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＜動物コメント＞
◎外来生物学者　坂本 洋典

オオフウチョウを漢字で書くと、「大風鳥」です。大航海時代、遥かなマレー諸島から持ち帰られ、スペイン国王に献上されたこの鳥の最初の標本は、足が取り除かれたものでした。そこでヨーロッパの人々はこの鳥を、風に乗って地面に降りない鳥、また風を食べる鳥、すなわち風鳥と想像したのです。オオフウチョウの学名は、「極楽に住む足のない鳥」を意味し、日本でも「ゴクラクチョウ」の異名をもちます。

オスのオオフウチョウは華やかな黄色の飾り羽根をもち、木の上でダンスして、対照的に落ち着いた褐色をしたメスを惹きつけます。生きたこの鳥のダンスを初めて観察したヨーロッパ人である博物学者のウォーレスは、「枝先に咲く黄金の花」と称えています。

この鳥の美しさに魅せられ、マレー諸島に住む40種近くものフウチョウがどのように誕生したか興味をもったウォーレスは、ダーウィンと同時に進化論の理論に辿りつき、偉大な研究成果を残しました。いわば、フウチョウはダーウィンが研究したガラパゴス諸島のダーウィンフィンチと同じ役割を果たしたのです。昆虫学者でもあったウォーレスの大ファンの私としては、多くの人に是非知ってもらいたい鳥です。

＜２０２０年４月公開＞