スマブラのエロパロスレまとめ

ピーチは退屈していた。

ひなびた選手控え室兼食堂に、他に待つ人は誰もおらず、
テレビから流れる音声だけが雑音のように流れていた。
安っぽいテーブルを照らす冷たい蛍光灯の光。
その下でピーチはボーっとした顔で、一人、桃のコンポートをつついている。

――次の試合は姫様の出番があるそうですよ!
嬉々として報告に来た、お付きのキノピオの声が脳裏に蘇る。
ピーチにとって久々の試合。
喜び勇んで選手控え室にやっては来たものの
それは少々軽率な行動だったかもしれない。

ぱくり。桃のコンポートを一口。
食堂に備え付けられたテレビに映る、試合中継。
その片隅に残りの試合時間が白い文字で表示されている。
残り78分。
まだ20分ぐらいしか経ってないなんて、とピーチは頬をふくれさせる。
そう、現在の対戦は時間制バトル99分。
ピーチの出番はまだまだ先のことなのだ。

「せめて話し相手でもいるといいのだけど……」
キノピオは用事があるとかで、先ほど出て行ってしまった。
誰かを呼ぼうにも、時計の針は既に午前0時を回ってしまっている。
起きていないことも無いだろうが、さすがに迷惑だろう。
ふて腐れて、さらにコンポートを一口。
お肌に悪いわよね、と思いつつ見上げたテレビの画面の向こうでは
マリオがキラリと星になっていた。


そんな感じで、飛ばし飛ばされの長い長い退屈な試合を見ながら
皿をすっかりと空にしてしまったころ、
ぱたぱたという足音と共に緑色の寝間着を着た小さな子供が入ってきた。
リンクだった。
眠そうに目を擦りながら、冷蔵庫をがちゃりと開けて
キンキンに冷えたビン入り牛乳を取り出した辺りで、
やっとピーチに気づいたらしく不思議そうに声をかけてくる。

「あれ、ピーチ姫どうしたの? つぎ、試合?」
「ええ、そうよ」
「そっかー。こんな時間にタイヘンだね」
なんて言いながら、リンクはピーチの隣の席に腰掛ける。
「……リンクこそどうしたの? こんな時間に」
「なんか、目がさめちゃって」
「珍しいわね、いつも早寝早起きなのに」
「うーん。きのう、早く寝すぎちゃったからかなぁ」

リンクはきゅぽんと牛乳ビンのフタを開けると
ぐびぐび喉を鳴らして白い液体を一気に飲み干した。
そして、ぷはぁと一息。
「うんうん。やっぱりロンロン牛乳はサイコーだよね。
 このコクとかさぁ……」
空っぽの牛乳ビン片手に、批評家きどりで語りだす。

「ところで、なに食べてたの?」
リンクが、ピーチの前に置かれている空き皿に目を留めて聞く。
「桃のコンポートよ」
「まだ冷蔵庫に入ってるかな?」
「これが最後の一つだったのよ」
「ちぇー、ザンネン。いいや、牛乳でガマンしよっと」
ピーチはクスクスと笑う。
子供らしい微笑ましい光景だ。


リンクはぱたぱたと足音を立てて冷蔵庫へ向かうと、
新しい牛乳ビンを片手にピーチの隣の椅子へと戻ってくる。
そして今度は牛乳をチビチビやりながら、ピーチに向かって
「そういえば、この前さぁ……」
と再び話しかける。

カタカタ窓枠を揺らす木枯らしと
温まり始めたヒーターのカンカン鳴る音がBGMのように流れる中、
2人の取りとめのない会話は続く。
大人リンクに勝てない話とか、昨日の天気。
今日のマリオの動きのキレのなさ具合。
元居た世界の事や近々やってくる新しい人たち……。

どんな話をしていても、リンクの反応は素直で微笑ましいものだから、
ピーチは何の気なしにこう言った。
「リンクって、本当に可愛いわね」
「ほんと? じゃあ好きってこと?」
「本当よ。リンクって可愛くて、大好き!」
「じゃあ、ちゅーってしてくれる?」
「いいわよ」

ピーチはリンクの頭を軽く抱き寄せると、
母親が子供におやすみのキスをするように、額に軽く口付けた。
そして、サワサワとリンクの頭を撫でる。
が、リンクの表情はどこか不満げだ。
「もしかして、これでおしまい?」
「え?」
「そーゆーのじゃなくって……こーゆーのがよかったんだけどなぁ」


こういうのって――と言いかけたピーチの唇を、リンクの小さな唇が塞いだ。
しっとりとした粘膜の感触。
ほのかに漂う牛乳の香り。
呆気に取られて開いた唇からリンクの舌が滑り込むように進入し、
器用にピーチの舌を絡めとった時、
ピーチは”こーゆーの”の意味を悟った。

でも、何でこういうのを知ってるの?
ピーチの頭の中で疑問と戸惑いが渦を巻く。
ふと唇を離したリンクの
「なんか、桃の味する」
という、場違いなくらいに素直な声がピーチの耳元で響いた。

そして、再びリンクはピーチに口付ける。
先ほどよりもより乱暴な、貪るような口付けだ。
ピーチの艶やかな唇を唇で押しつぶし、
拒否するかのように食いしばられた上下の歯の歯茎を
圧迫するかのように、舐めまわす。
頬を支えるリンクの手が、くいと軽く顎を押し下げ、
わずかながらにピーチの口を開かせた。
それをこじ開けるように、リンクの舌が蠢く。


ねじ込まれた弾力のある物体が、ピーチの口内を乱暴に押し広げ、蹂躙していた。
唾液ごと舌を啜る音がピーチの聴覚を刺激し、
足の裏の方から痺れと、熱さが湧き上がってくる。
目の前に段々と靄がかかったようになり、瞼が落ちていく。
飽くことなく絡み続けるリンクの舌についつい応えてしまいたくなる衝動を、
ピーチは、今にも吹き飛んでしまいそうな理性で押さえこみながら
心の奥でこう叫んだ。
子供のくせに、なんでこんなに上手いのよ!

