スマブラのエロパロスレまとめ

一応、このシリーズにおける作者の勝手なキャラのイメージを書いておきます。

(クッパ)
一人称「我輩」なんだかんだで優しい魔王様。
(ゼニガメ)
一人称「ボク」幼くて甘えたがり。
(フシギソウ)
一人称「オレ」大人ぶりたいお年頃。意地っ張り。そしてドS。
(リザードン)
一人称「俺」 トレーナチームの兄貴分。ヘタレ。

今回のSSは前作『琥珀の月』の続き…というより、ある意味並行しているストーリーとなってます。
リザードン×フシギソウの♂♂原型ですがエロは皆無です。
それと一部流血(?)表現があります。
少々カップリング表現もありますので、苦手な方はスルーをお願いします。


「まったく……ケンカばかりしたら駄目じゃないか、リザードン」
そう言いながら主人は俺の鼻先に傷薬をかけてくれている。
(いや、アイツが一方的に仕掛けてくるんだよ)と、俺は心の中で呟いた。

俺の鼻先に出来た傷。それはアイツのはっぱカッターのせいだ。
昨日はアイツの背中の草をいじっただけでタネマシンガンを顔面に喰らい、
今日はオヤツを少しもらっただけでこの有様。
炎タイプは草タイプに強いはずなんだが……あぁ、俺って情けねぇー………
まぁ、アイツの攻撃を受けるのは日常茶飯事だ。はっきり言って慣れた。
思わず(慣れてどうするんだよ!)と自分にツッコミを入れたいくらいに。

「はい、これでお終いっと」
と、そんな事を考えている間に手当ては終わったらしい。
主人が俺の鼻先にバンソウコウを貼っ付けてくれる。
「いい?君はチームのリーダーなんだから、ちゃんとしてよ?」
と、少し釘を刺されたが、それでもしっかり手当てをしてくれる主人が俺は大好きだ。
『グォ、グオゥ!』
俺は主人に礼を言って、皆がいる食堂へと足を運んだ。



もう夕飯の時間帯だからだろう。
俺たちがいる施設の食堂は、いつものように満員御礼状態となっている。
手前の席ではカービィとヨッシーが食事を美味そうに頬張り、
その隣では姫さん方が紅茶を飲みながら会話に花を咲かせている。
普段はライバル関係のクッパとマリオ&ル…ル何とか兄弟も、
この時間は楽しそうに会話をしているみたいだ。
…っと、どうやらポケモン組は奥の方に固まっているらしい。
とりあえず、俺は注文した料理を持ってそっちへ向かうことにした。


――「最近さ、フシギソウの元気が無いと思わない?」
飯の途中、いきなりのピカチュウの言葉に胸がドキッとした。
俺と同様なのだろう。ゼニガメも少し複雑そうな表情を浮かべている。
「だって、みんなと一緒にゴハン食べようとしないし…あまり遊ぼうともしないし……」
悲しそうな表情のピカチュウが言葉を続ける。
そういえばそうだ。アイツ、なんだか他のヤツと会話をしようとしない。
俺から話しかけても、素っ気無いか、妙にヒステリックな態度をとるだけだ。

「恐らく、何か悩みでもあるんじゃないか?」と、チョコレートパフェを片手にルカリオが言う。
どうでもいいが、コイツはいつもチョコばっか食ってる気がする。ホントにどうでもいいが。
「お前は心当たり無いのか?」
そうルカリオに訊かれたが、俺には「いや、無いなぁ…」としか答えようがない。
「じゃ、ゼニガメはどうだ?」
「ふぇ?も、もぐはふぉふぉろうぁふぁいふぁいよ…?」
「とりあえず、ちゃんと口のを飲み込んでから会話しようよ」
食べ物を頬張ったままのゼニガメにピカチュウのツッコミが入る。いいツッコミだ。
「そうか、ゼニガメも心当たりが無いか」と、ルカリオ。
(…つーか、今ので分かったのかよ!!)俺は思わず心の中で叫んでしまった。



「とにかく、お前達はチームメイトだろう。
そのチームメイトの悩みくらいは把握するべきだと思うのだが」
むぅ、口の周りをチョコまみれにさせたヤツに言われるのも癪だが、正論っちゃ正論だ。
つーか、そのチョコを拭いてくれ。お前のイメージが崩れるから。
「だいたいお前たちは連帯感というものが欠け 「それにしてもどんな悩みなんだろうね?」
説教を始めようとしたルカリオの言葉をピカチュウが遮る。正直、ありがたい。
ルカリオの方は言葉を遮られて少しションボリしているが…まぁ、いいか。

