スマブラのエロパロスレまとめ

「う、うわぁぁぁっ!!」

 警備員の悲鳴が冷たい金属で出来た部屋にこだまする。しかし、すぐに悲鳴は収まり、
かわりに鈍い音と共に警備員だった物体の頭部が切り離され、紅い血を撒き散らしながら固い床に転がる。
それを邪魔そうに足でどける、血糊のべっとり付いた剣を携えた若い男。

「……ここか」

 一言つぶやくと、警備員が守っていたであろう扉……扉といっても、強固な合金で構成される
対犯罪に考慮された重装甲の扉である。それをまるで、ベニヤの板でもやぶるかのように
片足で蹴り飛ばし破ると、一気にその中へと突入する。

「なんだ!? きみ……ギャッ」

 突然の部外者乱入に驚く間もなく、頭を剣で突き刺されて絶命する職員。脳漿がわずかに飛び散り、
その場に倒れ伏せた。目の前の地獄絵図がまだ理解できておらず、固まってうごけないその他の職員も
同じように、剣の男は凄まじい速さで手当たり次第に惨殺していく。男、女、かまわずだ。
辺りには吐き気を催す様な鉄分をふくんだ臭いが充満するが、しかし剣の男は一向に動じる様子もない……。
 いよいよ最後の一人になると、そのこめかみに剣を突きつけて鋭く睨みつける。

「ディープルームの鍵を渡してくれませんかねぇ?」

 その形相に合わない敬語で脅すと、こういった事態に慣れていないであろう職員は全身を震わせて、
蚊の羽音の様な声で答えてしまう。

「か、鍵は……私の、指紋……です」
「そおですか」
「な、なにを……ひぃぃあっ!?」

 ひゅんと剣を振った。すると、大根でも切ったかのように職員の細い二の腕が輪切りになる。
密着に近い状態であったためにかなりの量の血液が彼に浴びせられる事になったが、まったく意に介さず、
金きり声をあげる職員の首を重い盾をつけたままの左腕でへし折って黙らせた。
 それが済むと、奪った腕をそばの指紋認証機にかざす……当然、機械は本人と認証する。
どうやら、何かのロックを解除したようだ。

「トライフォース……」

 また独り言をつぶやくと、にやりと微笑む。そして先ほどまで職員が使っていたコンソールを操作すると、
マップの様なものを表示させた。浮かび上がるホログラムに、どうやら今しがた解除されたロックのあった
部屋までの道のりが示されているようだ。数秒で覚えたらしく、すぐに踵を返そうとしたその時、

「!?」
「ちっ、避けられたか」

 バトルスーツに身を包んだ、巨体の男が外から乱入すると、豪腕で剣の男を狙う。
しかし間一髪で避けられてしまい、悔しそうに舌を打つとすぐに向き直って構えを取る。
すぐさま剣の男が反撃に移り剣を振り下ろすが、バク転で回避した。ヘルメットをかぶったその巨漢は、
そう、ファルコンだ。 剣の男に対峙しつつ、口をひらく。

「リンクさんってのはあんたかい。女まで皆殺しとはな……貴様の様な凶悪犯は、久しぶりだぜ」
「何故、僕の名を……」

 剣の男の名が明らかになった。リンクというらしい、この青年こそが、どうやらファルコンがマリオから頼まれた
「保護してほしい存在」のようだ。しかし、その凶悪さは今、この部屋で起きた惨劇が物語っている。

「そう簡単に捕まっちゃくれなさそうだが……」
「邪魔しないでもらえます?」

 ファルコンが言い終わらない内に、またリンクはファルコンに斬りかかってくる。
しかし今度はファルコンは避けようともせずに、構えたまま剣が自分の脳天に下ろされる直前、
腕を突き上げてリンクの剣を掴んだ。

「うおぉぉぉっ!!」

 そして、ファルコンはそのまま剣ごとリンクを投げ飛ばす。凄まじいまでの怪力であるが、
しかしリンクの方も投げられながら空中でひらりと一回転し、着地と同時にまたファルコンへと突っ込んでいく。
ファルコンもまた、リンクへと突撃する。一進一退の攻防が繰り広げられたが、それも束の間だった。

「ギェーーッ!!」

 突如、地獄の底から響いてくるような、おぞましい雄叫びが辺りに響く。
もちろん、それはファルコンでもリンクのものでもない。音源を辿ってみれば……リンクの後ろ、
さきほど彼に首を折られて殺された、職員のものだった。
 それが、ふらりと立ち上がって長い髪を振り乱すと、血まみれの体を引きずるようにして
対峙する二人へと向かってきた。

