「ふぅ・・・今年度もあと少しだな・・・」
3年余りにも及ぶ長い感染症禍によってありとあらゆる社会の基盤が変化し、俺はこの半年余りの間ただひたすらに職場と家を往復するだけの毎日を送っていた。
まあ仕事自体は大変ではあるもののやり甲斐はあるし、天国仲間の同僚や後輩達とも相変わらず仲良くやれているから、周囲の人間関係という意味では十分に恵まれていると言える。
ただここ最近どうにもすっきりと気分が晴れないのは、秋頃から再び感染症の流行が高まったことで数少ない楽しみだった雌竜天国が再び長期の休業に入ってしまったことが大きな原因だった。
もちろんあのお店の中で行われていることを考えれば万が一にも感染者を出して東京都や保健所から指導が入るような事態は避けたいだろうし、風俗店という業種ならではの肩身の狭さというのももちろんあるのだろう。
毎日何か変化は無いかとスマホのメールをチェックしたりサイトをチェックしたりしてはみるもののそのトップページには簡素なお知らせ文が掲載されたままもう半年以上音沙汰が無かったのだ。

"Dragoness Heaven長期休業のお知らせ"
当店はこれまで感染症の流行に伴い断続的な店舗運営を続けて参りましたが、当面の間流行が終息する目途が立たない為、2022年7月1日より長期の休業をさせて頂く運びとなりました。
獲物の皆様には大変ご迷惑とご心配をお掛け致しますが、営業再開まで今しばらくお待ち頂けますようお願い申し上げます。

今のところ閉業するというような文言や気配は無いからその点はある程度安心出来るのだが、業態が業態だけに気が付いたらある日綺麗さっぱり店舗が蛻の殻になっていたという事態も考えられないわけではない。
大学の末期から今日に至るまでの約7年間、社会人となった俺の生活には常に雌竜天国が共にあったのだ。
それは言わば、俺の心の支えの1つになっていたと言っても過言ではないかも知れない。
それをある日唐突に奪われたまま8ヶ月余りも空虚な私生活を続けている内に、俺は日々少しずつ気力が擦り減っていくような退廃的な気分を味わっていた。
今日は土曜日・・・戦後最大の犠牲者を出した東日本大震災から丁度12年とあって、テレビを点ければ何処の局も津波の映像や地震の記録、それに大勢の人々が黙祷する様子なんかが引っ切り無しに流れている。
幸い今日は暖かな陽気で気候的には過ごしやすい日ではあるのだが、あちこちから暗い話題が入り込んでくることもあってやはり俺の気分は晴れなかった。

また、あの店で雌竜達に会いたい。
いざ巨大で残忍な雌竜達を前にすると恐怖で足が竦んでしまうというのに、翌日になればもう次に来るのは何時にしようかなんてことを考えてしまうのだ。
それ程までに魅力的な俺にとっての天国がずっとその門を閉めてしまい、ここ最近は夜に暗い自室で布団に潜り込んでもなかなかすんなりとは寝付けないことが多い。
誰か・・・せめて夢の中だけでも、あの魅力的な雌竜達と出会えたら良いのに・・・
だがそんな鬱々とした気分もやがてやって来た睡魔に掻き消されてしまうと、俺は深い深い眠りの世界へと落ちて行ったのだった。

「ん・・・もう朝か・・・」
翌朝、俺は窓辺から差し込んでくる明るい陽光に瞼を擽られて静かに目を覚ましていた。
ふと枕元にあった時計に目をやると、午前7時27分を指しているらしい。
昨日は割と早めに床に就いたような気がするのだが、思った以上にぐっすりと眠っていたようだ。
だが不意に何かの気配を感じて時計があったのとは反対側に視線を移してみると・・・
俺は決してそこにいるはずの無い存在と目が合って思わず目を見開いていた。
「あれ・・・フルー・・・ファ・・・?」
そこにいたのは、かつて俺も天国で指名したことの有る雌海竜のフルーファ。
青い皮膜で覆われた体高20センチ程の小さな丸い体に4枚の可愛らしいヒレを生やし、円らな緑色の瞳で俺の顔を見つめている彼女が、そんな俺の声に少しばかり首を傾げてみせる。
「そうよ。私のこと、覚えててくれた?」
俺が彼女を初めて指名したのはもう4年以上も前、2018年の中間決算が明けた頃だっただろうか。
後輩達から勧められて指名したまでは良かったものの、腹の上に圧し掛かられたまま巨大化され、あれ程禁句だと言われた"重い"という一言を放ってしまったせいでとんでもない目に遭わされたことは今でも鮮明に覚えている。
でもそんなフルーファが、どうして突然俺の部屋の中にいるのだろうか?
しかしそんな疑問を口に出す前に、彼女は少しばかり妖しい笑みを浮かべるとモゾモゾと俺の寝ていた布団の中へと潜り込んで来たのだった。

「わっ!?フ、フルーファ!?」
ひんやりとしたツルプニの感触が吸い付くような4枚のヒレで太腿をペタペタと攀じ登り、それがやがて俺のパンツの中にまで迷うことなく侵入してくる。
直接彼女の姿はまだ見ていないものの、恐らくさっき見た時よりも更に小さく縮んでいるのだろう。
その証拠にあっさりとパンツの中で無防備に起き上がっていたペニスまで到達した彼女は、大きく膨れ上がった俺の肉棒を4枚のヒレでキュッと抱き締めていた。
「あふっ・・・」
プニプニの柔らかな腹に裏筋を押し付けるように滑らかな皮膜の感触が強く密着し、それだけでも何だか理由のよく分からない興奮が込み上げてきてしまう。
だが当然それだけで済むはずも無く、俺は敏感な鈴口に彼女の小さな舌が這う感触でビクッと全身を硬直させていた。