「んー、私は恋の悩みだと思います」
その一言に、そこにいたポケモン全員が振り向く。
皆の視線の先にはポケモン組の紅一点であるプリンの姿があった。
「そっか!そういう可能性もあるよね」
「でもよ、だとしたら相手は誰なんだ?どう考えてもお前くらいしか…」
「いえ、そうとは限りませんよ?
ゼルダ姫やピーチ姫との身分違いの恋だったり、サムスさんとの種族を超えた恋だったりするかもしれないです。
そういった恋ってステキですよね、本当に! まるでお伽話みたいでロマンチックですし!
…あぁ、もしかしたら性別すら超えた恋かも………」
ピカチュウの後に続けての俺の疑問に間髪入れずプリンが捲くし立てる。
あー、ダメだ、完全にあっちの世界に行ってしまってる。
少なくとも最後のは有り得ないだろ。つーか、どこで覚えたんだよ、そんなの。

………恋の悩み…か。

まだプリンは夢見る乙女モード全開だが、とりあえず俺は無視を決め込むことにした。
そんなプリンの話に付き合ってやってるピカチュウやルカリオはスゴイと思う。
ふと黙りこくってるゼニガメの方を見ると、下を見つめてなにやら考えているようだ。
こんな表情をする事なんて滅多に無いのに。
コイツもコイツで悩みでもあるのだろうか?
でも俺は、今はフシギソウの事が気がかりで仕方なかった。



「なぁ、フシギソウ。最近、あまり元気無いじゃないか」
後日、俺達の試合が終わった後――俺は思い切ってアイツに話しかけた。
アイツの返事は「フツーだよ」と相変わらず素っ気無いが、そのまま引き下がる訳にもいかない。
「なんか悩み事とかあるんだったら、俺で良ければ相談に乗るぜ?」
「…別に無いけど」
「いやいや、ホントはあるんだろ?」
「だから無いってば!」
やっぱり素直には話してはくれないらしい。
ふと、昨日のプリンの言葉が胸をよぎる。ちょっとだけ試してみようか。
「だからさー、例えば恋の悩みとか…」
「……っ!?」
どうやらビンゴのようだ。はっきりとフシギソウの顔に動揺の色が浮かぶ。
「お、もしかして図星? で? 気になる相手は誰なん」―――ビシッ!!

『グォアアァ!?』
いきなり顔面に鋭い衝撃が走った。
たまらず、俺はその場を転げ回る。
どうやら鼻先をつるのむちで思いっきり打たれたらしい。
鼻がジンジン痛む上に、思いっきり鼻血まで出てしまっている…!
「な…何しやがる!!」と痛みを堪えて俺が言おうとしたその瞬間―――バシィ!と、本日二発目のむちが飛んできた。
うおぉ…痛い、ひたすら痛い。なんか鼻血がスゴイ事になってる……

「うっさい、この馬鹿トカゲ!!」
ひでぇ!せめてトカゲじゃなくてドラゴンと言ってくれ!
と、俺が返す間も無く、アイツはショッキングな言葉を残してどこかへ飛び出してしまった。
たまたま近くにいたフォックスが大丈夫か?と声をかけてくれたが、
俺はそのまま鼻血を垂らしながら人気の無い場所まで歩いて、少しだけ、泣いた。



今は深夜1時頃。ここにいる大体のヤツらが寝静まる時間だ。
それでもアイツは部屋に帰ってこない。
おまけにゼニガメも部屋にいない。
アイツ、俺のせいでどこかに行ってしまったのか?――今までに無い不安に駆られた。
「リザードン、お願い。フシギソウを探してきてくれないかな…?」
主人も俺同様に不安そうな様子だ。
そんな主人の頼みに、俺は二つ返事で答えた。
ゼニガメはいいのか?と主人に訊いてみたが、どうやら主人はゼニガメの行き先を知っているようだ。
なんでも、夜中にゼニガメがクッパの所へ行っているのは一部で有名な噂らしい。
(俺ってホントに鈍いんだなぁ…)
思わずそう苦笑しながら部屋の外へと出た。


雲一つ無い澄み切った夜空。
星々は瞬き、満月は地上を照らす。
あくまで勘だが、アイツは施設の外にいる――そんな気がする。
俺は、屋上の床を蹴って星の海へと飛び込んだ。
広げた翼が冷たい闇を切っていく。
そのまま当てもなく空を飛ぶ。どうか、星が導いてくれる事を願いながら。

