冷戦時代の核実験や民間防衛をめぐるカルチャー

アート

米空軍の原子力航空機の絵


掲載時期不明の「原子力航空機」に関する記事。空軍実験機コンヴェアNB-36H(1955-57)と、ノースロップの原子炉換装航空機(機種名等はない)について記載されている。
Nuclear Powered Aircraft (原子力航空機)

"Between 1946 and 1961, the Air Force and the Atomic Energy Commission spent more than $7 billion trying to develop a nuclear-powered aircraft. Although no airplane ever flew under nuclear power, the Air Force converted a B-36 bomber, known as the Nuclear Test Aircraft, to carry an operating three-megawatt air-cooled reactor to assess operational problems (it made 47 flights over Texas and New Mexico between July 1955 and March 1957). The NB-36H carried the reactor in its aft bomb bay and incorporated a new nose section, which housed a 12 ton lead and rubber shielded crew compartment with 10-12 inch (25-30 centimeters) thick leaded-glass windows. Water pockets in the fuselage and behind the crew compartment also absorbed radiation (due to weight constraints, nothing was done to shield the considerable emissions from the top, bottom or sides of the reactor)." (Source: Brookings Institute)

1946〜1961年にかけて、空軍と原子力委員会は原子力航空機の開発に70億ドル以上を費やした。原子力で飛行した飛行機は存在しない。しかし、原子力試験機として知られれる、空軍はB-3 爆撃機を改造し、動作上の問題評価のために稼働中の 3メガワットの空冷原子炉を搭載した (1955年7月〜1957年3月にテキサス州とニューメキシコ上空を47回飛行)。NB-36Hは後部爆弾倉に原子炉を搭載し、12トンの鉛とゴムで覆われ、厚さ25〜30 センチメートル の鉛ガラス窓が取り付けられた乗組員室を設置したたらしい機種セクションが組み込まれていた。胴体と乗員室の後ろの水タンクも放射線を吸収した(重量制限のため、原子炉の上部、底部、側面からの相当量の排出物を遮蔽するための措置は何も講じられなかった。)


B-36 bomber converted to carry test reactor (試験用原子炉搭載のB-36爆撃機改造機)


One idea for an operational nuclear-powered aircraft involved detachable reactor modules that could be replaced as needed. In this artist's conception, the pilots were in the section forming part of the tail, which could be detached in cases of emergency. (Source: Brookings Institute)

運用可能な原子力航空機に関するアイデアのひとつは、必要に応じて交換できる取り外し可能な原子炉モジュールを持つものだった。このアーティストの構想では、パイロットは尾翼の一部を形成する部分に搭乗し、その部分は緊急時には切り離すことができた。

"Nuclear Powered Aircraft", Radiation works, Brookings Institution, archived from the original on March 2, 2006. ]

1957年のノースロップの原子力航空機に関する記事。絵はすべてアーティストイメージで、機種名称などの記載はない(ただし、護衛戦闘機を搭載する原子力爆撃機については、それを検討するプロジェクト名称として「オポサム」との記載がある)。

Popular Magazine 1957年4月号


機体中央部に2個の原子炉を装備し、尾翼上部に乗員が搭乗するデルタ翼原子力航空機のアーティストコンセプト


左上は、空軍乗員が先端部に搭乗する原子力航空機で、熱損失を最小にするために原子炉は多発ジェットエンジンのある尾部近くにある。
左下は、この飛行艇は、不時着時に放射性物質を水中に投機する。
右上は、原子力爆撃機で護衛戦闘機を輸送する。護衛戦闘機は分離飛行する。
(「プロジェクトオポサム」では原子力爆撃機は6機の護衛戦闘機を搭載し、通常時は高空を亜音速飛行し、敵襲を探知したら、護衛戦闘機を切り離し、超高空へ待避する。超音速戦闘機は母機を護衛し、敵警戒域へ飛行する。)


ノースロップ社のオブリンガーが着想した原子力航空機のアーティストスケッチ(原子炉換装方式)
尾翼の一部を構成する乗員機は非常時に分離し、独自飛行する。
原子炉には自走できる着陸装置が取り付けられ、滑走路で遠隔操作で自動走行する。原子炉燃料補充のため、遠隔操作で新たらしい原子炉と交換される。

Popular Mechanics Apr 1957 ]
護衛戦闘機6機を搭載する原子力爆撃機はノースロップN108、原子炉換装航空機はノースロップN34と呼ばれることがあるが、実際にそのように呼ばれていたのか不明。また、おそらく、これらは設計されたことはなく、アーティストコンセプト以外に絵も知られていない。


