味わえれば、またひとつ成長するか。
 案外、パルテナもそんな目論見があって彼を地上へ使わしたのかもしれない。

 こちらも、事故が起きぬように祈ろう。
 といっても万が一のときには、確かにピットがいればナントカなるだろうが。
 さて、次はうってかわって、スポーツで汗を流すのではなく、食欲をあらゆる形で満た
そうとする連中のことだ。
 こちらは、じつに数が多い。
 まあ食は生き物の基本なのだ。休日にそれを楽しむのは、しごく当然の感覚であろう。

 といっても、各々に好みがあるからいくつかのグループに分かれていた。
 ひとつのグループは、ピーチを中心に、マルスとフォックス、ルカリオがデデデ城に集
って、ケーキと紅茶のパーティなど催すようだった。
 むろん、城主のデデデも居る。
 ちなみにピーチは、マリオがモトクロッサーに乗って走りにいってしまったことが、
だいぶ不満であったらしい。
 同じ王族のマルスが、アカネイアの世界では娶った妻を大切にしていることを鑑みて、
「マリオは放浪癖があって困る」とか「いつまでたっても、深く誘ってくれない」などと
積もった不満を、メレンゲを泡立てつつ彼にぶつけていた。

「そう、ですか……ピーチ姫。はは、ははは……はあ」

 災難なのはマルスであろう。
 半分、彼女の愚痴聞き役として引っ張ってこられたようなものなのだ。
 国を追われたり、逆賊の汚名を着せられたり、果ては占領専用にて役立たずの烙印を押
されたりなど、いつもいつも苦労人なのは、もはや彼の運命なのであろう。
 少しはフォックスもなだめに入ればいいと思ったが、キツネにはそんな女のストレスは
とんと解せぬようで、ただ以前に飲んだ紅茶の味が忘れられないらしく、犬のように尻尾
を振っているだけだった。

「ピーチさん。だけどマリオさんは、いつだってあんたを助けにきてくれるんだから、悪く
思わなくてもいいじゃないか」

 ……いや。
 キツネだからというより、単に彼が女心に無関心なだけか。そういえば、一度こっぴど
く恋人にフラれていたはずである。
 ナントカは死ななければ治らない、といったところか。
 同じ事をルカリオも思ったようだった。
 波動の力によって透視すると、ピーチなどこころのオーラが真っ赤になっているのだ。

「フォックス……おまえもイヌ科なら、もうすこし洞察力を持て」
「なんだよルカリオ、俺が洞察力ないっていうのか? 冗談きついぜ、俺は戦闘機パイロ
ットなんだぞ」
「そういうことではない」

 そんな風景を、ワドルディの頭をポコポコとさすりながら、のんびりと腹太鼓を打ち打
ち眺めているのは、デデデだった。

「さあて、ケーキはまだかいのう」

 案外、どの王よりも大王たる貫禄があったかもしれない。

 次にクッパを筆頭にしたグループは、ドンキーとディディーのダブルコングを、まるで
部下のように従えて、ジャングルの奥地へと突き進み、現地で採れる木の実から獣肉に魚
を使ったバーベキュー大会を開催するつもりのようだった。

「サル共よ、ワガハイについてこい。うまい飯をたらふく食わせてやるゾ!!」

 と、豪快である。
 この気っぷの良さが、クッパ軍団が永続する理由なのであろう。
 横暴でも頼れる親分肌が、彼の魅力だ。
 それにコングたちも面白い。
 以前、バナナを盗んだ悪党に対し、コングたちはいささかも敵意を表さないのだから、
彼らが霊長類より、よほど霊長類らしい人格をもっているのが伺えるだろう。
 もしかすると、忘れてしまっただけかもしれないが。
 まあいい。
 ちなみにこの豪快なパーティには当然、カービィを上回る食欲魔神・ヨッシーもついて
きていたが、驚くのはなんとゼルダが同行していた、ということだ。

