タグ検索で絵あり41件見つかりました。

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頽廃を憂う貴族竜

ここは周囲を深い森に囲まれた、正に陸の孤島とでも言うべき王都ミリード。 豪奢な意匠を誇る巨大な城の周囲には人口2万人が暮らす広大な街並みが広がり、外界と途絶されているという一見過酷な環境に置かれているにもかかわらずこの王都は実に600年余りにも亘って密かな繁栄を続けていた。 「イーリーン、早く起きなさい!今日は午後から選民の儀式があるの、分かってるでしょう?」 ある日の朝・・・私は心地良く寝ていたところにそんな母の大声を浴びせられて、不満気に眠気眼を擦りながらゆっくりとベッドから体を起こしていた。 だが…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%f0%f8%c7%d1%a4%f... - 2019年12月19日更新

晩婚の番い

「では、私の講義はここまでにするとしよう。皆、この島での休暇を楽しんでくれ」 半月竜島で迎えた7月最後の金曜日・・・ 3限目の"竜語と爪文字"の講義を終えた俺達は、これから5限目の講義があるプラムよりも一足先に約2ヶ月間という長い夏休みへと突入していた。 「アレス、お前とプラムは、夏休みに何か予定あるのか?」 「ああ・・・まあ幾つかはね。そう言うロブは?」 俺がそう訊くと、彼が背後にいたジェーヌの方へと軽く目配せする。 「前にアメリアに教えて貰った入り江が凄く良かったからさ、俺達はこの島の秘境巡りをしよう…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c8%d5%ba%a7%a4%c... - 2022年06月21日更新

天国に堕ちる者達

もうかれこれ2年近くにも及ぶ未知の感染症の流行で混乱を来した社会の中、1年遅れで敢行された東京オリンピック、パラリンピックが無事に閉会を迎えて間も無く4週間が経とうとしていた頃・・・ 4月の半ばから実に半年近くに亘って関東一帯に出されていた緊急事態宣言と感染症に対する蔓延防止等重点措置がようやく全て解除され、俺は久々に訪れたような気がする普段通りの金曜日を自宅でPCに向かって過ごしていた。 昨年の5月から1年以上も続いたテレワークも大分板に付いてきたお陰で、今や会社に足を運ぶのは月に数回程。 お陰で会社の…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2021年12月12日更新

天国に横たわる奈落

「ふぅ・・・やっと終わった・・・」 「お、何だお前もか?今日は早かったな」 「俺だって流石に週末くらいは早く帰りたいからな。年号修正の案件で最近残業ばかりだし」 俺はそう言うと、ここ最近は意外にも定時で仕事を終えている同僚の方へと顔を向けていた。 「5月から新しい年号に変わるって世間じゃ浮かれてるけど、IT系の俺達にしてみりゃ結構大きな問題だしな」 「確かちょっと前にも、新年号に対応しようとして表計算ソフトが開かなくなったことがあったよな」 「ちょっとしたY2K問題だぜ。まあその時は俺もまだ子供だったけど…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2019年03月14日更新

天国の革新

「うへぇ・・・やっと終わった・・・」 「お、何だよ、もう後発組への引き継ぎまで済ませたのか?相変わらず仕事が早いな」 「そう言うお前の方は・・・まだまだ掛かりそうだな」 俺はそう言うと、例によって忙しそうな同僚から後もう30分程で定時の退勤時刻に差し掛かろうとしている部屋の時計へと目を向けていた。 「今日は残業していくのか?」 「一応な・・・折角明日から6連休だってのに、休日出勤なんてしたくないからな。何でそんなこと・・・」 だがそこまで言い掛けた彼が、ふと俺の背後へ目をやって事情が分かったとばかりに睨み…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2019年08月22日更新

開かれた扉

ロブ達と彼らの結婚式場の下見に出掛けた翌日の日曜日・・・ 俺は大学が休みだというのに朝早くから目を覚ますと、相変わらずベッドの隣で悠長に大鼾を掻いているプラムの姿を目にして何故か安堵の息を吐いていた。 初めてこの島に来てからまだそれ程日も経っていないというのに、昨日幸運にも2軒目にして良い式場を見つけたロブはもう次の土曜日にはジェーヌとの結婚の予定を固め、その影響で俺もまたプラムとの結婚を意識し始めている。 何もかもがほんの数ヶ月前まで暮らしていた人間社会とは違っている別世界だというのに、俺は今やこの半月…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b3%ab%a4%ab%a4%e... - 2020年10月23日更新

愛しのプラム

ピピピピッ・・・・ピピピピッ・・・カチッ・・・ 俺は朝の7時に鳴り始めた目覚まし時計を止めて微かに眠気の残る目を開けると、まだ隣でゴロゴロと惰眠を貪っている大きな布団の山を一瞥して小さな安堵の息を漏らしていた。 そして人間の俺にとっては広大と言っても良い3メートル四方もあるベッドから静かに降りると、そのままシャワーを浴びようと部屋に備え付けられた風呂場へと足を運ぶ。 ここはとある大学に通う学生達の為に用意された学生寮の一室。 だがこの大学が世界中に無数にある他の大学と違う点は、人間の為の大学ではないという…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b0%a6%a4%b7%a4%c... - 2015年06月16日更新

