スマブラのエロパロスレまとめ

さて、新年も明けたことだから小説投下する。

以下のことに注意な
・ヤンデレ苦手な人
・シークは男だと信じてる人
・フォックスが怪我するのがキライな人

そして一番大切なのが
 エ ロ が ほ と ん ど 無 い こ と だ

じゃあ他の神ssが投下されるまでのおつまみとしてドゾー



 目が覚めると古ぼけた屋内の中にオレはいた。
老朽化があちこちに目立ち、自分の部屋とは全然違う。
田舎に帰った頃に感じられる懐かしいの樹木の匂いがする。余程、この部屋の完成から随分の歳月が経っているのであろう。 
それはともかく、オレは両足両腕をしっかりと縄で縛られていた。
いかにも、オレは一体どこの誰かわからない敵に拉致か誘拐をされてしまったのだろうか? 
恐らく、後者だろう。オレを拉致するような変態よりも、誘拐して多額の金を仲間に請求する誘拐犯の方が
この不景気の世の中では当たり前だと思ったのだ。
 狭い部屋に閉じこめられているが、犯人らしき姿はどこにも見当らない。仲間に身の代金でも請求している最中だろうか。
見張りも置いていないし、単独犯による犯行なのだろうか? オレは冷静に物事を考えていた。
今の状況に不安や怯えなど感じないと言えば嘘になるが、誘拐されたことをオレにとってはいい機会だと思っていた。
 アーウィンとグレートフォックスを壊されてから、ファルコやスリッピーたちとは顔を合わせられない日々が長い間ずっと続いていたからだ。
最近は名前を呼んでくれる事もなくなった。
 もし、誘拐されたことによってオレの事を想っていてくれるなら。オレを助けだそうと
それなりの行動を表に出してくれるはずであった。だから、今だけは誘拐犯に礼を述べよう。ありがとうと。

 意識を取り戻してから、しばらくすると。玄関のドアが開く音が確かに聞こえてきた。
オレを誘拐した犯人がドアで塞がれた間を躊躇なく開けた。
「ただいま……」
「あっ……」

 オレは自分が予想していた事が裏切れて茫然としていた。誘拐犯だと思っていた犯人は、アーウィンを撃墜させたあいつだった。
体に巻かれた包帯と真紅の瞳が、陰気な印象を感じさせる。包帯の隙間から見える肌はオレの毛皮と同じ色で、容貌は端正に整っていて美人だと言ってもいい。
ただ、彼女を包み込む暗い何かが全てを台無しにして、近寄りがたいオーラーを全身に発していた。
 その彼女はスーパーの袋を片手に持って、僕の方を嬉しそうに見つめていた。

「えへへ……今日から僕は一人じゃあないんだね」

 その女はスーパーの袋をその場に置くと縄で縛られているオレの体を抱き締めた。
腕に強い力を込めながら、彼女の体は震えていた。温もりを求めるように、オレの体が望むように。
彼女は僕に何かを求めていたが、そんなことは知ったことじゃなかった。
誘拐犯だと思っていたが、実は全然違うようだ。これは誘拐ではなくて、拉致だったのだ。

「君の名前はなんていうの?」

 オレの顔を頬で擦り合いながら、首に腕を回した彼女が優しく微笑んで聞いてきた。
教えてやる義理もなかったが、今の自分に陥っている状況を理解していると彼女を邪険するしかなかった。

「オレはフォックス・マクラウドって言います」

 礼儀正しくオレは拉致した彼女に挑むように刺々しく言ってやった。
気を悪くした様子が見えない彼女はオレの頭を撫でながら……可愛らしく媚びるように言った。

「僕の名前はね……。シークって言うんだよ。フォックスお兄ちゃん。これから、ずっと僕と一緒に暮らすんだよ。よろしくね!!」

 オレは全身に悪寒が走って行く。余りにも居心地の悪さに抱き締められているだけでこの場所から逃げ出したくなった。
年下の男装女が舌足らずの口調で甘えてくる光景は人間じゃないオレにとっては悪夢に近い。
まだ、これが同じ狐の女の子なら頬を赤面させて照れているだけで済むのだが。彼女はちょっとだけ痛い。

