あにまん掲示板の各種スレッドに掲載されているR-18小説を保管するためのwikiです。

作者:せきつ生花
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「バカな!ありえん!」

「敵は女一人だぞ!」

「閃刀姫めェ……ッ!」

 小国と列強の国境付近の激戦区域。たった一人の少女によって目の前で戦艦が1隻撃墜された事実に列強の指揮官たちは震えあがった。

 それはさながら戦場を舞う火の鳥の様。赤いアーマーに身を包んだ金髪碧眼の華麗な少女が、刀を片手に航空戦力相手に無双している。見るものによっては美しさすら覚えるその絵面も、列強諸国にとっては悪夢以外の何物でもない。

「噂には聞いていたがまさかこれほどとは……」

「やはり生で見ると……凄まじい……」

「だがあの力を我が列強の手中に収められれば……!」

 各々が各々の感想を述べる中、艦長を務める男が決定を下す。

「撤退だ!当初の目的は達成した。後は向こうの部隊に託そう。撤退!撤退!」

「目の前に例の閃刀姫が!」

「何ィ!?」

 指揮艦のブリッジの前、先ほど戦艦を撃墜した少女がそこに“立って”いた。赤い羽のようなブースターで空中を自在に駆けるその少女は刀を構えつつ、通信で降伏を迫ってくる。

「レーダーでは別の戦艦に向かったはずだ!」

「どうやら精巧なダミーだったようです!どうしますか?相手の要求通り降伏しますか?」

「ええい!降伏してなるものか!戦闘用のドローンを放て!」

「すでに自立型兵器の類は軒並み相手にコントロールを奪われています!」

 まさに詰みの状態。だが、列強の威信に懸けて降伏だけはあってはならない。

「全砲門を展開しろ!あの羽虫を叩き落とせ!」

 指揮艦の砲門がすべて開き次々と砲弾を発射。敵に降伏の意思がないことを確認した少女はすぐそばに転送したブースターを装着し、ミサイルや砲弾の雨を華麗に回避していく。

「クソッ!これほどの砲撃を躱すとは!」

「おい、奴はどこに消え……」

 指揮艦のブリッジにいた列強の指揮官達が最後に目にしたのは、自分たちに向かって真っすぐに突っ込んでくる炎の塊だった。



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『ご苦労だった。軍艦2隻を落とせたのは大きい。これで列強も大打撃を受けただろう』

 ハーキュリーベースに戻ったレイを出迎えたのは軍上層部からの賛美のコメント。レイは装着していたカガリを解除しつつそれに応じる。

「とはいえ相手の裏をかいて指揮艦を強襲するのには少し時間を取りました。やはり狙撃用の新型装備の開発が急務です」

『なるほど。開発を急ごう』

「以上で通信を切っても大丈夫でしょうか?」

 レイは平静を装いつつも、内心シャワールームに行きたくてウズウズした様子を隠せないでいた。既にインナーの裾に指が伸びかけている。

「……大丈夫でしょうか?」

『結構だ。ゆっくり休みたまえ』

 軍上層部からの通信が切れたのを確認すると、レイはインナーを脱ぎ、一糸纏わぬ姿となってシャワールームに入った。先ほどの戦闘で流した汗をきれいさっぱり流そうと……

『緊急ミッションだ。レイ』

「はい!?」

 急な通信に面食らうレイ。さすがにこのタイミングでシャワーの邪魔をされたことに抗議しようとした彼女だったが、事態はシャワーのことなど吹き飛ばすくらい深刻なものだった。

『南西部の都市が直接列強に襲撃された。どうやらこちらの戦艦3隻の襲撃は陽動だったようだ。直ちに急行せよ』

「なんですって……!?」



——————————



 ハーキュリーベースの出撃口から飛び降りたレイは金色の髪を風になびかせながら己の閃刀を構え、システムを起動した。

「閃刀起動-エンゲージ!」

 閃刀のシステムが起動し、レイの周りに物資転送用のゲートが構築される。

「ホーネットビット、起動!」

 ゲートから転送される無数のビット。ビットは一足早く戦場へと飛んでいき、戦場の情報を収集するためのもの。

「カガリ!」

 黒いタイツに局部を覆う白のアーマー。さらにその上から東国の鎧を模した赤いアーマーが構築され、レイに装備される。カガリは2種ある特別な武装の中でも攻撃性能に優れており、レイのお気に入りでもあった。



 尚も降下を続け、ついに街を視認できる距離まで近づく。

「……酷い」

 思わずそんな声が漏れ出た。レイが普段戦っている戦場は、何度も戦場になるだけあって殺風景な場所が多かった。それに対して、今回の戦場は数十分前までのどかできれいな街だった場所。レイが戦場に立って以降、これまで列強は小国の街に侵攻することはなかった。できなかったという方が正しいか。それもレイの功績だ。

 故にレイは市街地での戦いを経験したことがなかったのだ。



 戦場と化した街に降り立つレイ。早速自立兵器が3体襲い来るが、レイは難なく3体を撃破する。そんなことよりも情報だった。なにしろ軍上層部も把握しきれなかった電撃作戦。街の現状はどうなっているのか。ホーネットビットから得られたデータと逃げまどう民達の悲鳴にレイは狼狽した。

