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作者:名無し
前のエピソード:人攫いの盗賊団編



「勇者様、さすがにそろそろ諦められた方が……!」

 その日、女勇者たち一行は山間部にあるひと際栄えた町に滞在していた。

 この町は闘技場で覇を競い合う大会が定期的に開催されることで知られているが、山間部という立地にも関わらず栄えている理由はそれだけではない。
 ほかの町では見ることの決してない大規模なカジノ施設に加えて娼館が町中に幾つも建っており、まさに人々の欲望が行き交う町として類を見ない活気に溢れていたのである。

「大丈夫だよ、水遣い。これで間違いなく一発逆転だからっ!」

 ビキニアーマーを装備した黒髪ボブカットの女勇者は鋭い眼差しでテーブルを睨み、そして手元にあったチップをテーブルの上に置いた。

 彼女はカジノに入店してからずっとルーレットに賭け続けているが連敗しており、一発逆転のために借金込みで交換したチップがいままさに尽きようとしていた。

 正真正銘、これが最後のベットである。

「ダメにゃ! それは勝てない奴の言う台詞にゃ!」

 見守る魔鉱戦士の肩に乗ったグリフォンライダーが悲鳴を上げるように叫ぶ。

 しかし賽はすでに投げられ、撤退することは最早許されない。

 テーブルを挟んで女勇者と向かい合うように立つディーラーが回っているホイールに玉を投下し、そして――。



 極めて悲しい話ではあるが、目も当てられないくらいに大敗する者がいれば何かの間違いかと思うくらいに大勝する者がいるのは、ある意味で道理である。

 だから、その青年が何となく行ったカジノで大勝してしまったのも然程おかしなことではなかったと言えよう。
 きっとその陰には大敗したに違いない誰かがいるのに目を瞑れば、だが。

「お兄さん、カジノでそんなに勝たれたなんてスゴいです♡」

 緩やかにウェーブした長い髪と尖った耳が特徴的な少女が男の話を聞いて歓声をあげた。
 彼女はおっぱいの先端と局部が申し訳程度にしか隠れていない踊り子のような衣装を着ているので、その拍子に美しい形をしたおっぱいがぷるんと揺れるのが見えた。

「……あははっ。偶然ですよ、偶然。でもそのおかげでこんな可愛い子たちとエッチなことができるなら、賭け事をするのもたまには悪くないですね」

 青年はそれに視線を奪われながらも困ったように後頭部を掻いて誤魔化す。

 その夜、彼は見るからに高そうな部屋で二人の女の子に挟まれるようにしてベッドに腰かけていた。

 カジノで奇跡的な大勝した彼はその場にいたスタッフから勧められ、町一番の娼館でそのお金を使うことを決心した。
 
 だからこその通常であれば設けられるような時間の制限もほぼない、翌朝まで彼女たちを一番高い部屋で好きにし放題。
 まさに大勝した者にだけ許されるある種の豪遊に違いなかった。

「でも、その割にはお兄さん……緊張してる?」

 黒髪ボブカットの少女がたわわに実った果実を青年の腕に押しつけるようにしながら彼に身体をグッと寄せる。
 彼女もまたもう一人の少女と同様に露出の激しい衣装を着ているので、圧されるようにしておっぱいがむにゅうと柔らかく形を変える様が一目瞭然である。

「実は……恥ずかしながら、本当に勝った勢いで来てしまっただけで誰かとこういうことをした経験はなくて。
 ですから、優しくしてもらえると助かります」

 青年の吐露に二人の少女がお互いの視線を重ねるようにして密かに意思を伝え合う。
 彼女たちは間もなくして口元を甘く緩めながら頷き合うと、尖った耳の少女が青年の頬を両手で優しく挟んで顔を彼女の方に向けさせた。

「分かりました。私たちで精一杯ご奉仕させていただきますから、万事お任せください♡ んんっ、ちゅ……ちゅぷ♥ れろっ、れろれろぉっ……じゅぱぁ♥♥」

 少女は自らの柔らかく小さな唇を青年の唇に重ねると微かに開いた隙間から躊躇うことなく舌を滑りこませ、青年のそれをノックするように触れ合わせる。

 もう一人の彼女はまるで野生の動物のようにしなやかな動きでベッドからするりと下りると、大きく開かれていた青年の脚の間に自らの身体を潜り込まさせた。
 そのまま慣れた手つきでベルトを緩めると、器用に下着ごと下ろしてすでに勃起している肉棒を解放した。