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いったいどれくらいの時間が経ったのだろう。
無性に泣きたい気持ちになってくる。
少し休もうかと思った瞬間――『それ』は目に入ってきた。
それは色とりどりの花びら。
およそ5、6枚ほどだろうか。風に運ばれながら俺を通り過ぎて行く。
何故だかは分からない。
気が付くと、俺は誘われるように花びらが吹いてくる方角へと向かっていた。



――なんだ、あんな所にいたのかよ。

野花が月の光を浴びる丘。
アイツの横顔も月に照らされて。
俺が空から近付くと、アイツはハッとして後ろを向いた。

「………なんで、来たんだよ」
長い静寂の後、先に沈黙を破ったのはアイツのほう。心なしか背中が震えている。
俺はそれに言葉を返す。
「帰って来いよ。主人も心配してるぞ」
「…ほっといてよ……もう…」
その返事になんだか無償に腹が立つ。
「ほっとけるわけねぇだろ!!」
「別にいいだろ、オレの事なんて……」
「どうして!なんでだよ?!」
俺は必死に言葉を続ける。
「何か悩みがあるのなら、俺が聞いてやるって言ってんだろ?!」

「うるさいっ!!!」
丘にアイツの怒声が響く。アイツがこんな声を出すなんて珍しい。
いつの間にか燃えるような真紅の瞳がこちらを睨みつけていた。
「アンタに…アンタなんかに……オレの気持ちが分かってたまるかぁ!!」
そう叫びながらはっぱカッターをやたらめったら飛ばしてくる。
「オレの事なんて、オレの事なんてっ!!」
その姿は半分泣いているようにも見えた。



次々と鋭利な刃が襲ってくる。
表皮が裂け、そこから血が滲む。痛いというより熱いというべきか。
しかしそんな事には構ってられない。
身体のあちこちの熱さに耐え、俺は無我夢中でアイツに飛びついた。
『フシッ!』
ドサッと音を立てて二匹は地面に転がった。
その衝撃のせいだろう。足元にあるパンジーの花びらが舞い散る。
俺がアイツを見下ろすような格好になる。
そして俺を睨みつける瞳がそこに。涙を湛えながら。

「分かるわけねぇだろ!!!」
今度は俺の声が響く番。

「分からねぇよ! 言ってくれなきゃ!」
――すまなかった。
「言ってくれなきゃ、そんなの分かるわけねぇだろ!!」
――こうなるまで気付いてやれなくて。
「だから、だから、ちゃんと…言ってくれよ……」
――こうなるまでお前を見てやれなくて。
「頼むから……頼むから………」
――本当にすまなかった。

目頭が熱い。
アイツの顔に涙がボロボロと降っていく。
一瞬呆気に取られた顔をしたあと、アイツは一気に泣き崩れた。
子どものように泣くフシギソウを抱え、俺は近くの木に寄りかかった。

パンジーの花が、まだ月夜に散っている。



そっか、お前もつらかったんだな。
でも大丈夫だ。
これからは俺が聞いてやるから。俺が受け止めてやるから。
だから、もう安心しろ。

俺がそんな事を言うとアイツも大分落ち着いてきたのだろう。
俺の腹に顔をうずめ、すすり泣きながら首を上下に振った。
まるで子どもをあやす親のような気分になってしまう。
「…うっ…う……ひっく……」
静かな月夜に泣き声が木霊する。
俺の腹にアイツの腹が当たって暖かい。互いの体温を感じる。
あぁ、こんなに良い匂いがするんだ……フシギソウって。

そんな事を考えるうち、どうしようもなく興奮している自分に気付かされる。
いや、何で俺、発情してんの?
そうは思ってもこの疼きは抑えられそうにもない。
「な…なぁ、フシギソウ―――俺が、全部忘れさせてやろうか?」
うわ、うわわわ、言っちまった!
自分自身の口から漏れた言葉に動揺してしまう。
おそるおそるアイツの顔を覗き込むと―――寝てる。寝てやがる。
泣きつかれて眠るなんて、やっぱフシギソウもまだまだ子どもなんだな。
少しがっかりしたが、多分、俺は今、幸せなんだろう。

空には見事なまでの満月。そして銀色に瞬く星々。
地上には風に吹かれて揺れる花。
俺の胸には穏やかな寝顔のアイツ。
この広い世界に今は二匹だけ。そう、二匹だけ。


――また、星がキラリと瞬いた。

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