「そんな……まだ皆がこんなに残ってるなんて……!」

 そこが市街地だということは予め把握していた。だが状況はレイの想像を遥かに超える悪さだった。突如発生した敵国との戦闘に対し、備えの無かった住民たちはパニックに陥り、市街地は混沌の様相と化した。あちこちの通路で逃げ遅れた人々が右往左往し、戦場の流れ弾に当たって倒れていく。避難経路も逃げまどう民達でごった返し、我先にと逃げようとする住民同士で諍いが生じてしまっている。つい数十分前までのどかで平和だった街が地獄に変貌していた。

「くっ!」 

 目の前で繰り広げられる地獄の様相にレイは歯噛みする。己の遅参を呪う彼女には一つ大きな問題が生じていた。



「これじゃあ閃刀機も術式も使えない……!」



 レイの使役する閃刀機や術式は絶大な戦力であるが故に味方や自国民がいる場での使用を固く制限されている。不用意にそれらを使用すれば味方や自国民を巻き込み大きな被害を出しかねないからだ。故にレイは常に一人で戦場に立ち続けるのだ。

 逡巡するレイに対し、軍上層部からの通信が入った。

『市街地での閃刀機及び閃刀術式の使用を解禁する』

「そ、それではたくさんの住民を巻き添えに……」

『構わん。必要な犠牲ということだ』

 軍上層部の判断にレイは俯く。彼らの指示は冷酷ではあるが正しい戦略なのは疑いようがない。この街が列強の手に落ちれば、ただでさえ厳しい戦況が今後もっと過酷なものとなっていくのは明白だった。

 一呼吸おいて、レイは自分が何をするのかを決めた。

「ホーネットビットで得た住民達の位置データを元に避難誘導にあたってください。私が時間を稼ぎます」

『おい、何を言っている。私たちは我が国の勝利と安』

 上層部の通信を一方的に切り、レイは街中心地の上空で静止した。

「私はレイ!列強と戦い勝利してきた閃刀姫!この国の英雄です!」

 その少女が張り上げた声は戦場の混乱の中にあってもひときわ大きく響き渡った。辺りは静まり返り、敵も味方も住民も皆一様に空に浮かぶ金髪の少女を注視していた。



「安心してください。皆さんは私が命に代えても守ります!」



 閃刀姫-レイ……それは列強にとっては悪夢のごとき宿敵であり、小国にとっては女神の如く崇められる英雄だった。そんな彼女の宣誓は人々に希望と安心感をもたらし、混乱の波が収まるのを肌で感じさせた。

 さらにレイはこう宣言する。

「弱者に手を下す卑劣なる列強よ。私が相手になります。かかってきなさい!」

 その言葉の後、レイは街の中心地へと降り立った。軍上層部から再び通信が来る。

『随分と勝手なことをしてくれたな。お前の勝手な行いでこの国は勝利からまた一歩遠のいたのだ。たとえこの場を切り抜けたとしても厳重な処罰がお前に下されるだろう』

「民を守れるのならそれで本望です」

『子供心に英雄扱いは少々毒が過ぎたようだな』

 今度は上層部が通信を切る番だった。だが、住民の避難誘導にあたるよう部隊の配置を組み替え始めたあたり、上層部は渋々ながらもレイの意思を尊重することにしたようだった。

 その様を見て一安心したレイは、己に接近してくる列強の分隊Aを見据え、閃刀を構えるのだった。



「標的補足!散開!」

 総勢6名の分隊Aはレイを捕捉し、それぞれの持ち場へ就かんとする。だが、敵陣営が攻撃の準備を整える前にレイはカガリのブースターを吹かし、敵兵2名を瞬く間に一刀両断。すぐ近くにいた1名がロケランをレイに向けるも、燃える閃刀で武器ごと両断。直後に響く銃弾が弾かれる音。背後に浮かぶ8対の閃刀は主を縦断から守りつつ、その射撃手3名の位置を正確に教える。返す刀で2名を屠り、残る1名を背後の家屋ごと焼き裂いた。

「守るものの多い市街地戦にカガリは不得手ね……」

 レイは倒壊した家屋を眺めながらポツリと呟く。その直後だった。

「撃てェ!」

 列強の部隊Bはカガリに集中砲火を浴びせかけ、周囲は噴煙に包まれる。

「……やったか?グワッ!?」

 部隊長がスコープを覗こうとした瞬間、その胸から黒い刃物が飛び出した。その刃の主はもちろんレイだ。彼女は抜け殻と化したカガリを囮に噴煙を潜り抜け、部隊長の背後まで忍び寄ってその心臓を一突きにしたのだ。