「僕はねぇ……ずっと一人で寂しかったんだ。 」
「だから、オレを拉致してきたというのか?」

 だんだんと意識を失う前の記憶が戻ってきた。そう、オレは拉致される当日はいつものように大乱闘に参加していた。
それはオレにとっては日常茶飯事であり、借金地獄の日々に戻りたくないという意志の表れであった。
その帰り道にオレの背後を歩く足音をはっきりと聞こえていた。そして、オレは……誰かに頭を何かで殴られた。

「うん。そうだよ」
 焦点の合わない虚ろな瞳でシークはオレにほほえむ。
「夕食のおかずにしようとした大根でフォックスお兄ちゃんの頭をぽかんと殴ったんだよ。
幸い、僕の部屋から近かったことだったし。僕の部屋で監禁して調教すれば僕のモノになってくれるはずだから。
だから、こうやって縄で両手両足を縛っているんだよ」

 殴った凶器は大根だったんですか……とオレは口から空気の読めない言葉を溢れだしそうになったのを必死に留めた。
 ただ、拉致を躊躇なく実行したシークは狂ってる。
更にオレを監禁して調教するという言葉にさっきとは違う恐怖を覚えた。
自分の心の隙間を埋めるためだけにオレを利用する。オレの都合を考えずにだ……。

「う、嘘だろ……本当の誘拐犯なんだろ…?」
「どうして、フォックスお兄ちゃんを誘拐しなきゃいけないのかな。お金を貰ったとしても、
僕の暗闇と底無しの絶望から解放されるはずがない。
独りぼっちの恐怖に打ち勝つことができないよ。でも、フォックスお兄ちゃんが傍に居てくれるなら。僕は救われるんだよ」
「オレは……帰りたい。昨日まであったオレの居場所に」

 確かに遊撃隊でのオレの居場所なんて存在していないかもしれない。
でも、仲間以外の居場所はあったんだ。心を許せる友人たちが居る。
笑い合ったり、喧嘩したりといろいろ友情を深め合ったスマブラ仲間がいる。
 シークと異なるのは、オレにはまだ救われるモノがあるからだ。
それと反対の位置にいるシークが居る場所は、完全なる破滅。
 独りぼっちの恐怖に負けて、孤独の辛さに我慢できずに手を出しては行けない禁断の果実を手にしてしまった。
それは、犯罪という甘い誘惑だ。
 一時の温もりが欲しかったためにシークは犯罪に手を染めてしまったのだ。

「だ、ダメっっ!! フォックスお兄ちゃんは僕とずっと一緒にいるんだよ。もし、フォックスお兄ちゃんがここを出て行くと言うなら……僕は死ぬんだからっっ!!」
 抱き締めていたオレの体から離れると、太ももに巻かれた包帯の間から鋭利な針を取り出した。
それをシークは自分の首に当てていた。少し力を入れているのか、血の雫が首筋を伝ってぽつりと零れ落ちて行く。
「あっつははっは……フォックスお兄ちゃんフォックスお兄ちゃんフォックスお兄ちゃんっっっ!!」

 オレは弱かった。こいつを突き放す言葉を言えば、勝手に自滅して死ぬかもしれない。
そうすれば、オレは助かって元の居場所に帰れるはずだった。
 でも、一人の女性の追い詰めようとするのは間接的に殺人を犯したことになる。
オレのせいで誰かが死ぬのは到底耐え切れるものじゃなかった。
 抗うこともできずに、オレは全面降伏するしかなかった。
「ご、ごめんなさい。オレが悪かったです。だ、だ、だから、死ぬなんて言わないでください」
「フォックスお兄ちゃんっっっ!!」
 凶器を力なく落として、泣きながらシークは再びオレの体にしがみつく。身動きできないオレは彼女の温もりを感じていた……。
抜け出すことができない狂気に絶望することしかできなかった。



