世界の特殊文字ウィキ別館

フレイザー文字における固有名詞はハイフン《-》を付加して音節を区切り、声調が省略されることがある。
英語由来のABC略語や固有名詞、借用語はフレイザー文字をそのまま使用して USAは〈ꓴꓢꓮ〉、インターネットは〈ꓲꓠꓔꓰꓣꓠꓰꓔ〉と書かれるが、英語に近い発音で読まれると思われる。
余談だがユニコードのフレイザー文字ブロックでは歌手グループのABBA[アバ]も本来の〈ꓮꓭꓐꓮ〉表記ができるようになっていて、リス語の読みもグループ名通りと思われる。

声調が存在する。『ニューエクスプレス・スペシャル日本語の隣人たちII』(白水社)によると日本語由来の人名は通常は第4声調で、アクセントの強い箇所で第1声調に変化する例が記載されている。

• 【A[æ ア]】AI《ꓯ》[ɛ エ; æ ア] - 方言音では/æ/が存在する。
  • 【-A[ə ア]】A《ꓮ》[a ア]
  • 【AⒸE, AI, AY[eɪ エイ]】EI《ꓰ》[e エ]
  • 【A, AA, AH; AR[ɑː アー]】A《ꓮ》[a ア] - 子音字はインド系文字のように子音字単独でア段の発音となる。
  • 【AW, AU[ɔː オー]】O《ꓳ》[o オ]
• 【E[ɛ, e エ]】EI《ꓰ》[e エ]
  • 【EⒸE, EE, EA[iː イー]】I《ꓲ》[i イ]
• 【-EL, -LE[-əl ウル/- lˌオル/-ɫˌ オゥ]】-ILI《-ꓲ-ꓡꓲ》[-i˧.li˧ イリ]
  • 【ER, IR, UR[ɜː, əː アー; ɝ, ɚ アー; ə ア]】A《ꓮ》[a ア]
• 【I, E, Y[ɪ イ]】I《ꓲ》[i イ]
  • 【-IE, -Y[-i イィ]】I《ꓲ》[i イ]
  • 【IⒸE[aɪ アイ]】AYI《ꓮꓲ》[ai アイ] - 二重母音の場合はフレイザー文字A《ꓮ》はそのまま表記される。
• 【O[ɒ, ɔ オ/ɑ ア]】O《ꓳ》[o オ]
  • 【OⒸE, O, OA[oʊ オウ]】O《ꓳ》[o オ]
  • 【OR[ɔː オー/ɔɚ オア]】
  • 【OU, OW[aʊ アウ]】
• 【U, OO[ʊ, u ウ]】U《ꓴ》[u ウ] - 日本語の《ウ》もこの字母を使用。
  • 【OO, UⒸE[uː ウー]】U《ꓴ》[u ウ]
• 【-U, -O-[ʌ ア]】
  • 【UⒸE, EU, EW[juː ユー/jʊ ユ]】IU《ꓬꓴ》[ju ユ]
• 【無音】-E-《-ꓶ-》[ɯ ウ]

• 【B[b ブ]】BB《ꓐ》[ba バ]
• 【C[k ク; s ス]】KA《ꓘ》[kʰa カ], KAI《ꓘꓯ》[kʰɛ ケ], KEI《ꓘꓰ》[kʰe ケ], SEI《ꓢꓰ》[se セ], SE《ꓢꓶ》[sɯ ス], XI《ꓫꓲ》[ɕi シ], SAYI《ꓢꓮꓲ》[sai サイ], KO《ꓘꓳ》[kʰo コ], KU《ꓘꓴ》[kʰu ク], KIU《ꓘꓬꓴ》[kʰʲu キュ]
• 【CH[ʧ チ]】CH《ꓛ》[ʧʰa チャ], Q《ꓛ》[ʨʰa チャ]
• 【D[d ド]】DD《ꓓ》[da ダ]
• 【DS[ʣ ヅ]】ZZ《ꓜ》[ʣa ヅァ]
• 【F[f フ]】F《ꓩ》[fa ファ]
• 【G[ɡ グ]】GG《ꓖ》[ɡa ガ]
• 【H[h ホ]】H《ꓦ》[ha ハ], H《ꓧ》[xa ハ]
• 【J; GE, GI[ʤ ヂ]】RR《ꓙ》[ʤa ヂャ], JJ《ꓙ》[ʥa ジャ]
• 【K[k ク]】K《ꓘ》[kʰa カ]
• 【L[l ル]】L《ꓡ》[la ラ]
• 【M[m ム]】M《ꓟ》[ma マ]
• 【N, KN-[n ヌ/ン]】N《ꓠ》[na ナ]
  • 【-NG[ŋ ング]】NG《ꓥ》[ŋa ンガ], -AN《-ʼ / -ꓥ》[ã アン] - フレイザー文字における本来の鼻母音表記はアポストロフ《ʼ》が使用されてきたが、近年は音節末にNGA《-ꓥ》を使用するケースが見られる。
• 【P[p プ]】P《ꓒ》[pʰa パ]
• 【QU[kw クヮ]】KUA《ꓘꓪ》[kʰua クア]
• 【R[ɹ ル]】R《ꓣ》[ʒa ジャ]
• 【S[s ス]】S《ꓢ》[sa サ]
• 【SH[ʃ シュ]】SH《ꓫ》 [ʃa シャ], X《ꓫ》 [ɕa シャ]
• 【T[t ト]】T《ꓕ》[tʰa タ]
• 【TH[θ ス]】
• 【TS[ʦ ツ]】C《ꓞ》[ʦa ツァ]
• 【V[v ヴ]】V《ꓦ》[va ヴァ]
• 【W[w ウ]】W《ꓪ》[wa ワ, ua ウア]
• 【X[ks クス]】
• 【Y[j イ]】I-《ꓬ-》[ja ヤ, ʑa ジャ]
• 【Z, -S-[z ズ]】SS《ꓤ》[za ザ]

フレイザー文字におけるハイフン《-》付きの固有名詞表記では声調記号が省略される。

• 【第1声調[55]】AL《ꓮꓸ》[a˥ アー] - 日本語の強いアクセント箇所がこの声調に当てられる。固有名詞表記ではギリシャ語のトノスアクセント《΄》表記やロシア語の力点《ˊ》付き表記に該当する箇所と思われるがハイフン付きのフレイザー文字表記では省略される可能性が高い。
• 【第3声調[33]】A《ꓮꓺ 又は ꓮ》[a˧ ア] - リス語の基本声調。現行フレイザー文字正書法では声調記号が省略されることが多く、声調記号のない綴りは恐らく第3声調の可能性が高い。

【Lisu language and the Fraser alphabet - Omniglot】
https://www.omniglot.com/writing/fraser.htm