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古代核戦争

ヴィマニカシャストラについての技術的評価


"Vaimānika Shāstra"(ヴィマニカシャストラ)とは、「Pandit Subbaraya Shastry (1866–1940)が、1918–1923に口述筆記させた」と称して、1952年にG. R. Josyer が公開した、インド神話上の航空機であるヴィマナについての本である。1959年にヒンディー語版が、1973年に英語とサンスクリット対訳版が出版された。(散逸していたようだが、このあたりが再収集したもよう)

1974年に、その出所とその記述の考察と、記載内容についての技術的評価を、Indian Institute of ScienceのHS. Mukundaたちが行っている。

その技術的評価によれば、ヴィマニカシャストラは、まともな技術書として書くべきことが書かれていない。
2. 技術的精査と批判的分析

2.1 全般

特に航空学のように複雑なものであれば、あらゆる主題に関する一般的な論文では、まず基本原理の発想から始め、その後これらの原理と技術の統合と開発について論じる。これは確かに現代の科学技術に関するどの論文もそうなっている。これとは逆に、ヴィマニカシャストラはすぐに詳細にとりかかる、ここでも、いかなる一般化についての記述もない。(航空機の)異なる部分は、あたかも特定の航空機が記述されているかのように定量的に記述されている。

航空科学では、空気力学や機体構造や推進装置や材料や冶金など、さまざまな分野を理解する必要がある。対象とする著作では、推進装置と機体構造に不適切に重点を置いているが、空気力学にはほとんどまたは全く重点を置いていない。空気より重い航空機の製造に関する(西洋の)航空学の歴史は、空気力学の理解がないことが原因である、初期の失敗で散りばめられている[5]。

対象とする著作[1,2]には、航空機の定義・パイロット・飛行ルート・衣服・金属・冶金・鏡の定義と戦時利用・さまざまな機会やヤントラ、マントリクやタントリクやクリタクといった航空機について、記載および詳細が載っている。クリタクに分類されるシャクラ・スンダラ・ルクマ・トリプラという航空機についての詳細も記述されている。

我々は、主に上記の4つの航空菌について論じる。議論は、原理・形状・材料・化学・飛行データに基づいて行う。

[注:添付の航空機図は、見やすくするためのものであり、縮尺通りではない。]


[1] Swami Bramhamuni Parivrajaka, “Brihad Vimana Shastra”, Sarvadeshik Arya Pratinidhi Sabha. Dayanand Bhavan, New Delhi, 1959.
[2] G. R. Josyer, “Vymanika Shastra”, Internaitonal Academy of Sanskrit Research, Mysore‐4.
[5] Theodore von Karmen, “The Aerodynamics”, McGraw Hill Company, 1963.
この後、4つのヴィマナについて考察が為されている。いずれも飛行できそうにない。

まずは、鳥っぽく飛行するらしいシャクナヴィマナ。
2.2 シャクナヴィマナ 2.2a 全般。その名前が示すように、このヴィマナ(航空機)は鳥のようである。ピータ(床板)、中空マスト、穴あき三輪ケラカ(蝶番)、空気吸引管、ウォータージャケット、オイルタンク、シャクナヤントラ、2つの翼、ヴィマナを飛行可能にする尾部、オシヤマカヤントラあるいは熱機関などから構成されている。

複数の層から構成され、それぞれの層には異なるヤントラ(機械)が装備されている。これらの図には、シリンダー、ピストンウォームギア、ポンプなど、完全に(18世紀以降の)近代に見える部品が描かれてる。

2.2b 原理。翼と尾部の機能について数行書かれているが、それらは正しくないようだ。以下の節に書かれていることからすると:

揚力の発生のために尾部が非常に重要であると思われる。ヒンジ翼の機能もこの文脈では不明確になる。翼は航空機の揚力に寄与し、尾部は操縦性に寄与することに留意されたい。

2.2c 形状。我々の意見では、航空機の高さと幅は安定性に深刻な影響を与えるほどの比率になっている。本文で記載されているサイズと図に示されているサイズは矛盾している:

記載されたサイズは以下の通り。床板の高さは24メートル。幅と長さはそれぞれ18メートル。後者は図面により異なり、24メートルと7.5メートルの場合がある。文面ではヴィタスティは長さの単位として使われているが、図面ではフィートが使われている。ヴィタスティは使われている場所により、22.5cmから30cmの間で変化している。ここではヴィタスティがすべて30cmとみなされているようだ。

2.2d 運用データ。性能に関する記述はない。

2.2e 材料。材料についての記述は多くある。床板は「ラジャロハ」で作られている。これはおそらくプラナクシャラ(塩化アンモニウム)、ベンガルグラム、ベンゾイン(安息香)、水銀ホウ砂、雲母、銀、パンチャムリタから作られ、800カクシャ(温度単位)に加熱される。ここには多くの材料についての記述がある。
2.2fコメント。ここでは、鳥のように飛ぶという本質的な考え方が、レオナルドダヴィンチの時代から数世紀にわたって(海外で)多くの人々によって試みられてきたが、成功したことがないことを指摘しておこう。したがって、上記のようなタイプの航空機の実現可能性はほとんどない。誰であれ、作者は、空気より重い航空機の航空力学について、まったく理解していない。
翼をはばたかせて飛ぶタイプの航空機は、フィクションでは、産業革命以前のレベルと想定される文明で、飛行するマシンとして登場することがあるが、現実には飛べない。また、翼が底面に取り付けられているのは絵的にはそれっぽいが、実際にはとても不安定。確かに「航空力学について、まったく理解していない」と書けない。

