スマブラのエロパロスレまとめ

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 なぜか段落の切り替わるのが早いが、そこは俺様の趣味である。

「誰に、なにいってんの?」
「お客さんだぜリュカ。俺様は「お客様は神様です」とかほざいてる野郎を見るとぶっ飛ばし
たくなるが、でもお客さんは大切なんだよ」
「?」

 と、ナイトではない方のメタな話題をまじえながら、俺様はロボットを引きずって半ば瓦礫
と化したピーチ城を脱出した。
 ただ姫の指示は完璧だったようで、城内には人っ子ひとり残っていない様子だったのが不幸
中の幸い、といったところか。
 普段の俺様ならこの手のトラブルは大好物で、オーザックでも片手に見物するくらいなのだ
が、今回は事情が事情だ。
 確証めいたものは何もないが、俺様の調査している事件の犯人と、いまのロボット暴走に手
をくだしたのは、きっと同一人物のはずだ。
 本当にただの直感なのだが、俺様にはそう思えてならなかった。
 どうも引っかかる。
 そして、この手の直感ってのはだいたい、当たるのだ。

 そんな意図して起こされたトラブルだったとして、これを楽しむのは俺様の流儀じゃない。
 こういう場合は、むしろ裏で糸ひいて全知全能の存在になったつもりでニヤついている、気
持ちの悪い野郎のキモチワルイ楽しみを、いかに潰してやるか頭脳を回すのが、一流のトラブ
ル楽しみ術なのである。
 そういうことを考えながら、俺様はピーチ姫と会った。
 苦手な相手だが、騒ぎの収拾という貸しをキチンと明示しておかなきゃならないし、情報収
集もしなきゃならない。

「んん助かったわ〜♪ ありがとね。ワリオ、リュカ」
「いや、いいんです」
「よくねえよ! 今回は貸しだぜピーチ姫。お助け料金はだな……」
「あ、お腹空いているでしょう? お城こわれちゃったけれど、厨房は無事だったの。おいし
い食事を作らせるから、どうぞ召し上がっていって♪」
「いや、だから、料金が」
「さ、早く早く」

 ……これだから苦手なんだ。
 有無も言えず、俺様は逆再生のように城の中へと戻されてしまった。その中途でも、なんか
言おうとした途端にピーチ姫は「そうそう、食堂も客室も全滅しちゃったから、私の部屋で我
慢してね」などと、台詞弾幕で妨害を張る手腕だ。
 やっぱり取り立てるのは至難の業だ。
 と思った。
 まあ、いいぜ。たまには難敵を相手にするのも、ビジネスセンスを磨くのに悪くないチャン
スだ。なんとか損をしない程度の、限界ギリギリまで食いついてやる。
 ピーチ姫はケチだが、馬鹿ではないので、タダにしろだなんて押し通しはしない。それやっ
たら、次からビジネスできなくなるからな。
 俺様の根気を折って「もう面倒だから手頃な価格を提示して済ましてしまおう」という気分
にさせるのが狙いなんだろうが、そうはいかないぜ。
 と、そんなこんな思考で歩いていたら、ピーチ姫の部屋に通された。
 この部屋だけは、さすがにというか当たり前というか、ギリギリの時間まで死守されていた
ようで、目立った被害はなく綺麗なものだった。

「天守閣まで墜とされずに済んでよかったナ」
「ホントはどうでもいいのだけれど。一応、示しはつけておかないとならないから。じゃ、少
し待っていてね」

 と、ピーチ姫は横顔のまま、さらっと流すように言って退室していった。
 できれば自分の部屋の警護に回した人員は、もっと有用な場所の防衛にあたらせたかった、
とでも言いたげな表情だった。
 錯覚の可能性も捨てきれないが、しかしこのお姫様、結構クールなところもあるからな。
 王女って立場がなけりゃ、俺様やマリオと同じ、冒険家なんてことをやっていたい性格をし
ているんだろう。
 時々マリオの冒険のお供になったり、このあいだみたいにマリオの救助に自ら出撃していく
なんて暴走をやってのけるのも、立場と心が真逆なことが原因のアツレキが産む、鬱屈とした
想いが根底にあるからなのかもしれないな。

