創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

STSとしてのインテリジェントデザイン

Fullerの著作についてのWikipedia


WikipediaのSTS学者Steve Fullerのページに、代表的著作2つについて記載がある。この分野では知られた人々の論評の引用の形になっているので、まっとうな記述と思われる。
Science Vs Religion?
2007年にFullerは"Science Vs Religion?: Intelligent Design and the Problem of Evolution"を執筆した。導入及び結論の章に加えて、「宗教と科学の関係の歴史」、「近代科学は人間が自らを超越して神に到達しようとする試みに基礎があるという論」、「複雑さが他のバージョンの創造論("other versions of creationism")とインテリジェントデザインをどう区別するのかのFullerの考え」、「法律問題」、「ダーウィニズムの未来」についての章がある[29]。

Rutgers Universityの数学教授Norman Levittはレヴューの中で、「まったくお粗末な著作で、科学的、歴史学的、神学的誤りに満ちている("a truly miserable piece of work, crammed with errors scientific, historical, and even theological")」[30]と書いている。Levittは以下の点を問題としている[30]。

・Fullerは複雑さとランダムさについてのWilliam Dembskiの主張を額面通り受け入れ、この分野の成果とDembskiに対する辛辣な批判を把握しておらず、これらの主張を正しく描写すらできていない
・Fullerは「生物学の働きと論理構造を真摯に分析することなく」進化生物学を見くびっている
・FullerはNewtonの見方と対照的な見方を正しいとするために、Newtonの宗教信条を偽っている。

LevittはFullerの見方が、「科学及び理学部の支配の外側の学術生活に浸透している科学の認知権威への憎悪」から生じていると推測している[31]。その後、Fullerはこれらの点について、Levittが意図的であると批判し、「現代のインテリジェントデザインの擁護よりも科学史における根深さを示している、とFullerが主張する」本についての理解に疑問を呈した。Fullerはさらに、Levittが原文と意味が逆転する引用をしたと主張した[32]。これに対して、Levittは長文の反論を書き「インテリジェントデザイン運動を生成・維持している政治の誤読はあまりに完璧で、独特な病理をつくるに至っている」と結論した[33]。1994年以来、Fullerは、Levittを含むScience Warsにおける科学の見方についての反対者から、強く批判されてきた[34][35]。

University of Texasの哲学[36]及び統合生物学[37]の教授であるSahotra Sarkarは、Fullerの本が提示した「現代インテリジェントデザインの知的論争について分析がまったく空疎」と批判した[38]。さらにSarkarは、この本がカントを含む哲学史と論理実証主義の風変わりな解釈を提示していると批判した。たとえば、限られた科学史の理解しかなく、NewtonやCuvierやAgassizやLamarckやMendelやPearsonやGaltonについての主張が彼ら自身の記述によって支持されないものになっている。超自然への言及を行いたいという、インテリジェントデザインが作り出した自然主義のついての論争に加わり損ねている。そのことはFullerがPhillip Johnsonの著作を認識していないことを指名している。さらには科学的誤り[38]。

[28] "Talking To The Future Humans - Steve Fuller"
[29] Review of Science Vs Religion?, Sahotra Sarkar, Notre Dame Philosophical Reviews, 7 August 2008
[30] Levitt, Norman (19 December 2007). "Norman Levitt Deconstructs Steve Fuller's Postmodernist Critique of Evolution". Skeptic (U.S. magazine). Retrieved 10 October 2008.
[31] The Painful Elaboration of the Fatuous, Norman Levitt, eSkeptic, Skeptic magazine
[32] Steve Fuller Responds to Norman Levitt's Review of Science v. Religion E-Skeptic, 16 January 2008
[33] Norman Levitt Responds to Steve Fuller E-Skeptic, 23 January 2008
[34] ["In Snow's shoes". THES. 11 November 1994. Retrieved 1 September 2012.>http://www.timeshighereducation.co.uk/story.asp?st...]]
[35] Can Science Studies be Spoken in a Civil Tongue?, S Fuller, Social Studies of Science, 1994
[36] Sahotra Sarkar, Department of Philosophy, University of Texas
[37] Faculty, Section of Integrative Biology, University of Texas
[38] Levitt, Norman (7 August 2008). "Science v. Religion? Intelligent Design and the Problem of Evolution". Philosophical Reviews. Retrieved 10 October 2008.

