タグ検索で流血133件見つかりました。

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屋根の下の眠り姫

Dragon-side [[Human-side>屋根の下の眠り姫2]] 私は、この街が好きだ。 人の身に化けて大勢の人間達の中に溶け込んで生きること100年余り・・・ 多様な人間の文化や技術に追い付きながら違和感無く振舞えるようになるまでには当然相応の時間も掛かったものの、一度この便利さに溢れた快適な暮らしに慣れてしまえばもう以前のような退屈な洞窟暮らしには戻れそうにない。 知能の高い人間でさえ幼少の頃から何年も掛けて習得するという人語の読み書きに関しては流石に今もまだ多少の拙さが拭えないのだが…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b2%b0%ba%ac%a4%c... - 2021年03月10日更新

孤高を継ぎて

「グゴオオオオアアアアアッ!」 夕陽に暮れ泥んだ深い森の中に、耳を劈くような激しい竜の咆哮が響き渡る。 私はビリビリと鼓膜を震わせるその暴力的な音に僅かばかり顔を顰めながらも、炎でも吐こうとしたのかこちらに向けて大きく開けられた竜の口に向かって両手で構えた重い銃を振り向けていた。 ガァン! 肩が抜けて後ろへ吹っ飛んで行きそうな程の凄まじい反動と竜の雄叫びにも引けを取らない強烈な爆音が耳元で弾け、比較的長身ながらもどちらかというと華奢な部類に入る体がガクンと大きく傾ぐ。 だが痺れるような痛みを堪えてすぐに視…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b8%c9%b9%e2%a4%f... - 2020年07月29日更新

桜色の思い出

「母ちゃん、母ちゃん・・・大丈夫・・・?」 美しい海と森に囲まれた小さな漁村、モガの村。 その海沿いに建てられたあばら家の中で、僕は病に臥せった母にそう声を掛けていた。 「あ・・・あ、ああ・・・心配無いよ・・・ゴホッゴホッ・・・」 命に関わるような重病というわけではないらしいが、もう酷い咳が1週間以上も続いている。 こんな時に村に住み込んでくれているハンターの兄ちゃんがいれば母の薬になるような物を森から採って来てもらえるのだが、生憎彼は今タンジアの港へ出掛けていってしばらくは戻って来ないらしかった。 「母…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ba%f9%bf%a7%a4%c... - 2012年01月21日更新

天国に思いを馳せて

「ふぅ・・・今年度もあと少しだな・・・」 3年余りにも及ぶ長い感染症禍によってありとあらゆる社会の基盤が変化し、俺はこの半年余りの間ただひたすらに職場と家を往復するだけの毎日を送っていた。 まあ仕事自体は大変ではあるもののやり甲斐はあるし、天国仲間の同僚や後輩達とも相変わらず仲良くやれているから、周囲の人間関係という意味では十分に恵まれていると言える。 ただここ最近どうにもすっきりと気分が晴れないのは、秋頃から再び感染症の流行が高まったことで数少ない楽しみだった雌竜天国が再び長期の休業に入ってしまったこと…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2023年05月19日更新

Farth環境調査記録ファイル12

ピ・・・ピピピピッ・・・ "Farth30 0900" 地球司令部へFarth27に実施した熱帯地方の環境調査結果を送信してから3日後・・・ 当初は翌日のFarth28に次の調査を予定していたのだが、CIを事も無げに踏み潰したあの巨象の皮膚サンプル調査に必要な装備がようやく完成したというメカニックからの報告を受けて、本日より3日振りの調査が再開されたのだ。 「準備の進捗は?」 「全て完璧です。昨日地球司令部から送られてきたこの新しい強化骨格も、前回のより更に重厚になっていますね」 カムスネークの締め付けに…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/Farth%b4%c4%b6%ad... - 2023年03月25日更新

屋根の下の眠り姫2

Human-side [[Dragon-side>屋根の下の眠り姫]] 僕は、この街が嫌いだ。 大学に入るに当たってここから数百キロも離れている片田舎から越して来て独り暮らしを始めたまでは良いものの、ここでは故郷にはあった人同士の繋がりが余りにも希薄で頼りないものになっている。 確かに都会は買い物する場所も移動手段も発達していて利便性に関しては文句は無いものの、極端に他人に無関心な人々の集団というものは決して万人にとって居心地の良いものとは言えないもの。 もちろんそれは単に僕がある意味で他人と違っ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b2%b0%ba%ac%a4%c... - 2021年03月10日更新

闇を訪ねて

ある晴れた日の夜・・・ 荒野の外れにある静かな村の片隅で、俺は数人の友人達と焚き火を囲んで談笑していた。 「なあフォルツ、もう1回あれやって見せてくれよ」 「何だよまたか?そんなに難しいことじゃないんだから、お前らも少しは練習して身に付ければ良いだろ」 「そうは言ってもさ、俺達と同じ年頃の連中であんなことが出来るのは数えるくらいしかいないって話じゃないか」 俺はそんな仲間の声に小さな溜息を吐くと、中空に差し出した両手の掌を上にしてほんの少し意識を集中していた。 その数秒後、煌々と燃える小さな丸い火の玉が左…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b0%c7%a4%f2%cb%a... - 2016年08月01日更新