 これが、オレを拉致した男装女と全てを失ったオレとの奇妙な共同生活の始まりであった。


 オレが拉致されてから、数日の月日が経っていた。縄で縛られての監禁状態はすでに卒業している。
だが、逃げられる訳ではない。常人では到底理解できない理由で、オレは逃げることができないのだ。
 そう、足を、骨を、折られたら、逃げることは不可能だ。
 まさかと思った提案は、発言直後に実行された。鈍い痛みの後にオレは気を失ってしまい、起きたら縄を解かれて、
逆に足にはギプスがはめられていた。右足が折れた。シークの診断によると、 なんとなくぅ、全治3ヵ月だよ。てへ☆
だそうだ。
もう、この女は狂っているとしか言いようがない。
 オレは肉体的な痛みよりも彼女に生活の全てを依存しなきゃいけないという精神的な苦痛に苦しんでいた。
オレの骨を折った後に、嘘のような謝罪の言葉と 治療が完了する頃にはぁフォックスお兄ちゃんの調教もおわっちゃうよ☆と有り難くもない予言をしていた。
 吐き気がする。
 シークと同じ空気を吸っていることが、シークが作ってくれた妙に血なまぐさい手料理も、
シークの必死すぎる看病も。全てがうんざりしていた。
孤独を埋めるための手順。そして、オレの全てを奪っていた。
 憎いという一言だけでは片付けられない。
 オレはシークに同情と憐れみを抱いていた。

 彼女は夜8時頃になると部屋にもどる。
真っすぐにオレの様子を見て、部屋で大人している所を見ると彼女は安堵の息を漏らす。
それはそうだろう。オレが骨折の痛みをやせ我慢して助けを呼ばれることになれば、
シークは間違いなくマスターハンドに消されるであろう。シークは震えた体でオレを抱き締めると頭を撫でてくれた。
 狐は愛玩動物じゃないんだぞと言いたかったが、頭のおかしいシークに何をされるのかわからない。恐すぎるっっ!!あ、おっぱいあたってる。

「フォックスお兄ちゃんは今日も家で大人しくしてくれていたからぁ。僕ぅ、とっても嬉しいんだよ。
夕食にお兄ちゃんの大好きな物を作ってあげちゃうよっ。何が好きぃ?」
「もやし炒めで」
「やだ……。もやしは大嫌いだもん…。そうだ。カレーライスにしよぉ。うん。決定だよ」

と、機嫌のいいシークは台所に向かって鼻歌混じりで食材をぶった切っている。
まな板に包丁が食い込むダン、ダン、という音と鼻歌が部屋に響く。
その後ろ姿を凍り付くような殺意に似た視線をオレは送っていた。
 骨折している足をさっさと治療するために栄養のある食材を摂って、ここから抜け出したかったのに。どうせなら裸エプロンにしてくれよ。

「今日も明日も〜10年後〜るるる〜〜ずっと〜〜フォックスお兄ちゃんと〜〜一緒だよ」

 幸せの絶頂にいるシークには全く気が付く様子もなくてオレは思わず嘆息した。
 しばらくすると部屋にはカレーの匂いが充満して、朝から何も食べてないせいか食欲が沸いてくる。
カレーが出来上がると、シークは笑顔で二つのお皿を持ってやってきた。
テーブルはオレが寝ているために片付けられているが、シークはオレの隣にやってきて、オレの右腕を絡ませるように組んでくる。やば、おっぱいあたってる。

「フォックスお兄ちゃんは怪我人なんですから。僕がちゃぁんと食べさせてあげるね」
「オレは一人でも食べられる」
「ダメだよっ。僕が食べさせてあげるんだからぁ。フォックスお兄ちゃん。はい。あ〜ん」
 スプーンにカレーをオレの口に持ってきた。シークを怒らせると
今度は臓器まで摘出される恐れがあるのでオレは大人しく従った。
 カレーを口に入れてもらうと、スパイスと鉄のにおいがひろがる。生臭いカレーだ。
だが、女の子から恋人らしいことをしてもらった経験のないオレにとって、味など関係ない。
「僕が作ったカレーは美味しい?」
「うんっ」
「じゃあ、いっぱいいっぱい僕が食べさせてあげますよぉ。フォックスお兄ちゃん、たくさん食べてね」 
シークは喜んでオレにカレーを食べさせた。自分の手で食べることは全くさせてくれない。
「えへへっ……。僕はねぇ。フォックスお兄ちゃんが来てくれたから。いつも寂しくして嫌だったけど。
今は誰か待ってくれている人がいると思うと嬉しくてたまらないの」
 シークが無理矢理拉致してきたんだろうが!! とオレは笑顔を崩さずに心の中でツッコミを入れてしまう。
言ってしまえば、腕を折られてしまいそうで恐ろしい。
 それにしても、なんでこんなに血生臭い料理ばかりなんだ?ああ、オレは人間じゃあないんだった。てへ☆