ペロッ
「んっ!」
のしっと程良い重さでペニスを柔らかな腹の下に敷かれながらチロチロと舌先で擽られ、思わず掛けていた布団を剥ぎ取りたいという強烈な衝動に駆られてしまう。
だが相手はあのフルーファ・・・不用意に刺激を与えればたちまち彼女の意思とは無関係に大きく体が膨らんでしまうことを知っているだけに、俺は必死に両拳を握り締めながらその切ない快感に歯を食い縛って耐えていた。
チロ・・・ペロペロッ・・・
「あくっ・・・ふ・・・ぅ・・・」
あれから4年余り・・・
当初は何処か初々しい所のあったフルーファも数年に及ぶ雌竜天国での勤務で鍛え抜かれたのか、小さな舌での愛撫だというのにその舌遣いは俺の弱点を的確に、それでいてねちっこく責め立ててくる。

チュプッ!
「くあっ!?」
やがてその舌先が軽く尿道へ突き入れられると、俺はさっきまでとは随分と毛色の違う鋭い快感にまたしても腰を浮かせてしまっていた。
そして思わず布団の上からペニスに抱き着いているフルーファの体を押さえ込もうとした瞬間、ズリッという音と共に彼女の体が前方に滑る。
「あぐっ・・・」
それと同時に微かな蛇腹の凹凸が裏筋に擦れ、俺はその予想外の気持ち良さにまたもや情けない声を漏らしていた。
ズリ・・・ズリズリ・・・ペロ・・・チロロ・・・
「ま、待って・・・あっ・・・フ・・・ルーファ・・・」
それに気を良くしたのか、彼女が4枚のヒレで俺のペニスを抱き抱えたままその体を前後にゆっくりと揺らし始める。
もっちりとした滑らかな皮膜と等間隔に並んだ谷間のような蛇腹の襞が肉棒を容赦無く摩り下ろし、小さな海竜にペニスを思うがままに弄ばれる快感と屈辱感が俺の手足から抵抗の力を奪い取っていった。

チュッ・・・チュウッ・・・ズズリッ・・・
「あふっ・・・」
小さな口でペニスを舐め回したり吸い付いたりといった刺激では流石に射精にまでは至らないのだが、それはそれで生殺しの快感を延々を味わわされてしまう。
だがそうこうしている内にフルーファも多少気分が乗って来たのか、俺は彼女の体がパンツの中でほんの少し大きくなったのを感じ取っていた。
ムクッ・・・
「んっ・・・」
体高の変化にすればほんの数センチ・・・
だがパンツがこんもりと盛り上がる程のサイズのフルーファにムチッとペニスを押し潰され、その感触がまたえもいわれぬ快感となって流れ込んでくる。

体の膨張でヒレも少し大きくなったらしく、俺は左右のヒレで完全に肉棒を懐に抱き締められてしまっていた。
ギュムゥッ!
「うああっ!」
そのずんぐりとした体を自在に動かせるだけの力強さを秘めた4枚のヒレがペニスをきつく締め上げ、柔らかな腹で押し潰される感触が更に強くなっていく。
と同時にズリュッと蛇腹を擦り付けられると、俺はさっきまでとは明らかにレベルの違う快感に思わず仰け反ってしまっていた。

ズリ・・・ズリッ・・・
「あうっ・・・あっ・・・」
先程よりも一回り大きくなったこととパンツの中でギチギチに膨れたことで、フルーファの柔らかで微かな蛇腹の凹凸が刻まれたお腹が容赦無くペニスを押し潰してくる。
前後左右にお腹を揺すられる度にじわりとした快感が擦り付けられて、俺は抵抗する気力も吸い取られてベッドの上でもんどり打っていた。
そんな獲物の悶える声と姿にますます興奮を焚き付けられたのか、フルーファの体が更にムクリと膨張する。
ビッ・・・ビチ・・・ブチィッ!
やがて限界一杯まで引き伸ばされたパンツの生地が引き千切れると、縛めを解かれたフルーファが体高20センチ余りに膨れた体でズシッと俺の股間を圧迫していた。

ただ体を擦り付けられているだけだというのに、何でこんなに気持ち良いんだ・・・
以前雌竜天国でフルーファに会った時は何処か幼さ故のたどたどしさがあったというのに、今の彼女は卓越した手練手管でじわじわと雄を追い詰め弄ぶ魔性を秘めているような気さえしてしまう。
それに、まだこんなに小さなフルーファに圧し掛かられただけで快楽に支配されて成すがままになっていたら、これ以上彼女が大きくなったらとんでもないことになるだろう。
だが頭ではそれを理解しているというのに・・・
またしてもゆっくりと体を膨らませていくフルーファの心地良い圧迫感に、俺は成す術も無く虜にされていった。

ムクムクムク・・・
ズ・・・シィッ・・・
「ああっ・・・!」
まだ大丈夫、まだ耐えられるはず・・・
そう思っていた矢先に一気にフルーファの体が倍近くにまで膨れ、上に掛けていた布団がこんもりと大きく盛り上がっていく。
それと同時に体重も10倍程になり、俺はずっしりと重い彼女のモチ腹にベッドへ沈み込む程押し潰されていた。
「う・・・お・・・もっ・・・」
だが思わずそう言い掛けた瞬間、腹の上のフルーファがピクッと震えた感触が伝わってくる。
まずい・・・"重い"は禁句だ・・・
慌てて口を噤んだことで今は何とか事無きを得たようだが、それはそれとしてフルーファの体がゆっくりとだが確実に膨れ上がっていく。