次は、飛行原理不明なスンダルヴィマナ。
2.3 スンダルヴィマナ
2.3a 全般。この航空機は、5本のタイヤと多数の部品で飛行している。これらは以下の通り。底板、煙突、5つのガスエンジン、金属管の送風機、発電機、4面ヒーター、外部カバーである。

2.3b 原理。場所については相当詳細に記述されているが、飛行原理については何も書かれていない。読み取れた原理は以下の通り。ジョティンムカを使った(摩擦と熱と太陽光線と風力などの組み合わせと思われる)何らかの手段による発電、16個のロバ尿のドロナ対策手段などの部材。電気の80のリンクの使用は、蒸発機体によるものと思われる。これとは別に蒸気も生成されている。いくつかのスイッチ操作で、これら(オイルと蒸気の)2つを混合して、500カクシャの熱を生成できるようだ。それらは、その後に、推進のためにシュンダラと呼ばれる(ゾウの鼻のような)パイプを通過する。さらにいくつかの機械の詳細な説明がある。図面と本文を見ると、空気は下から吸い込まれ、高温のガスはパイプを通って上に向かって排出される。そして、ニュートンの法則に全く反する記述によって、この航空機は命を吹き込まれる。明確に法則に反している節に触れておこう。


「ジェットがシュンダラから出るのと同じ方向に、航空機の高速な動きが生じる」
「ブリハド・ヴィマナ・シャストラ」ではシローカには疑問符がついているが、「ヴィマニカシャストラ」では、Shri Josyerは関連する節を編集したようだ。

この編集のせいでに、節の意味が正しくつながっていない。実際、この編集はまったく不要で、すべきではなかった。編集するなら、そのようにすべきだった。

2.3c 形状と運用データ。円錐と円柱が接続された形状で、底面の直径は9.6メートル、円柱部の高さは6メートル、円錐部の高さは8.7メートルである。全体形状は、移動式工場のようで、航空機の用には見えない。ガスエンジン(ドオモダヤントラ)から煙の速度は2113リンクと書かれている。ナラスタンバからの風速は600リンクと書かれている。航空機の速度は:

1ガティカ経過する間位に400ヨヤンナ進む。

ガティカの標準的な意味は24分である。ヨハナには約12〜16kmの意味がある。(さらに長い距離だと解釈する者もいる)少なくとも速度は13000km/hなり、いかなら規準からしても素晴らしい数字である。今日のいかなる航空機も大気圏内でそような速度に到達したことはない。

2.3d 化学と材料。 発電に使用される容器の1つは、水銀と混合された象の尿に浸されたアパマルガとサンパシアとアヤスカンタで満たされていると思われる。他の容器は牛の尿で満たされているなど。他にも同様に、意味をなさない説明が書かれている。
エネルギー源は意味不明であり、飛びそうな説明にもなっていないというシロモノ。

そして、一見、VTOLっぽいルクナヴィマナ。
2.4ルクナヴィマナ
2.4 全般。この航空機は5層構造であり、3層目に客室がある。この航空機は飛行のみを目的とする。


2.4b 原理。少し前に「ブリハド・ヴィマナ・シャストラ」を調べた際には、幾人かが最も意味がありそうだと考えた航空機である。当時は、図面を含む「ブリハド・ヴィマナ・シャストラ」はなかったので、「ブリハド・ヴィマナ・シャストラ」の本文から、上部にファンを持つ長い垂直ダクトがあると考えた。気流の方向は本文中に記載されていない。上昇するときは、上部から空気を吸い込み、それをダクトの下に送るようにファンを動かし、本質的には垂直離着陸機(VTOL)のようなプロセスで揚力を発生させることは可能だと考えた。

本文では、揚力は床板に対してアヤピンダホイールを叩くことで発生すると書かれている。電気管がどのように飛行に機能するのか書かれていない。図中には飛行ファンと書かれているが、本文中にはファンの目的は書かれていない。他の航空機と同じく、安定性は疑わしい。

2.4c 形状。形状は直径30メートル、高さ6メートルの円柱と、高さ24メートルの円錐の組み合わせである。本文では底面は300メートルだと書かれている。

しかし、図面では30メートルとしか書かれていない。これは形状が合っていない。

2.4e 材料。多くの材料が書かれており、ライアロハもある。

2.4f コメント。航空機を図面および本文に書かれたままのものだと解釈すると、航空機としてはまったく実現不可能であると言える。

そして、どうやって飛行するのか書かれていないトリプラヴィマナ。
2.5 トリプラヴィマナ
2.5a 全般。この航空機は、空中を飛行し、水上と地上を移動する。 水上を移動するときは、車輪は引っ込められる。


2.5b 原理。飛行原理について何も書かれていない。上部の発電機で、太陽光及び何らかの酸で発電されると書かれているが、その方法は書かれていない。全体的な雪面と図は、19世紀までは知られていなかった電気モーターを使っているように見える。

2.5c 形状と運用データ。長さ30メートル、最大幅7.2メートルの楕円形である。航空機の高さは9メートルである。運用データの記載はない。

2.5d 材料。水が機体に侵入するのを防ぐために、水上移動中は、ミルククロスとして知られる布で覆われていると書かれている。耐光性および耐火性であると思われる合金の記載もある。

物理法則を無視して、反重力を持ち出さない限り、いずれも飛行できそうにない。

その後、人々が航空機移動するようになり、ヴィマナが空力的に飛びそうに見えなくなる。そうなると、むしろ積極的に、ヴィマナは反重力で飛行していると主張されるようになる。それはまた別の議論。






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