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参考資料:地球平板論者は本気か?(2012, 2017)


Live SicenceのスタッフライターNatalie Wolchoverが2012年に掲載し、編集部が2017年に加筆修正した記事

Flat Earth Societyの会員たちは地球は平板だと信じていると主張している。地表を歩けば、平板に見えるので、地球の球面の衛星写真のような証拠を逆に、NASAや政府機関が画策した「地球球体陰謀」による偽造だと考える。

地球が変面だという信条は、究極の陰謀論として説明されてきた。Flat Earth Societyの指導部によれば、2009年以来、会員は年間200名規模(大半が米英)で増加している。ウェブサイトでの理論の具現化と、メディアインタビューやTwitterで提示する地球平板説を擁護する見解からすると、会員たちは本当に地球が平板だと信じているようだ。

しかし、この21世紀に、真剣にそんなことができるだろうか?できるとしたら、彼らの心理はどうなっているのか?

地球平板説の目を通して

まずは、ある地球平板論者の世界観を概観しておこう:地球が球体である明確で大量の証拠を切り捨てて、奇妙と言われそうな一群の命題を容易に受け入れている。主要な地球平板論者は、北極圏を中心とし、南極を縁を取り囲む高さ45メートルの氷壁とする円盤だと考えている。彼らによれば、NASA職員がこの氷壁を警備して、人々が乗り越えて落ちないようにしている。(NASAへの懐疑にしたがって、知られた地球平板陰謀論者Mathan Thompsonは最近、彼が言うところのNASA職員に2017年5月半ばにスターバックスで接触した。YouTube動画のやりとりで、Official Flat Earth and Globe Discussionページ開設者Thompsonは、地球が平板である証拠があり、宇宙飛行士が溺れたのはその証拠であり、NASAは嘘をついていると叫んだ。)

地球の昼と夜は、太陽と月は51kmの大きさの級で、平板地球の上空4828kmを周回することで説明される。(彼らによれば、星々は上空5311kmを移動している。)スポットライトのように、これらの天体は地球の異なる場所を24時間周期で照らしている。地球平板論者は目に見えない「アンチムーン」があって、月食の時には月を隠しているはずだと信じている。

さらに、彼らは地球の重力はイリュージョンだと言う。物体は下方に加速しない。代わりに、ダークエネルギーと呼ばれる謎の力に誘導されて、平板地球が上方に9.8m/s2で加速している。現在、アインシュタインの相対性理論が、地球が最終的に光速を超えることなく、地球無期限に上向きに加速することを可能にするかについては、地球平板論者の間でも意見の相違がある。(この地球平板というオルタナバージョンの現実のおていも、アインシュタインの理論は有効のようだ。)

平板地球の下方に何があるかは未知だが、大半の地球平板論者は「岩石」で構成されていると考えている。[ Religion and Science: 6 Visions of Earth's Core ]

そして、陰謀論がある:地球平板論者は地球の写真はフォトショップ加工だと信じている。GPSデバイスは、航空機のパイロットが球面に沿って飛行していると思わせるように操作されているが、実際には平板上を円周方向に飛行している。世界の諸政府が地球の真の形状を隠蔽している動機は定かではないが、地球平板論者たちは金銭的なものだと考えている。「一言でいえば、論理的には、実際に宇宙開発を行うより、偽装する方がコストが格安なので、陰謀論上は、政府からNASAなどの宇宙開発機関が受け取る資金は収益となる」と地球編板論ウェブサイトのFAQは説明している。

誰が地球を平板だと信じているのか?

地球平板論信者たちは宇宙の片隅に追いやられているわけではない。多くのセレブが信じていることを声に出している。たとえば、(B.o.Bとして知られる)ラッパーBobby Ray Simmons Jr.は地球が球体であるかについて天文学者Neil deGrasseとTwitterで戦った後で、2016年1月25日に"Flatline"というトラックをリリースし、deGrasseをディスった。B.o.Bは地球が平板だと確信していた。その前日、ラッパーは「どこまで高く昇っても、地平線は目の高さにある。すまんね、士官候補たち。信じる気はないよ」とツイートした。

次はShaqだ。2017年2月27日に放送されたポッドキャストで、元NBA選手Shaquille O'Nealは、フロリダからカリフォリニアまで運転したときに「私にとって平板だ」と言って、地球平板を公言した。その後、Shaqはあれは冗談だと言った。[ 5 Scientific Rebuttals of Shaq's Flat-Earth Claims ]

一部の信者は平板地球を証明すべき独自の追究を行っている:陰謀論者D. Marble は2017年5月1日にYouTubeに投稿した動画で、ノースカロライナ州Charlotteからワシントン州Seattleの飛行に水準器を持ち込んで、機種が地球の曲率を補償するように下がるか確認した。動画で彼は「23分45秒のタイムラプスを記録し、それは327kmほどに相当する。太陽中心を説明する球面三角法にしたがえば、8kmの曲率を補償するはずである、見てのとおり、計測可能な曲率補償はなかった。(彼の水準器の気泡は中心から動かなかった。それは地球が平板であることを証明すると彼は言った。)