今の彼女の体高は約50センチ・・・
もっちりとした腹がベッドに接地しているからその体重の全てを預けられているわけではないにしても、彼女の体重はもう100キロ近くにまで膨張してしまっていた。
それが俺の下半身をむっちりと敷き潰していて、最早自力で彼女の腹下から抜け出すことさえ困難なような気がしてしまう。
そしてバッと上に掛かっていた布団を取り去ってみると、体が大きくなったことで少しばかり嗜虐性の増した妖しい笑みを浮かべたフルーファが、その緑色の円らな瞳で俺の顔をじっと見下ろしていた。

ズ・・・ズズッ・・・
「うあっ・・・」
やがてお互いに目が合ったことで最早覆しようの無い彼我の立場を認識し合うと、フルーファが大きくなったヒレを動かして俺の体を少しずつ這い上がって来る。
それと同時に息が詰まるような重々しい圧迫感が下半身から胸元にまで競り上がってきて、俺は大きな蛇腹に組み敷かれながらも被虐的な興奮が込み上げてくるのを感じていた。
「フ、フルー・・・ファ・・・」
肺が圧迫されて息が苦しい・・・
まだ両手は自由に動くものの、胸から下は彼女の腹の下敷きにされてもうピクリとも動かせないのだ。
そんな無力な獲物の様子にまたしても彼女が無言のまま膨らみ、凄まじい重量にベッドがミシミシと軋みを上げ始める。
体の大きさが3割増えただけで体重は2倍強になるというのに、今の彼女は体高70センチ余り・・・
体重に至っては300キロに迫ろうかという大きさだ。

ムク・・・ムクク・・・
「ま、待って・・・フルーファ・・・それ・・・以上は・・・」
そうこうしている間にも更にじわりと膨らみ続ける彼女の腹下で、俺は必死にその巨体を押し返そうと奮闘していた。
ギシ・・・ミシィッ・・・
今はまだ下が柔らかいベッドだからそれ程でもないものの、もしこれが潰れたら・・・
超重量の海竜にペシャンコに押し潰される光景が余りにリアルに脳内に想起され、焦燥が徐々にパニックの様相を呈していく。
だがフルーファもそんな俺の危惧には思いが至ったのか、彼女はふと体の膨張を止めると何を思ったのか俺の体を大きな4枚のヒレでギュッと抱き締めていた。

一体彼女は何をするつもりなのか・・・
だがそんな俺の疑問が表情に出るより先に、フルーファが俺の体を抱き抱えたままゴロンとその丸っこい体を転がす。
ドスッ!
更にはベッドから床へ仰向けに落ちると、俺が落下した衝撃を彼女がむっちりとした大きなお腹で受け止めていた。
「わっ・・・」
今度はフルーファを俺が押し倒したような格好になったものの、やがてまたしても彼女の体がプクッと風船を膨らませるかのように大きく膨張していく。
そしてそれ程広くはない部屋の床一杯にまで広大な蛇腹のお腹が広がったかと思うと、俺は不意に背中にドスッという衝撃と重圧を感じていた。
「うぐっ!?」
それに驚いて背後を振り向いてみると、俺の背中の上にもう1匹別のフルーファが圧し掛かっていた。

「え・・・フルーファが・・・2匹いる・・・?」
大小のフルーファのお腹で上下から挟み込まれ、モチモチとした蛇腹の感触が全身に余す所無く押し付けられていく。
だがその場から逃れようと身を捩ろうにも、部屋一杯に巨大化したしたのフルーファが分厚い2枚のヒレで俺の体をギュムッと抱き締めてきた。
「ぐええっ・・・!」
凄い力だ・・・
柔らかなお腹に押し付けられているお陰で特に痛みは感じないのだが、肺の中の空気を押し出されるような強烈な抱擁にくぐもった呻き声が漏れてしまう。
しかもその上・・・俺の背中に乗った方のフルーファが、その体をじわじわと膨らませ始めていたのだ。

「わっ!ま、待って・・・フ、フルーファ・・・」
ミチ・・・ミチッという感触と共に背中に圧し掛かる重圧が増し、俺の体を受け止めている広い蛇腹がズブリ、ズブリと沈んでいく。
このままでは、俺は巨大化した2匹のフルーファのお腹で挟み潰されてしまうことだろう。
だが俺の体をヒレで押さえ付けた下のフルーファはのそりと長い首を擡げると、狼狽する俺の顔をその緑眼で見つめながらニタリと妖しい笑みを浮かべていた。
ズズ・・・ズシィッ・・・
「う・・・あっ・・・」
グリグリと俺の背中に蛇腹を擦り付けるように体を揺らしながら、背後のフルーファがゆっくりと、しかし確実にその身を膨張させていく。
巨竜に囚われて逃げ場の無い獲物をじっくりと弄ぶようにじわりじわりと押し潰されて、俺は少しずつ巨大な柔肉に埋もれ呑まれていく感触に恐怖と快感を同時に味わわされていた。

ムチ・・・ミチィ・・・
「ひぃっ・・・」
既に俺の体よりも大きくなった背後のフルーファが、のしっとその巨体を浴びせ掛けるように頭を下げる。
く、苦しい・・・息・・・が・・・
幸い骨が折れたり肉が潰れたりという深刻な怪我をしそうな雰囲気は今のところ全く無いのだが、それはそれとして凶悪な質量が際限無く膨れ上がっていくという絶望感が、物理的な意味とはまた別に俺の胸を締め付けていった。
ズリ・・・ズリリッ・・・
「あぐっ・・・ふ・・・かはっ・・・」
2匹の巨大なフルーファの腹の間で、じっくりと蛇腹が擦り合わされる。
その度に肺の中の空気が押し出され、蕩けるような柔肉が垂れ落ちてきては俺の手足をも重々しい重圧で圧迫していくのだ。