「き、貴様……ッ!」

 閃刀を引き抜くついでに部隊長のホルスターから拳銃を奪い取る。一発を部隊長の後頭部に撃ちこむと、残った弾を近くの敵影に次々と撃ちこむ。くぐもった声が2,3か所から響いた後、レイは一帯の噴煙を閃刀で切り裂いた。生き残った敵兵3名を視認すると、敵兵が仕掛けるよりも早く2名を切り裂く。残る1名が放った弾丸が肩口を掠めるが、お構いなしにその腹部を突き刺し、壁に縫い付けた。

「そこにいやがったか!」

「っ!?」

 戦闘の音を聞きつけて分隊Cが迫る。だが、敵兵ごと壁にくし刺しにした閃刀が引き抜けなくなっている。分隊Cが発砲し始めたのを確認したレイは泣く泣く閃刀を手放し、物陰に隠れて弾幕をやり過ごす。接近してくる分隊C。ピンチではあるがまだ見つかってはいない。

「やるしかない……!」

 レイは最後尾の男の背後に忍び寄り、強引に組み付く。背後から急に首を締めあげられた男は銃を取り落とし、呻き声をあげた。

「グアァ!?」

 分隊Cのメンバーが気付き銃を向けるが、成人男性の体格で完全にレイが覆い隠され発砲できない。締め上げられた男もそれを察してか、レイごと振り向こうとする。だが、そこもレイの読み通り。男が降り蒸した瞬間、レイは腕を放し、身体を低く伏せる。飛び来る銃弾はレイの髪を突き抜け、背後の男に突き刺さった。さらに男の落とした銃を拾い分隊Cに撃ちつつ突撃する。分隊の全滅までもは望めなくともとにかく場を乱すことができれば万々歳だった。

「コイツ、ちょこまかと……!」

 相手の輪の中に入ってしまえば誤射を恐れて敵は銃を撃てない。しかし自分は撃てる。ずっと一人で戦ってきたレイはずっとそうやって戦ってきたのだ。2人目3人目を始末して残り3人。そこで男たちは銃を捨て素手やナイフに切り替えた。

「んあッ!」

 レイの腹部に男の蹴りが突き刺さる。そもそもの体格的不利があるレイにとってこの状況が最も望ましくなかった。レイの身体は軽々と浮きあがり、無防備な姿を晒してしまう。その隙を突かれ、レイは仰向けの状態で押し倒された。振り下ろされたナイフを弾切れした銃で受け止める。強引に捻ってナイフを取り落とさせることには成功したが、マウントポジションから容赦なく拳が振り下ろされる。

「んぐッ!んぶ!んんっ!」

 とっさに顔をガードしたが、殴られたのは腹や胸。さらにもう一人ががら空きの脇腹を蹴る。さらに胸を踏みつけにした。

「あ゛あっ!」

 もう一人は何をしているのか。二人がレイに暴力を振るっている間、もう一人は壁に突き刺さった閃刀の方へと向かっていた。閃刀の入手・解析は列強の悲願だからだ。男は閃刀の柄を握り、仲間の死体を足蹴にして強引に引き抜く。そしてそれを片手に例の元へと足を進めた。

「どうせだったら愛刀で死なせてやる」

「はぁ、はぁ……やめなさい」

 息も絶え絶えにレイは忠告する。直後、閃刀を持った男は目から血を流し、悲鳴を上げて倒れた。閃刀の操作には圧倒的な情報処理能力が求められる。ほとんどリスク無しで使えるのはレイくらいのものだろう。

「おい!どういうことだ!何が起こった!」

 レイは二人の男が動揺し、倒れた仲間の確認に走ろうとする。その拘束が緩んだ隙を突いた。どうにか抜け出し、閃刀の元へと駆け寄る。

「おい、逃げんな!」

「んああっ!」

 脇腹を再び蹴られるレイ。肋骨を何本か犠牲にしつつもどうにか閃刀の元にたどり着いた。力を振り絞り、二人を斬り捨てる。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 予想外の深手を負ってしまったレイは壁にもたれかかりどうにか呼吸を整えようとする。

「こんなことになるんじゃ近距離格闘用の装備が必要かも……応急処置用とかあってもいいかも……」

 休んでいる暇はない。敵兵がここに来ないということはつまり、住民が襲われている可能性を示唆していた。ホーネットビットから得たデータによると、住民たちの避難は着実に進んでいる。避難が完了し次第、この場にいる敵戦力を閃刀機によって殲滅……

「……今度は自立兵器ね」

 ウィドウアンカーさえ使えればなんて事はない、むしろこちらがコントロール権を奪える分ありがたいまである敵だ。だが、閃刀機が使えない上に深手まで負ってしまった現状ではとても恐ろしい敵に違いない。

 自律兵器が機関銃を連射する。人と比べれば正確、そして正確故に回避しやすい攻撃でもある。レイは傷ついた身体で絶え間なく動き、機関銃を回避し続ける。何発か銃弾が体を掠めつつも、レイはどうにか接近して機関銃を破壊、そのまま敵の動力源を破壊し無力化を図った。直後、自立兵器が自壊した。中から飛び出したのはレイにとって馴染み深い形をしたアーム。

「しまっ……!」

 そう思った時にはもう遅く、アームはレイの身体をがっちりと挟み込み、ワイヤーを通して微弱な電磁波を流し込む。

「ぁ……ん………ぇ…っ…!?」

(これはウィドウアンカー!?)