Zeteticメソッド

19世紀の地球平板論者が作った、科学的手法に代る、間隔的観測を最上位とする「Zeteticメソッド」と呼ばれる思考モードから、理論は導かれる。「大まかに言って、この方法は経験論と合理主義を調和させ、経験的データに基づいて論理的推論を行うことに重点を置いている」と、アイルランド人のFlat Earth Society副会長Michael WilmoreはLife's Little Mysteriesに語った。Zetetic天文学では、地球は平板だという認識から地球は実際に平板だという推論につながる。アンチムーンやNASの陰謀などすべては、実際にどう働くかにつていの単なる合理化である。

これらの詳細からすると、地球平板説を非常に精巧で馬鹿げたもので、冗談のように見えるが、その支持者の多くは、教科書に見られるものよりも天文学のもっともらしいモデルであると心から考えている。要するに、彼らは冗談ではない。[ 50 Amazing Facts About Planet Earth ]

「信念と誠実さの問題は、多く出てくる問題だ。推測するなら、少なくとも会員の幾人かは、Flat Earth Societyと地球平板説を、科学的方法批評としてであれ、一種の初心者向け独我論としてであれ、一種の認識論的演習として見ている。証明書を壁に貼るのはちょっとおもしろいと思った会員もいるだろうが、個人的には多くの会員を知っており、彼らの信念を十分に確信している。」とWilmoreは言う。

Wilmoreは自分自身を真の信者だとしている。「私自身の信念は、哲学的な内省と私が個人的に観察したかなりの量のデータの結果であり、私はまだデータを収集中だ。」

不思議なことに、Wilmoreとバージニア生まれの35歳のロンドン市民であるDaniel Shenton会長は、地球温暖化の証拠の多くが、「地球球体陰謀」の主導者たるNASAによって収集された衛星データから得られたものであるにもかかわらず、地球温暖化の証拠が強いと考えている。彼らはまた、進化論や他のほとんどの主流の科学の信条を受け入れる。

陰謀論心理

彼らの信念体系が考えられないようなものだが、それは専門家を本当に驚かせるものではない。陰謀論心理を研究している英国University of Kentの心理学者Karen Douglasによれば、地球平板論者の信念は、彼女が研究した他の陰謀論者の信念と何ら違いがない。

「これらの人々は一般的に地球平板を信じていると思われる。他の理由で彼らがそう考えていると思えるものは何も見られない」とDouglasは語った。

Douglasによれば、すべて陰謀論は基本的に同じ推進力を共有している。それらは重要な問題や出来事についての代替理論を提示し、誰かがその「真の」バージョンの出来事を隠蔽している理由について(しばしば)漠然とした説明を構築する。 「アピールの主なポイントの1つは、彼らが大きな出来事を説明するが、多くの場合、詳細には触れない。推進力の多くは、それらが曖昧であるという事実にある。」

陰謀論者が自らの物語に固執する自信のある方法は、その物語に特別な魅力を吹き込みことである。結局のところ、ほとんどの人が地球が球体だというより、地球平板論者は地球が平板であることに固執している(おそらく我々は特に証明するものが何もないと感じているためである)。「知的な、一見十分な情報に基づいた方法で提示された少数派の視点に直面し、支持者がその強い意見から逸脱しない場合、彼らは非常に影響力を持つ可能性がある。我々はそれを少数派の影響力と呼ぶ」とDouglasは言う。

2014年3月5日にオンライン掲載されたAmerican Journal of Political Scienceの研究で、University of Chicagoの政治学者であるEric OliverとTom Woodは、米国人の約半数が、911内部犯行説やJFK陰謀など、少なくとも1つの陰謀論を支持していることを発見した。Oliverによれば「多くの人々は、支配的な文化的物語と直接矛盾する多くのアイデアを喜んで信じる。陰謀論信条は呪術思考として知られる、作動する目に見えない力を知覚する人間の傾向から生じている。」[ Top 10 Unexplained Phenomena ]

しかし、地球平板論者はこの全体像に完全にぴったりとはまらない。ほとんどの陰謀論者は、互いに矛盾するものでさえ、多くのフリンジ理論を受けいれる。一方、地球平板論者が唯一こだわるのは地球の形状である。「彼らが他の陰謀論者と同うようなら、UFOやESPや幽霊や悪魔、その他の目に見えない意図的な力を信じるなど、多くの呪術思考を選好する傾向を示しているはずである。彼らはそうではないので、陰謀論を信じる米国人と比べると、非常に違っている。」とOliverは言う。

[ Natalie Wolchover & Live Science Staff: "Are Flat-Earthers Being Serious?" (2012/10/26, 2017/05/30) on Live Science ]





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