スマブラのエロパロスレまとめ

ロボットの描写の難しさに泣いた。
設定は一応、亜空後のつもりで。



『ロボットとあおの昼下がり』


その日、僕は暇で暇で仕方がなかった。
ナナはピーチさんたちとお買い物。トゥーンやネスといった同い年くらいのみんなも乱闘で留守。
ナナがいないと乱闘どころか、トレーニングもままならない僕は手持ち無沙汰でふらふらと散歩をしていた。

散歩コースは、普段みんなで過ごしているスタジアムの周辺の原っぱ。意外ときちんとした道があって歩きやすい。
見たところ、数本しか生えていないけど青々とした葉っぱを風で揺らしている木がきもちよさそう。
春特有の、ぽかぽかとした日差しがあふれていてとても温かい。たまには1人で過ごすのもいいかも。いつも2人だしね。
そんなことを考えながら、ぽてぽてと歩き、スタジアムから少しだけ離れたところまできたときのこと、
ふと、がしゃんがしゃんという機械音が聞こえてきた。
「…?」
明らかに、春うららかな陽気に不釣り合いな音だ。
いつもの癖か、僕はハンマーも持っていないのに、つい、こぶしをぎゅっと握り締めて音のする方向へ目を向けた。
どうやら、音の主は近いようだ。
「誰?」
もしかして、亜空軍の残党かな…
いや、新たな敵かも!
いろいろ自分の中で思案したりして、ドキドキと胸がなりはじめたその時、
「……ウウ…」
近くの木からひょこりと音の主が姿を表した。
「…あう?ロブ?」
なんと不可解な機械音の主は、ロブこと、ロボットだった(ソニックやネスがロブって呼ぶから、うつっちゃった)。
「えーと…」
「…ア」
やっと僕に気が付いたらしく、ロブは丸いレンズの目をぱちぱちさせて言った。
「コンニチは、ナナサン」
「うん、こんにちは。じゃなくて、僕はポポだよ、ロブ」
「あ、ゴメンナサイ」
ロブはなんだかキズだらけだった。金属の体のいたるところに擦り傷がある。
そもそも、ロブが僕とナナを間違えること自体珍しい。
初めて会う人や一般の人間ならまだしも、人を機械的に識別する能力が備わっているロブが間違えるはずがない。
「どうしたの?こんなところで。しかも傷だらけで」
「エート…さっき、スタジアムでリュカサンとタイマンしてタら、ミゴトにココまでフットばサレマして」
うわあ、すごい。
ここって、スタジアムから1キロまで離れてはいないけど、数百メートルはある地点だよ。
リュカって意外とやるんだなあ。なんて、のんきなことを考えてしまった。
「だから傷だらけで…あ、大丈夫?」
「イヤ、どウせストックひとツのタイケツだったのデ」
「そうじゃなくて、体だよ、ロブのからだ」
とは聞いてみるものの、大丈夫ではなさそうだ。
実際、僕とナナを間違えたし、いつもはきれいな電子音声もちぐはぐでかすれている。
きっと、どこか故障してるはずだ。
「タブン…イヤ、ヤッパりダメみたいデス」
小さく、ウィン、と音を放ってロブは言った。
「だよね。だってスタジアムからここまで飛ばされてきたんだもん」
「トリアエず、スタジアムにカえッてシュウリとセイビをしてモライます」
「ええ、帰るって…大丈夫なの?そんな体で!」
ロブは、傷だらけのアームをゆっくり回してみる。ぎり。鈍い音とともにアームが止まった。
下部を回転させてみたり、いつも通りジャイロを出してみたりするけど、どれもこれもうまくいかない。
「…たしカニ、ジブんのちからでカエレそうなカンジはシナいですネ」
いや、確かめる前にだめだって分かるよ。話している様子からしても、自力で帰れないのは明らか。
「ウーン…どうしマしょう…」
「……あ、じゃあさ、ぼくが押していってあげようか?引きずったり、肩貸すのでもいいけど」
「エ、わタシオモイですヨ。とっても」
「大丈夫だって!これでも日頃ハンマー振り回してるし、乱闘中ロブのこといつも投げてるし」
ロブはうーんと困惑したような素振りで目を閉じた。けど、数秒後、じゃあ頼みますという感じで顔をこくりと傾けた。
「ゴメイわくをオカケしてゴメンナサイ」
「ううん。いいっていいって。どうせ暇だったしね」