 ウィドウアンカーはアームで拘束した相手に微弱な電磁波を流し込み無力化する兵器。列強はレイの力を解析する過程でウィドウアンカーを作り出すことに成功したのだ。

「んっく……はぁ…はぁ…」

 レイの全身は弛緩し、アームに拘束された部分だけがピクピクと痙攣している。まさに無防備状態であり、この瞬間を誰かに襲撃されればひとたまりもないだろう。

(でもウィドウアンカーなら有効時間があるはず……その時間を過ぎればまた動けるように……)

 しかしわずかな希望に縋るレイを嘲笑うかのように、自立兵器が2機現れ出る。自立兵器は次々とアンカーを射出し、レイの胸と股をアームで挟み込んだ。

「んああああああっ!?」

 突如胸と陰部を襲った未知の衝撃にレイの身体は大きくのけぞった。ワイヤーを通して流され続ける電磁波はレイの身体を絶え間なく苛み続けるのだ。

「ひぃゃ……ぁあんっ!んんうっ!」

(だ、だめ……!このままじゃおかしくなる……!そ、そうだ、シズクに換装して……)

「ひ、ひずく……ひずくぅぅぅ……ぅうんッ!?」

(な、なんで換装できないの!?)

 緊急換装を行おうとするもそれを阻まれる。レイは電磁波によって脳波を阻害され閃刀を使役する力を一部失ってしまっていた。

 もはや対応手段を失った彼女は戦地の片隅で無防備な姿を晒し続けている他ない。レイは気づいていないが、列強の分隊達は遠巻きにレイの痴態を観測し続けていた。



 それからおよそ10分間、レイからしてみれば永遠にも思えるくらい長い時間が経った後、事態は動く。

「んんぅ……はぁ…はぁ……んんっ!やめれぇ……」

(だ、だめ……ッ!何か来る!来ちゃうぅ!)

「いや!ら、らめッ!んああッ!あ゛あ゛あ゛ああああッ!!!」

 絶え間なく浴びせられ続けた刺激はついにレイの限界点を超えた。身体を一際大きくのけ反らせガクガクと震えながら絶頂する。

「やめへ……んいぃいいいっ!んんうッ!んん〜〜〜ッ!」

(イ、イってるのに……し、刺激が止まない!ダメ!もう止めてぇ!)

 心無き鉄の塊は少女を責め立てることを止めず、決壊した理性の壁は快楽の奔流の前にあまりにも無力だった。剝き出しの神経を嬲り回され、レイは絶頂に絶頂を重ねる。

 それは無間のごときイキ地獄。護国の兵器として今日までを生きてきたレイにとってそれは未知であり、耐えようのない責め苦。そして己の元へ着々と近づいてくる更なる脅威にレイは気づかなかった。

「無様な姿だなァ?小国の英雄さんよォ?」

「ふあ!?」

 声のした方へ恐る恐る顔を向ける。そこにはレイの痴態を下卑た表情で眺める列強の兵士たちの姿があった。

「ぃ、ぃゃ……みないで……」

「さすが英雄サマだぜ。命がけの戦場の中だってのに一人サカるのに夢中になってやがる」

「自国の領土が蹂躙されてるっていうのに随分と余裕だなァ?」

「こんな奴を信じて死んでいった小国の兵隊には心底同情するぜ」

 列強の兵士たちは口々にレイを罵る。レイは反論しようと口をパクパクと動かし、それをやめた。命がけの戦場下、それも自国が蹂躙される真っ只中で一人無様を晒していること自体は本当のことだからだ。レイは己の愚策を後悔し、己の無力を責め、列強への怒りを燃やす。

「おいおい、睨みつけてくるぜ?怖えなァ?」

「ギャハハ!本当におっかねぇや!」

 列強の兵士Aは足元のレイを見下ろし、レイの腹部に足を乗せる。

「いい気分だぜ。俺たち列強はいつもお前に煮え湯を飲まされてきたからよォ?」

「……んぐっ!?」

 兵士Aはレイに乗せた足に徐々に体重をかけていく。絶え間ない快楽責めに引き攣ったレイの腹部は男の足によってグリグリと蹂躙されようとしていた。

「んっ……んんっ!……ぶはっ!」

 必死に腹部に力を入れて堪えていたレイだったが、運悪く電磁波刺激による軽イキと重なり、兵士Aの足による蹂躙を許してしまう。兵士Aの足は容赦なくレイの腹部を踏みしだき、そのうちにある臓腑をも傷つけた。

