スマブラのエロパロスレまとめ

「今すぐ、あやつを連れて城から出ろ」
こちらに背を向けて、ガノンドロフは言った。
ミュウツーは眉をひそめて、彼の広い背中を睨 みつけた。
「早くしろ。あの小僧が来る」
動く気配のないミュウツーに焦れたのか、先程よりもきつい口調で言う。
「……勝算がない のか」
「俺の言ったことが聞こえなかったのか。今すぐに城を出ていけと言ったのだ」
「危ういのなら、私が手を貸そう。自信がないのなら、 素直にそう言え」
相手の声が苛立ち始めているのが分かったが、怯むことなく告げる。
そのミュウツーの言葉に小さく舌打ちをし、溜め息をつ くと、ガノンドロフはこちらに向き直った。
怒っているような、悲しいような、不思議な表情であった。
「危ういわけでも自信がないわけでも ない。ただ、邪魔なだけだ。お前はそうやってすぐに余計なことをしようとするからな」
「意地を張るな」
「意地などではない。いいから早く 出ていけ。俺を怒らせたいのか」
「──妾に手を貸されるのがそんなに嫌なのか」
思っていたより怒りを含んだ大きな声が出て、自分でも驚 く。
するとガノンドロフの表情がぴくりと動いて、
「ああ、その通りだ。あの小僧と共に斬り捨てられたくなければ、子を連れて城から出ろ」
「……ッ、 貴様……!」
その大声に、隣の部屋で眠っていた子どもが泣き出した。
ミュウツーはそちらを一瞥すると、ガノンドロフを睨みつけて踵を返 し、部屋を後にした。


 黒く不気味な城のあった場所の遥か上空。
先ほどまでの激しい戦いに疲労しつつも、使命を遂げてどこか達成感に満ちた様子の少年と、
彼に 寄り添うように立つ心から安堵した顔の少女の姿を、ミュウツーは見下ろしていた。
 城から逃げろと言われたあの時、ミュウツーはガノンドロフの勝 利を信じていなかった。
またこの緑衣の少年に敗れてしまうのだろうと、どこかでそう感じていた。
それはおそらく彼も同じで、だからこそ ミュウツーと子を巻き込むまいと、あんなことを言ったのだろう。
信じれば、負けることはなかったのだろうか。それは分からない。
しかしど ちらにしろ、彼を信じられなかったことは罪である。
 そしてミュウツーには、もうひとつの罪があった。
あの時、ミュウツーを腹立たしく思 わせたのは、邪魔者とされたことでも、手助けを余計だとされたことでもない。
それは、嫉妬だった。
ミュウツーがどんなにあがいても、魔王 と姫と勇者の因縁のなかへは入り込めない。
彼らの間にあるのは憎しみではあるが、それが時を越えたどこまでも深い繋がりであることは事実だ。
  自分とガノンドロフの間にあるのは、その時代限りの肉体関係と、その結果である稚児のみ。
心はあまりに不確かで、それには頼りきれない。
彼 が再び目覚めることは確実だが、その隣に再び自分が居られるかどうかは、彼の意思次第でしかない。
 だから、たとえ呪われていたとしても、不本意 なものであったとしても、消えることない繋がりが欲しかった。
彼らのような強い縁(えにし)が、欲しかったのだ。
無意識のうちに抱えてい た欲望が、あの瞬間、溢れてしまった。
不可侵の領域をまざまざと見せつけられて、子どものようにどうしようもなく嫉妬した。
彼の本心を 解っていたのに、運命を共にできないことが悔しくて、一緒に居たいと駄駄をこねた。
言うべきことは他にあったはずなのに。

 勇者 と姫は、帰るべき場所へ戻ろうとする。
ミュウツーには、もうそんな場所はない。
あるとすれば、おそらく魔王の復活の子種となろう、あの稚 児の元だ。
そうして彼がまた蘇るのは、ミュウツーの命が尽きる前か否か。
もしもその時この肉体が亡骸となっていても、彼は蘇生してくれる だろうか。
 どうにもならない運命を恨みつつ、ミュウツーはその場から姿を消す。
持ち主を失った涙の雫は、そのまま地上へ落下した。

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