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コスマス・インディコプレウステースの地球平板説


Κοσμᾶς Ἰνδικοπλεύστης(コスマス・インディコプレウステース)は、生没年不詳の6世紀のギリシア人商人で、エジプトのアレキサンドリアに住み、インドに航海したとされる人物である。彼は「Χριστιανικὴ Τοπογραφία(キリスト教地誌学)」という本を執筆し、その中で、地球平板説を唱えている。

Faller (2011)によれば、コスマスが平板地球の着想を得たのは、イラクの古代都市クテシフォン(Seleucia-Ctesiphon)の東方教会の総主教(540-552)だったMar Aba I (-552)(-552)の説教からである(そのの概念の一部は、聖書の厳格な解釈を行うTheodore of Mopsuestia (350-428)からの流れを汲んでいる。

Cosmasは特に聖書の以下の部分を重視していた
  • 創世記
    初めに、神は天地を創造された。(1章1節) 神は言われた。「水の中に大空あれ。水と水を分けよ。」 (6節) 神は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた。そのようになった。(7節) 神は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日である。(8節)
  • 出エジプト記
    わたしのための聖なる所を彼らに造らせなさい。わたしは彼らの中に住むであろう。(25章8節) わたしが示す作り方に正しく従って、幕屋とそのすべての祭具を作りなさい。(9節) アカシヤ材で机を作りなさい。寸法は縦二アンマ、横一アンマ、高さ一・五アンマ。(23節) ... この机に供えのパンを、絶えずわたしの前に供えなさい。(30節) ...次に、青、紫、緋色の毛糸、および亜麻のより糸を使って、意匠家の描いたケルビムの模様の垂れ幕を作り、(26章31節) 金箔で覆ったアカシヤ材の四本の柱の鉤に掛けなさい。鉤は金、四本の柱の台座は銀で作る。(32節) その垂れ幕は留め金の下に掛け、その垂れ幕の奥に掟の箱を置く。この垂れ幕はあなたたちに対して聖所と至聖所とを分けるものとなる。(33節)
  • ヘブライ人への手紙
    また彼は、幕屋と礼拝のために用いるあらゆる器具にも同様に血を振りかけました。(9章21節) このように、天にあるものの写しは、これらのものによって清められねばならないのですが、天にあるもの自体は、これらよりもまさったいけにえによって、清められねばなりません。(23節) ... なぜならキリストは、まことのものの写しにすぎない、人間の手で造られた聖所にではなく、天そのものに入り、今やわたしたちのために神の御前に現れてくださったからです。(24節)

コスマスは、これらを組み合わせて:
Εἶτα μετὰ ταῦτα προστάττει αὐτῷ σκηνὴν ἐπιτελέσαι κατὰ τὸν τύπον, ὃν ἑωράκει ἐν τῷ ὄρει, ὡσανεὶ τύπον οὖσαν παντὸς τοῦ κόσμου. Ἐποίησεν οὖν τὴν σκηνὴν κατὰ τὸ δυνατὸν μιμήσασθαι θέλων τὸ σχῆμα τοῦ κόσμου οὕτως· τριάκοντα πηχέων τὸ μῆκος καὶ δέκα τὸ πλάτος, καὶ μεσολαβήσας καταπέτασμα μεσόθεν ποιεῖ αὐτὴν χώρους δύο, καὶ ἐλέγετο ἡ πρώτη Ἅγια, ἡ δευτέρα ἡ μετὰ τὸ καταπέτασμα Ἅγια ἁγίων. Τύπος δὲ ἦν ἡ ἐξωτέρα τούτου τοῦ κόσμου τοῦ ὁρωμένου, κατὰ τὸν θεῖον Ἀπόστολον, ἀπὸ τῆς γῆς ἕως τοῦ στερεώματος, ἐν ἧι ὑπῆρχε τράπεζα κατὰ τὸ βόρειον μέρος καὶ ἐπάνω τῆς τραπέζης δώδεκα ἄρτοι, τύπον ἐπέχουσα τῆς γῆς, καρποὺς παντοδαποὺς ἔχουσα μηνιαῖον ἕνα, ὡσανεὶ τοῦ ἐνιαυτοῦ δώδεκα.

He then afterwards directed him to construct the Tabernacle according to the pattern which he had seen in the mountain – being a pattern, so to say, of the whole world. He therefore made the Tabernacle, designing that as far as possible it should be a copy of the figure of the world, and thus he gave it a length of thirty cubits and a breadth of ten. Then, by interposing inside a veil in the middle of the Tabernacle, he divided it into two compartments, of which the first was called the Holy Place, and the second behind the veil the Holy of Holies. Now the outer was a pattern of this visible world which, according to the divine Apostle, extends from the earth to the firmament, and in which at its northern side was a table, on which were twelve loaves, the table thus presenting a symbol of the earth which supplies all manner of fruits, twelve namely, one as it were for each month of the year. [Top. Chr. 3.51]

その後、主はモーセに、モーセが山で見たパターンにしたがって幕屋を建設するよう指示した。それは、いわば、全世界のパターンであり、それゆえ、彼は幕屋を作り、それが可能な限り世界の姿の複製になるように設計した。彼はその幕屋を長さ30キュビット、幅10キュビット(約15m × 5m)とした。次に、彼は幕屋の真ん中にヴェールを置いて、幕屋を2つの区画に分けた。最初の区画は聖所と呼ばれ、2番目の区画は聖所の聖所と呼ばれた。そして、外側はこの目に見える世界のパターンであり、神の使徒によれば、地球から大空まで伸びており、北側には12個のパンが置かれたテーブルがあった。したがって、テーブルは、あらゆる種類の果物を供給する大地を象徴し、その数である12は、1年の各月を象徴していた。

絵にする以下のような形になり、太陽が北側の巨大な山の背後に回り込むことで、夜を実現している。

World picture from Christian Topography. The arched vault of heaven is represented above a flat, rectangular earth, where the sun is shown both rising and setting around the great mountain in the north. The firmament is at the meeting of the vault and the lower region. (11th century, Codex Sinaiticus graecus 1186, St. Katherine's monastery, Sinai).

[ Figure 1 in Rossikopoulos (2016) ]


なお、このコスマスの地球平板説は、David C. Lindbergによれば、ビザンチウムで影響力はほとんどなかった。
Cosmas was not particularly influential in Byzantium, but he is important for us because he has been commonly used to buttress the claim that all (or most) medieval people believed they lived on a flat earth. This claim (as readers of this book must know by now) is totally false. Cosmas is, in fact, the only medieval European known to have defended a flat earth cosmology, whereas it is safe to assume that all educated Western Europeans (and almost one hundred percent of educated Byzantines), as well as sailors and travelers, believed in the earth's sphericity.

コスマスはビザンチウムで特に影響力を持たなかったが、中世のすべての(あるいは大半の)人々が地球平板説を信じていたという主張を裏付けるために、広く利用されてきたという点で我々にとって重要である。(この本の読者が知るべっことだが)この主張はまったく間違っている。コスマスは実際、地球平板説を支持した唯一の既知の中世の人物であり、すべての教養ある西欧人(とほぼ100%の教養あるビザンチン帝国人)や、船乗りや旅行者は、地球が丸いと考えていたと仮定してよい。 [ David C. Lindberg: "The Beginnings of Western Science: The European Scientific Tradition in Philosophical, Religious, and Institutional Context, Prehistory to A.D. 1450" (2010), p.161 ]






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