以下は「"CONVAIR NB-36H "THE CRUSADER"" (2009/06/26) on National Museum of the US Air Force」掲載の実験機コンヴェアNB-36Hの写真:
飛行中のコンヴェアNB-36Hで、尾部に放射線注意標識がある(米空軍写真)
飛行中のコンヴェアNB-36H(米空軍写真)
コンヴェアNB-36Hの先端部。元名称XB-36Hがマークされている(米空軍写真)
コンヴェアNB-36H(米空軍写真)
コンヴェアNB-36Hコクピット(米空軍写真)
コンヴェアNB-36H 右核技師パネル。機関士が飛行中のエンジンと翼を目視検査できるように、テレビモニターが中央上部隔壁に設置されている(米空軍写真)コンヴェアNB-36H 左核技師パネル
コンヴェアNB-36H 右機関士パネル(米空軍写真)コンヴェアNB-36H 左機関士パネル(米空軍写真)
注: このページの情報は、モックアップから設置までの航空機の機首部分の開発を詳述した Convair のレポートに基づく。

NB-36H (当初はXB-36Hと呼称) は、航空機原子炉の研究と試験に使用された。空中に運ばれる原子炉は航空機の推進には使用されず、主に核反応の影響に関する多くの未知の要因を測定するために使用される予定だった。「クルセイダー」と名付けられたNB-36Hは、1950年代半ばに47回飛行した。

プロジェクトMX-1589は 2 つの空軍契約に基づいて実施された。ひとつは機体の研究開発に関するもので、もうひとつは空軍のためにコンベア・フォートワースによって運営される原子力航空機研究施設となるものの建設に関するもの。

このプロジェクトは、国防総省が航空機搭載原子炉用のB-36実験機の存在を明らかにした1955年末まで機密扱いだった。航空機の機首部分は完全に再設計する必要があり、その結果、実物大の実用モックアップが初めて使用されることになった。機首部分のモックアップには、航空機の離陸位置のシミュレーションを提供する油圧設計機能と、実際の航空機の換気条件、配色、その他の乗組員の快適性と安全性を再現する詳細設計を提供する乗務員室内の詳細設計が含まれていた。

XB-36Hには、操縦士、副操縦士、機関士、核技師2名の乗員5名が搭乗した。すべての乗員は航空機の前部に位置し、原子炉は後部に位置した。量産型B-36Hのコクピットは、より従来型のコックピット配置に置き換えられた。新しい機首部分はオリジナルよりわずかに短く、前脚は前脚のすぐ後ろに乗員の入口/脱出ハッチを取りつけるために15cm前方に移された。

1952年の労働者の日(9月1日)、カーズウェル空軍基地は竜巻に見舞われ、数機の航空機が損傷した。これらの航空機は大規模な修理のためにコンヴェアに返却された。このグループには、胴体の機首部分を失った飛行機番号242(S/N 51-5712) もあった。コンヴェアは、この飛行機を核計画に使用し、ステーション5の前方の損傷した機首部分を新たな機首部分と交換し、乗員室をモックアップとして設計することを提案した。この提案は空軍によって同意された。

乗員室のサイズは、B-36H飛行機の機首部分の許容総重量によって決まった。必要な訓練を軽減するため、操縦士と副操縦士のステーションは標準的なB-36の配置に可能な限り近づけて配置された。核技師ステーションは、原子炉の運転に必要な計器を組み込むように設計された。通常、従来のB-36の後部から乗員によって行われていたエンジンのスキャンは、試験機のテレビカメラが引き継ぐ必要があった。テレビの配置には別の問題が生じた。 セットは機関士がすぐに見える場所に設置する必要があった。機関士のステーションにはスペースがなかったが、核技師のステーション間の頭上エリアには、機関士から容易に見える範囲内にスペースがあった。

内面の色処理と照明の配置は、目の疲れをできる限り軽減するように設計された。核技師および機関士の区画で使用されている灰色の配色は、操縦士および副操縦士ステーションにとって不利であることが判明した。黄色のフロントガラスを通過する外光により、ライトグレーは好ましくない色に変色した。操縦士と副操縦士のコンパートメントにラベンダーを使用することで、グレーの錯覚が実現された。

型式: NB-36H
機数: 1 (改造)
備考: 原子炉実験用航空機

スペック
武装: なし
エンジン: 離陸用にPratt & Whitney R-4360-53を6基、飛行用General Electric J47-GE-19ターボジェット4基
最高速度: 時速676km (高度14326m飛行時)
巡航速度: 時速378km
最高高度: 14326m
幅: 70m, 全長 49.4m, 全高14.2m
重量: 179.3t
乗員: 操縦士, 副操縦士, 機関士, 核技師2の合計5名
機番: 51-5712 (改造前 B-36H-20-CF)

[ "CONVAIR NB-36H "THE CRUSADER"" (2009/06/26) on National Museum of the US Air Force ]






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