 オレとシークはカレーを食べ終えた。なんで味が血生臭いのかは、また今度聞くことにしよう。
シークが食器を片付けた後と、就寝までの時間はぼんやりと二人だけの時間になっている。逆らったらひどい目に合わされるかもしれない。
ただ、普通の同居人でないシークはオレの手をしっかりと握り締めていた。指と指を絡め合う恋人握りってものですよ、いえーい。
そして、シークの手はいつも震えていた。何かに怯えるように震えていたが、オレはあえて彼女の暗闇に触れようとはしなかった。
だって、オレとシークの関係は、拉致した側が作った偽りの関係に過ぎないからだ。
彼女の寂しさや孤独を埋める義務はオレにはないのだから。
 それが、オレの今までの生活を奪い取った事に対する精一杯の抵抗であった。

「フォックスお兄ちゃん、寒くない?僕はとっても寒いから、今日も一緒に寝てもいい?」
「別に寒くない。それに、年頃の男女が間違いを起こす可能性もあるから、丁重にお断わりする!」
 だが、オレの拒否の意志を無視し、シークは問答無用にオレの布団に入り込んできた。
まあ、シークのもともとの寝る場所はここだからなぁ。オレが奪っているし、仕方ない。

「じゃあ、もう電気を消すね」

 繋がれた手を離さずに電気の明かりを消すと部屋は薄暗くなってきた。
シークは再び布団に入り込み、さっきよりもオレの体にしがみつくように密着してくる。
女性特有の温もりを感じてしまう。だが、オレはそれを温もりと感じる余裕はなかった。

「フォックスお兄ちゃんの足は大丈夫ぅ? 痛くない?」
「すげー痛い。当分、寝られそうには無い」
「ごめんねっ。僕ぅ、こんなことしかフォックスお兄ちゃんをここに閉じ込める方法を知らなかったからっ。ごめんなさいっ。
だからぁ、嫌いにならないでっっ!!」

 再び震える手がオレを求めるように強く握り締められた。
 一人という孤独と寂しさに耐えられる人間はいない。シークは
それらの苦しみを抜け出すためにオレを奈落に誘い込んだ。
……そうか。今分かったぞ。
この関係に愛情はなくて、互いの傷を舐め合うだけの関係なのだ。
 だから、オレはシークに愛情は求めない。できることは、ただ同情だけ。

 答えが返ってこないことに不安になったのか、シークはオレの顔を覗き込んでくる。

「ね、ねぇ、フォックスお兄ちゃんはっ、あ、明日はっ何が食べたい?」
 会話の話題を変えるのに必至になっていた。だから、オレもシークを安心させるように食べたい物を言った。

「もやし炒めで」




 今日は乱闘がお休みだった。
のでオレと彼女は一日中、お互いの顔を睨めっこするように見ていた。やべぇコイツかわいい。
それしかやることがないのだ。骨折した足の具合はまだ悪くて、外に出掛けることは不可能。

それに対してシークは、乱闘に行く事と買物するときと風呂以外はオレの隣で手を握っていた。
 オレの温もりを感じるだけで安心するらしい。だが、シークの照れている顔にいい加減に飽きる。
 毎日毎日同じ事の繰り返しだ。そこに退屈を覚えても、新たな新鮮な出来事に遭遇するわけでもないし、
 やる事がないのはいろいろと欲求不満になってくるわけだ。
 
初めてオレは、この監禁されている場所から抜け出して、自分の家に帰りたいという気持ちが胸から溢れだしそうになった。
 さっさとオレの居場所に戻って、僕の世界へと回帰する。仲間達とまだまだ遊びたかったし、
 引き裂かれる寸前の仲間を救うことも諦めていなかった。

 そろそろ、17歳僕っ娘の心の隙間を埋めるボランティア活動は終了させてもらおうか。
 機会はある。
 今日は休日なのでシークは必ず買物に行く。その瞬間を狙って、ドアを叩き開けて周囲に助けを呼ぶ。
 その辺を歩いているカービィでもいい。助けを呼べば……オレは帰れるんだ。


 昼頃を過ぎるとオレは冷蔵庫の中を険しい顔をして覗いていた。
 普段なら彼女は休日にいろいろと買い溜めをしておいて、次の休日になるまで食材や材料を切らさないように気を遣っていた。

