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屋根の下の眠り姫

Dragon-side [[Human-side>屋根の下の眠り姫2]] 私は、この街が好きだ。 人の身に化けて大勢の人間達の中に溶け込んで生きること100年余り・・・ 多様な人間の文化や技術に追い付きながら違和感無く振舞えるようになるまでには当然相応の時間も掛かったものの、一度この便利さに溢れた快適な暮らしに慣れてしまえばもう以前のような退屈な洞窟暮らしには戻れそうにない。 知能の高い人間でさえ幼少の頃から何年も掛けて習得するという人語の読み書きに関しては流石に今もまだ多少の拙さが拭えないのだが…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b2%b0%ba%ac%a4%c... - 2021年03月10日更新

屋根の下の眠り姫2

Human-side [[Dragon-side>屋根の下の眠り姫]] 僕は、この街が嫌いだ。 大学に入るに当たってここから数百キロも離れている片田舎から越して来て独り暮らしを始めたまでは良いものの、ここでは故郷にはあった人同士の繋がりが余りにも希薄で頼りないものになっている。 確かに都会は買い物する場所も移動手段も発達していて利便性に関しては文句は無いものの、極端に他人に無関心な人々の集団というものは決して万人にとって居心地の良いものとは言えないもの。 もちろんそれは単に僕がある意味で他人と違っ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b2%b0%ba%ac%a4%c... - 2021年03月10日更新

闇を訪ねて

ある晴れた日の夜・・・ 荒野の外れにある静かな村の片隅で、俺は数人の友人達と焚き火を囲んで談笑していた。 「なあフォルツ、もう1回あれやって見せてくれよ」 「何だよまたか?そんなに難しいことじゃないんだから、お前らも少しは練習して身に付ければ良いだろ」 「そうは言ってもさ、俺達と同じ年頃の連中であんなことが出来るのは数えるくらいしかいないって話じゃないか」 俺はそんな仲間の声に小さな溜息を吐くと、中空に差し出した両手の掌を上にしてほんの少し意識を集中していた。 その数秒後、煌々と燃える小さな丸い火の玉が左…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b0%c7%a4%f2%cb%a... - 2016年08月01日更新

思いがけぬ再会

ガシャアァン・・・ 重々しい鉄格子の閉じる音で、俺はそれまで何処か希薄だった意識が唐突に現実に引き戻されたことに気付いていた。 「こ、ここは・・・?」 壁の松明がほんのりと周囲を照らし出す、薄暗い城の地下牢。 それは分かるのだが、俺は果たしてこんな独房に繋がれる程の大罪を犯したのだろうか・・・? ふとした出来心から鍵の開いていた他人の家に盗みに入ってしまったのは確かなのだが、このマレーナ国では少なくとも数年前まで人を殺したり放火をしたりというような重罪でない限りこんな重罰は受けなかったはずなのだ。 それに…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bb%d7%a4%a4%a4%a... - 2019年01月22日更新

赤月の気紛れ

Dragon-side [[Human-side>赤月の気紛れ2]] 「グゥ・・・グルル・・・」 心地良いまどろみの中に意識の覚醒を感じると、私は天井から降り注ぐ穏やかな朝日の中で目を覚ましていた。 やがてグルリと周囲を見回して住み処の中に誰も侵入者がいないことを確認すると、地面の上に丸めていた体をゆっくりと起こしていく。 そして鋭い鉤爪の生えた大きな両手足でしっかりと地面を踏み締めると、私は寝ている間に体へ降り積もった砂埃を振り落とすようにブルンと体を震わせていた。 全身を覆う厚い竜鱗のお陰で固…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%d6%b7%ee%a4%c... - 2016年11月19日更新

魔物棲みし闇

「では行って参ります、セレナ姫」 「ええ、どうか気を付けて・・・結婚の準備を整えて、あなたの帰りを待っておりますわ」 ここは周囲を深い森に囲まれた、とある小国・・・ 私は城の中心に聳え立つ荘厳な王城の前で美しい王女と静かな口付けを交わすと、長い剣を腰に携えて颯爽と己が愛馬に跨っていた。 そしてそんな我々の様子を何処か羨望の眼差しで見守っていた他の兵士達と合流し、徐々に緊張の度合いを増し始めた心を落ち着けるように1度だけ深呼吸する。 「よし・・・ではこれから、奴の住み処があるという東の森へ向かう。皆、覚悟は…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cb%e2%ca%aa%c0%b... - 2011年02月14日更新

臆病な女帝

曇った夜空を照らす淡い満月の光が、奇妙な静寂に包まれた森を優しく照らしている。 自然の中で過ごすのが好きな者にとって、それは心安らぐ癒しの光景でさえあったことだろう。 だが大きく切り立つ岩肌に掘られた深い洞窟の闇の前で太い大木に手足を縛り付けられている俺にとって、それは人生の最後に見る終焉の景色以外の何物でもなかった。 何十年も昔・・・まだ俺が産まれるよりも以前から町を脅かしてきたある1匹の雌竜が、今夜もまた満月の晩の生け贄を人々に要求してきたのだ。 月に1度老若男女を問わず森へ送り出されて行った人々は当…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b2%b2%c9%c2%a4%c... - 2014年01月24日更新