 大きく反るように屹立した青年の肉棒はその竿に血管を薄っすらと浮かびあがらせるほどに膨らみ、現在進行形で行われているキスに興奮していることを示すように時折ビクビクッと小刻みに震えていた。

 黒髪の少女は肉棒の根元を定めるように押さえると我慢汁を溢れさせている先端に顔を思い切り近づけ、すんすんと鼻を鳴らして臭いを嗅いだ。

「あはぁ♥ お兄さんのおち×ぽ、とってもおっきくて……それに臭いが濃くていぃ♥♥」

 少女はうっとりとしたような蕩けた表情を浮かべると躊躇うことなく青年の肉棒に口づけを落とした。
 溢れ出る我慢汁を掬い取るように亀頭の先端に舌を這わせ、卑猥な水音を立てるようにしながら唇を何度も重ね続ける。

「んちゅう……、じゅぷ、れろぉ♥♥ ちゅ、ちゅぷぅ……れろれろぉん♥♥ あぁ、だめだめぇ……もう我慢の限界ぃ♥♥ ぎゅぽ、じゅぽ……ぎゅぷぅ♥♥♥ れろれろぉ、じゅぷぅ……ずぞぉっ、ずずぅ♥♥♥ んぷぅ、ぴちゃあ……じゅぱぁ♥♥♥」

 キスを続けていた少女は突然顔を思い切り左右に振ると、青年の肉棒を根本まで一気に咥え込んだ。
 そして頬を窄めるようにしながら顔全体を上下に激しく動かし始める。

 青年は突然もたらされた強烈な刺激に瞼の裏が白く弾けるような感覚を覚えて反射的に腰を突き上げてしまうが、喉奥を突かれた少女は平然としながら彼の肉棒を嬉々としてしゃぶり続けていた。

 むしろ、青年とゆっくりとキスをし続けていた少女の方こそ眼下の光景を見ながら不満そうに頬を膨らませている。

「ズルいですよぉ、勇者様ぁ♥ 私だってもっと色々したいのを我慢してるのに、もぉ♥ それなら私も遠慮はしませんからねぇ♥♥」

 彼女もフェラを続けている少女の隣にするりと座り込むと、皮全体が縮こまった睾丸を大きく口を広げてしゃぶり始める。
 まるで飴玉でも舐めるかのように口内でそれを弄び、時折舌で器用に表面を音を立てながら舐めた。

「はぁむ、れろっ……れろれろぉ♥♥ どうですかぁ、お兄さん。気持ちいですかぁ?♥」

 青年は情けない声を上げながら上半身を仰け反らせて首をブンブンと縦に振ることしか出来なかった。
 しかし少女たちは青年のそんな反応にこそ満足そうに笑みを零しながら彼の肉棒を各々激しくしゃぶり続ける。

「お兄さん、おち×ぽおっきくなってぇ♥♥ いいよぉ、そのまま……そのまま我慢しないでぇ♥♥ 私の口ま×こにぃ、おち×ぽみるくをびゅっびゅううって射精して気持ちよくなってぇ♥♥ れろれろぉ、ぎゅぽ……じゅぷ♥♥ じゅぽ、ずぞぉ……じゅぷぅ♥♥」

「れろっ、れろれろぉ……ちゅぷ、ちゅっ♥♥ れろれろぉ、れろぉん♥♥」

 竿全体をしゃぶられる激しい刺激と睾丸を舐め転がされている微妙な刺激が青年の体内で重なり合うように膨れ、まるで爆発したかのように破裂する。

 自慰では知ることのなかった激しい衝撃に青年は思わず下半身を勢いよく突き上げ、限界まで膨らんでいた肉棒を少女の喉奥に突っ込んでしまう。
 それと同時に暴発したように吐き出された白濁液が喉奥に直接注ぎ込まれ、受け止めきれなかったそれが口内で逆流し始める。

 黒髪の少女は頬を膨らませるようにして何とか受け止めようと試みるが、それでも受け止めきれなかった分が真一文字に閉じられた唇の隙間から白い線を描くように溢れ出た。

「んくっ、んくっ……んんっ、ぷはぁ♥♥ はぁ、あぁ……精液の味ぃ♥♥ ご無沙汰だったから堪らなぃ♥」

「ズルいですよ、勇者様! ご無沙汰なのは私も一緒なんですから、独り占めは駄目ですっ!」

「そうだねぇ。じゃあ、次は水遣いの番。お兄さん、いいよね?」

 いつの間にか主導権を完全に少女たちに握られているが、気持ちいい思いをさせてもらっているのだから青年が拒否する道理もない。
 彼が首を縦に振って答えると水遣いと呼ばれた少女が嬉しそうに微笑んだ。