「た、助け・・・て・・・」
腹の接地面積だけでも両手足を広げた人間より遥かに大きくなった2匹の海竜が、その間に閉じ込められた獲物を静かに、しかし嗜虐的な眼差しで睨め回していた。
部屋の中はもう彼女達の体だけでその大部分が満たされていて、唯一の大きな家具だったベッドがメキメキという恐ろしい音を立てながらフルーファ達の膨張で壁際に追いやられ拉げ潰れていく。
ミシ・・・ズシィッ・・・
「ひいぃっ・・・」
背後のフルーファだけでなく下のフルーファもゆっくりと膨らみ続けているのか、やがてベッドだけでなく部屋の其処彼処からバキッとかグシャッという何かが潰れたり壊れたりするような破壊音が漏れ聞こえ始めていた。

徐々に徐々に上下から迫り来る巨大な海竜の蛇腹が視界を狭め、それに伴って恐ろしい重圧がじわりじわりと際限無く膨れ上がっていく。
バキッ・・・メリメリメリ・・・
既に床一杯に膨れ上がった下のフルーファは周囲に散乱していた物を次々に押し潰しながら、次第に部屋の壁までをもミシミシと圧迫し始めていた。
このまま彼女が膨らみ始めたら、俺の部屋が木っ端微塵に破裂してしまうことだろう。
冷静に考えれば今はそんなことより自分の身の心配をするべき状況ではあるのだが、何処までも深く沈み行くような極上の柔肉でペシャンコにされる感触が何処か心地良くも感じられてしまう。
メキッ・・・パキャッ・・・
だが俺の背後から圧し掛かっている上のフルーファもいよいよその背中が天井に触れたのか、押し潰されて一溜りも無く砕け散った蛍光灯の破片が視界の端にパラパラと降り注いでいた。

ズズズッ・・・
「かはっ・・・ぁ・・・」
想像を絶する程の重量を浴びせ掛けられているはずだというのに、不思議と息苦しさの他に痛みのようなものはほとんど感じられない。
肺の中の空気がまるで残り僅かな歯磨き粉を押し出すかのようにじっくりと放り出され、いよいよ俺の頭と両手までもが温かい蛇腹の間に埋もれ圧縮されていく。
ムク・・・ムク・・・
広大な腹の間で俺を押し潰しながらも依然として膨張を続けているらしい2匹のフルーファが、やがてその柔らかな体で部屋の中を一杯に満たしていった。
パリンッ・・・ガシャアアンッ・・・
恐らくは内圧に耐え切れなくなったのだろう窓ガラスが弾け飛んだ音が聞こえ、更に小さな壁の穴となったその窓枠から彼女の柔肉がブニッと部屋の外にはみ出しているのだろう光景が容易に想起される。
そして柔らかな闇の中で断続的に聞こえてくる部屋の破壊音に意識を傾けていると、ついに限界を迎えたらしい壁と天井が盛大に吹き飛んでいた。

バァンッ!バキバキバキャッ!
その瞬間、多少なりとも周囲の壁で押さえ込まれていたのだろう上下のフルーファの膨張がまるで堰を切ったかのように加速する。
ムクムクムクムクムクムクムク・・・
巨大化するに従って柔らかさを増す腹の上に、同じく際限無く重量を積み増していく海竜に圧し掛かられた俺の体がズブズブと沈んでいった。
これだけの巨体で圧し掛かられても呼吸が苦しい以外は怪我らしい怪我を全くしないのが正直不思議だったのだが、よくよく考えてみれば雌竜天国で彼女の怒りを買って押し潰された時も何故か怪我だけはしなかったような気がする。
それが彼女の手加減の賜物なのか、或いはそういう能力か何かなのかは分からないものの、この特殊な環境に慣れたこともあって今は命の危険というものをほとんど感じなかったのだ。

そしてようやく彼女の膨張が止まったかと思うと、上のフルーファが何を思ったのか4枚のヒレで自身の体をほんの少しだけ持ち上げていた。
ズズッ
「うぐっ・・・ゲホッ・・・ゴホホッ・・・」
お陰でようやく呼吸が回復し、長らく酸素を堰き止められていた肺の中に空気を一杯に吸い込む。
だが酷い酸欠を回復させようと荒い呼吸を繰り返している内に、そんな俺の様子を何処か意地悪な表情で見下ろしていた上のフルーファがパッとヒレから力を抜いていた。

ドズウウゥゥン!
「ぶげっ・・・!」
まるで大地が揺れ動くかのような凄まじい震動と共に、見上げる程の巨大なフルーファが一切の容赦無く俺の体をその腹で押し潰していた。
ズリッ・・・ズズリッ・・・グリグリ・・・
「うぐ・・・ぐべっ・・・びゃはっ・・・」
更にはその超重量でゆっくりと臼を挽くように磨り潰され、またしても強烈な息苦しさと圧迫感が俺の意識を容赦無く痛め付けていく。

た、助け・・・て・・・
このままでは仮に命に別状は無かったとしても、先に精神の方が参ってしまいそうだ。
ただでさえ手足の自由が全く効かない程の重量を浴びせ掛けられているのだから、それだけでも急速にストレス性の重い疲労が溜まっていくような気がしてしまう。
だがそんな獲物の声無き懇願など何処吹く風、2匹のフルーファはお互いに腹を揺すって俺を散々に蹂躙すると、グイッと身を捩って俺を壁と天井が破壊されて青空が覗いている部屋の真ん中に放り出していた。

ゴゴゴゴゴゴ・・・
「ひ・・・ぃ・・・」
そんな疲労でピクリとも動けない俺を、2匹のフルーファ達が余りにも大きな体で覗き込んでくる。
恐ろしい・・・逃げ出したい・・・
普段は温厚な、或いは気弱なと言った方が正しい感のあるフルーファでも、ここまで巨大したとなると小さかった頃からはまるで想像の付かない残忍な性格の一端が顔を覗かせ始めたらしかった。

