最終更新: xrs1c1qdm2 2023年12月31日(日) 17:29:03履歴
事務所 | |
番組D | はい!モデルからトップアイドルへと華麗な転身を果たした高垣楓さん。その美しき一日を、お茶の間のみなさんへ特別番組としてお届けしたく! |
楓 | 美しきだなんて……。特別番組だなんて、ありがたいお話ですし、私は構わないですけど……。 |
楓 | プロデューサー、どう思いますか?私、ご期待に応えられるでしょうか? |
P | いつもの姿を見せましょう |
楓 | いつもの……それでよろしいんですか?特別じゃなくても……なら、わかりました。 |
番組D | おお!ありがとうございます!これは数字が取れるぞ〜……。 |
番組D | 題して「激撮!高垣楓の華麗なる24時」!神秘に包まれた高貴なプライベートを、余すところなくファンにお届けしましょう! |
楓 | あのディレクターさん、面白いことをおっしゃってましたね。高貴なプライベートをお届けだなんて……好奇心が旺盛ですね。ふふっ。 |
楓 | 少し緊張してしまいますけど……。いつもの私で構わないと、おっしゃっていただけたので、あまり気負わず、撮影していただくことにします。 |
あやめ | ……ふむ。お話は確かに聞かせていただきました。 |
P | よろしくね |
あやめ | はっ。必ずや使命を果たしてみせましょうっ。では、これにて。ニンッ! |
取材当日 | |
あやめ | 始まりました!「激撮!高垣楓の華麗なる24時」!同行カメラマン兼リポーターは、この忍ドル浜口あやめです! |
あやめ | 今日は楓殿のオフに密着ということで、どのような休日を過ごしているのか、お邪魔にならぬよう、影として見守りたいと思います! |
あやめ | なお、楓殿には今日が撮影日だとは伝えておりません。まさしく素の姿が見られると思います! |
あやめ | それではさっそく、楓殿の様子をお届けします!ニンッ! |
あやめ | 楓殿の朝は早い……。そのスタイルを磨き上げるべく、スポーツジムに通われているそうです! |
あやめ | ……が、どこにも見当たりませんね。はて……? |
番組D | おかしいな……プロデューサーさんに聞いた話では、今日はここで汗を流すってことだったんだけど……。 |
??? | はっ!うっ……ぬぬぬ……ふんっ!ふっ……ぬぬぬ……ふうっ! |
あやめ | おや、この声は……。 |
瑞樹 | ふぅ……大胸筋はこれでよし、っと。ん?……あら、あやめちゃん。おはよう♪今日はマイク片手に……リポーターのお仕事? |
あやめ | 瑞樹殿、おはようございます!はい、楓殿のプライベートに密着という企画なのですが、肝心のご本人が見当たらず……。 |
瑞樹 | あら、楓ちゃんだったら、ついさっき連絡が来てたわよ。ほら、こんなメール。 |
楓 | 久々のオフなので、昨日は気持ちよく飲んでしまいました。今日は昼まで高いびき、ならぬ高垣いびきです……。 |
あやめ | な、なんとっ! |
番組D | の、飲みすぎ……?高垣いびき……? |
瑞樹 | せっかく来たのに撮れ高が無いのも困っちゃうわよね。はっ!そうだ、ミズキのスペシャルスタイルアップメニューの紹介とか、どう? |
あやめ | ほう……その秘伝、ぜひご教示たまわりたくっ! |
瑞樹 | まかせて!まずは、ウォーミングアップからよ! |
番組D | ……ま、まぁいいか。まだ一日は長い。トップアイドルも、飲みすぎることくらいあるよな……。 |
あやめ | 楓殿の昼はビューティフル……きっと、体に良い素敵なランチをしているに違いありません! |
あやめ | 先ほど、瑞樹殿から仕入れた情報によりますと、楓殿は忘れ物を取りに事務所へいらっしゃるそうです。ここで待ち伏せしたいと思います! |
あやめ | ……む、誰か来ますね。忍法・隠れ身の術!ニンッ! |
美優 | おはようございます。……あら、誰かいたように思ったけど……気のせいかしら。 |
楓 | 木の精かもしれませんね。観葉植物とかの。 |
美優 | はい……?そうですね。楓さん、お昼は事務所でいいんですか? |
楓 | ええ。せっかく朝はゆっくりできたので、お弁当を作ってみたんです。どこか、景色の良い所で食べようかと思って。 |
美優 | それなら、お外に出かけた方が……。 |
楓 | 美優さん、このあと打ち合わせでしょう?事務所で大丈夫です。それに景色だったら……ここから見える都会の風景も素敵ですよ。 |
美優 | ……はい。では、ご一諸させていただきますね。私もお弁当を持ってきたので……と言っても、昨日の残りと卵焼きくらいですけど……。 |
楓 | それを言うと、私は梅干しのおにぎりとお漬物くらいです。よかったら、つまんでください。自家製ですから。 |
美優 | いただきます。では、私の方も、よかったら。 |
楓 | まあ、嬉しい。いただきます。……なんだか、こうしていると、学生時代のお昼休みみたいですね♪ |