 また、休日になると食料を補充するために買物に出掛ける。
 これがオレがシークと同居している時に気付いた彼女の生活パターンである。

 もちろん、自宅にオレがいるから鍵を閉めるなんてことはしなかった。

「フォックスお兄ちゃん。僕ぅ、ちょっと近所のスーパーまで買物をしてくるから。よい子で待っててね」
「はい。わかりました」
 オレはいつものように笑顔で返事を返すと外に出掛けるシークを注意深く観察する。
 バックを持って、シークが玄関に行って、ドアを開けて出掛けるところを確認する。
 時計で5分ぐらい待ってから、作戦を実行に移す。


 寂しさと孤独を紛らわす生活に慣れていたシークは油断していた。
 一緒にご飯を食べて、一緒に居る時間が長かったから
 オレが立派に調教されて、シークに大人しく従う愛玩動物になっていると……。

 現実はそう甘くない。帰る場所があるヤツは揺るがない。
 擬似的にオレの寂しさと孤独がシークによって癒されたとしても、
 捨て去ることができない物がある以上は優先順位に従って、生物は行動する。

 だから、オレは動かせば激痛がする足を引き摺って
玄関のドアの方向へゆっくりと動いた。
 左足を軸にして、大根によって折られた右足を少しづつ動かす。
 1cm単位でも動かせば、感じたこともない痛みに苦渋の表情が浮かんでくる。

オレは我慢した。

 希望の扉まで 後もう少し


ノブに手が届くと オレは最後の力を振り絞って






 ドアを 開けた



ドアを開けた瞬間、オレを待っていた光景は久しぶりに見るはずの廊下。
 のはずだった。
 開けたドアの先には、シークがいつものように優しい表情を浮かべて立っていた。
しまった、待ち伏せされていたんだ
「フォックスお兄ちゃん……、何で部屋の外にいるのかな? かなぁ?」
「あっっ……、いやぁぁ……」
 オレの顔色がどんどんと青くなっていくのがわかる。シークは笑顔を崩さずにいるが、
 目は全然笑っていなかった。
女の子は、暴力や汚い罵声などに頼らずに、ただひたすら冷笑するだけで男を怯えさせることができるのだ。
「僕はぁ言ったよねぇ? フォックスお兄ちゃんはよい子で待っててね って。 どうして、僕との約束を守れなかったのぉ。
 そんな悪い子にはぁちゃんとしたおしおきが必要だよぅ」
「い、いやぁ……。や、やめて」
 シークに突き飛ばされ、オレは尻餅を着いた。その間にドアを閉めてオレの方に近寄ってきた。
「フォックスお兄ちゃんはもう僕の物なんだよ。勝手に外に出掛けたら、どうなるか解るよねぇ?
 僕とフォックスお兄ちゃんだけの生活が終わちゃうんだよぉ。僕は絶対にそんなの嫌っ!! もう、一人は嫌なんだよぉ」
 足の激痛に襲われてうなっているオレを見下すように、冷たい視線でオレのことを睨んでいた。
 視線を合わせるのが恐くて、オレは思わず目をそらした。

「フォックスお兄ちゃん。今度はどこを痛め付けて欲しいの? 左足?それとも右腕か左腕?
 どちらが不自由だったら今度はもう僕たちの楽園から逃げ出そうとしないはずだよね?」
「もう、やめてぇぇ……。謝るから。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
 だから、もうこれ以上は痛い目に遭わせないでください。お願いしますっっ!!」
「そんなに懇願しなくても……。大根はたくさん買ってきたから大丈夫だよっ☆」
「だ、だ、だ、だ、だいこんいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!」
 冷静な判断ができない。あまりの恐怖に耐え切れず、オレは癇癪を起こした。
 あちこち身体を激しく動かし、首を左右に揺らす。口から溢れだす唾液は垂れ流していた。うへぇ。
「もう、こんなことはしないよねっ?」
「う、う、うん」

 オレは必至に首を下に振って頷いた。シークの迫力に圧されて、オレの体は硬直していた。
 喉の奥深くから懇願するようにようやく声を搾り出して言うと、シークは満足な表情を浮かべた。

「でもね……。ちゃんとおしおきするよぉ」
「えっ……?」
 唖然としたオレの隙を突いて、シークはオレの唇を奪った。
 それはキスと呼ばれる行為だったかもしれない。


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