ズズッ・・・
やがてもう俺より遥かに大きくなった分厚いヒレが体の下に差し込まれると、ヒレで持ち上げられた体がそのままフルーファのもっちりとした腹に勢い良く叩き付けられていた。
バン!
「ぎゃっ!」
何処までも沈み込むようなモチモチの感触のお陰で耳を劈くような甲高い破裂音がした割にはそれ程苦痛の類いは感じなかったものの、圧倒的に巨大な存在に振り回されるのには本能的な恐怖が込み上げてきてしまう。
バン!バシッ!ベシャッ!
「げっ!うべっ!ぎゃはっ・・・!」
更にはそのまま何度かヒレと蛇腹の間で俺を叩き潰すと、彼女が疲労にぐったりと弛緩した俺の体をヒレを丸めて握り締める。

ムギュッ・・・
「う・・・うあっ・・・」
仄かな弾力のある、しかし筋肉質な力強い柔肉に全身を締め上げられて、俺はか細い呻き声を上げながら動かぬ身を捩っていた。
そんな無力な獲物の様子を、2匹のフルーファが興味深げに顔を近付けて見入ってくる。
「や、止めて・・・」
だが何とか喉の奥から絞り出したそんな制止の声も届かず、俺はヒレのとぐろから飛び出していた顔を左右から巨大な舌で舐め上げられていた。

ベロォッ・・・
「うぶっ・・・あ・・・」
興奮に火照っているのか焼け付くように熱い唾液をたっぷりと纏った2枚のザラ付いた赤い肉塊が、ズリズリと俺の顔を摩り下ろすように擦り合わされながら這い上がっていく。
「た、助け・・・ひっ・・・」
レロレロッ・・・ジョリリッ・・・
何度も・・・何度も何度も何度も・・・
まるで獲物の心が折れるのを待つかのように、俺は2匹のフルーファにまるで溶けないソフトクリームの如く執拗に顔を舐め上げられていた。
何とか逃れようと身を捩っても、その度に俺の体を握り締めたヒレに恐ろしい力が込められていく。
グギュゥッ・・・メキメキッ・・・
「ぐあああっ・・・!」
最早彼女達にとって俺はただの餌・・・いや、玩具でしかないのだろう。
泣き叫びながら悶え狂う無様な獲物の姿を眼で、ヒレで、そして舌で存分に味わいながら、彼女達はこれから俺により苛烈な責め苦を味わわせるつもりなのだ。

やがてもう俺から微かな呻き声も出なくなる程散々に舐め尽くすと、もう一方のフルーファが何を思ったのかズズゥンと地響きを轟かせながら仰向けに地面の上へとその巨体を横たえていた。
そして僅かに首を持ち上げると、その下腹部・・・
後ヒレの間辺りに走っていた蛇腹の皺の1つが、クパッという音と共に裂けて真っ赤な口を花開く。
それと同時にムッとするような熱気と濃い雌の匂いが立ち昇ってきて、俺は突如として眼下に口を開けた巨大な海竜の横割れを絶望的な思いで見下ろすことしか出来なかった。

グジュ・・・グプッ・・・
無数の襞と柔突起に覆われた肉洞の中では熱く煮え立つ愛液がコポコポと泡立ち、宛ら灼熱の溶岩を湛える火口のような恐ろしい光景がゆっくりと眼前に近付いてくる。
「あ・・・い、嫌・・・止めて・・・助けてくれえぇっ・・・!」
これまでにも雌竜天国で巨竜の膣内に呑まれた経験は何度かあるものの、フルーファのそれはおっとりとした優しげな外見からは想像も付かない程に獰猛で・・・
これからそこに投げ入れられる獲物をしゃぶり尽くそうという背筋の凍り尽くような悪意に満ちた躍動に激しく戦慄いていたのだ。
そんな恐ろしい捕食者の口内をまざまざと見せ付けられて、ヒレに捕らえられた体が凄まじい恐怖で硬直していく。
そしてたっぷり2分程も掛けて逃れ得ぬ己の運命を思い知らされると、俺は嗜虐的な笑みを浮かべた2匹のフルーファが見つめる前でパッと体を掴んでいたヒレを離されたのだった。

ジュボボボッ!
とっぷりと愛液に潤った深い肉洞に下半身が嵌まり込み、数瞬遅れて強烈な熱さが皮膚を炙り始める。
「あああっ!」
だがフルーファはそんな俺の悲痛な悲鳴に嗜虐的な笑みを一層濃くすると、分厚い襞の群れをゆっくりと波打たせ始めていた。
グジュ・・・ズジュ・・・
「う、うわああっ・・・!」
撫で上がる時は優しく、引き下ろす時は締め付けながら・・・
緩急と強弱の付いたその蠕動に、俺の体が少しずつ灼熱の肉穴の奥へと引き摺り込まれていく。
何とかそこから這い出そうにも蛇腹の隙間に空いた横割れの縁には手で掴めるような取っ掛かりが何も無く、俺はバタバタと両腕を暴れさせながらも底無しの竜膣へ成す術も無く呑み込まれていった。