楓 | 美優さんの学生時代ってどういう感じだったのかしら。興味ありますね。聞かせてくれますか。 |
美優 | 普通、だと思いますが……?そんなに面白い話はありませんけど……。 |
楓 | はい。私も、普通ですけど。うふふっ。 |
美優 | ……あら、もうこんな時間。私、そろそろ行きますね。 |
楓 | はい。じゃあ私も出かけます。ごちそうさまでした。また、お昼しましょうね。 |
美優 | ぜひ。今度はもうちょっと、しっかりしたおかずを用意しますね。 |
あやめ | はぁ……行きましたか。ふぅむ。ビューティフルというよりはピースフルというかリーズナブルというか。微笑ましい光景でした。 |
番組D | うーん……撮りたかった画ではないんだよなぁ……。……そうだ。 |
あやめ | むむ……? |
あやめ | 楓殿を追いかけ、街なかへ来ましたが……ついにビューティフルな楓殿が見られるでしょうか! |
楓 | あら、このバッグ……。 |
番組D | おおっ、ブランドのバッグをチェックする楓さん!これこれ、こういうのだよ! |
楓 | バッグ……バグ……防虫剤……ううん、違いますね。バッグ……バックバク……これもいまいち……。 |
あやめ | どうやら、ダジャレを考えてるようですね。 |
番組D | えっ、もしかして楓さんって、オフの時もそういう人なの?キャラとかではなく? |
あやめ | ご存じなかったんですか? |
番組D | う、むむむ……これでは番組の趣旨が……。いや、次の一手で一気に挽回だ……! |
楓 | あら、電話に出るわ……もしもし。早苗さん?今晩ですか?いいですね、お誘いありがとうございます。 |
楓 | ……わかりました。キャッチが入ってしまったみたいなので、また、後でご連絡しますね。 |
モデル | 高垣さん、こっちこっち。ごめんね、急に呼び出しちゃって。 |
楓 | ご無沙汰してます。お元気でしたか?/ |
モデル | うん、元気。えっと、なんとなく久しぶりに会いたくなっちゃって。とりあえず、シャンパンでも飲まない? |
楓 | はい。でもなんだか、突然で驚いてます。その……。 |
モデル | だよね、仕事では一諸だったけど、プライベートは全然だったし。今日、来てくれるんだって、こっちもビックリしたー。 |
楓 | そうですね……その節は、すみません。 |
モデル | 謝ることないって。お互い様でしょ。 |
あやめ | ……お知り合いの方でしょうか?モデルさんのように、美人でいらっしゃる。なんだか大人の雰囲気ですね……! |
番組D | これだよ、これ!昼下がりにシャンパンをかたむけるモデルふたり……!楓さんにピッタリのシチュエーションを仕込んだかいがあった! |
あやめ | 仕込んだ?つまり、あのモデルの方は……。 |
番組D | そう、昼にお願いしてね。楓さんの昔のモデル仲間の子に誘い出してもらったワケ。 |
あやめ | ……それで良いのですか?つまり、ヤラセ……。 |
番組D | いいんだよっ!ちょっとした気配りというか、根回し!演出!全く問題なしっ。 |
あやめ | ふむ……。 |
モデル | あ、飲み物きたよ。とりあえず写真撮ろっか。グラスもってー、はい、連写でいくよー。 |
楓 | はい……ピースっ。 |
モデル | ……なんか、雰囲気変わったね。 |
楓 | そうでしょうか……そう、ですね。自分でも、そう思います。 |
モデル | ま、とりあえず飲もっか。他人のお金だし。 |
楓 | 他人の? |
モデル | あ、こっちの話。店員さん、すいませーん……。 |
番組D | よーし、このままの流れで、夕暮れを見ながらホテルでエステ。最後はナイトクルーズで夜風に浸る楓さんの画をいただいて……。 |
あやめ | それも、仕込みですか。はぁ……それならば、こちらも……。 |
楓 | あ……もうこんな時間ですか。そろそろ……。 |
モデル | 次に行く?エステ予約してるんだけど、えーっと……そう、友だちがドタキャンしちゃって。つきあって? |
楓 | ええと……その、この後ですけど……。 |
早苗 | あれーっ!?楓ちゃん、偶然じゃない!お友だちとお食事?どうもー! |
楓 | あら、早苗さん。どうしてこちらに? |
早苗 | んー?そうね、楓ちゃんとの飲み会の前にちょっとぷらっと?いやー、でもちょうど会えてよかったわ! |
早苗 | うん♪あ、お邪魔だった?あたしってばお邪魔しちゃうのよね。出るとこ出てるから! |
モデル | ……あー、大丈夫です。解散しようってところだったんで。 |
楓 | よろしいんですか?その、次の予定は……。 |
モデル | 気にしなくていいよ。っていうか、本当に変わったね。……うん、今の方が良いんじゃない。じゃあ、私はこれで。 |
楓 | ごちそうさまでした。さようなら。……ふぅ。なんだか、かしこまったお店で肩がこっちゃいました。 |
早苗 | じゃあ、いつものトコ、いっとく?みんなにも声かけてるわよ! |
楓 | はいっ♪ |