唇の上辺や頬に近い辺りについばむようなキスが降る。
再び目を閉じたピーチの下腹部に、ついと快楽が走る。
かちりと歯がぶつかる音が鳴り、舌がピーチの中をまさぐりながら、
奥の、更に奥の方へと差し込まれていく。
呼吸が荒くなっていくのは、息苦しいせいか。
それとも早鐘のような心臓の鼓動のせいか。
思考が、感情が、身体の中から湧き上がる衝動と混ざり合って溶けていく。
ピーチの腕が、より強い刺激を得ようと、のろのろとリンクの体へとのびる。
しかし――

ピーチはうっすらと目を開く。
朦朧とした視界の端に見える、緑の服に金の髪。
そして、どう見ても細く小さな子供の身体。

そう、そうよ。たとえキスが上手いからといっても、相手はほんの子供なんだから――
子供相手に本気になるわけにはいかないわよ、ピーチ!

ピーチは腕を戻し、自分のドレスの裾をぎゅっと握り締める。
気持ちよさに何も考えられなくなる瀬戸際で、
大人としての意地だけを残して
ピーチはリンクの口づけを、ただ受け入れていた。


ピーチが口付けから解放されたのは、それからしばらくのことだった。
口から肺一杯に新鮮な空気が入って来たことに驚き、目をゆっくりと開けば、
椅子にふつうに座りなおしたリンクが、ピーチの顔を見上げている。
「ねっ、こーゆーのの方が良くない?」
リンクは、いたずらが成功したかのように、にやにやと笑っていた。

ピーチは、そういうのは10年早いわよと喚きたい気持ちを落ち着け、
一つ大きく息を吸い、余裕ぶった笑みを作った。
「……も、もうっ! いきなり吃驚するじゃない」
しかし、わずかに詰まる言葉に動揺の色があらわれている。
「一体こんなこと、どこで覚えたの?」
とピーチが問えば、リンクは得意そうな顔で答える。
「ゼルダ姫に教えてもらったんだ!」

ピーチの脳裏に、ゼルダの燐とした涼しげな顔が浮かぶ。
もうっ、あの娘ったら!
淡白そうな顔して、子供にこんな事教えてるなんて!
後で一言言ってやらないと、なんて事を思いつつ、ピーチは
冷静に、さとすようにリンクに話しかける。
「ねえ、リンク。ゼルダからどんな風に教えられたかわからないけれど……
 こういう事って、心から好きな人にしかしちゃダメなことなのよ?」
「でもピーチ姫のこと、好きだよ」
リンクに悪びれた様子は無い。
「じゃあ、ゼルダのことは?」
「好き」

やっぱり。
ピーチの唇から、ため息が漏れた。
好きという言葉の意味の違いを、分かっていないのだ。
でもそれをどう伝えればいいのだろう。
ピーチの頭の中に、うまく説明する言葉が思い浮かばない。


「いい? こういう事はね、一番好きな人にしか、しちゃいけないのよ」
「うん」
「だからね……いろんな人に、やたらとこういうことしちゃダメよ。わかった?」
「うん!」
元気な返事に安心したのもつかの間、
その次の言葉はピーチをすごく驚かせた。
「じゃあ、こんどからピーチ姫だけにするようにするね!」
「えっとね、そういうコトじゃなくって……!」
なんて説明すればいいのだろう。
頬が変に熱くなって、頭がうまく働かない。

焦るピーチの後ろから、追い討ちをかけるように
いつの間に戻ってきたのかキノピオが声を掛けてくる。
「姫さまー、お待たせしました! 次の試合での作戦を……」

「キノピオ。あなたもしかして、今の聞いてた?」
「いいえ、全く」
「……本当に?」
「ええ」
キノピオの目をじっと見つめる。嘘はついていないようだった。
「見てないならいいのよ」
と、ピーチはほっと胸をなでおろす。

「じゃあピーチ姫、がんばってね! さっきのまたしようねー!」
子供リンクが手を振って走って行く。
ぱたぱたという足音が廊下の向こうに消えていった。


「リンクはいつも元気ですね。で、作戦についてですが……」
そこで、キノピオの声が止まる。
気がつけば、キノピオがピーチの顔を覗きこむように見ていた。
「どうしました姫さま? 顔、赤いですよ?」
「これは……そう、部屋が熱いのよ! 暖房、効きすぎなんだもの!」

その場をなんとか取り繕おうと発した声が、変にひっくり返る。
急な指摘に、なぜだか先ほどのリンクの表情が、声が、
そして、あの口付けの感触が次々と浮かんできた。
ピーチの心臓はどきどきと脈を打ち、顔はますます赤くなっていった。
動揺はしばらく収まりそうになかった。

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