 しかもシークにすらチェンジせず、ベストにジーンズとキャップをかぶった、ポケモン
トレーナーのような軽装でうっそうと覆い茂る木々を、かきわけて歩くのだ。
 その後ろを、護衛のリンクがいつもの重い装備のまま、必死に追い掛けていく。
 が、追いつけずにどんどん離されていく有様だった。
 ……彼女は、案外ピーチも顔負けなほどにアグレッシブな性格をしているのかもしれな
い。ただ、普段は「姫君」という立場に、遠慮をしているだけで。
 なにせ稲妻キックなどという、ファルコンが「ほう。電撃の飛び蹴りか。いい技だな」
と、使いたがるほど派手で破天荒な必殺技を、編み出すぐらいなのだ。

「リンク。早くおいでなさい」
「ま、待ってくれ姫。はぁ、はあ……」
「だらしないですねぇ、もう。そんな重いものを背負ってくるからです」

 あれは、尻に敷かれるかもしれない。
 ともあれ、次の連中は洋上のファルコにウルフだ。だが、正確には二人ではない。
 二機である。
 すなわち……

「よう、スターウルフ。今日は実戦はできねえが、一丁、性能比べといこうじゃねえか」
「ファルコか。面白ぇ、受けてたつぜ。アーウィンなんざ、もう古臭ぇんだってことを思い
知らせてやる」
「け、改良技術は日々進歩してんだよ。あとで吠え面かくんじゃねえぞ」
「上等よ」
「ようし。再生ハルバードが浮かんでる地点までエアレースだ」

 と、カタギでない火花を空中で散らすアーウィンとウルフェンが、キィンッ、と空気を
切り裂き洋上から一気にハルバードへと迫ったが、その後方から正体不明機が猛スピード
で接近してくるのを、両機のレーダーが捉え、アラートの叫びを訴えた。
 両機は危機を感じて回避行動を取るが、しかし、その中央を小さな機影が、一瞬で駆け
抜けていってしまう。
 あとは、平静が戻った。

「な、なんだったんだ……」
「待て。スピードフォトを撮影できた。正体拝ませてもらうぜ……って、オイ!?」
「どうしたスターウルフ」
「こいつぁ、ファミコンロボットじゃねえか!!」
「ァにい!?」

 ウルフェンのコクピットにある、マルチモニタには、底面からジェットを噴きだして一
直線に飛ぶロボットのフォトグラフが浮かんでいた。
 そのデータはすぐにアーウィンにも転送されて、ファルコの目にも入るのだった。

「あいつ、こんな性能があったてぇのか」

 呆気にとられていると、再生グレート・フォックスから入電があった。

「やあファルコ! ちょいとロボット君を改造してみたんだよ、どうだい、なかなかのも
んだろ」
「……犯人はお前かスリッピー。余計なことするんじゃねえ。空飛ぶのは翼をもったやつ
だけでいいんだよ」
「おい、待てよ。そりゃ鳥野郎の勝手な言い分じゃねえか」
「うるせえ。哺乳類はその名の通り、ママのオッパイでも吸ってりゃいいんだ」
「てめえ……一週間後に覚えてろよ」

 口が悪い。
 かたや暴走族あがりで、かたやヤクザのようなものだから、仕方ないが、口が悪い。
 せめてこのままドッグファイトに突入しないことを祈りながら、また次のグループを見
ていくとしよう。
 さて。
 次はオリマーとポケモントレーナー、そしてトゥーンリンクである。
 ちなみにトレーナーには、最近ピカチュウも懐いたようで、モンスターボールにこそ入
らないものの、よく行動を共にしていた。
 彼(?)にしてみれば、なにか親しい感覚を覚える少年らしいのだ。
 ちなみにプリンもいる。
 が、こっちの方はなにを考えているのか相変わらず不明だ。
 ふよふよと空を漂ってみれば、今度は湖面を浮いてみたり、かと思えば、どこかからか
出てきたミスター・ゲームウォッチのお手玉になって遊んだりと、雲をつかむようなのである。
 だが、それはさておこう。
 それよりも、このグループの特徴は、じつにどんよりとしたムードの漂っていたことだった。
 原因は、オリマーだ。
 三人は揃って湖畔に集い、駆け抜けていったツーリング組を見送ると、ゆっくり釣り竿
など取り出して、バス釣りを楽しむ……はずが、荒い気性をもつバス相手の釣りは、どち
らかというとハードスポーツであり、年齢的にオリマーには辛かった。 ので、早々にリタイアしてしまったのだ。