永久の契り

「はぁっ・・・はぁっ・・・」 喉が熱い。 土砂降りの暗い森の中を泥だらけになりながら走り続けた私は、大きな木の陰に身を隠すと随分と荒くなってしまった息を整えながら雨音の中に混ざって聞こえてくる数人の男達の気配に耳を澄ませていた。 「あのガキ、一体何処に行きやがった!」 「まだそう遠くには行ってねぇはずだ」 「おい、こっちに足跡があるぞ!」 流石に雨でぬかるんだ黒土の地面の上では茂みを掻き分ける音は消せても足跡までは隠せない。 このままここに隠れていても、何れは彼らに見つかってしまうだろう。 そんな絶望的な…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b1%ca%b5%d7%a4%c... - 2021年02月22日更新

思いがけぬ再会

ガシャアァン・・・ 重々しい鉄格子の閉じる音で、俺はそれまで何処か希薄だった意識が唐突に現実に引き戻されたことに気付いていた。 「こ、ここは・・・?」 壁の松明がほんのりと周囲を照らし出す、薄暗い城の地下牢。 それは分かるのだが、俺は果たしてこんな独房に繋がれる程の大罪を犯したのだろうか・・・? ふとした出来心から鍵の開いていた他人の家に盗みに入ってしまったのは確かなのだが、このマレーナ国では少なくとも数年前まで人を殺したり放火をしたりというような重罪でない限りこんな重罰は受けなかったはずなのだ。 それに…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bb%d7%a4%a4%a4%a... - 2019年01月22日更新

赤月の気紛れ

Dragon-side [[Human-side>赤月の気紛れ2]] 「グゥ・・・グルル・・・」 心地良いまどろみの中に意識の覚醒を感じると、私は天井から降り注ぐ穏やかな朝日の中で目を覚ましていた。 やがてグルリと周囲を見回して住み処の中に誰も侵入者がいないことを確認すると、地面の上に丸めていた体をゆっくりと起こしていく。 そして鋭い鉤爪の生えた大きな両手足でしっかりと地面を踏み締めると、私は寝ている間に体へ降り積もった砂埃を振り落とすようにブルンと体を震わせていた。 全身を覆う厚い竜鱗のお陰で固…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%d6%b7%ee%a4%c... - 2016年11月19日更新

There is a dragon among us.

ガガガガガッ! ビーッ!ビーッ!ビーッ! 突如として船内に鳴り響いた甲高い警告音と断続的な衝撃に、私は強制解除されたコールドスリープのポッドから降りると薄暗い周囲をキョロキョロと見回していた。 何が起こったというのだろうか・・・? そう思いながら壁に取り付けられていたモニターへと目を向けてみると、黄色と黒で書かれたUCI(未確認生命体侵入)警告の文字がチカチカと明滅している。 そんな馬鹿な・・・ここは広大な外宇宙を地球に向かって進んでいる宇宙船の中だというのに、一体何処から生命体などが侵入出来るというのか…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/There%20is%20a%20... - 2021年02月16日更新

天国の復活

昨年の冬辺りから全世界に広まった未知の感染症によって、2020年は大混迷を極める年になった。 予てより開催の決まっていた東京五輪は翌年に延期を已む無くされ、戦後70年以上に亘って特に大きな混乱も無く平和を保って来たこの日本でも政府による緊急事態宣言が発令。 特に感染者の多かった東京や大阪などの都市では企業や商店の休業や閉業が相次ぎ、人と人とが接触する機会の多い飲食店や風俗店は今もなお時短営業や営業自粛を続けているところが目立つ。 雌竜と夢の一夜を過ごせる雌竜天国もその余波を免れることは出来ず、以前俺達があ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2021年02月12日更新

魔物棲みし闇

「では行って参ります、セレナ姫」 「ええ、どうか気を付けて・・・結婚の準備を整えて、あなたの帰りを待っておりますわ」 ここは周囲を深い森に囲まれた、とある小国・・・ 私は城の中心に聳え立つ荘厳な王城の前で美しい王女と静かな口付けを交わすと、長い剣を腰に携えて颯爽と己が愛馬に跨っていた。 そしてそんな我々の様子を何処か羨望の眼差しで見守っていた他の兵士達と合流し、徐々に緊張の度合いを増し始めた心を落ち着けるように1度だけ深呼吸する。 「よし・・・ではこれから、奴の住み処があるという東の森へ向かう。皆、覚悟は…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cb%e2%ca%aa%c0%b... - 2011年02月14日更新

