創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

否定論・陰謀論を信じる理由

陰謀論を信じる理由集


予防措置を納得するのは難しいのつづきで、Noam Shpancer Ph.Dは陰謀論を信じる理由を整理・列挙している。
根本的な帰属の誤り(fundamental attribution error)

第1の理由として、Shpancerは「根本的な帰属の誤り」を挙げる。
First is the fundamental attribution error, which is our tendency to prefer dispositional explanations to situational ones. When we observe an event happening, we are much more likely to attribute it to some intentional, internal motive than to circumstance and happenstance. Conspiracy theories are by definition dispositional—someone planned this for a purpose.

第1は根本的な帰属の誤りで、これは属性的説明を状況的説明より選好することである、我々は何か事象が起きると、状況や偶然の出来事より何らかの意図・内部動機のせいにする傾向がある。陰謀は定義上、属性的である。すなわち、誰かが目的のために計画したものである。

[ Noam Shpancer Ph.D.:"True False Believers: The Psychology Of Conspiracy Theories" (2020/04/21) on PsychologyToday ]
そのため、普通の説明の代わりに、「意図」を含む説明である「陰謀論」を選好することになる。
As explanations, conspiracy theories are highly dispositional. When conspiracies occur it is because conspirators intend them to occur and act on their intention. The conspiratorial dispositions of the conspirators play the role of the cause in a typical explanation that involves a conspiracy. In most cases, the received view, the conventionally accepted nonconspiratorial alternative to a particular conspiracy theory, is a situational explanation.

説明として、陰謀論は非常に属性的である。陰謀が起きるのは、陰謀者が陰謀を意図的に起こそうとし、意図に基づいて行動するからである。陰謀者の陰謀的性質は、陰謀を伴う典型的な説明において原因の役割を果たす。ほとんどの場合、受け取られた見解は、特定の陰謀論に対する従来から受け入れられている非陰謀的説明すなわち状況的説明の代替である。

[ STEVE CLARKE: "Conspiracy Theories and Conspiracy Theorizing" ]
このような誤りが、淘汰されていないのは、おそらく逆の誤りより害が小さいからだと考えられている。
I have suggested that the fundamental attribution error may have survived in the human population because in most cases it was not particularly harmful and because the opposite error of overestimating situational factors to the exclusion of dispositional factors was potentially very harmful indeed. Perhaps this asymmetry should be taken into account when we consider our attitude toward the activity of contemporary conspiracy theorists.

根本的な帰属の誤りは、大半の場合は特に有害ではなく、「状況要因を過大評価して属性的説明を排除する」逆の誤りは特に潜在的に非常に危険であることから、人間集団の中で生き延びていると思われる。おそらく、この非対称性は、現代の陰謀論者の活動に対する私たちの態度を考えるときに考慮に入れられるべきものである。

[ STEVE CLARKE: "Conspiracy Theories and Conspiracy Theorizing" ]

確証バイアスと信念耐久(Belief perseverance)

第2の理由として、Shpancerは「確証バイアス」と「信念耐久」を挙げる。
Second is confirmation bias and its brother, the belief perseverance phenomenon—two well-known aspects of our cognitive hardware. Confirmation bias refers to the fact that we tend to become attached to our beliefs and to search for (or interpret) information in ways that confirms our preconceptions. Once we settle on a conviction, we will search, remember, and accept only evidence that supports it, while ignoring and neglecting to seek disconfirming evidence. This is why people online gravitate to sites that echo their preexisting beliefs and prejudices.

Belief perseverance refers to the fact that we seek to maintain our beliefs even after the information that originally gave rise to it has been refuted. Once we’re set in our beliefs, evidence to the contrary will be dismissed, actively.

第2は、確証バイアスとその同類である信念忍耐現象である。これら2つは、認知ハードウェアのよく知られた側面である。確認バイアスとは、自分の信念に執着し、先入観を確認する方法で情報を検索(または解釈)する傾向があるという事実を指す。ある信念に着地したら、それを裏付ける証拠のみを検索、記憶、受け入れるが、その深淵が不確かな物であることを示す証拠を探さず、無視する。これが、オンラインで既存の信念や偏見を反映したサイトに引き寄せられる理由である。

信念耐久とは、もともとそれを生み出した情報が反駁された後でも、信念を維持しようと努めるという事実を指す。信念が固まったら、反対の証拠は積極的に否定する。

[ Noam Shpancer Ph.D.:"True False Believers: The Psychology Of Conspiracy Theories" (2020/04/21) on PsychologyToday ]
信念耐久の原因は明確ではないが、存在はしているようである。

これらは、ひとたび信じてしまった陰謀論を、何があっても放棄しない理由のようである。

自分だけが知っている

3つめは「自分だけが知っている」
A third psychological factor is our desire to be uniquely knowledgeable, to possess knowledge that others don’t. Knowledge is power. And we all prefer feeling powerful to feeling powerless. This is gratifying and empowering for us particularly when the complexity and uncertainty of life feels overwhelming. “Conspiracy theories…supply a seductive ego boost. Believers often consider themselves part of a select in-group that – unlike the deluded masses – has figured out what’s really going on.”