「た、助け・・・助けてぇっ・・・!」
ズルズルと胸の辺りまで膣の中へ押し込まれ、みっちりと熱い肉壁に抱かれた下半身がグチュグチュと淫靡な音を立てて愛撫されながら焼き焦がされていく。
その絶体絶命の危機に勃ち上がってしまったペニスも蕩けた愛液を纏う襞に擦り上げられて、俺は無秩序に与えられるその暴力的な快感にますます抵抗の力を削ぎ落されていった。
ズチュ・・・ズチュブ・・・
「あ・・・ああっ・・・」
その気になれば一息に俺の全身を呑み込むことだって出来るだろうに、巨大な2匹のフルーファが恐怖に怯え泣き叫ぶ獲物の姿を邪悪な笑みを浮かべながらじっくりと眺め回しているらしい。
体が大きくなるに従って気弱でおっとりとしていたはずの彼女の性格はより残忍で冷酷なそれへと変化し、彼女達にとっては精々肉棒と同程度の大きさでしかない俺の声など最早聞こえてすらいないのかも知れない。

ズズ・・・ズジュッ・・・
「ぐあああっ・・・!」
ドロドロに蕩けた柔肉に咀嚼されるように揉み拉かれながら、火傷しそうに熱い愛液が全身に塗りたくられていく。
だが藻掻けば藻掻く程少しずつ体が膣の奥深くへと沈み込んでいき、俺は何時しか首から下を熱い肉洞の中へと呑み込まれてしまっていた。
「ひ・・・ひっ・・・」
既にほどんど力が入っていないとは言え、フルーファの蛇腹にしがみ付いているこの両手が離れたら俺は一気に獰猛な雌穴の奥まで滑り落ちてしまうのに違いない。
今はまだ必死に抵抗する俺の様子を愉しんでいるのか時折うねるような動きが襲ってくるだけだが、完全に全身が呑み込まれたらこの恐ろしい肉壷の中でどんな目に遭わされるか・・・

「う・・・うぐ・・・く・・・」
火事場の馬鹿力とでも言うのか、体を引き上げるだけの力は出なくとも何とか膣の中へは落ちまいと懸命に踏ん張っていると、やがて痺れを切らしたらしい2匹のフルーファがその大きな顔を俺に近付けてきた。
ゴゴゴゴゴ・・・
「は・・・ぁ・・・」
人間を数人同時に丸呑みに出来そうな程に巨大な2つの海竜の顔が音も無く迫ってきて、本能的な恐怖がゾクゾクと背筋を震わせていく。
だが力尽くで突き落とされるのかという予想を裏切って、彼女達はただ間近から俺の様子をじっと凝視しているだけだった。
「う・・・うぅ・・・」
俺が力尽きて自ら煮え滾った膣の中へ落ちる様を見届けようというのか、絶望に泣き叫ぶ獲物の苦悶をじっくりと堪能しようというのか・・・
彼女達の中に一体どんな邪悪な意図が湧き上がったのかは分からなかったものの、俺は長時間グジュグジュと体中をしゃぶり回されたお陰で最早体力の限界が近いことを自覚してしまっていた。

ズズ・・・ズズズ・・・
「ひっ・・・た、助け・・・うわああっ・・・!」
やがて辛うじてスベスベの蛇腹に引っ掛かっていた指先が滑って外れると、一気に体が燃え盛る火口の中へとずり落ちていく。
ズリュッ!
そして完全に両腕からも力が抜けてしまうと、俺は敢え無くフルーファの深い竜膣に全身を呑み込まれてしまっていた。
グジュブッ!
「ぎゃはっ!」
その瞬間勢い良く収縮した膣壁に容赦無く圧迫され、耐え難い熱さが全身を押し包んでいく。
手も足もピクリとも動かせない程の窮屈さの中で分厚い肉襞が蠢き、俺は体中を拘束されたまま煮え立つ愛液に漬け込まれて無慈悲に咀嚼されたのだった。

モギュッ・・・ジュブッ・・・グジュッ・・・ブニュッ・・・
「ひっ・・・あっ・・・いぎっ・・・ひああっ・・・!」
恐ろしい灼熱のうねりの中に巻き込まれながら全身を無造作にしゃぶり抜かれ、ザラ付いた襞の群れで敏感になった体を舐め回される度に耐え難い快感が精神をも犯し抜いていく。
ビュピュッ・・・
「はぁっ・・・!」
そして成す術も無く揉みくちゃにされたまま果ててしまうと、俺はゆっくりと収縮した膣壁に押し上げられるようにしてホカホカと湯気を上げる熱い膣からズルリと吐き出されていた。

「う・・・うぅ・・・」
散々狭い肉洞の中で捏ね繰り回された上に精まで搾り抜かれ、余りの疲労に体がピクリとも動かせなそうにない。
だが彼女達はそんな虫の息と言っても過言では無い程に弱り切った俺の姿を相変わらず不気味な笑みを浮かべたまま眺め回すと、何を思った膣から飛び出していた俺の上半身をもう一方のフルーファがパクリと咥え上げていた。
「う、うわああっ!」
突如として眼前が蒸し暑い闇に覆われ、それと同時に体へ長い舌がシュルリと巻き付いてくる。
「そ、そんな・・・まっ・・・て」
ようやく狭くて恐ろしい雌穴から抜け出せたというのに、俺は休む間も無く今度は巨大な海竜の口内に吸い上げられてしまっていた。

ドチャッ・・・
「あぐ・・・ぅ・・・」
疲弊し切った体ではロクに受け身取ることも出来ず、口の中に放り込まれて不意に舌の拘束を解かれた体がほとんど無防備のまま硬い下顎の上へと墜落する。
だが体中に走った鈍い痛みに力無く呻いたのも束の間、俺は頭上から重々しい肉塊が降り注ぐ絶望的な気配に息を呑んでいた。
ドシャァッ!
「ぐええっ!」
たっぷりと熱い唾液を纏ったフルーファの舌の裏で押し潰され、体中を強烈な圧迫感と膣の中に勝るとも劣らない灼熱感が押し包んでいく。
ズリッ・・・ズリズリ・・・
「や・・・止め・・・てぇっ・・・」
更にはそのまま下の裏でグリグリと磨り潰されて、俺は煮え立つ唾液の海に溺れながら必死に助けを求めることしか出来なかった。

