最終更新: daichi0083 2009年04月07日(火) 23:52:17履歴
―それは夢か、現か、幻か。
桜の花びらが降り、静かな川の流れに従っていく。
同舟の魔王は天を仰ぎながら悠々と酒を嗜んでいた。
「飲むか?」
「…貰おう」
差し出された盃に口を付ける。
―甘い。
後からやってきたほのかな熱に身を委ね、月明かりに照らされる桜を眺めた。
このまま風にでも流されていきそうな風景だ。
「このまま全て置き去りにされるのが怖いか、ミュウツーよ」
あの小娘の時ようにと付けたし、魔王のいつものしたり顔がこちらを向く。
「ああ、怖いな…」
こんな言葉が出るのも酒のせいだろうか。
「あの虚無感、けして戻りたくはない。ガノン、お前は?」
「時を伺うにしても、慣れぬものよ…」
ふいに目を伏せた魔王からこちらに来いと言われた気がした。
舟を揺らさぬように腕の中に滑り込む。
「今宵の月は美しい…」
「ああ…」
―舟よ、どこへ流れ着く。
桜の花びらが降り、静かな川の流れに従っていく。
同舟の魔王は天を仰ぎながら悠々と酒を嗜んでいた。
「飲むか?」
「…貰おう」
差し出された盃に口を付ける。
―甘い。
後からやってきたほのかな熱に身を委ね、月明かりに照らされる桜を眺めた。
このまま風にでも流されていきそうな風景だ。
「このまま全て置き去りにされるのが怖いか、ミュウツーよ」
あの小娘の時ようにと付けたし、魔王のいつものしたり顔がこちらを向く。
「ああ、怖いな…」
こんな言葉が出るのも酒のせいだろうか。
「あの虚無感、けして戻りたくはない。ガノン、お前は?」
「時を伺うにしても、慣れぬものよ…」
ふいに目を伏せた魔王からこちらに来いと言われた気がした。
舟を揺らさぬように腕の中に滑り込む。
「今宵の月は美しい…」
「ああ…」
―舟よ、どこへ流れ着く。