 そして彼は彼女たちに指示されるままに立ち上がると、二人の少女がその前後に座り込む。

「ふふっ。お兄さんのおち×ぽ、まだまだ元気そうですね♥♥」

 尖った耳の少女は彼女が先ほど勇者様と呼んでいた少女の唾液に塗れた肉棒を握ると軽く上下に扱く。
 青年が顔を微かに顔を歪めながら苦悶の声を漏らせば、むしろ彼女は嬉しそうに笑みを浮かべた。

「大丈夫ですよぉ、私がもぉっと気持ちよくしてあげますからねぇ♥♥ あぁむ、ちゅっ……ちゅぷぅ♥♥ れろっ、じゅぷ……れろれろぉ♥♥ ぎゅぷ、じゅぽ……じゅぷぅ♥♥」

 少女は青年の腰に手を回しながら硬さを保ったままの肉棒を咥え込み、頬を窄めるようにしながら顔全体を上下に動かし始める。
 彼が再びもたらされた激しい快楽に全身を震わせていると、今後は背後から腹部に手が回された。

「ちゅっ♥ やっぱり、お兄さんもこっちを使ってみたりしたことはなさそうだね? 私も水遣いに比べればたまに使ってもらう程度でしかないけど、慣れると案外気持ちいいよ? ちゅっ、ちゅぅっ♥」

 勇者様と呼ばれていた少女は言いながら青年の尻に何度も口づけを落とし続け、その顔を徐々に移動させていく。
 彼女が目指している先に気づいて青年は思わず尻に力を入れてしまいそうになるが、ずっと続いている激しい愛撫によって下半身には思った以上に力を入れることが叶わなかった。

「あははっ。緊張させちゃったなら、ごめんね。でも、大丈夫。さすがの水遣いや私も出ちゃったものをっていうまで趣味が広いわけじゃないから、気持ちよくなれることを少しだけ……ね? こんな感じにぃ、れろぉっ♥♥」

 少女の舌が尻の穴がある辺りを舐めるのを感じ、青年は思わずぞくぞくと身体を震わせる。
 支配欲にも似た言いようのない熱を帯びた感情が彼の身体を駆け巡り、肉棒を更に大きく膨らまさせた。

「れろぉ、れろれろぉんっ♥♥ ほじぃ、ほじほじ……ちゅっ、ちゅう♥♥ れろっ、れろぉっ♥♥♥」

 穴の内側にも微かに触れる程度に舌を捻じ込まれ、青年は情けない声を上げながら腰を突き上げるように身体を震わせる。

 それは期せずして水遣いと呼ばれた少女の喉奥を突くような格好になっていたが、彼女もまた黒髪の少女と同様にあっけらかんとした調子で肉棒を咥え続けていた。

「うふふっ。勇者様にいじいじされてビクビクしちゃってるお兄さん、可愛いです♥♥ おち×ぽもこんなにおっきくなっちゃってぇ、もう射精ちゃいそうなんですねぇ♥♥ じゅぷ、ぎゅぷぅ……いいですよぉ、このまま私の口ま×こにもお兄さんのおち×ぽみるくをいっぱいびゅっびゅううしてくださいぃ♥♥ んじゅう、れろぉ……じゅぽっ、ぎゅぷ……れろれろぉっ、じゅぷぅ♥♥♥♥」

 青年は白く濁っていた視界が再び弾けるのを感じ、無意識に少女の後頭部を両手で押さえて腰を思い切り突き上げる。
 尖った耳の少女は突然の行為に一瞬目を丸くしたが、むしろ彼の腰に抱きつくようにして限界まで膨らんでいた肉棒を根本まで咥え込む。

 その直後、彼女の口内で肉棒が暴発して精の奔流が少女の喉奥を目がけて勢いよく注ぎ込まれた。



 二人の少女は汗で素肌にびったりと張り付いていた衣装を脱ぎ捨てると、並ぶようにして青年の前に立つ。

 緩やかにウェーブしたロングヘアと尖った耳が特徴的な少女の肢体は柔らかな曲線を描いていて、丸みを帯びた腹部や臀部などは特に抱き心地がよさそうな程よい肉づきをしている。
 それでいながら美しい形をしたおっぱいの先端は黒ずんでいて、涼やかな印象を与える彼女に淫靡な色気を添えていた。