忘れられた竜の詩

「ふぅ・・・ふぅ・・・リジー、まだ着かないのか・・・?」 鬱蒼とした木々がこれでもかとばかりに生い茂った、深い深い森の中。 今朝早く最寄りの町を出たまでは良かったのだが、車を降りてからもう数時間もこんな一寸先も見えない草木の中を掻き分けている内に俺は最早時折目に入る苦手なはずの虫にも特にこれと言った感情の起伏を起こさなくなっていた。 「多分、もう少しで着くと思うわ。こういうのも考古学者なら良くある試練の1つよ。ほら、頑張って」 ほんの数メートル先を進んでいるはずだというのに厚い茂みに遮られて全く姿が見えな…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cb%ba%a4%ec%a4%e... - 2019年09月15日更新

破戒の黒竜

バサッ・・・バサッ・・・ 冷たい風の吹く高空を力一杯羽ばたきながら、私はなおも変わらずに背後から迫ってくる3つの大きな黒い影の気配に微かに辟易の混じった息を吐いていた。 あの連中は、里の掟とやらがそれ程までに大事なのだろうか? 私のしたことは、族長争いの儀によって共に暮らす若い娘に少しばかり竜の秘儀を漏らしたことだけ・・・ 3年間もの長い期間お互いの命を共有する相手なのだから、私はその人間の同意を得て彼女の命数を計ったのだ。 結果としてその娘は長生きすることが分かって喜んでくれたし私も安心して命の契約を結…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c7%cb%b2%fc%a4%c... - 2014年06月09日更新

楽園の裏側

「ベルや・・・本当に、独りで暮らして行けるのかい・・・?」 「うん・・・大丈夫だよ。人間の言葉だって随分話せるようになったし・・・それに、あの町だってあるからさ」 この世に生まれ落ちてから今年で丁度10年・・・ 僕は卵から孵った時から父親の姿を1度も見たことが無かったものの、厳しくも愛情深く育ててくれたお母さんが傍にいたお陰でこれまで特にこれといった不自由や寂しさなどを感じたことは1度も無かった。 だが毎日毎日それこそ日が暮れるまで僕の為に森へ獲物を狩り出しに行っていたせいか、もうほとんど老竜と言っても差…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b3%da%b1%e0%a4%c... - 2019年04月19日更新

物言わぬ黒翼

「お嬢様・・・森には危険もございます故、余り私めの目の届かぬところへは行かれませぬように」 「爺やが遅いのじゃ!何時も何時も、ちゃんと妾について参れと言うておるではないか!」 ある晴れた日の午後・・・ 妾は週に2度の楽しみである森への散策に出掛けると、少しばかり息苦しそうに後ろをついてくるもう70歳近い執事の老体を気遣うことも無く薄暗い木々の回廊の中を駆けていった。 周囲を森に囲まれた貧しい小国だからなのかこの国の王である父ももうすぐ6歳の誕生日を迎える妾に特に贈り物の類をくれるつもりは無いらしかったもの…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ca%aa%b8%c0%a4%e... - 2019年01月06日更新

小さなお目付役

人間に姿を変えることの出来る恐ろしい雌老龍と奇妙な王族生活を始めたあの日から数年・・・ 何時の間に産んでいたのか、俺達の間には唐突に1人の・・・いや、1匹の雌の仔龍が出来ていた。 彼女達が人間に姿を変えられるようになるまでには生まれてから最低でも1年は掛かるらしいのだが、それでも幼子に化けるのが精々で赤ん坊に化けることは出来ないのだという。 その為仔龍の存在を正式な王妃の子供として何も知らぬ周囲の人々に認知させることは難しく、表向きは城下町で見つけた孤児を城で保護しているという体で彼女に城での行動を許して…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%be%ae%a4%b5%a4%c... - 2013年11月03日更新

昏き執念の果てに

清々しい木漏れ日の降り注ぐ、広大な深い森の中・・・ あたしは朝から続いていた空腹をやっとの思いで捕らえた仔鹿で何とか満たすと、木々の間に開けた小道で腹ごなしに食後の散歩を楽しんでいた。 あたしももうすぐ20歳・・・まだまだ竜としては幼い子供のようなものだが、手足を覆った赤色の鱗が徐々に徐々に明るい紅色へと色付いてきているのがはっきりと感じられる。 あたしの母親がそうであったように、どうやら私は歳を重ねる毎に元々淡かった体色が段々と深く濃い色へと変化していく種の竜らしかった。 どうしてそんな体質があるのかは…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ba%aa%a4%ad%bc%b... - 2012年10月27日更新