「んぐぅ…ふぐぅ………ん、んうぅ……ッ!」

 食いしばったレイの口から悲鳴が漏れる。それは兵士たちの気を昂らせ、積年の恨みをさらに燃え上がらせた。

「おい、この際だ。徹底的にわからせてやろうぜ!」

 まるで欲しいオモチャを前にした子供のように、一人の兵士が周りを急き立てる。

「ハハッ!それはいい!本国からは生きて連れ帰るよう言われてるが少しくらい楽しんでもいいだろう」

「俺の知り合いがこいつの墜とした艦に乗ってたんだ。やり返さねぇと気が済まねぇよ!」

「俺も嫌いな上官の仇を討たせてもらうぜ!」

 兵士たちは口々に自分の欲望を口にする。部隊長のAはレイを足蹴にしながら部下たちにこう宣言した。

「なによりこいつ自身がそれをご所望だ。この状況下で一人盛り狂ってるんだからな。余程欲求不満だったんだろう。手厚く持て成してやろうじゃないか!」

 兵士たちから歓声が上がる。彼らはレイを取り囲み、視姦する。

「ふぅーふぅー……んんぅ……っ!」

 レイは息を粗くしながらも兵士たちを睨みつける。絶対に屈しないという覚悟だけが今の彼女の支えだった。

「まずはこの邪魔なアンカーを取っ払うか。電磁波に気を付けろよ。3・2・1・オラァッ!」

 合図とともに兵士AとBはそれぞれ手に持ったワイヤーを強引に引っ張る。CDEはレイの身体が浮かないように地面に押さえつけた

「あ゛あっ!」

 アンカーが解除されるとともに、レイの胸部と腰を守っていたアーマーが砕け散った。もはやレイを守るものは全身を覆う黒いタイツと、四肢に配された白いアーマーのみ。

 アンカーの電磁波からは解放されたものの、快楽の余韻は未だにレイの身体を苛み、抵抗する力を奪い取る。

「いいザマだぜ。ほらよォ!」

「んん〜〜〜っ!や、やめぇっあ゛っ!あ゛んッ!」

 Bはレイの股間を踏みつけ、グリグリと蹂躙する。容赦のない暴力に為す術の無いレイは身体を大きくのけ反らせながら悶え苦しむ。その反応をひとしきり楽しんだ後、Bは他の兵士に交代を申し出た。



「オラ!さっさと立ちやがれ!」

 続くCは横たわるレイを強引に立たせ羽交い絞めにする。前に立ったDがレイの身体を物色し、こう言った。

「おいおい、乳首なんか勃ててやがるぜ!」

「こんな状況下でも興奮してんのか?英雄は色を好むって言うが女も同じなんだなァ!」

 アンカーの電磁波に直に晒された右胸の乳首は黒いタイツの上からでも分かってしまうほどに、その存在を主張している。Dが乳首を指で小突く。

「ひぃっ♡」

 思わず甘い声を漏らしてしまうレイ。その反応を間近に見たDはニンマリと下品な笑みを浮かべ、その快楽の暴発スイッチを指でこねくり回す。

「ひうっ♡……ううんっ♡…らめっ♡らめぇ♡」

 一度漏れ出てしまえば、あとは止めどなく溢れ出す。レイは己の身体の主導権を兵士たちに握られたに等しい。

 Dは執拗かつ入念にレイの乳首を弄り回した。摘まみ、引っ張り、押し込み、引っ掻き、捩じり、挟み、捻り、抓り、弾き……ありとあらゆる手でレイの乳首弄ばれた。やがて右だけでなく左も同様に過敏に感じ取るようになり、両乳首は競い合うかのようにムクムクとその存在を主張しあうようになった。

「くはっ♡……はぅ♡……あぅぅ……ふぅぅぅ、ふぅぅぅッ!」

 レイの顔は紅く染まり、吐息は白く淡く生暖かい。端正な顔は理性と快楽の狭間で揺れ動く心を現すかのように、その表情を歪めさせる。右目で毅然と敵を睨みつける半面、左目は快楽にとろけ切ったかのような様相を示し、時折快楽を振り払わんとするように目を瞑っては、またとろけるのを繰り返し続けた。



「おい、そろそろ交代してもいいだろ」

「チッ!仕方ねえな」

「あうッ!」

 名残惜し気なDは最後に一際強くレイの乳首を引っ張り指を放した。一瞬の激痛の後、解放された乳房がプルンと揺れる。レイの乳房は、それほど大きなサイズというわけではないが、鍛えた身体に裏打ちされた形と張りの良さが兵士たちの劣情を煽る。Dと交代したCは早速その双丘を両手で堪能した。物足りなさを感じさせず、それでいて手に収まるサイズ感。中心部の固い突起が掌の上でコロコロと転がされ、その度にレイは甘い声を漏らした。

「そろそろ中身を見せてもらおうかァ……」

「ひっ……」

 Cがナイフを取り出したのを見て、レイは青ざめた。そんなレイの反応を楽しむかのように、Cはナイフの先端とレイの先端を突っつき合わせる。チクチクとした感触が痛覚と性感を同時に刺激し、レイは身じろぎした。

「おい動くなよ。きれいなお肌に傷がついちまうぜ?」

 Cはそういうと、レイの身体を覆う黒いタイツスーツにナイフの切っ先を走らせた。ナイフが通ったそばから黒のタイツがぱっくりと開き、その下にあるレイの白い肌を露出させる。