Science Vs Religion?(2007)

Dissent Over Descent

2008年にインテリジェントデザイン論争についてのFullerの本"Dissent Over Descent: Intelligent Design's Challenge to Darwinism"が出版された。The GuardianのSteven Pooleは「この本は、藁人形論法と無能な論理の集まりで、距離が時間と空間という違いがあるが、進化論と占星術が『遠隔に起きる』という点で共通していると論じるに至っては、まったくのチンプンカンプン。このような知的いんちき療法は、科学哲学に汚名を着せるものだ」[39]と書いた。Florida State Universityの科学哲学者Michael RuseはScience誌に「Fullerの本はまったく間違っていて、何らの学術的に正しいことも根拠していない。少なくとも一つ、Sewall Wrightの推移平衡理論における遺伝的浮動の役割について私が書いたものについて、Fullerは言語道断なミスリーディングによって自説を主張している。参考までに、彼の指導者William Whewell(さらにNewtonにさかのぼる)にしたがって真の原因と呼ぶ原因を、Charles Darwinは提示した。Darwinや科学史研究者や科学哲学は、実際に研究を遂行している進化生物学者たちと同様に、彼は成功していると感じている」と書いている[40]。神学の元教授Keith WardはTimes Higher Education Supplementの"book of the week"のコーナーで、「この本は普段見落としがちな情報と挑発的解釈で称賛されたが、多くの不正確な記述と虚偽記述を批判された」と書いた[41]。

A. C. GraylingはNew Humanistに「この本はFullerの無知と歴史的に近視眼が含まれている」と書いた[42]。これに対して、Fullerはオンラインレスポンスで「もしGraylingの科学史把握が頭部打撲基準を超えたのなら、我々の現在のレベルの科学の達成は不可能だっと知るべきだろう。さらに重要なことは、我々の現実についての施行において、偶然ベースの説明がデザインべースの説明を卓越している限り、これ以上、我々は達成をなしえないと知るべきだろう。(If Grayling's grasp of the history of science went beyond head-banging standards, he would realise that our current level of scientific achievement would never have been reached, and more importantly that we would not be striving to achieve more, had chance-based explanations dominated over the design-based ones in our thinking about reality.)」と応じた[43]。これに対して、Graylingは「Steve Fullerは自著が酷評された著者の誰もが言う文句を言っている。すなわち批評者はちゃんと本を読んでいない(あるいは、まったく読んでいない)と」[44]と書いた。さらに彼は「人類が背負うキリスト教の多様なバージョンの神学と歴史について、常にFullerの相手をしてきた。同じことは科学史にもあてはまる」と書いた[44]。

[39] Poole, Steven (12 July 2008). "Trivial pursuits Steve Fuller's Dissent Over Descent: Intelligent Design's Challenge to Darwinism". London: The Guardian. Retrieved 10 October 2008.
[40] Ruse, Michael (3 October 2008). "A Challenge Standing on Shaky Clay" (PDF). Science (journal). Retrieved 10 October 2008.
[41] The book of the week: Dissent over Descent, Times Higher Education Supplement, 24 July 2008
[42] Grayling, A.C. (Volume 123 Issue 5 September/October 2008). "Origin of the specious". New Humanist. Retrieved 10 October 2008. Check date values in: |date= (help)
[43] Fuller, Steve (Web exclusive September/October 2008). "Against the faith". New Humanist. Retrieved 10 October 2008. Check date values in: |date= (help)
[44] Grayling, A.C. (Web exclusive September/October 2008). "Bolus of nonsense". New Humanist. Retrieved 10 October 2008. Check date values in: |date= (help)
Dissent Over Descent






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