第3の心理的要因は、他人にない知識を独自に持ちたいという願望である。知識は力である。 そして、誰もが、無力であるよりも強力であると感じたい。これは、特に生活の複雑さと不確実性に圧倒されると感じたとき、これはとても満足できることで、力を与えてくれる。「陰謀論は、誘惑的なエゴブーストを供給する。多くの場合、陰謀論を信じる人々は、自分たちが、大混乱している大衆とは異なり、実際に何が起こっているのかを理解している選ばれたグループの一員であると考える。」

[ Noam Shpancer Ph.D.:"True False Believers: The Psychology Of Conspiracy Theories" (2020/04/21) on PsychologyToday ]
「エゴブースト」とは「[自尊心や自己顕示欲を満たしてくれる物事」を指す。「知識の力」と「選ばれし者」は魅力的ではある。たとえ、それがまがい物であろうとも。

パターン認識

そしてパターン認識。ありもしないもの見てしまうのだが、この特性そのものは適応的であり、生存に有利であるが故に残っていると思われる。
Fourth is our brain’s adaptive capacity for pattern recognition. As Johns Hopkins neurologist Mark Mattson puts it: “Superior pattern processing is the essence of the evolved human brain.” It is, “the fundamental basis of most, if not all, unique features of the human brain including intelligence, language, imagination, invention, and the belief in imaginary entities such as ghosts and gods.”

Indeed, our brain has evolved in a dangerous environment where the ability to ‘fill in the blanks,’ to guess the whole from a few parts, conferred important survival advantages. If I can make out from a distance the hidden predator in the bushes, I’m more likely to survive. Thus our brain came to specialize in meaning making and pattern finding.

第4は、パターン認識のための脳の適応能力である。Johns Hopkins大学の神経学者Mark Mattsonは「優れたパターン処理は進化した人間の脳の本質である。それは、すべてではないにせよ、知性、言語、想像力、発明、そして幽霊や神々などの架空の存在への信念を含む、人間の脳のほとんどすべてのユニークな機能の基本的基礎である。」と言っている。

実際、我あれ尾脳は危険な環境で進化してきた。「空白を埋める」機能でいくつかの部分から全体を推測することにより、重要な生存上の利点がもたらされた。 茂みに隠れた捕食者を遠くから見つけることができれば、生き残る可能性が高くなる。 したがって、我々の脳は意味の作成とパターンの発見に特化するようになった。

[ Noam Shpancer Ph.D.:"True False Believers: The Psychology Of Conspiracy Theories" (2020/04/21) on PsychologyToday ]
まさしく生存に有利となる特性が、存在しない意図から始まる因果関係を見てしまうことにつながっているという。

部族への帰属

最後が「我々」と敵である「彼ら」という認識。
Finally, like religions, conspiracy theories are, at the core, about community, manifesting our most fundamental tribal impulse—the psychological need to belong, to be part of a well-defined in-group and, by extension, to recognize and fight enemy out-groups. Like religions, conspiracy theories are group phenomena, shared by communication rituals that help adherents manage emotions by, “transforming unspecific anxieties into focused fears.” As in religion, successful (enduring) conspiracy theories produce narratives that are, “framed as conflicts over sacred values.” With religion, the false God is never our God. With the conspiracy theory, the menacing shadowy group is never our group. Conspiracy theories are always about ‘the other.’ As psychologist Jan-Willem van Prooijen notes: “the root of conspiracy thinking lies in our ancient instinct to divide the social world into ‘Us’ and ‘Them’ categories.” The same psychological processes that produce God for 'us,' produce conspiracy theories about 'them.'

最後は、宗教と同じく、陰謀論はその中心が、我々の最も基本的な部族衝動を現すコミュニティについてのものだということである。この部族衝動とは、所属したい、明確に定義された集団の一員でありたい、、ひいては、集団の外にある敵を認識し戦いたいという、心理的必要性である。

宗教と同じく、陰謀論は集団現象であり、信じる者たちが「対象不明の不安を対象を明確にした恐怖に変える」ことによって感情を管理するのを助けるコミュニケーション儀式によって共有される。

>宗教と同じく、成功した(永続的な)陰謀論は「神聖な価値をめぐる対立として組み立てられた」物語を生み出す。宗教では、我々の神は偽りの神は決してない。陰謀論では、我々の集団は、決して恐ろしい影の集団ではない。陰謀論は常に「もう一方」に関するものである。

心理学者Jan-Willem van Prooijenは「陰謀の考え方の根源は、社会を『我々』と『彼ら』のカテゴリーに分類するという古代の本能にある。「我々」のために神を生み出すのと同じ心理学的プロセスが、『彼ら』についての陰謀論を生み出す」と言う。

[ Noam Shpancer Ph.D.:"True False Believers: The Psychology Of Conspiracy Theories" (2020/04/21) on PsychologyToday ]
ニューワールドオーダーや、陰謀論上のイルミナティや、陰謀論上のフリーメーソンなどは、神話体系として共有されていたりする。そのことを考えると、陰謀論が、偽神との戦いといった宗教の神話と同様なものであるというのは納得感がある。

また、恐怖の原因が「敵」にあり、その「敵」を打倒することが解決策に見える。そして、何かやっている気にもなれる。


5つとも、なかなか抗いがたい魅力がある。特に、この不安の時代には。





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