 黒いタイツスーツと仄かに紅潮したレイの白い肌による絶妙なコントラスト。淡いピンクの色合いをした乳首、その先端から微かに滲む赤い血。顔に付着した煤けた汚れは激しい戦闘を潜り抜けた証であり、その透き通るような碧い瞳を潤ませる涙は屈辱と恥じらいの証だった。

 Dが羽交い絞めするレイの身体をCはいやらしい手つきで撫で回す。自分好みに切り刻んだスーツからはみ出す白い肌を指で丁寧になぞる

「はぁ、はぁ、やめてよ……気持ち悪いから……」

 少しだけ快楽の地獄から解放されたレイはCに対し、明確な拒絶の意を示す。無論、他の兵士も許すつもりはないが、Cの変態性は他の兵士と比べても常軌を逸していた。

「おいおい、そんなことを言っていいのか?」

 スーツと肌の境目ばかりをなぞっていたその両手は再びレイの双丘へと舞い戻る。そして触れるか触れないかの境界で指をワキワキと動かした後、獲物に喰らいつく蛇のように絡みついた。

「んあっあぁあ!?」

 刺激がしばらく与えられなかったからといっても、刺激への弱さが克服されるわけではない。むしろその緩急や落差の分だけ刺激に弱くなっているとも言える。

「ぁ……ぁ゛ぁ゛♡」

 不意打ちに近い形で胸を鷲掴みにされたレイは、その衝撃に痙攣をおこした。真っ当な呼吸すらも忘れ、絞り出たかのような悲鳴が漏れ出る。全身の神経が胸に集中したかのような錯覚を覚え、一揉み二揉みされる度に全身をビクンビクンと震わせた。

「いい反応するじゃねぇか。胸も手に吸い付くような感触で気持ちいいぜ」

 激しい戦闘や陵辱での発汗、それをずっとスーツの下に閉じ込めていたによりレイの肌はしっとりとした質感となって乾いたCの手に吸い付く。周囲には淫靡な匂いが漂い、死線と陵辱の興奮に身を浸す兵士たちをさらに暴走させた。



「次は俺の番だろうが!早くしろ!」

 Eは半ば強引にCとDからレイを奪い取る。兵士たちの中でも一際体格の大きいEはレイの両肩を鷲掴みにして力任せに近くの民家の壁に叩き付けた。

「かはっ……!?」

 背中から走る猛烈な激痛と衝撃。肺の中の空気が圧縮され一気に吐き出される。

 CとDがテクニシャンだとすればEは粗暴。いや、むしろ獣と言った方が正確か。ただただ己の性欲と征服欲の赴くままに女の身体を蹂躙する様はまさに獣(けだもの)そのもの。そこにこだわりはなく、そこに理性はなく、レイをひたすらに喰らわんとする男の姿がそこにはあった。

「や、やめっ!痛い!痛゛い゛!」

 レイが悲鳴を上げる。Eが鷲掴みにした部位は脇腹。奇しくも先の戦闘でレイが重傷を負った部位だ。しかしそんなことはお構いなしとばかりにEは壁にレイを押さえつけ、その唇を強引に奪った。

「むぐっ!?」

「ンヂュウウウゥゥゥ!ヂュルルルルルルルゥゥゥゥ!」

「んっん〜〜〜ッ!」

 Eは強引にレイの舌を吸い上げ、口内を蹂躙した。レイは懸命に引きはがそうと抵抗するが、Eはそれを力尽くで抑えつけ、さらなる蹂躙を進める。

「ヂュルッ!ブヂュルルルル!ヂュル!ヂュルッ!」

「んヂュルるぅぅ……ぷはっ!やめっ!離しっ!?んヂュぅぅぅッ!?」

「ヂュルルルルル!」

 呼吸すらも許さない貪るような激しい口づけ。レイの心を満たすのは嫌悪感と恐怖だった。

 ぽすん…ぽすん…

 レイはEの胸板を叩いて拒絶の意を示すが、消耗しきった心身から繰り出される抵抗はあまりにも弱弱しい。

「んヂュぅぅぅぅ
…………ッぷは!けほっけほっ!」

 口づけからようやく解放されたレイは、不足した酸素を求め咳き込む。口の端からはダラダラと涎を垂らし、その瞳は虚ろで焦点すらおぼつかない。軽い酸欠状態のままクラクラとするレイを壁に抑えつけたまま、Eはレイに詰め寄る。

「さっきみたいに喘いでくれねぇのかよ?なアッ!咳ばっかしてないで何か言ったらどうだ!」

「はぁ、はぁ……だれがあなたなんかに……きゃうっ!」

 その反抗的な態度がEの逆鱗に触れた。レイをさらに強く押さえつけ、その胸を鷲掴みにする。そして握り潰さんばかりの力で激しく揉みしだいた。

「あ゛っ!痛゛い゛っ!離゛してっ!離してよっ!」

 レイは苦痛に顔を歪める。Eの乱雑な責めには快楽の入る余地はなく、ただただ苦痛と恐怖だけがそこにあった。だがEはそのことに気づくことも無ければ、当然それを改めることもない。こうすれば自分が気持ちいい。相手は甘んじてそれを受け入れるべき。そんなエゴイスティックな本性が責めに表れていた。

