スマブラのエロパロスレまとめ

それは良く晴れた日のこと。
大会中とはいえ、そう毎日過密に試合スケジュールが組まれている訳ではない。
だからこそ其処此処にちらほらと恋仲を実らせる者がいたり、果ては子供まで育む者がいたりする訳だ。
たまの休みはまるで旅行者の様な気分で、ただの気ままな休日の如くに過ごす。
ゆっくりとした時の流れと、和やかな雰囲気と、子供たちの遊ぶ声。
その日も丁度、そんな風だった。

「こんな日までトレーニングとは、流石ですな」
見た目通り小物らしさを醸し出したワリオが、練習場帰りのガノンドロフを見つけて声を掛ける。
魔王降臨のイベント戦で中々勝てない事を、魔王自身が秘かに気にしているのは、もはや公然の秘密だった。
「フン、妾めが臥所の中で生意気にも『弱くなったな』などと言うからだ」
そんな事を言われて俄然やる気を出してトレーニングに勤しんでいる時点で、『妾』と呼ばれた人工生命への想いを証明している様なものだ。
だが、それを口にして無事でいる保証などない。
だから勿論、ワリオは「それはそれは…」などと言葉を濁した。
その目の前を、一人の男が横切る。
スネークをして「華奢だ」と評された体には、その言葉を覆すほど筋肉が付いたが、不器用に優しい面差しは変わらない。
先程からカービィに乗ってピカチュウを追いかけている、青い髪のやんちゃボーズの父親、アイクである。
かつてガノンドロフが彼の妻にした事は、妻自身が自分の誇りと彼への愛の為に頑なに口を閉ざしていたので知らないままだろう。
それでも鈍いなりに不穏な空気は感じるのか、ややガンでも飛ばすような目つきで、会釈もなく通り過ぎていく。
が、迫力がない。とにかく迫力がない。
普通の顔をしていても迫力がないのに、大真面目にキツい顔などしているから、いっそ笑えて来る程だ。
いったいどうしたことだろうか。
目の前を横切って去っていく異様な物体を、ワリオとガノンドロフは呆気にとられて見送った。



アイクの胸には一つの決意があった。
彼にはこの大会で戦士同士として出会い、恋に落ち、愛を育て、共に生きる事を決めた相手がいる。
可愛らしい顔と華奢な体つきに似合わず、彼女は優秀な戦士だった。
すらりと伸びた手足は得意の得物を扱うのに向いていて、そのリーチの長さと素早い身のこなしに、何度負けを見たか知れない。
戦う彼女は美しい。
優しさと勇ましさの相反する構成物が、丁度良い具合に彼女の魅力になっている。
それはアイクも認める所だ。
だが、しかし。
娘となると話は別である。
別に守られる以外何の仕事も無いような、御伽話の姫に仕立てるつもりはない。
自分はともかく妻に似たなら、とてつもない美人になるだろう。悪い虫も付くだろう。
自分を守る力の必要性は、むしろ女性の方が有るだろうと思う。
だが、しかし。
このまま行くと可愛い娘は、いつの間にか兄と二人、乱闘選手に名を連ねるだろう。
マルス以外にも女性の参加者はいるし、選手という肩書きが彼女たちの魅力を損ねる物でも、マイナスになるものでも無い事は解っている。
だが、しかし。
どうしても何かイヤだ。
アイクは初めて娘を持った父として、常々そう思っていた。
だから、彼は決めた。
母であるマルスが勇ましさを子に教えるのであれば、せめて女の子らしい可愛らしさあたりくらいは、及ばずながら自分が教えようと。

「だからって、それはちょっと……」
突如入ってきたアイクを見るや、マルスはため息混じりにそう告げる。
腕に抱いた幼子は恐怖で泣き出し、ようやくお目当ての電気ねずみ君に追いついた息子は、あんぐりと口を開けている。
流石に困惑顔になるのも無理はない、とマルスは思う。
何故なら、目の前の夫の手にはスターロッドが握られており、逆立った青い髪からはウサギ耳がみょ〜んと伸びていたからだ。
たとえ戦闘中であろうと、似合わないという理由から運動性を無視してでも装着しないでいたアイテム達である。
確かに、此処で簡単に手に入るアイテムだし、乱闘選手になったとしても可愛さを演出できる、画期的なアイテムだとは思う。
だが、それは似合うか似合わざるかという究極の振り分けにより、可愛らしいと不気味に分かれてしまうものだ。
例えば、オリマーやピット、アイスクライマーやポケモン達などが付ければ、それはアイクの狙い通りの効果をもたらす。
だが、アイクの場合は明らかに後者への振り分けを感じさせた。
愛する娘に泣かれては、さしものアイクもその姿で居続ける訳にはいかない。
「良いアイディアだと思ったんだがな…」
そういって渋々とアイテム達を外した。
「…そんなに君は乱闘選手を娘に持つのがイヤなのかい?」
自身も既に戦線復帰を果たしているマルスが、苦笑気味に聞く。
反対されているとは思っていないが、実際の所自分の気の済むようにさせてくれてばかりいる夫の本音を、聞きたいと思うのも事実だった。
真っ直ぐに見つめる愛妻の目にたじろぎながら、少し目を逸らしてアイクはいう。
「そういう訳ではないが…やはり女らしくあって欲しいと…」
「そうか…じゃあ君はもう金輪際、女らしくない僕とベッドを共にするのはやめて貰おう」
そういってマルスはフイと横を向いてしまった。
ツンと拗ねたフリをするマルスに、アイクが頭を下げたのは言うまでもない。


外壁に座るスネークが無線を手にする。
寮の庭ではゼニガメの波乗りを氷らせて、彫刻家気取りにあちこちを叩いている。
壊している様にしか見えないが、様は芸術が爆発中なのだろう。
どこからか乳母車を発掘したらしい緑の配管工が、この間産まれたばかりの青髪の姫君を散歩に連れ出している。
上の子は父に似たのか、既に猫目のリンクを追いかけて、妹を追い抜いて走り去った。
両親達は…………。どうやら配管工は必要に迫られて散歩に出たらしい。
まぁ、若いから仕方ない。今度会ったら三人目はハイペースすぎるだろうとツッコんでおこう。
そろそろ食事時なのだろう、練習場からは魔王が既に引き上げていたし、気の早いお姫様達は連れだって食堂へ向かっている。
空色に茜が滲み、端の方から藍色が迫る。
落ちる日を背負いながら、スネークは言った。
「ここは平和すぎるぞ、大佐」

『良かったじゃないかスネーク』

意外なことを言われ目を丸くしたスネークの耳に、食堂のチャイムが夕飯時を告げた。

Wiki内検索

管理人/副管理人のみ編集できます