桃色の毒花

何処までも何処までも永遠に続くかに思える、僅かな弧を描く水平線。 私は静かな水面を湛えた大洋を進む大きな船の舳先に立ったまま、到着までまだ優に10日は掛かるであろう遠い異国の地へと思いを馳せていた。 だが晴れ渡った空を見上げていた私の耳に、不意に随分慌てていると見える荒々しい足音が届いてくる。 「ああ、クローナ殿!ここにいらっしゃったのですか?随分探したのですよ」 「どうかしたの?」 やがて私の前に姿を見せた2人の男達が、そんな私の質問に焦燥を募らせた声を上げていた。 「船員の1人が、急に意識を失ってバッ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%ed%bf%a7%a4%c... - 2013年06月03日更新

巨影蠢く閨で

カツーン・・・カツーン・・・ ユラユラと揺れる燭台の明かりが、人々の寝静まった暗い城の通路をぼんやりと照らし出している。 最早履き慣れてしまった王族用の煌びやかな硬い靴が相変わらず甲高い足音を周囲に響かせているものの、通路を歩く俺の存在に気付いている者はたったの1人・・・いや、1匹しかいなかった。 その薄暗い視界の最奥に、やがて大きな寝室の扉が見えてくる。 今夜もまた、彼女があの扉の向こうで俺を待っていることだろう。 そう・・・俺は・・・彼女に選ばれたのだ。 彼女の生涯の伴侶として。 この国の新たな王とし…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b5%f0%b1%c6%ea%c... - 2008年08月26日更新

恋の回り道

「うう・・・ん・・・」 心地良い眠りを妨げる眩い朝日の感触に、妾は気怠い唸り声を上げながら細い腕で自身の目を擦っていた。 そして輝くように明るい窓から逃げるようにゴロリと反対側へ寝返りを打つと、ベッドの外へはみ出した足にひんやりとした冷気が纏わり付いてくる。 全く、人間の寝所というものはどうしてこうも心地が良いのだろうか・・・? やがて相変わらず目を閉じたまま両腕で抱き抱えていた大きな枕を耳の下へ宛がうと、妾は夜の間に布団の中へたっぷりと溜め込んだ温もりを貪るようにしばらく身を捩っていたのだった。 ここ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ce%f8%a4%ce%b2%f... - 2014年08月26日更新

久遠を越えて 未来編

ピピッ・・・ピピッ・・・ 「故にこの物質の正体は・・・おっと、こんな夜中にメールか・・・」 自分の他には誰もいない薄暗い研究室で、僕は唯一の光源であるパソコンの画面に浮かんだ電子メールのアイコンを素早くクリックしていた。 何でもかんでもハイテク化の進んだ21世紀半ばの今となっても相変わらずこの通信手段だけは50年以上前から特に大きな変化を見せていないのは、それ程単純で且つ洗練された技術だったことの裏付けなのだろう。 そしてその途端今まで書いていたレポートの画面を埋め尽くすかのように大きなメールソフトが立ち…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b5%d7%b1%f3%a4%f... - 2009年01月20日更新

赤月の気紛れ2

Human-side [[Dragon-side>赤月の気紛れ]] ピピピ・・・ピピピ・・・ピピピ・・・ガシャッ!ゴンッ、ゴトッ・・・ 「う・・・う〜ん・・・」 心地良いまどろみの中で不意に耳の奥へと突き刺さったその目覚ましの音に、俺はベッドの上で目を瞑ったまま勘に任せて伸ばした腕を振り下ろしていた。 今日は確か、待ちに待った日曜日・・・ ニュースによれば今夜は赤くて大きな満月が見られるらしく、毎日望遠鏡で空を眺めるのが趣味の俺としては年に何度かある特別な日なのだ。 心配していた天気も窓から差し込…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%d6%b7%ee%a4%c... - 2016年11月19日更新

悲劇の秘薬

「うぅ・・・うあぁ熱い!熱いよお姉ちゃん!」 「しっかりしてマルコ!ああ、どうすれば・・・」 全身汗だくになりながら高熱にうなされる少年。 ―――3日前 昼間、マルコは遊びに行くと言って村の隣にある森に入ったまま行方がわからなくなった。 やがて夜になってから姉のミリーがそれを心配して村人総出の捜索を始めたところ、明け方になって大きな木の下で倒れているマルコが見つかったのだった。 そしてその日を境に、マルコは40度の熱を出してうなされ続けていた。 「だめじゃ、毒蛇に噛まれたのか、虫に刺されたのか、はたま…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c8%e1%b7%e0%a4%c... - 2008年08月12日更新

共同調査

・あらすじ あるところに、人とドラゴンという、一組の奇異な夫婦が居た。 ドラゴンの妻はおおよそ手先が器用には見えないタイプのドラゴンであったが、それに反して様々な魔術に長けていた。 平たく言うと、人間である夫が妻のドラゴンに、同じドラゴンに変身させられて試しにセックスするお話。 「これを付けたらどうなるんだ?」 「ちょっとした魔導具の実験、と言う所だな」 「それ答えになってないぞ……」 ただの洞窟と言うには妙に清潔感があり、それでいて奇妙な道具がそこかしこと散らかった、とある山の片隅。 男は妻から渡…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b6%a6%c6%b1%c4%b... - 2017年03月01日更新

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