スマブラのエロパロスレまとめ

西の空に半月が浮かぶ。近くを通り過ぎる風もちょうど心地よい温度となってきた。
「遂に咲き始めたか…」
メタナイトはスマブラ寮の庭の中でも一際大きい桜の木を見ながら呟いた。
今日この地方では桜の開花宣言が発表された。この桜の木も少しではあるが
花がつき始めている。
「ゼルダ姫…」
今、彼が想いを寄せている者の名を呟く。一週間前、二人はこの場所で初めて
会話を交わした。その別れ際、ゼルダはこう言った。
「またこうしてお話に来てもよろしいですか?」と。その言葉を信じ、メタナイトは
毎晩、この場所で彼女が訪れるのを待っていた。だが彼女が彼のもとを訪れることはなかった。
(もう一週間だ…そろそろ…)
風に揺れる桜の花も、今のメタナイトの目には入らない。

「メタナイト」
突然の呼びかけに思わず慌てふためく。我に返ったメタナイトが振り向いた先に…彼女はいた。
「ゼルダ姫…やっと来てくれたか」
「なかなか機会に恵まれないものですね…あ、びっくりさせてごめんなさい」
「なに、考え事が過ぎただけだ、気にする必要はない」
前回と同じように、メタナイトの隣に腰を下ろす。
「咲き始めましたね…」
「ああ…あとは満開を待つばかりか…もうそんなに時間もかからないだろう」
「楽しみですね、お花見」
「お花見…この寮のメンバーでやるのか?」
「ええ、満開の頃に皆さんでお花見をするんです。先日お話し忘れたんですが…。中々楽しいですよ。
もっとも一部酒ばかり飲んでいるメンバーもいるみたいですが」
「なるほど、色々な意味で見ものだな」
メタナイトがフッと笑う。それにつられたゼルダも笑う。一週間前より、いくらか打ち解けた様子だ。
「しかし、咲き始めの桜というのもなかなかいいものだな。枝の中に一つだけ咲く花というのは
なかなか風流を感じる」
「ええ、何といいますか、可憐な感じがしますね」
二人は桜の木の下に歩み寄り、枝にわずかについた桜の花を愛でている。



「ところでメタナイトは、あの、その、恋…したことありますか?」
「なっ…」
メタナイトが少々たじろく。というのも今までの彼の人生はおおよそ恋とは無縁のものだったのだ。
つい先日人生で初めて女性に淡い恋心を抱いたばかり。その女性からいきなりこういう質問を
されたものだからつい戸惑ってしまったのだった。
「そもそも私は今まで恋とは無縁な生活をしていたから…」
こう答えるのがやっとであった。
「実は人間のいる世界に来るのも初めてなのだ。それまでは戦いの中に生きてたも同然」
「そうだったのですか…さぞ大変だったでしょう…」
「いや、それが日常だったからそうでもない。むしろ今のこの生活に慣れるのが少々大変かな」
「そういうものなのですか?」
「ああ…たぶん」
顔を見合わせて苦笑する。

「時にゼルダ姫は…?」
「私もあまりないですね…ずっとお城にいたものですからそういう機会も意外とないのですよ」
「しかし貴方にはリンク殿が…」
「確かに彼は同じ世界の出身ですが、これまであまり話をしたことがないんです。周りからも
仲がいいように思われてるみたいですが、私はピーチやサムスと一緒にいることが多いし、
彼は試合や子供たちの稽古で忙しい…なかなか会う機会もないですね…」
「意外だな…美女と美青年、お似合いだとばかり思っていたが」
「皆さんそう思われてるのでなかなかこのようなことは言えなかったんです。というより
こんな話をするのは貴方が初めてですよ」
「そう…なのか…?」
「貴方なら真剣にお話を聞いてくださる…そう思ったんです」
「そうか…そなたもいろいろ大変なのだな」
それからしばらくの間、たわいもない話が続く。さっきより二人の座っている間隔が狭くなっているのは
気のせいだろうか、それとも…
「さあ、そろそろ帰りましょうか」
今度は二人、一緒に寮に向かう。その後姿は頭身の差はあれ、中々優雅なものである。



さて数日後。お花見大会が翌日にあるため、試合の合間をぬって皆準備に取り掛かる。
午前中で試合が終わったメタナイトは同じく午後から試合のないカービィ、マルスを連れて
肉屋に向かう(メニューに焼肉が入っているため)。
「牛カルビ10キロ、豚トロ1キロ、豚バラ5キロ、鳥モモ5キロ、ホルモンにウインナー…少し多すぎないか?」
「いや、多めに買っておかないとアイクやクッパ、スネークあたりがブチ切れそうだ。
カービィやヨッシーもよく食べるからね」
「そ、そうだな…」
台車の上ではカービィが無邪気に飛び跳ねている。が、その動きが止まった。
「ぽよっ、ぽーよっ!」
カービィが指差した先には何故か雑貨屋があった。
「どうした?」
「ぽよぽよ」
「ああ、そこに行きたいのか。まだ時間もあるし、僕たちも行ってみようか」
「別に構わないが…カービィが雑貨屋に行きたいとは珍しいな」
というわけで台車を近くに置き、3人そろって中に入る。瞬間、カービィはお菓子コーナーへ一目散。
「ぽよ!おかちー、おかしぽよ!」
そう、カービィの目的は色とりどりのおいしそうなお菓子だった訳だ。
「やっぱり…カービィらしいね…」
「ああ…」
とりあえずメタナイトとマルスも店内をうろつくことにしたのだが…

「うーん、これといったものもないねえ…」
店内は女性向けの雑貨が多いこともあり、男二人は数分ですでに飽き飽き、といった状態だった。が、
アクセサリーコーナーで二人のテンションは一変する。
「あ、このピアスなかなかかっこいいや。リンクさんの誕生日プレゼントにしようかな」
「そなた、さっきとは違って結構ノリノリだな」
「いや、メタナイトさんも結構楽しんでるでしょ、実は」
「そ、そんなことはない」
そう言いながらメタナイトはなかなかお洒落なデザインの腕輪を試着していたりする。
「ぽよっ!ぽっぽよっ!」
「またたくさん買ったねー。そろそろ行こうか…ん?」
マルスがメタナイトの方を怪訝そうに見る。メタナイトはネックレスを手に取り身動き一つとらずにいる。
何か、考え事をしているようにも見える。
「メタナイトさん、そろそろ行きますよ」
「あ、ああ、すまない」
慌ててマルスたちの後を付いていく。
(また後で来るか…さすがに今買うのもまずかろう)
通りの桜並木は八分咲きといったところだろうか。時折花びらが舞散り、春の情景を演出している。

「なんか…メタナイトさんらしくないね」
「ぽよ」


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