「剥くぞッ!オラッ!」

「嫌っ!嫌ぁっ!あ゛あ゛っ!」

 レイの身体を覆っていたタイツスーツが力任せに引き裂かれ、胸から腰にかけての前面が露となる。Eはレイの乳房をがっしりと鷲掴みにし、グニグニと揉みしだいた。

「あいつの言ってた通り、最高の感触だなァ!ちょっとばかり小さいのが残念だけどよォ」

「くぅ……っ!」

 Eはひとしきり揉みしだいた後、レイの乳房の前に顔を持ってくる。そして大きく口を開け、迎え舌で乳首を口内に含んだ。

「んっくぅ……ッ!?」

「ヂュルル…ヂュルル…ヂュルルルルルルルゥゥゥゥッ!」

「ひぃやあ゛ぁ……!」

 Eは思い切り口を窄め、レイの乳首を啜り上げる。舌を使って乱暴に、それでいてやけに入念に乳輪を舐り回す。それだけに飽きたらず、固く尖った先端部分を歯で思い切り嚙みしめる。

「痛゛っ!」

 ビクリと身体を震わせるレイ。Eがさらに啜ると、Cが乳首の先端につけた傷から微量ながらも血が噴き出た。

「ゃ、やめてぇ……す、吸わないでぇ……」

 それはさながら乳を吸われるかの様。レイの背筋に怖気が走る。そんなことはお構いなしに、Eはレイの血と汗を貪り、征服感で心を満たした。

 Eはレイの乳房から口を放し、レイを強引に跪かせた。そして己の肉棒をレイの顔の前に突き出す。

「さんざん気持ちよくさせてやったんだ。お前もやれ」

 レイの眼前に突き出された肉棒は閃刀の柄を思わせるくらいに太く長い。内に貯めこんだ精を解き放たんばかりにドクンドクンと脈打ち、先走った汁によってぬらぬらとしたツヤを纏っていた。

「ほら、舐めろ」

「ゃ……っ!」

 嫌がるレイの口に肉棒が押し付けられた。汗と精の混じった悪臭がレイの鼻を突き、レイの唇とEの肉棒の間にねっとりとした橋が架かる。

「舐めろっつってんだろ!」

 Eはレイの頭を鷲掴みにし、強引に己の肉棒を咥えさせようとする。レイは必死に口を噤み、それを拒絶した。

「んんっ!んん〜〜〜!」

「クソが!口を開けやがれ!」

 業を煮やしたEがレイの腹を蹴り上げた。

「んはッ!?」

 思わず口を開いてしまうレイ。Eはすかさずレイの口に肉棒を突っ込む。

「んぐッ!?んんっ!んん〜〜〜〜ッ!」

 口いっぱいに広がる強烈な雄の味と匂いにレイは頭をクラクラとさせる。Eの肉棒はレイの口に収めるにはあまりにも大きく、それを強引に喉奥まで突っ込むのだから呼吸すらもままならない。Eの汁とレイの涎が混ざり合ったものが口端から絶えず溢れ出し、首を伝ってその下の身体を汚していく。Eに喉奥を突かれる度にレイはえずき、その身体を震わせた。心にはまだ抵抗する意思を残していたものの、身体は既に降伏状態。心が折れるのも時間の問題に思えた。

「そろそろ出そうだ。ちゃんと全部飲めよ」

 ピストン運動とは別で、Eの肉棒そのものがドクンドクンと震えているのをレイは察知した。Eの肉棒は徐々に膨張し、その肉厚を増していく。それが地獄の終わりか、それとも更なる地獄の始まりか、レイにはわからない。

「出すぞッ!」

「んぶぅッ!?」

 その掛け声とともにEは一際強く肉棒でレイの喉を突き上げた。直後、びゅるびゅると放たれたEの精がレイの口を満たす。何十日にも亘って溜めこまれた特濃の精はレイの喉に絡みつき、気管さえも害した。咳きこもうにもEの肉棒が蓋をしてそれを許さず、レイは身体をぶるぶると震わせることしかかなわなかった。

 Eが肉棒を引き抜くと、レイの口からドロリとした白い塊が吐き出された。Eは咳き込むレイの髪を鷲掴みにし、強引に自分の方を向かせる。

「はぁ」「はぁ」「はぁ」「はぁ」「はぁ」

 舌をだらりと垂らしながら浅い口呼吸を繰り返す様はまるで犬。頬には涙が幾筋も流れた跡があり、怯えたような虚ろな目を向けるレイにEは尚のこと昂る。

「いい顔するじゃねぇか。もう一回だ!もう一回!」

「ゃ、ゃぁ…」

 Eの肉棒が再び屹立する。レイは腕を交差し、首を振りながら必死に口元を守らんとする。それはか弱い動作ではあったが、Eのイラマチオを阻止する分には有効だった。なかなかレイの口に挿入できないことに苛立ちを覚えたEは髪を鷲掴みにしたまま強引にレイを持ち上げる。