 一方の黒髪ボブカットの少女も同様に柔らかそうな身体つきをしていたが、尖った耳の少女に比べれば全体的にどことなく引き締まっているような印象である。特に薄っすらと腹筋の見える腹部がその際たる部位と言えよう。
 それにも関わらず、彼女のおっぱいはもう一人の少女に比べてたわわに実っていて、たぷんたぷんと揺れているその先端は薄っすらと黒ずんでデコボコしていた。

 青年がそれぞれに魅力的な少女たちに見惚れていると彼女たちはベッドの上に座り込み、各々彼に向かってそのスラッとした脚をM字に大きく広げて見せる。
 その奥に見える蜜壺は少女たちの指によってくぱぁと拡げられ、しとどに溢れ出た愛液がシーツの上に二つの池を形作っていた。

 辺りには濃い雌の匂いが漂い、青年の肉棒がそれに興奮するようにビクビクッと震える。

「うふふっ、お兄さんの抱きたい方から抱いてくれていいんですよぉ♥」

「私も水遣いも大抵のことは大丈夫だから、お兄さんの好きなように私たちを抱き潰してぇ♥♥」

 黒髪の少女が甘い声を響かせながら誘うように小ぶりな尻をフリフリと振ってみせる。

 あまりに魅力的な誘惑すぎて、青年は二人同時に抱きたくなるが……彼の愚息が一本しかない以上はそれは決して叶わぬ願いである。

 困ったように二人の少女を何度も見て、そして彼は迷った末に――尖った耳の少女に近寄って彼女の蜜壺に肉棒を挿入した。

「あぁん、お兄さんのおち×ぽぉ♥♥ あぁっ、んんっ……あぁん♥♥ お上手、お兄さん……初めてと思えないくらい上手い……ですよぉ♥♥ あぁっ、ぁんっ♥♥」

 しかし、青年の決断はそれだけでは終わらなかった。
 傍にいったもう一人の少女も手を伸ばして抱き寄せると、そのおっぱいに顔を埋めて屹立した乳首をちゅぱちゅぱと吸い始めたのである。

「んんっ……んっ、んぅ♥♥ 水遣いを抱くだけじゃなくて、私のおっぱいまで欲しがるなんてお兄さんってば意外に欲張りぃ♥♥ あぁん、んぅっ……よしよぉし♥ ぱんぱんしながらおっぱいちゅぱちゅぱもできてぇ、お兄さんはえらいえらいでちゅよぉ♥♥」

 彼女の乳首は表面こそデコボコとしていたが形状はとても吸いやすく、青年が音を立てて吸い上げれば少女が褒めるように後頭部を撫でてくれた。
 ツンとしながらも濃く甘い匂いが鼻腔を満たし穏やかな気持ちになるが、下半身はまるで別の生き物になったかのように尖った耳の少女を激しく突き続ける。

「あぁっ、んんっ……あっ♥♥ お兄さんおち×ぽってばまたおっきくなってぇ♥♥ っっ、あぁん……んあっ、あっ♥♥ いいですよぉ、このまま私のおま×こにびゅっびゅううってお腹がとぷとぷになるくらいに射精しちゃってぇ♥♥ そしてお兄さんの初めてをぉ、私に捧げてくださぃぃ♥♥」

 今日すでに幾たびも経験した昂りの膨張を感じ、青年は口に含んでいたおっぱいを思い切り引っ張るようにしながら腰を振る速度を速めていく。
 間もなくして瞼の裏が白く弾けるのを感じ、彼は最後の力を振り絞って少女の最奥に捻じ込むようにしながら腰を勢いよく押しつけた。

「ああっ、あああっ、ああああ〜〜〜〜っっっっ!!!!♥♥♥♥」

 尖った耳の少女は獣ような嬌声をあげながら柔らかな身体を弓なり状に仰け反らせる。
 限界まで膨らんだ肉棒が彼女の膣内で暴発したように精を吐き出し、その奔流が彼女の子宮を目がけて注ぎ込まれた。

 しばらく経って青年が射精が落ち着いた頃合いを見て蜜壺から肉棒をゆっくりと引き抜けば、愛液と混ざり合った白濁液がどろりと逆流したように溢れ出た。
 その光景を見ながら彼は脱力したようにシーツの上に崩れ落ちるように倒れ込んだ。

