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各言語における借用語についての備忘録】カテゴリです。
ここではアイヌ語 Ainu Language に関する借用語や固有名詞表記に関することを取り上げます。(工事中)
日本語名アイヌ語
言語コードain
使用文字カタカナ(+漢字), ラテン文字

転写・翻字対応

語学書では原則的にラテン文字表記は全文小文字というラテン文字使用言語では異例の形式で示されることが多く、ラテン文字以外の言語ではジョージア語のジョージア文字やコプト語のコプト文字に似た全文小文字表記となっている
日本語からアイヌ語への借用語では濁音だったものが鼻子音+破裂音又は破擦音の組み合わせになる傾向がある。
資料によっては借用語は日本語のままで書かれるものがあり、『初級アイヌ語』/『中級アイヌ語』シリーズ(アイヌ文化振興・研究推進機構)では漢字がラテン文字表記の場合でも表語文字として採用されていて正しいカタカナ及びラテン文字による読み表記がされない場合があり、カタカナ表記が無い場合は日本語のままで読むかアイヌ語に合わせて発音が変化した読みになるかアイヌ語単語での当て字で読むか不明となっている。
『アイヌタイムズ』の表記法は、カタカナと漢字の混ぜ書きが基本となっている。
1950〜60年代の小冊子『アイヌモシリ』(アジア・アフリカ 言語研究室)では漢数字表記の数詞と助数詞の組み合わせの漢字表記単語が見られ、基本的にほぼ全文アイヌ語であることからアイヌ語で読む漢字表記と思われる。
『ニューエクスプレススペシャル日本語の隣人たちII』(白水社)での樺太アイヌ語ラテン文字では基本的に文章は全て小文字で示されるが、固有名詞は全て大文字で綴られる形式もある。

母音

《A[a ア], I[i イ], U[u ウ], E[e エ], O[o オ]》の5種類。
日本語からの借用語では[o]音から[u]音、[e]音から[i]音、あるいはそれらの逆の発音に変化することがある。
  • 北海道のアイヌ語ラテン文字では長音が原則的に表記されないため、借用語では短音との区別が付かないことが多い(カタカナでは日本語と同じ長音記号《ー》を使用)。日本語のエー/エイは恐らく〈EY〉[ej エィ]かオー/オウは〈OW〉[ow オゥ]で表記されると思われるが、借用語では短音の《O》に変化する傾向が多い。
  • アクセント記号はラテン文字で《á, í, ú, é, ó》とアキュートアクセントで示されるが、この方式はロシア語キリル文字のように語学書や辞書以外では使用されない。
    • アイヌ語カタカナ正書法にアクセント記号は無いが、1950年代に知里真志保博士が『分類アイヌ語辞典』でひらがなでアイヌ語の高アクセント箇所を示す表記法を使用し、このアクセント表記法は変体仮名の《𛁈[ʃí シ], 𛂶[hé ヘ], 𛂶゚[pé ペ], 𛃶[ɾí リ]》がカタカナと紛らわしくなるひらがなの代わりに採用されている。
  • 『アイヌ語方言辞典』(岩波書店)や『日本語の隣人たちII』での樺太アイヌ語のラテン文字では、〈AA〉[aː アー]など母音字の連字で長音を示す。

子音

アイヌ語カタカナ表記では《ㇰ K[k ック], ㇱ S[s ス~ʃ シュ, -ɕ シ], ッ T[t ット], ㇷ゚ P[p ップ], ㇺ M[m ム], アㇻ AR[-aɾ アル], イㇼ IR[-iɾ イル], ウㇽ UR[-uɾ ウル], エㇾ ER[-eɾ エル], オㇿ OR[-oɾ オル]》と小文字で末子音を示すのが特色で、ナ行末子音である《ン N[-n ン]》は小文字にならない。末子音に《チ C[ʧ チ~ʦ ツ]》は来ない。日本語のカタカナと同じく《ッ》及び《ン》は二重子音を示す。
  • 日本語からの固有名詞など借用語の音節末では、日本語にほぼ近い[-u ウ]又は[-i イ]音で終わることが多い。
  • 樺太アイヌ語では末子音に破裂音が存在せず、これらの代わりに摩擦音の《アㇵ -AH[ax アハ], イㇶ -IH[iç イヒ~iɕ イシ], ウㇷ -UH[ux ウフ], エㇸ -EH[ex エヘ], オㇹ -OH[ox オホ]》が加わる。
  • TKA[tka トカ]は《ッカ》ではなく《ㇳカ》、NMU[nmu ンム]は《ンム》ではなく《ㇴム》、MPE[mpe ンペ]は《ンペ》ではなく《ㇺぺ》と二重子音ではなく別々の子音であることを示すカタカナ小文字が使用される。
  • 半母音は現行正書法では《アイ AY[aj], ウイ UY[uj], エイ EY[ej], オイ OY[oj]; アウ AW[aw], イウ IW[iw], エウ EW[ew], オウ OW[ow]》と表記され、小文字の《ィ[-j], ゥ[-w]》を使用する形式も見られる。
有声音表記では、方言表記用及び外来語用として本来のアイヌ語ラテン文字には含まれていない《ブ B[b ブ], ドゥ D[d ド], グ G[ɡ グ], ズ Z又はジ Z[ʤ ヂ~ʣ ヅ]》表記が使用される資料もある。20世紀中頃の釧路方言で表記された『アイヌモシリ』では濁音表記付きのカタカナ外来語表記が多数見られ、現行のアイヌ語文章でも濁点付きカタカナが見られる。
  • 日本語由来の借用語で原則に有声音だったものは語中で《G→NK [nk ンク~ŋɡ ング], D→NT[nt ント~nd ンド], B→MP[mp ンプ~mb ンブ], Z又はJ→NC[ɲʧ ンチ~ɲʤ ンヂ; nʦ ンツ~nʣ ンヅ]》となることが多い。
サ行《S/ㇱ》は[s ス]音か[ʃ シュ]音の両方を示し、ラテン文字表記では区別されない場合があるが、近年の日本語などの借用語や千島列島の方言ではヘボン式ローマ字由来の《SH》でシャ行音を示す場合がある。
タ行の基本音に《トゥ》[tu]音があるのが特徴である。
  • チェ[ʧe]は《セ゚》と表記されたり、トゥ[tu]は《ツ゚, ト゚》と半濁点を使用するケースもある。
  • 日本語にある英語などの外来語表記用の発音である《ティ》[ti]の音は存在せず、《チ/CI》[ʧi]に置き換えられる。なお、アイヌ語カタカナで《ティ》は[tej テイ]を示す。
  • 語頭に二重子音が来る単語は旭川方言でまれに見られ、アイヌ語は全文ローマ字表記による『アイヌ語旭川方言辞典草案』で数例が見られる。カタカナ表記では子音字のみの音は小文字で表記されると思われる。

半母音

半母音では《ウィ UY》は[wi]ではなく[uj]を示すが、ウィキペディアを意味する〈ウィキペンチア Wikipencia〉は例外的にラテン文字正書法に無い《WI》が使用される。
日本語の拗音に対応する表記は《-IYA [ija イヤ]》が[ャ],《-IW [iw イゥ]》が[ュ/ュー],《-IYO [ijo イヨ]》が[ョ]に当たる。
  • アイヌ語旭川方言では、日本語の借用語で拗音《-Y-[j]》が使用されることがある。

参考HP

【ウィキペンチア - Wikimedia Incubator】
https://incubator.wikimedia.org/wiki/Wp/ain/Main_P...
【アイヌタイムズ】
http://www.geocities.jp/otarunay/taimuzu.html

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