センの古城 Sen's Fortress

１．前提となる情報

和名：センの古城*1
英名：Sen's Fortress*2
漢名：賽恩古城*3

２．和名から得られる情報

セン、せん、線、選、戦、宣、千、仙……。「セン」という音に当てはまる漢字は余りに多く、センの古城の「セン」の語義は特定しかねる。「戦いによる力試し」で「戦」かもしれないし、「あまたの仕掛け」で「千」かもしれない。

管理人が思い付いたのは「先にあった / 以前使っていた古城」で「先（セン）の古城」。思い付いただけなので確証はありません。

３．英名から得られる情報

ダークソウル考察においてラテン語は最重要言語である。なのでラテン語辞書で「sen」の項目がないかを探してみた。すると意外にもあったのだ、ラテン単語「sen」が。

ラテン単語「sen」は

ヘブライ語アルファベットの 21 文字目
S および SH として音訳
sin(罪)、shin(向こう脛)

という意義であるらしい*4。この中で固有名詞の意義として使えそうなのは3の"sin"と"shin"だろう。センズ・フォートレスの直訳は「罪の要塞」か「向こう脛の要塞」か。地名の由来は何でもありなもの（例："高い、高い"＝ホ・タカな場所なので穂高岳*5とか）なので何とも言えないところである。しかし罪の女神や原罪の探究者がいたり罪の都ができたりするダークソウルワールドにおいて「罪」というのは気になる言葉だ。

それを踏まえて、センズ・フォートレスの直訳は「罪の要塞」であると管理人は考えたい。罪の要塞がどう翻訳されれば「センの古城」になるのかはさっぱり見当もつかないが。

４．漢名から得られる情報

まず賽恩古城の「賽恩」の発音について。
Forvoで調べてみたところ、賽恩は「サイウン」であった*6。「賽」の北京語発音も「サイ」であったし*7。ただ「恩」の読み方については「エン」であるとも登録されている*8。"サイエンス"の漢訳が「賽恩斯」であることから見ても、「賽恩」は北京語発音において「サイエン」とも発音されると考えてよいだろう。

セン＝Sen＝賽恩＝サイウン / サイエン。音が繋がらない。DS2において頻出の「名前の発音がバラバラである問題」は無印から既にあったようだ。

そして「賽恩」という単語でGoogle検索してみたところ、思いもよらぬことにリーグオブレジェンドのとあるキャラクターがヒットした。そのキャラクターの名前は、和名が「サイオン」*9、英名が「Sion」*10、漢名が「賽恩」*11であった。言われてみれば「賽恩」を日本語で音読みすればなるほど「サイオン」である。
リーグオブレジェンドからの情報を踏まえればセン＝Sen＝賽恩＝サイウン / サイエン / サイオン＝Sionとなる。英訳が違う上に「セン」とも繋がらないのだが？とはいえまあ語頭のSと語尾のNは共通している。それだけはDS2の名詞たちよりはマシだ。

しかしシオンか。賽恩がサイオンとも読めるなら、賽恩という固有名詞は英単語Sionにも通じる。シオン、サイオン、Sion。それはすなわちシオンの丘*12のシオン*13。岩のドーム*14と嘆きの壁*15がある場所、神殿の丘*16、一神教徒の聖地。
英語Sionはシオンともサイオンとも発音される*17から、リーグオブレジェンドでは賽（サイ）恩（オン）がSion / サイオンの漢名となったのだろう。……であるなら賽恩古城を「サイオンの古城」と発音することも可能ではないだろうか。だとすればセンの古城すなわち賽恩古城はサイオンの古い城。サイオン/シオンの古い建物。それはエルサレムの神殿に相当するのではないだろうか？

管理人はこの仮説に際して思い出す情報がある。ヘルカイトが陣取る不死教区の篝火の隣、崩れた太陽の長子像がある空間にはイスラームの祈りとユダヤ教の祈りをする亡者たちがいるのだ。

・サジダ*18する人

・壁に向かっての祈り

サジダと壁への祈りが共存する地域の近くにある賽恩（サイオン）の古城。今やトラップダンジョンと化したあの場所は、本来もっと神聖なものだったのではないだろうか。その神聖な場所をグウィン勢力が乗っ取ったとすればグウィンらは神聖なるものに対する敵対者である（あくまで「とすれば」の話ではあるが）。

グウィンは負の世界アンヌヴンの力を持っている可能性があり*19、マヌスとの強い関連も示唆される存在*20。そして不死教会には改修の痕跡が残り*21、今や不死教区と呼ばれる場所に行くための道を（キリスト教文化において悪の化身とされる）ドラゴンが哨戒している。
グウィンら神族が聖性を帯びた存在であるとは（そこだけを見ると）どうにも考えづらい。もしグウィンらがシオンの破壊者であったなら、彼らの呼び名は「悪魔」が妥当であるとカトリックである管理人は思う。

５．まとめ

管理人の仮説をまとめると

センの古城は「先（セン）の古城」、
Sen's Fortressは「シンズ・フォートレス（罪の要塞）」、
賽恩古城は「サイオン（シオン）の古城」。

となる。これらの名前から一幅の物語を妄想してみるとこんな感じになるだろうか。

『グウィン勢力より古い勢力がシオンの土地に要塞を建てた。しかしその勢力はグウィン勢力との争いに敗れ、シオンの城は陥落した。グウィン勢力は敵対者の城を罪の要塞と呼んだ。そしてグウィン勢力が安定した頃にはその城は大王より前にあった城として「先の古城」と呼ばれるようになった』。
時代の流れと共に消えていった過去の名前と現在の名前が、時間が淀むロードランにおいては並列して同時に存在している。そういう話なのかもしれない。