番組D | おーいおいおい!話が違うよ……!なんでこんな流れに……。 |
あやめ | (……ふっふっふ。これぞ忍法・根回しの術!貴方の手管をマネさせていただきましたよ。先ほど、早苗殿に連絡しておいたかいがありました。) |
あやめ | ……さあ、ディレクター殿!ふたりを追跡しましょう。置いていかれてしまいますよっ。ニンッ! |
居酒屋 | |
早苗 | はーい、おっまたせー!楓ちゃんの到着よー! |
楓 | お待たせしました。 |
瑞樹 | 遅いー!先に美優ちゃんと、始めちゃってたわよー!あぁはいはいっ、座って座って!かけつけ一杯〜♪おじさん、生ふたつー! |
美優 | ふぁ……早苗さん、お疲れさまでした〜。楓さん、待ってました〜。お好きな梅和え、とっておきました〜。 |
楓 | ふたりとも、すっかり出来上がってますねっ。これは私もピッチをあげて、追いつかないと。 |
瑞樹 | あげてあげて!ピッチピチにねー! |
楓 | うふふっ。じゃあ、ピッチャーでいただこうかしら。 |
美優 | ぴっちゃー?友紀ちゃん、今日はお仕事ですよ〜? |
早苗 | 美優ちゃんもダジャレ合戦に参加?飛ばしてるわねー!車もお酒もスピード違反は厳禁よー! |
美優 | ひっく……これ以上はあげられません〜。エンスト〜。 |
番組D | はぁ……これじゃあ企画にならないよ……。 |
あやめ | そうですか?楓殿らしさが伝わる映像になったかと思いますよ。 |
楓 | あの、あやめちゃん。今日は撮影お疲れさまです。私らしさ……特別じゃなくて、等身大の私はちゃんと伝わったでしょうか? |
あやめ | ぬわっ!?かっ、楓殿!?気づいてたんですかっ!? |
楓 | それは……隠れみのがヒラヒラしていたり、時々、声が聞こえていましたから。 |
あやめ | 不覚っ……! |
楓 | ディレクターさん、ごめんなさい。私に期待をして、夢を見ていただけるのは、アイドルとして嬉しいかぎりです。 |
楓 | でも、もう私は飾って生きることはやめにしたんです。だから……今は、この自然な姿の高垣楓を、みなさんに見ていただきたいの。 |
番組D | 楓さん……。 |
LIVE当日 | |
あやめ | 結局、あの映像はそのまま使われたそうですっ。 |
瑞樹 | 特集の名前は「歌姫・高垣楓の飾らない素顔」になったのね。あのディレクターもやるじゃない。 |
美優 | 居酒屋のくだりは、ナレーションベースで上品にしていただいてましたけど……。 |
早苗 | あはっ。ほどよく親しみやすい楓ちゃんをお届けできたんじゃない? |
楓 | ふふ……そうだとしたら、なによりです。でも、それも全部、みなさんのおかげですよ。 |
瑞樹 | あら、何かしたかしら。私なんてトレーニングして、宴会してただけだけど。 |
楓 | 今までの私の周囲には、私のことをわかってくれる人や、いっしょに過ごしてくれる人は、ほとんどいませんでした。 |
楓 | 特別なことをしていなくても……みなさんは私にとって特別なんです。 |
瑞樹 | ……うふふっ。やあねぇ。なんだか下手っぴなプロポーズみたい。楓ちゃん、とっても嬉しいわ。 |
美優 | はい。私にとっても、芸能界の先輩として、同世代の友人として、楓さんは特別です。 |
早苗 | いっしょに頑張ったり、いっしょにバカやったり。やっぱり仲間っていうのは大事よね♪ |
あやめ | 皆さんの大人の友情……おみごとですっ!ささっ、そろそろLIVEのお時間のようですよ!参りましょう! |
楓 | ええ。こんな私を好きでいてくれる、ファンのみなさんに……今度は、少しだけ特別な私をお見せしに行きましょうか。 |
LIVE | |
LIVE後 | |
楓 | ふぅ……夜風が気持ちいい……。LIVE後の火照った顔を冷ましてくれますね。 |
楓 | プロデューサー。ありがとうございました。特別番組のこと……。 |
楓 | いつもの私でいいとおっしゃってくれなかったら……もしかしたら、昔のように取り繕ってしまったかもしれません。 |
楓 | 本当は、少しだけ……飾らない自分を見せることに、ドキドキしていました。 |
楓 | でも、そんな自分でも大丈夫だって、自信をくれたのは……プロデューサー、貴方です。 |
楓 | 私に新しい風を吹き込んでくださって、その風にのって、気づけばこんなに高いところまでたどり着くことができて……。 |
楓 | この先、どこにたどり着くのかは、まだわかりません。けれど、どうなったとしても、高垣楓という人間は変わりません。 |
楓 | どうか、そのことを……プロデューサーだけはずっと覚えていてくださいね。 |
P | 約束です |
楓 | ……はいっ。さあ、みんなが待っています。打ち上げ会場に急ぎましょう♪ |
楓 | どうか、こんな日々がずっと……未来までずっと続きますように……。 |
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