「はぁ、はぁ……お兄さん、初めてとは思えないくらいにお上手でした。とっても気持ちよかったですよ♥」

「同じくらいちゅぱちゅぱも上手だったよぉ。ちゅぱちゅぱしてるお兄さん、可愛かったぁ♥」

 黒髪の少女のおっぱいには力強く吸ったことによる真っ赤な吸い跡が刻まれ、薄っすらと黒ずんだ乳首には歯型が残っていたが、彼女はそれを愛おしそうに眺めながら微笑んでいる。

 そして話しかけられていたが、青年は何度も射精した猛烈な脱力感によっていまは指一本さえ動かせそうになかった。
 あれだけ硬さを誇っていた肉棒も幾たびの射精を経て完全に落ち着きを取り戻している。

「ねぇ、お兄さぁん。水遣いだけ膣内射精して休憩なんて不公平。だ・か・ら、休憩する前に私のこともちゃんと犯してぇ♥」

 ベッドの上で四つん這いになった黒髪の少女が倒れ込んだ青年の身体をゆさゆさと揺らしながら甘い声でねだる。

「勇者様の仰ってることは尤もですし、それに私もまだまだ満足できていないですから……いい、ですよね?」

 あれだけ激しく乱れていた尖った耳の少女もその隣でとんでもないことを口にしながら涼やかな笑みを浮かべている。

 もしかして想像以上に性に奔放すぎる少女たちと一夜を共にしているのではと彼は今更ながら気づいてしまうが、時すでに遅し。

 夜が明けるまでの間に青年が彼女たちによって限界まで搾り尽くされてしまったことは言うまでもない。



「終わってみれば、いい息抜きになったね。想像以上に稼げちゃったし」

 女勇者と水遣いが青年と一夜を共にしてからしばらく経ったその日、彼女たちは明け方の静まり返った町の通りをゆったりと歩いていた。

 この町は昼間は覇を競い合う者たちで活気に満ち溢れており、夜は一攫千金と己の欲を満たそうとする者たちで賑わっているので、こんなにも静かなのはこの時間帯くらいだろう。

「それは同意しますけど、勇者様は金輪際賭け事禁止ですっ! まったく、一時はどうなることかと思ったんですから」

 女勇者の隣を歩く水遣いは頬を微かに膨らませながら、ぷいっと顔を背ける。

 あの日、カジノで大敗した勇者一行は借金返済のために各々働くことになったのだ。
 女勇者と水遣いは娼婦として娼館で、魔鉱戦士は採掘を手伝うために鉱山で、グリフォンライダーは町々へ手紙や荷物を届ける配達員としてあちこちに出向くことになった。

 そして女勇者が抱えた借金は通常であれば完済するまでに何か月もかかるはずなのだが、男漁りを密かな趣味としている女勇者と水遣いにとって娼館で働くのはあまりにも向きすぎていた。
 二人は瞬く間にこの町一番の娼館でのトップに上り詰め、借金を完済するどころかこの先のための資金さえ確保してしまったのである。

「今回のことで懲りたから賭け事はもうしないよ、約束する。そもそも仲間を危機に晒してまでするようなことじゃないしね」

 少しだけ項垂れているようにも見える少女の横顔は心底反省しているように見えた。

 負けず嫌いな女勇者が賭け事にのめり込んでしまうのはある意味で必然だったのかもしれないが、彼女はそれ以上に正義感が強く仲間思いなのだ。
 だからこそ少女はアラメシアの儀によって召喚された勇者なのであり、仲間たちもまた彼女の元に集っている。

「――あと、もう一つ。いいですか?」

 水遣いは人差し指で示しながら尋ねるが、女勇者は彼女が何を言わんとしているのかが想像できず思わず首を傾げた。

「息抜きになったというのは同意しますが、体験してみて思ったのが……お仕事としては私たちには向いてなかったんじゃないかと言うか。その、ヤりたいときにヤるくらいが合ってると言いますか……って、勇者様!? どうして笑うんですかぁっ!?」

「あはははっ……いや、水遣いの言う通りだなって思って。さすが私のお師匠様」

「もうっ、茶化さないでくださいっ!」

 水遣いが頬を微かに赤らめながら声を荒げるのを聞き、女勇者はしばらくの間クスクスと笑い続けていた。
 そんな他愛のないやりとりもひと段落したところで、少女は短く息を吐いてから水遣いの方にあらためて向き直る。

「私の不出来で思わぬ足止めになってしまったし、早くグリフォンライダーと魔鉱戦士を迎えに行こっか」

「はい、勇者様っ!」

 女勇者と聖殿の水遣いは明るく微笑みながらゆっくりと昇る太陽を目指して町中を駆けて行った。

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