「こ、こいつぁ……!」
「今、殺したばかりの人間に憑依ですか……ガノンめ、侵食の早い」

 死体が動く。たしかに、現在の医療技術なら不可能ではない事だ。例として、アービン・ゴードンという
過去のF-MAXなる宇宙規模のチャンピオンレーサーが、ザ・スカルとして現世に蘇りF−ZEROに参戦した事もある。
 ただし、それは専門の施設が必要であり、少なくとも先ほど死んだばかりの人間が蘇るとなど、聞いた事もない。
それに血みどろのまま歯をむき出しにして迫ってくる元職員を見れば、
ザ・スカルの様に知能も生前のままというわけではないようだ。

 まるでクラシック映画のゾンビの様である。

 しかし、リンクの方はいたって冷静だ。それどころか、何かを知っているような口ぶり。

「ちっ、邪魔だぁっ!!」

 迫ってくる元職員を、ファルコンは回し蹴りで吹っ飛ばした。そのまま壁に激突してもんどりうって倒れるが、
なんとそれを食らってもなお、立ち上がって迫ってくる。まさしくゾンビそのものだ。さすがのファルコンも
その顔へ、わずかに恐怖の色を浮かせて一瞬、あとずさる。
 すると、その横をリンクが飛び出し、剣を振るって元職員の首を斬りおとす。斬られた体が、
どす黒い血を噴出して倒れる。今度は立ち上がってくる様子もなく、
元職員はそのまま血だまりを広げるだけだった。

「これはリーデッド……頭を狙った方が良いですよ。首をへし折っただけじゃダメだったみたいですね……」

 ふいにリンクが喋る。なにやらこの状態の人間をリーデッドと呼ぶらしい。ふと気づけば、
周りはリーデットだらけだ。確かに頭部を潰された遺体はリーデッド化していないようだったが、
ファルコンはそもそもこの状況が現実と信じたくなさそうだった。

 しかし、黙っていれば無事で済まなさそうなのは火を見るより明らかである。
リンクが再び、リーデッドに突撃していくのと同時にファルコンも雄叫びを上げると、
残りのリーデッドの頭を豪腕で粉砕していく。

 数がそれほどでなかった上にリーデッド化したとはいえ、頭さえ潰せば倒れてくれるので数分で全て片付いた。
しかし、ファルコンの方は息を上がらせている。……疲れというより、精神的なものであろう。それでも伊達に
ハンター最強を名乗ってはいない、すぐにリンクに向き直ると、また戦闘の構えに入る。

「……くっ、リンク! とにかくあんたは俺と一緒に来てもらうぜ」
「嫌です」
「そりゃそうだろうが、だが、俺にも意地があるんでな!」
「何!?」

 そう叫ぶと、ファルコンは跳躍する。まるでスパイダーマンよろしく壁に張り付くと部屋の四方の壁を蹴りながら
空間を高速で飛び回りながら、リンクの背後に回る。そして背中めがけて一気に飛び掛る。

「うぉりゃぁぁあっ!!」
「わあッ!!!」

 その瞬間、ファルコンの足に炎がまとわれる。強烈な飛び蹴りがよりいっそう破壊力を増した、
ファルコン・キックだ。速度に一瞬追いつけなくなったリンクは、まともにその一撃を受ける。
炎が燃え移り、火だるまになりながら転がったがすぐに起き上がると、
比喩でなく本当に燃えあがっている自分の体にも構わず、ファルコンに突っ込んでくる。しかし、

「ファルコン、避けなさい!」

 唐突に女の声が響いた。と同時に、ファルコンへ突っ込むリンクの真上の天上が破壊され、
電撃を帯びた光弾がリンクめがけて飛来した。まったく予期していなかった攻撃に、
かわしきれず光弾と共にリンクは吹っ飛ばされる。

 その矢先にはファルコンがおり、彼は電撃を帯びて突っ込んでくるリンクに驚くが、なんとか飛び上がって
巻き込まれる事だけは避けられた。
 そして、そのまま壁へと叩きつけられたリンクは、さすがに二度も強力な攻撃を受けては耐えられなかったようだ。
死んではいないが、意識を失っていた。ただの人間ならとっくに絶命しているだろう。

 危険すぎる援護に、しかしファルコンは怒ることなく静かに佇んでいる。

「まさかその声……サムス」
「ええ、そうよ」
 
 そういうと、空いた天井の穴からサムスと呼ばれたオレンジ色のパワードスーツを
身にまとった女性が降りてきた。ふわりと美しいブロンドの髪をかきあげると、
ゆっくりとファルコンに近づいて、久しぶりね、と微笑む。
どうやら、彼女が行方不明になったとマリオの言った「サムスちゃん」らしい。

 ハンターらしく、血の池になった戦場で二人は再会した。
しかし、彼女がこの場に現れた理由はなんなのであろうか……。


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