天国の追憶

「先輩!お疲れ様です!」 週の真ん中に祝日があったお陰で溜まっていた業務にもようやく一定の目途がついた頃、俺は一足先に定時で業務を終えたらしい後輩のそんな呼び掛けに振り向いていた。 「ああ、お疲れ。そっちはもう終わったのか?」 「はい。先輩の方は体調は大丈夫なんですか?」 そしてそう言いながら、彼が空席となっている同僚の机の方へと目を向ける。 「ああ・・・俺は別に花粉症体質じゃないからな。今年は特に酷いらしいけど、あいつが早退したのは初めて見たよ」 「僕も花粉自体は平気なんですけど、確かにこの前家に帰った…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2018年04月25日更新

臆病な女帝

曇った夜空を照らす淡い満月の光が、奇妙な静寂に包まれた森を優しく照らしている。 自然の中で過ごすのが好きな者にとって、それは心安らぐ癒しの光景でさえあったことだろう。 だが大きく切り立つ岩肌に掘られた深い洞窟の闇の前で太い大木に手足を縛り付けられている俺にとって、それは人生の最後に見る終焉の景色以外の何物でもなかった。 何十年も昔・・・まだ俺が産まれるよりも以前から町を脅かしてきたある1匹の雌竜が、今夜もまた満月の晩の生け贄を人々に要求してきたのだ。 月に1度老若男女を問わず森へ送り出されて行った人々は当…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b2%b2%c9%c2%a4%c... - 2014年01月24日更新

忘れられた竜の詩

「ふぅ・・・ふぅ・・・リジー、まだ着かないのか・・・?」 鬱蒼とした木々がこれでもかとばかりに生い茂った、深い深い森の中。 今朝早く最寄りの町を出たまでは良かったのだが、車を降りてからもう数時間もこんな一寸先も見えない草木の中を掻き分けている内に俺は最早時折目に入る苦手なはずの虫にも特にこれと言った感情の起伏を起こさなくなっていた。 「多分、もう少しで着くと思うわ。こういうのも考古学者なら良くある試練の1つよ。ほら、頑張って」 ほんの数メートル先を進んでいるはずだというのに厚い茂みに遮られて全く姿が見えな…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cb%ba%a4%ec%a4%e... - 2019年09月15日更新

破戒の黒竜

バサッ・・・バサッ・・・ 冷たい風の吹く高空を力一杯羽ばたきながら、私はなおも変わらずに背後から迫ってくる3つの大きな黒い影の気配に微かに辟易の混じった息を吐いていた。 あの連中は、里の掟とやらがそれ程までに大事なのだろうか? 私のしたことは、族長争いの儀によって共に暮らす若い娘に少しばかり竜の秘儀を漏らしたことだけ・・・ 3年間もの長い期間お互いの命を共有する相手なのだから、私はその人間の同意を得て彼女の命数を計ったのだ。 結果としてその娘は長生きすることが分かって喜んでくれたし私も安心して命の契約を結…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c7%cb%b2%fc%a4%c... - 2014年06月09日更新

愛しのプラム

ピピピピッ・・・・ピピピピッ・・・カチッ・・・ 俺は朝の7時に鳴り始めた目覚まし時計を止めて微かに眠気の残る目を開けると、まだ隣でゴロゴロと惰眠を貪っている大きな布団の山を一瞥して小さな安堵の息を漏らしていた。 そして人間の俺にとっては広大と言っても良い3メートル四方もあるベッドから静かに降りると、そのままシャワーを浴びようと部屋に備え付けられた風呂場へと足を運ぶ。 ここはとある大学に通う学生達の為に用意された学生寮の一室。 だがこの大学が世界中に無数にある他の大学と違う点は、人間の為の大学ではないという…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b0%a6%a4%b7%a4%c... - 2015年06月16日更新

魔性の果実

「アディ・・・アディ・・・まだ寝てるのか?」 「ん・・・あ・・・うん・・・もう少し寝かせて・・・」 心地良い眠りの中に突如として無遠慮に響いてきたその父の声に、僕はガラガラに乾いた喉から辛うじてそんな返事を返していた。 「全く・・・他の友達はもう外で稽古を始めてるぞ。お前も出遅れるなよ」 そしてそう言い残した父が部屋を出て行くと、ほんの少しだけ体を起こして窓の外の景色に視線を移す。 「やっ!・・・やっ!・・・やぁっ!」 やがて視界を埋め尽くした緑の山と森に囲まれている長閑な田舎の風景の中に、必死で木剣を素…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cb%e2%c0%ad%a4%c... - 2020年08月02日更新

天国への渇望

「ん・・・もう残り15分か・・・」 俺は終業まで残り僅かとなった時計を見上げると、思わず深い息を吐いていた。 「何だ?溜息なんか吐いて・・・お前、まだ正月ボケが治ってないんじゃないのか?」 その何処か嫌味ったらしい同僚の言葉にも、何だか今日は反論する気が失せてしまう。 「確かに・・・お盆やゴールデンウィークの大型連休に慣れちまって、6連休くらいじゃ物足りなかったのかもな」 「んなこと言ったって、つい先週も3連休があったばかりだろ。そろそろ決算だって近いんだし、気合い入れろよ」 だが珍しく俺に発破を掛けてく…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%d... - 2020年04月28日更新

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