スマブラのエロパロスレまとめ

内容は相変わらずのゼニフシクッパで
一応原型ですが、今回は珍しくエロ皆無です
まぁ、おつまみ程度にどうぞ


明るい月が浮かぶ夜。
今にも降って来そうな星空を、フシギソウはずっと見つめていた。
寒さに弱い草タイプだからだろうか。時折、うっすらと漂う冷気に身体をふるると震わせる。
彼は、野の花が乱れ咲く平原に独りぼっちだった。
こうしてどれくらいの時間が過ぎたのか。それは、彼にも分からない。
この星空を見上げれば、そんな些細な事は忘れてしまう。
(いっそ、何もかも忘れられれば楽なのに)と思い、彼は自嘲気味に笑った。
彼の手――いや、蔓には小さな花冠が握られている。
それは愛しい者への贈り物。恐らく、永遠に届くことの無い贈り物。
昼間、とうとうゼニガメに渡せなかったそれを彼は悲しそうに見つめる。
花冠に散りばめられた白いパンジーは、そんな彼に返事を返すことも無く。


――不意に、強い風が吹いた。
周囲に木の葉や色とりどりの花びらが舞い上がる。
彼の目に映ったそれは、とても美しい光景で。
しかし…風は同時に彼から花冠を奪っていってしまった。
『ソ、ソウッ?!』
彼は慌てて花冠を追いかけようとしたが、それはあっという間に視界から消えてしまう。

『フシィ……』
視界が滲み頬を熱いものが伝うのが分かる。
空には花びらが――パンジーの花びらがひらひらと舞っている。
「私を想ってください」という言葉を持つ花びらは、そのまま風に乗ってどこかへ行ってしまった。

フシギソウは溢れる涙を抑えられぬまま、いつまでも、いつまでも、その方角を見つめていた。



明るい月が浮かぶ夜。
吸い込まれそうなほど綺麗な満月を、ゼニガメはずっと見つめていた。
自分を愛する者を想いながら。自分が玩び、傷付けてしまった者を想いながら。
これからどうすればいいのかな?と、月に訊いてみても……何も教えてはくれない。
ただ、優しく輝くだけ。
――彼の頬に、少しだけ涙が流れた。
月灯りによって頬の涙がキラキラと光り、風はその涙を次々と拭う。


『……がめ?』
彼の視界に、何かが映った。
ヒラヒラと風に運ばれながらこちらに向かってくる――何か。
風は彼の側にも「それ」を落としていった。
彼は「それ」を手に取ると、風の吹いてきた方向を見つめた。
…何故だか分からぬままに。

彼の手には、一枚の白いパンジーの花びらがあった。



「なんだ、貴様……こんな所にいたのか」
不意に、彼は背中から声をかけられた。

――あの人だ。
大好きなあの人の声。憧れのあの人の声。
うっかり間違えるハズが無い。

ゼニガメは「あの人」に悟られぬようこっそりと涙を拭き取ると、いつも通りの笑顔で振り向いた。
『ぜに、ぜにがぁ♪』
「まったく、珍しく我輩の部屋に来ぬと思ったらな…」
「あの人」――クッパも少し微笑み、ゼニガメを持ち上げるとひょいと肩に乗せた。
ゼニガメも、そのまま彼に身を任せる。
「こうして貴様と見る月も、なかなか悪くは無いな」とクッパが呟き…
それを聞いたゼニガメはクッパに頬を寄せる。

互いの鼓動を感じながら。互いの幸せを感じながら。

二匹の亀は、そのまま月を見続けた。
クッパの肩にはゼニガメがいて。ゼニガメの手には白い花びらがあって。


――琥珀色の月は、彼らを見守るように輝いていた。

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