天国への渇望

「ん・・・もう残り15分か・・・」 俺は終業まで残り僅かとなった時計を見上げると、思わず深い息を吐いていた。 「何だ?溜息なんか吐いて・・・お前、まだ正月ボケが治ってないんじゃないのか?」 その何処か嫌味ったらしい同僚の言葉にも、何だか今日は反論する気が失せてしまう。 「確かに・・・お盆やゴールデンウィークの大型連休に慣れちまって、6連休くらいじゃ物足りなかったのかもな」 「んなこと言ったって、つい先週も3連休があったばかりだろ。そろそろ決算だって近いんだし、気合い入れろよ」 だが珍しく俺に発破を掛けてく…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%d... - 2020年04月28日更新

天国に向かう者達

忙しかった夏が終わり、あっという間に過ぎ去った秋の暮れ・・・ 俺はまだ暖房をつけることが出来ない為に肌寒い社内の一室で、通勤用のコートを羽織りながら机に向かっていた。 「それにしてもここ最近、急激に気温が下がったな」 「全く、夏から急に冬になったような気分だよ。まあそれでも、外回りの仕事に比べたら恵まれてる方だけどな」 俺は隣にいた同僚とそんな会話を交わしながらこれからまた忙しくなるであろう年末に向けての仕事の下準備を終えると、もうすぐ定時の17時半を指そうとしている壁掛け時計を一瞥していた。 入社から半…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2017年01月03日更新

静寂の夜に

風も波もない穏やかな海の底に佇む、小さな海中洞窟。 「ふぅ・・・」 その最奥にある薄暗い住み処の中で、1匹の大きな海竜が落胆気味に小さな溜息をついていた。 透き通った紫色と純白の2色に塗り分けられた体をまるで大蛇のように艶かしくくねらせながら真っ赤な長髪を靡かせるその海竜は、仲間達の間でナギと呼ばれている。 長年この暗い洞窟の中で勇猛な雄龍の出現を待ち続け、そしてついに数年前、ようやく深い山間の洞窟から移住してきた雄龍と結ばれて可愛い2匹の子を授かったあの海竜である。 だが常に勝気で夫であるアンクルにすら…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%c5%bc%e4%a4%c... - 2008年08月12日更新

天国に生くる伝説

「やったぁ!」 今週最後の昼食を終えてようやく一息付いた頃・・・ 俺は食堂の隅の方で携帯を弄っていた後輩が突然そんな喝采の声を上げながら飛び上がった瞬間を目撃していた。 そして一瞬の間を置いてハッと我に返った彼が、自身に向けられていた無数の好奇な視線の中から逸早く俺を見つけ出してこちらに駆け寄ってくる。 「先輩!先輩!」 「ど、どうしたんだお前・・・ここ最近、昼間はずっと携帯弄くってるみたいけど・・・」 「そんなことより!今日!行きましょう!あの店に!」 座っていた席からここまで大した距離を走ってきたわけ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2017年11月30日更新

氷炎の恋物語

FlameDragon-side [[IceDragon-side>氷炎の恋物語2]] 世に人間という種が姿を現すよりも遥か太古の昔、世界は今よりもずっと厳格な秩序の下に統治されていた。 その地上に台頭していたのは大陸の南方にある活火山に棲み轟々たる火と大地を司ったという炎竜の一族と、北方の海に浮かぶ凍てつく氷山の奥地に集落を構え、荒らぶる風と水を操ったとされる冷たい氷竜の一族。 彼らは特に種族的な対立をしていたわけではなかったものの、決して相容れぬ存在としてお互いに異種族の竜達と関わりを持つこと…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c9%b9%b1%ea%a4%c... - 2008年08月12日更新

渓流を染めし蒼

物々しい武装に固められた無数の船と大勢の屈強なハンター達が行き来する、大港タンジア。 その一角に建てられたとある1軒の家の中で、大勢の子供達に囲まれた1人の老人が深紅の宝玉を掲げていた。 「子供達や・・・これが何か判るかね?」 見る者の目を吸い付けて離さない奇妙な魅力と妖しさに満ちたその不思議な宝玉に、今もまた20以上の小さな目が正に興味津々と言った様子で釘付けになっている。 「それ、一体何なんですか?」 「これはな、世に言う"火竜の紅玉"という石じゃ。今では、それ程珍しい物ではなくなってしまったがの」 …

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b7%cc%ce%ae%a4%f... - 2013年07月20日更新

天国を目指す同志

世間で多くの物事が新たなサイクルに切り替わる4月・・・ 俺も社会人としての1年目を終えると同時に、新たに2人の新入社員がこの会社へと入社してきた。 これまでにも学生生活で後輩と呼べる存在が出来たことは幾度かあるのだが、職場というある意味で特殊な環境において後輩の存在は何処か特別なものに感じられるものだ。 そして当然と言うべきか、入社2年目の俺と同期の同僚はそんな新入社員達の指導役に抜擢されたのだった。 もちろんIT企業という職場の特性上彼らへの業務指導については経験の長い社員が担当するらしいから、俺達の役…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%f... - 2016年05月17日更新