ガパァッ・・・
「ああっ・・・」
やがて俺を咥え込んでいたフルーファの口が大きく開けられると、明るい光が外から口内に燦々と差し込んでくる。
それは海竜の餌食となった獲物が、その生涯の最期に見る光景・・・
もう後は呑み込まれ喰われるしかないという自身の運命を魂にまで刻み込まれながら、俺もまた彼女の腹の底へと滑り落ちていく運命なのだろう。
だが半ば諦観とも言えるそんな思いに俺の体から抵抗の気力がするりと抜け落ちてしまうと、フルーファは何を思ったの更にその口を大きく上下に開いていた。
するとそれまで晴れ渡った空が見えていたその視界の中に、さっき俺を膣の中で弄んだフルーファの顔が近付いてくる。
そしてそのまま大きく口を開けると、中から伸びて来た長い舌が俺の体にシュルシュルと巻き付けられていた。

グイッ
「ひっ!」
2匹の海竜による、獲物の口移し。
重い舌の下から火傷しそうに熱い唾液に覆われた肉洞の中へと引き抜かれ、そのままもっちゃもっちゃと最低限俺に直接牙を立てないようにしながら無造作に咀嚼される。
だが激しく上下に揺れ動く舌と上下の顎に巻き込まれてグチャグチャに唾液漬けにされたかと思うと、今度は最初に俺を咥え上げたフルーファが舌を巻き付けて俺の体を奪い取っていく。
「た、助け・・・も・・・止め・・・て・・・」
まるで1つの飴玉を2匹でシェアするかのように幾度と無く彼女達の口内を往復させられながら甘噛みを含めた咀嚼を延々と味わわされて、俺は身も世も無く泣き叫ぶことしか出来なかったのだった。

グチャッ・・・ズリュッ・・・ジョリリッ・・・
「あ・・・はぁ・・・」
そんな地獄のような責め苦が、一体どれ程続いた頃だろうか・・・
煮え立つ唾液の海に沈められながら巨大な舌で捏ね繰り回されては押し潰され、締め付けられては叩き付けられる・・・
決して逃げ場の無い巨竜の口内で繰り広げられるその容赦の無い戯れに、俺は何時しかぐったりと力尽きて全身を弛緩させてしまっていた。
やがて俺からもうほとんど何の反応も返って来ないことに気が付いたのか、不意にピタリと動きを止めたフルーファが唾液に塗れた俺の体を舌の上に乗せて口の外へと押し出してくる。
汗も、涙も、精も・・・体中のありとあらゆる水分を搾り出され、彼女達にとって俺は最早味のしなくなったガムのようなものなのだろう。
だが用済みになれば吐き出されるガムとは違って、精魂尽き果てた俺にはまだ唯一にして最大の価値が残っていた。

ふと気が付くと何時の間にか2匹いたはずのフルーファは片方が忽然と姿を消していて、今や大きく開けられた口の中から見えるのは雲一つ無く晴れ渡った快晴の空だけ・・・
そしてそれが・・・俺の人生で最期に見る光景だった。
再びバクンという音と共にフルーファの口が固く閉ざされ、真っ暗闇となった口内がゆっくりと喉の奥の方へと傾いていく。
「う、うわっ・・・うわあああっ・・・!」
呑み込まれる・・・!
そんな本能的な危機感に俺は焦燥の入り混じった甲高い悲鳴を上げたものの、最早疲弊し切って意思とは切り離された体の方は何の抵抗も示すことなく傾斜の付いた舌の上をズリズリと滑り始めていた。

「た、助け・・・助けて・・・くれえぇ・・・!」
まるで獲物の断末魔の悲鳴を堪能しているかのように、フルーファが敢えてゆっくりとその舌を巻き上げていく。
もう俺に抗う力など一片も残っていないことは知っているだろうに、彼女はじっくりと時間を掛けながら俺を深い深い還らずの奈落の底へと突き落とすつもりらしかった。
ズズッ・・・ズズルゥ・・・
「ひっ・・・あ・・・や、止め・・・ひあああああっ・・・!」
そして一際大きな悲鳴が闇に中に轟いた直後、俺は舌先で放り投げられるように大きく深い喉の奥へと送り込まれたのだった。

ズズズ・・・ズリュ・・・
その体のサイズに比して少しばかり窮屈で長い食道を猛烈な勢いで滑り落ちながら、やがて噴門部らしき狭い穴を潜り抜けた俺は途端に広い胃袋の中へと墜落していた。
ドチャッ!
「ぐああっ!」
ほんの少し弾力のある、しかし分厚く丈夫な組織で覆われているのだろう胃壁に頭から落下し、微かに底部に溜まっていた胃液溜まりに勢い良く体を打ち付けてしまう。
「あ・・・あぐ・・・ぅ・・・」
疲労困憊な上に真っ暗で何も見えない闇の中では当然受け身など取れるはずも無く、俺は全身に走った鈍い衝撃と痛みにただただ呻くことしか出来なかった。
人生の中でほんの数度嗅いだことのある酸味の強い胃液特有の異臭が周囲に立ち込め、恐らくはフルーファの臓器が躍動しているのだろう不気味な重低音と断続的な心音が獲物にとって何よりも恐ろしいレクイエムを奏でていく。

「うぅ・・・た・・・すけて・・・」
これまでにも雌竜天国で巨大な雌竜の腹の中に呑まれたことは幾度かあるものの、あれはまだ自身の命が保証されたプレイの一環としての捕食に過ぎなかった。
だがこれは恐らく俺が見ている一夜の夢・・・
全く同じ見た目のフルーファが2匹いたことから考えても現実に起こっている出来事ではないことは確かだろうが、どういうわけかこの体に感じる感覚は現実のそれと全く区別が付かない程にリアルなのだ。
そしてそれは同時に、俺がここから無事に吐き出される可能性が絶無であることをも意味していた。