「おじさん、じゃあフシギバナに乗って休んでなよ。俺が一杯釣って、美味しいムニエル
やソテーを食べさせてあげるからサ」
「わ、悪いなぁ……いや、私も冒険家のはしくれ。元気ならもっと動けるのだが」
「オッサン、そういえば最近元気ないねぇ。どうしたん?」
「うん。猫目の少年、それは君がオッサンになってみれば解るだろう。
 単身赴任というのは、なかなかどうして辛いものなんだよ……いや、世間には嬉しくて
仕方ない、という御仁もいるのだが」
「タンシンフニン?」
「妻と子から離れて、遠い地で独り働くことさ。それが、今はスマッシュブラザーズとい
う訳だ」
「ふぅ〜ん。おいらにゃあ、よくわかんないや」
「ハハハ、それでいい。子供がそんなことを解るような世の中など、私はごめんだ」
「ぴかぁ」

 哀愁漂う中年と、元気な少年たちの姿だった。
 昨今の現実は、少年たちですら哀愁が漂っているが、いつの日か、かつての姿を取り戻
してくれれば娯楽を提供するマスターハンドとしても嬉しいものだ。
 それには、大人が正しい姿を示さねばなるまい。
 ……おっと、つい、オッサンに共鳴してしまった。

 それでは、最後に、最初から私の提案を相手にしなかった、ガノンと……ふと音沙汰の
無いメタナイトを見てみるとしよう。
 ガノンは、どうやら空中スタジアムに用意された選手寮の個室に籠もり、瞑想に耽って
いるようだった。
 その個室にメタナイトが現れる。

「失礼する」
「……メタナイト卿か。何用だ」
「いや、暇だと思ってな」
「なら引き取るんだな。俺は念を練っている最中だ」
「そうか。だが、それはチェスの応酬でも出来ることではないか?」

 そういうメタナイトは、小さな躰で空を舞うと個室に備え付けてあった棚からチェスボ
ードを取り出してきて、ガノンの座す前、案外に質素な机に置いた。
 ずいぶんと部屋の配置に慣れていることから、どうやらメタナイトはガノンの個室には
常連の客になっていることが伺える。
 双方、スマッシュブラザーズでは最高峰の頭脳同士、なにか通じ合うものがあるのだろうか。
 解らない。

「私は堕落した世界を嫌うが、恐怖政治では民衆を完全に支配はできないと思う」
「フン。それはお前の手腕が足りぬからよ」
「これは手厳しい。だが、それなら私にチェスで負け続けるのは、どういう訳だ」
「ム……」
「チェスは偶然に勝負が左右されないゲームだ。戦略と戦術……それが全て。
 おまえの手はいささか強引に過ぎる。真にハイラルを支配したいと願ったのなら、もっ
とやり方があるだろう。ここだからいうが、ゼルダなど、取るに足らぬ女ではないか」
「卿よ。それはお前も同じことだ。ハルバード決起事件の失敗、俺が知らぬとでも思って
いるのか? あのピンク玉ごときに阻止されたのは、何故だ」
「フ……そうだな。だが、ならばこそ私もおまえも、秘める想いは、民衆の支配とは全く
異なるところにあるのかもしれんぞ」
「くだらぬわ」
「まあいい。さあ、まずはひとつ、お相手願うぞ」
 最強の剣士と、孤高の魔王の間で電撃が走った。 
 だが今日の英知の真剣勝負だ。
 静かに、しかし熱い休日の時間が流れていく……ふと耳を澄ませば、どこかからかバイ
クのエンジン音がかすかに聞こえてくる。
 このぐらいならば、思考の邪魔にはなるまい。

 ……さて、これまで戦士たちの休日をご覧になってもらったわけだが、いかがだったで
あろうか。
 時にはこういうイベントがあっても、私はよいと思う。
 だが、心配することなかれ。
 一週間後には、またいつも通りの乱闘が再開されるのだ。
 私も再び、シンプル戦の大ボスとして、この手を縦横無尽と動かすことだろう。その時
には、現実世界の諸君もまた、おおいに実力を振るってほしい。

 それでは再開の日を待っている。
 また、会おう。


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