さて、自分から切り出したからには、頑張って押してあげよう。
「じゃあさっそく。うーん、どこらへんもって押そうかな」
「オネガいします」
あいさつをききながら、ロブの後姿を眺めた。
よく考えると、ロブをこうもじろじろ見るのは初めてだ。というよりも、乱闘以外で会話すること自体あまりないから
なんとなく嬉しい。こうやって接してみると、ロブって以外と愛嬌のある可愛いロボットだなあ。
いや、僕自体、氷山ばかりで過ごしていたから、ロボットというものに対しての考え方がちょっと変なのかも…
なんてことをいろいろ考えながら、まずはコードのあたりをそっと触ってみた。
と、その瞬間「アッ」とロブが小さく声をあげた。
「え?あ、痛かった?」
「あ…イや、ベツに…」
慌ててコードから手を離す。うーん、どうやらコードにも支障がでているようだ。見たところはそうでもなさそうだけど。
「ごめん、じゃあコードじゃなくてその根元らへん・・・」
そっと、コードの根元あたりに手を添えてみた。が、今度は「ウァ」と声を上げて跳ね上がった。
「え、だめ?ここもだめなの?」
「…ッ…オネがいシマス…テを…のけてクダサ…」
言われたとおり、手をはずしてみたけどロブの様子は相変わらずおかしい。
けど、おかしいといっても、さっきのような故障とかそんな感じのおかしさじゃない。
「でも、どこかは触らないと押せないよ」
「……けど…ヤッ…」
「ちょっとくらい我慢して。スタジアムに戻ったらちゃんと修理してもらえるから」
今度は、ちょっと強引にロボットの背を押してみた。
「…!!ヒァア!」
今度こそ、本当に変だ。というかこれ、痛さで出てる声じゃない。
今更気がついて、僕はロブに聞いてみた。
「…えっと、ロブ、もしかして、痛みはない?」
「……」
「なんか、さ、痛そう、という感じがしないから…」
「…タぶん…」
ロブは、頭部を少しだけ傾けた。
「感覚センサーが…ヘン…にッ!」
びくっと、ロブの体が跳ねる。
感覚センサー?よくわからないけど、とりあえず、すごい大切なところが変になったんだな。
僕はよりいっそうロブに添えている手に力を込めていった。
「こんなに変になるぐらい大切な部分だったら、余計大変!はやくスタジアムに戻らないと…!」
「あ、イヤ、ジャなくて…だかラ、サワられるの…ガ…ダメ…アゥっ」
それにしても、いつもより故障気味のちぐはぐで掠れている声のせいか、妙に…こう、体が熱くなる声だなあ。
と、ぼくは変な感覚におそわれた。しかし、理性でその思考を押し留める。
「ダメじゃないって!もう押すよ!」
ぐいっと、ロブを前に押し出そうとしたその瞬間。
ぼくは、つい勢い余って、足で「がんっ」と強くロブの下部を蹴ってしまった。
「あっ」
しまった。と思ってからでは遅かった。
「ッ!!!!」
ロブは小刻みに何度も震えて、丸い目をぐっと閉じた。
「……あ」
僕とロブの声が重なった。
足もとにゆっくりと目を落とすと、薄い黄金色の液体が、じんわり地面に広がっている。
「え、あ、これ、もしかして」
どうやら、ロブのオイルが漏れ出たらしい。
漏れでたっていうより、漏らした…いや、これは僕が…でもこれって、これって。
ロブ自身もパニックになっているらしい。恥ずかしそうに「アッあ、うッ」と変な声を連続して発している。
どんどんロブの下にある地面がオイルを吸っていく。ぐっしょりとした地面を見て、僕はロブの代わりに泣きそうになった。

この後、僕は何度もロブに謝った。けど、謝ってもロブの変な様子が変わるわけもなく
どうしようもなくなって突っ立っていたら、すぐにリュカがネスと共に変なちゃぶ台に乗って駆けつけてくれた。
駆けつけてくれた2人のお陰で、この出来事は大事にならずに済んで、ロブも無事スタジアムに運ばれた。
どうやら記憶装置もちょっと故障していたらしく、ロブ自身はその出来事は途切れ途切れにしか覚えていないらしい。
よかったのやら、わるかったのやら。あれからきちんと修理されて、今はちゃんと元気に動いている。
僕はというと、正直、乱闘中でもロブの姿を直視できなくなっている。いろんな意味で。

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