鍛えるは鋼の爪

ドガッ! 「う・・・ぐ・・・はあっ・・・」 まるで雷が落ちたかのような、生まれて初めて感じる凄まじい衝撃。 琥珀色の鱗を纏った巨大なドラゴンが勢い良く振り回した屈強な尻尾に撥ね飛ばされて、僕は岩壁に強か打ち付けた背中の痛みに息を詰まらせていた。 幾度と無くドラゴンの背に振り下ろしたはずの自慢の剣は余りに硬い竜鱗にほんの小さな傷さえ付けられず、反対にその刀身には今にも砕け散ってしまうのではないかと思える程の無数の亀裂が刻み込まれている。 そして体を起こす気力がついに尽きてしまうと、獲物を仕留めたドラゴンが静…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c3%c3%a4%a8%a4%e... - 2011年03月29日更新

天国からの招待状

"大都市の上空に奇妙な影" "伝説のドラゴンの群れが襲来か?" 気まぐれに家の中を片付けていた際に、ふとガラクタの山の中で見つけた週刊情報誌。 赤と白の派手な表紙に踊っていたそんな奇抜な煽り文句に、俺はしばし掃除の手を止めてその随分と傷んだ冊子を拾い上げていた。 何度も何度も読み返した跡のあるそれは、今から5ヶ月程前に偶然駅の本屋で見つけたものだ。 普段こうした週刊誌はおろか新聞さえほとんど読まない俺がこんな信憑性に乏しい雑誌をわざわざ購入したのは、他でもないその記事の内容が俺の興味を大いに引いたからだっ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%a... - 2012年07月24日更新

紺碧の孤独

「や、奴だ!奴が出たぞー!」 「おいてめえら、全力で漕ぎやがれ!奴に追い付かれたら一巻の終わりなんだぞ!」 「だ、駄目だ・・・とても逃げ切れねぇよ・・・誰か・・・誰か助けてくれぇ・・・!」 昼下がりの明るい太陽が照り付ける広大な大海原・・・ その一面青色に覆われた静かな海の上で、数隻の漁船が激しい恐怖と恐慌に呑み込まれていた。 漁の為に沖合へ出た船を襲っては容赦無く人々を食らい尽くす、大きな1匹の恐ろしい雌海竜。 透き通った翠色の艶やかな皮膜に覆われたその影は揺れる水面に溶け込むように紛れてしまい、姿の見…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ba%b0%ca%cb%a4%c... - 2011年05月17日更新

氷炎の恋物語2

[[FlameDragon-side>氷炎の恋物語]] IceDragon-side 世に人間という種が姿を現すよりも遥か太古の昔、世界は今よりもずっと厳格な秩序の下に統治されていた。 その地上に台頭していたのは大陸の南方にある活火山に棲み轟々たる火と大地を司ったという炎竜の一族と、北方の海に浮かぶ凍てつく氷山の奥地に集落を構え、荒らぶる風と水を操ったとされる冷たい氷竜の一族。 彼らは特に種族的な対立をしていたわけではなかったものの、決して相容れぬ存在としてお互いに異種族の竜達と関わりを持つことを…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c9%b9%b1%ea%a4%c... - 2008年08月12日更新

妃の笑う夜

カツーン・・・カツーン・・・ 「はぁ・・・」 豪奢な装飾に彩られた広い城の廊下を歩きながら、私は深い溜息をついていた。 私の治めているこの小国がここよりずっと西方に位置するノーランド王国の属国だったのは、もう4年も前の話。 無事に独立を果たした後の私の生活は、この上もなく贅沢で明るいものになるはずだった。 いや確かに、私がこの国の誰よりも優雅で安寧な生活を送っていたのは間違いない。 そう、あの日までは・・・ 暗い面持ちで廊下の角を曲がると、やがて突き当たりに淡い燭台の明かりに照らされた寝室の扉が見えてく…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c8%de%a4%ce%be%d... - 2008年08月12日更新

細き指先には抗えず

ズッ・・・グチュ・・・ 「うっ・・・く・・・ふぅ・・・」 「フフフ・・・いいねぇ・・・随分と慣れてきたようじゃないか・・・」 淡い月明かりさえも差し込んで来ない暗い洞窟の奥底で、雌雄の竜が熱い一時に身を委ねていた。 寝床の上に横たわる真っ赤な鱗を纏った巨大な雌竜の上で、それよりも一回り小さな雄の黒竜が結合部より絶え間なく注ぎ込まれてくる無上の快楽に耐えようと忙しなく身を捩っている。 やがて甘過ぎる愛撫の坩堝に耐え切れなくなったのか雄竜が逃れようとして腰を引くと、すかさず屈強な雌竜の尾がそんな薄情な雄を引き…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ba%d9%a4%ad%bb%d... - 2008年11月11日更新

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