ゴボッ・・・ゴボボッ・・・
やがて自分の置かれている極めて絶望的な状況を十分に理解してしまうと、まるでそれを待っていたかのように何処からかゴボゴボと不穏な音が聞こえてくる。
それと同時に胃の中の酸味のある異臭がその濃さを増し、俺は周囲の温度が少しばかり高くなったような気がした。
「あ・・・あ・・・」
巨竜の腹の中に呑まれた獲物の末路に、ただの1つも例外は無い。
全てを溶かし焼き尽くす胃液の海に沈められ、跡形も無く消化されるのみ・・・
グニッ・・・グニュウゥッ・・・
「う、うわああっ・・・!」
突如として胃壁が大きく波打つようにうねり、俺はバランスを崩して背後へとすっ転んでしまっていた。

バシャッ!ジュジュッ・・・!
「ぐああっ!」
その瞬間体を支えようと胃壁の底に着いた腕が熱い液体に触れ、強烈な熱さと痛みが脳天にまで突き上げてくる。
ドチャッ・・・ジュジュウゥ・・・
「ひああああっ!」
真っ暗な闇のせいで一体胃液に触れた皮膚がどうなっているのかは分からないものの、俺は不安定に蠢く巨大な胃の中で四方に転がされながら薄っすらと底に溜まった胃液の上を幾度と無く潜らされていた。
ジュウウゥ・・・
「あ・・・あぐ・・・うぅ・・・」
既に手足の先が煮え立つ胃液に焼け爛れ、ヒリヒリ、ジンジンとした神経を侵すような痛みが全身を駆け巡っていく。
も、もう許して・・・せめて・・・一思いに・・・
最早助かる見込みの無い奈落の底でじわじわと焼き焦がされて、俺は無駄だと分かっていながらも分厚い胃壁を崩れ掛けた両手で殴り付けながら大声で明確な言葉にならない叫び声を上げていた。

ゴボボボボッ・・・!
その瞬間更に胃の中へ流れ込んでくる胃液の量が増し、足元よりほんの少し先に強酸の胃液溜まりが出来ているのだろうことが闇の中でもはっきりと感じ取れてしまう。
「ひ・・・ひぃっ・・・」
そして側面の胃壁に張り付くようにして胃液溜まりから逃れようと足を上げた次の瞬間、ドンッという衝撃と共に盛り上がった胃壁に突き飛ばされた俺はたっぷりと溜まった胃液の海に容赦無く蹴落とされていた。
ドボォッ!ジュジュジュジュウウゥ〜〜〜ッ!!
「ぎゃばっ!あ・・・がばごばごぼっ・・・!」
凄まじい熱と苦痛が全身を包み込み、滅茶苦茶に暴れさせた手足からやがて全ての感覚が消失していく。
それに少し遅れて意識もゆっくりと薄らいでいくと、俺はフルーファの腹の中で何もかもを跡形も無く蕩かされたのだった。

「はっ!」
深い闇の中で自分という存在が消滅した確かな感触から少しして、俺は全身にぐっしょりと大量の汗を掻きながら自室のベッドの上で飛び起きていた。
そして五体満足な自分の体をあちこち見回して、ようやく恐ろしい夢から目が覚めたことを実感する。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
あの可愛いフルーファにあんなことをされるだなんて、何という凄まじい悪夢だったのだろうか。
ここしばらく雌竜天国に行けていなかったこともあって、もしかしたら俺の中であの店に対する憧れや渇望が夢という歪んだ形で具現化されてしまったのかも知れない。

約3年間に亘って世間を騒がせた感染症もようやく終息の兆しが見え始めてきたし、長らく休業していた雌竜天国ももうそろそろ営業を再開する頃合いだろう。
そうなったら、またあの店に会社の皆で顔を出すことにするとしようか。
「ふぅ・・・それにしても凄い夢だったな・・・大きなフルーファに圧し掛かられて死ぬ程重かったし・・・」
おっと、いけないいけない・・・フルーファに"重い"って言葉は禁句だったな・・・
ただでさえあんな壮絶な目に遭わされたというのに、もし彼女に面と向かって"重い"だなんて言ってたとしたらどれ程恐ろしい目に遭わされたことか・・・

だがふと視線・・・いや寧ろ殺気に近い剣呑な気配を感じて横を振り向くと、何故かそこに顔をぷっくりと膨らませて茹るような怒気を揺らめかせながら俺の顔を睨み付けたフルーファがいるのが目に入る。
「え?あ・・・フ、フルーファ・・・もしかして俺・・・まだ・・・夢の中・・・?」
やがてフルーファに絶対に言ってはいけない禁句を聞かれてしまったと思った次の瞬間、体高70センチ程に膨らんだ彼女がピョンと飛び跳ねるようにして俺の上に飛び掛かって来た。
ドスンッ!
「ぐげっ!」
ずっしりとした重々しい重量を余すところ無く胸の上に預けられ、静かな怒りを燃やしたフルーファに間近から顔をじぃっと覗き込まれてしまう。
「ま、待って・・・フルーファ・・・ぐえっ・・・さ、さっきのは・・・その・・・ひっ・・・」
だがそんな弁明など聞き入れて貰えるはずも無く・・・
有無を言わせずムクムクと腹の上で膨らみ始めた彼女の凄まじい体重にメリメリと押し潰されながら、俺はさっきまでのそれとは比べ物にならない地獄の第2ラウンドが始まったことにただただ深い絶望を味わったのだった。

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