「抵抗してんじゃねェぞ!オラッ!」

「あぎッ!?」

 レイの腹部にEの拳がめり込んだ。顔を守るのに必死であったが故に腹部は無防備状態だった。いかに鍛えられた肢体であろうと、快楽と疲弊で緩み切った状態では意味をなさない。Eの拳はレイの身体に鋭く、深く、重く、響く。

「オラッ!」「あぐッ!」「オラッ!」「うぐッ!」「オラッ!」「あひッ!」「オラッ!」「おごッ!」

 レイの背後の民家がミシミシと音を立てる。それはEからレイに振るわれる暴力の凄まじさを物語っていた。そのあまりにも凄惨な光景に他の兵士たちは眉を顰め、ヒソヒソと嫌悪感を口にする。状況を見かねた部隊長のAはEの肩を叩いて忠告する。

「『生きて列強に持ち帰る』そういう指示だということを忘れるんじゃねぇぞ」

「ハッ!そんなこと気遣ってられるかよ!死んだときは死んだときだ!戦死したってことにすりゃいいだろ?」

「……それもそうだな。持ち帰るのは死体でも構わん」

 Aがその場から離れたのを確認すると、Eはレイを路面に転がし、陰部を覆うタイツを引きちぎる。

「そんじゃ、死ぬ前に最後のお楽しみといこうかァ!」

「ひっ!……ゃ、やめて!」

 Eは屹立した肉棒の矛先をレイの秘裂に定め、進軍を開始する。不用意な抵抗を防ぐため、その両手はしっかりとレイの首を押さえつける。

「ふんんっ!んんんっ!ん〜〜〜!」

 レイは最後の力を振り絞り、必死に抵抗する。両腕は首への拘束を解こうと必死に藻掻き、両脚はどうにか敵を遠ざけんと何度も蹴る。だが己の首を絞める力が強くなるにつれて、その抵抗はどんどん力ないものへと減退していく。

「くっ……きゅぅ……ひゅぅぅぅ、ひゅぅぅぅ……」

 四肢の力が抜け、口の端から泡が吹きだす。その瞳は徐々に濁り、顔色が悪化していく。薄れる意識に対し、感覚だけはやけに過敏になっており、Eの肉棒が迫りつつあるのを肌で感じていた。

(もう……ダメ……!)

 目の前の絶望に対し、レイは目を瞑る。

 今まさに肉棒の切っ先がレイの秘裂に触れ……















 秘裂を貫かれる感覚はいつまでも来なかった。



 Eの死体を前に列強の兵士達は口々に言いあう。

「やっちまったなァ。どうする?」

「上には戦死したって報告する」

「まったくめんどくせェ……こんなデカブツの死体回収なんてごめんだ」

「持ち帰るのは一部だけでもいいんだろ?腕とか脚とか」

「じゃあその辺の血の付いた石でも持って帰るか。こんな奴だ。それくらいでいいだろ」

 Bはその場にある瓦礫の破片を拾い上げ、灰皿の中にしまい込む。

「げほっ!げほっ!……けほっ!ごほっ!」

 意識を取り戻したレイが激しく咳き込んだ音を聞き、列強の兵士達はレイを取り囲む。

「ようやくお目覚めか」

「のんきなもんだな。命がけの戦場でよォ?」

「ぁ……ぇ……けほっ!」

 レイは何か言い返そうと口を動かそうとし、それをやめた。喉が掠れ、言葉がうまく口を出ない。意識が段々とはっきりしていくにつれて、自身の身体がどれだけ深刻なダメージを負っているかを痛覚を通して知覚する。

「はあ、はあ、はあ……げほっ!ごふっ!」

 粗い呼吸と共に吐血するレイ。直ちに治療が必要な状態だが、当然それを望める状況ではない。Aがレイの顔を覗き込み、軽く頬を張る。

「安心しろや。衛生兵がもうじきここに来るからよ。列強はお前の力が欲しいから殺しやしねェ。持ち帰って研究させてもらうぜ。『閃刀姫』の力をよォ……」

 レイは歯噛みした。小国において列強に対抗しうる戦力はレイしかいない。そのレイが列強に捕らわれてしまえばどうなるか……それは火を見るより明らかだ。さらに悪いことに列強は閃刀姫の力を欲している。自分の力が列強に悪用されるという最悪の未来にレイは震え慄く。

「だがなァ……列強にお持ち帰りされる前に一つ大仕事をしてもらう必要があるんだわ」

「……」

 レイは何も答えない。せめてもの抵抗に目の前の男の言葉を意に介さないフリをするしかなかった。そんなレイのささやかな抵抗を嘲りつつ、Aはレイに無慈悲な宣告をしてのけた。



「これからお前を全世界への見せしめにしてやるからよォ。列強に逆らったらどうなるかってのを教えてやるのさ。覚悟しとけよォ?」



 レイの地獄はまだ始まったばかり

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