 これじゃ家臣は気が気じゃないだろな。
 まあ俺様にとっちゃどうでもいいことだが。
 それにしても、目に優しくない部屋だ。部屋主の名前のせいなのか、辺りを見回すと調度品
という調度品がぜんぶ桃色にカラーコーディネイトされているもんだから、ちょっと参るぜこ
れは。
 本人は頭が痛くなったりしないんだろうか?
 まさか色盲だったりするんじゃないだろうな。

「なんか落ち着かないね」

 そんな中でリュカがぽつりとつぶやく。
 俺様はその言葉に、ゆっくりと頷くことで深く同意を示した。

「これだけどぎつい色調じゃな」
「それもあるんだけど、僕、どうしてかさっきから落ち着かないんだ」
「ロボットとも戦ったしな。まだ神経がたってるんじゃねえか」
「そういうことでもないような気がするんだ」
「じゃあどういうことだ?」
「わかんない」
「ヘンなヤツだ」
 腹でも減ってるんだろう。食事すれば落ち着くはずだ。
 と、思ってリュカと雑談をしながら首を長くして待っていると、やがて待ちかねた料理がご
丁寧にテーブルや椅子と共に運ばれてきた。
 使用人キノピオたちがクロスや食器を手早く設置していき、ピーチ姫の部屋はちょっとした
食堂に変身する。
 と同時に、ピーチ姫が戻ってきた。

「おまたせね。さ、召し上がって」
「よっしゃ」

 さすがにお城らしく、まずは食前酒から。
 俺様の移動手段はバイクなんだが……いきなり飲酒と来たか。まあそのあたりの配慮はしな
いのが、ピーチ姫らしいといえば、らしい。
 呑んでしまうとバイクを運転できなくなるが、そこはリュカがいるのでどうとでもなる。や
はり味方に引き込んでおいて大正解だったぜ。
 ちなみに俺様はハードボイルドを気取っている男の中の男だが、それでも昔の小説の主人公
みたいに平然と飲酒運転をやってのけたりはしない。

 そういう行為は、今の時代では全然カッコヨクないからである。
 今は合理的であることがトレンドだ。
 そっからすると、アルコールってのはどんな人間の認識力でも低下させる。そんな状態でベ
ストな判断をくだすというのは難しい。
 ベストな状況から自ら逸脱する、ってのはカッコワルく映るわけだ。
 昔だったらアルコールに強いところを見せつけるのがカッコヨカッタのだが、今時「ヨッパ
ライでも運転できるぜ」なんて息巻いてみても、自らの低脳を示しているとしか捉えてもらえ
ず、流行らない。
 タバコが廃れたのも似たような理由からである。
 いまどき「今日も元気だタバコがうまい」などと言おうものなら、周囲からは七〇パーセン
トくらいの確立で気が狂っていると思われるほどだ。
 全体的に貧乏な時代だから、常に危機を与えてくるものに対して鋭敏で、かつ、冷静を保っ
て応じないと……ええっと……なんだな。
 平たくいうと臆病さをうまく誤魔化して、格好よさげに振る舞っていないと現代のトレンド
は目指せないのである。
 寒い時代なのかもしれないが、仕方ないのである。

 と、俺様は時代のトレンドを優雅に読者たちへ解説しながら、食前酒を口に運んだ。イタリ
アンでよく饗される発砲ワインで、ファンタグレープを大人っぽくしたような味わいだった。
 なんてこと言うと、自称食通どもがケンケンガクガクと批難の言葉を浴びせてきそうだが、
俺様がそう思うんだからそうなんだよ。
 次に前菜のハムやチーズを平らげてから、主菜となる仔ウサギのリゾットや、カルパッチョ
を楽しみ、大物のTボーンステーキに挑んだ。
 こいつがまたニンニクの味付けもすげえ美味くてたまらなかった。
 さすがに城だけあって、いい食材を使っているぜ。
 味わいに満足しながら、食後酒にグラッパを貰って甘ったるい蜂蜜のような味覚に酔い、デ
ザートのジェラートアイスを吸い込むと、食の戦は平定となった。
 ごちそうさん。
 ふと横をみると、リュカも満足そうな表情をしていた。
 メシの楽しみだけは万民に共通である。

11

 こうして食事を満喫してから、俺様はピーチ姫と料金の決済について会議に入った。
 論議はとなりのリュカが寝てしまうほど長くなったので、手短に結果だけ述べると、儲けは
大成功を数字で一〇〇として、せいぜい四〇といったところだった。
 やはり手強い相手である。
 いや……俺様の手腕をもってすればもう少し食い下がれるところだったが、しかし状況が変
わったのだ。

「今、なんてった?」
「爆弾よ。ば・く・だ・ん。亜空間爆弾の一個は、このお城の地下シェルターに隠してあるの
。あなた探しているんでしょう?」

 論議中、ピーチ姫はさらりと、キッチン排水溝に流れていくペヤングのカケラ麺のように、
じつにさらりといった。
 おい。
 なんで爆弾を持っている。なんで俺の仕事内容を知ってるンだよ。どういうことだ。 

「いや……知らねえな」
「嘘でしょ」
「俺様は嘘ってやつを、哲学的な意味合いを感じた時以外には使わないんだよ」
「ワケのわからない言葉ではぐらかさなくてもいいわよ。サムスから聞いたの。私にも爆弾探
しに協力してくれって言ってきたんだから。正しくはマリオたちに頼みにきたんだけど、知っ
ての通り行方不明だから……」
「サムスが?」
「あ、私の事うたがっているのね」
「そう見えるか?」
「見えちゃうわ。でもまあ普通そう思うわよね」
「当たり前だろ。サムスが躍起になって探して見つけられないものを、どうしてピーチ姫が簡
単に見つけてこられるってんだ」
「でも本当なのよ。経緯を説明するから聞いてくれる?」
「しょうがねえな」
「ありがとう。まず爆弾だけど、マルス王子が見つけて持ってきたの」
「ほう」
 マルスか。
 いや、意外な盲点だったぜ。たしかに奴なら持ってこられるかもしれない。
 というのはマルスはゼルダやピーチ姫に次いで身分の高い、俺様とは違う世界に住む男だと
思いきや、じつはそうでもない。
 その秘密は「封印の盾」というファイアーエムブレム出自のアイテムにある。
 乱闘では使わないみたいだが、マルスはこれを隠し持っているのだ。
 こいつが名も無き盗賊、いやトレジャーハンターが、とある神殿から無断でゲットしたとい
う曰く付きのものなのである。
 しかもその盗賊、いやトレジャーハンターが、アカネイア王国っつう巨大国家……現代でい
うとU.S.Aに当たる国を建国しちゃったことが様々な怨恨の元凶になり、ファイアーエムブレ
ムの大騒動が始まっている。

 そして、そんな曰く付きアイテムに影響されてなのか、マルスは王族だというのにお宝への
鼻がじつに効くし、しかも鍵のかかった宝箱とか金庫の解錠が異様にうまいのだ。
 俺様としてはそこに共感をもつのだが、それを指摘すると、マルスはめちゃくちゃ険悪な表
情になる。
 ナマスにされては適わないので黙っているが、もしかしたらそんな盗賊、いやトレジャーハ
ンター魂が、なんらかの影響で燃え上がって、俺様より先に爆弾を見つけてきてしまったのだ
ろうか。
 だとしたら悔しい話だぜ。

「よく喋るわねえ。じっさいにそうかどうかは解らないけれど、とにかくマルス王子がこれを
持ってきたのは事実よ」
「……うーん。しょうがねえ、ロボットも動かなくなっちまったし、他にアテもない。とりあ
えずはそいつを信じるてやるよ。だがマルスはどこいったんだ」
「他の爆弾を探しにいったわ。アリティア空軍を総動員しているみたい」
「ペガサスナイト隊か。最近は羽根ヨッシーも組み込まれてるんだってな」
「ええ」
「これじゃ俺が爆弾を探す必要、ないんじゃねえか? ったく……ところで一個見つけたなら
サムスに連絡しなくていいのかよ」
「それよ」

 ン?

「今日はあなたが来てくれて本当にタイミングが良かったわ」
「なんだ、なんだってんだよ」
「サムスと連絡が取れなくなったの」

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