タグ検索でvoretail7件見つかりました。

天国に堕ちる者達

もうかれこれ2年近くにも及ぶ未知の感染症の流行で混乱を来した社会の中、1年遅れで敢行された東京オリンピック、パラリンピックが無事に閉会を迎えて間も無く4週間が経とうとしていた頃・・・ 4月の半ばから実に半年近くに亘って関東一帯に出されていた緊急事態宣言と感染症に対する蔓延防止等重点措置がようやく全て解除され、俺は久々に訪れたような気がする普段通りの金曜日を自宅でPCに向かって過ごしていた。 昨年の5月から1年以上も続いたテレワークも大分板に付いてきたお陰で、今や会社に足を運ぶのは月に数回程。 お陰で会社の…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2021年12月12日更新

天国に横たわる奈落

「ふぅ・・・やっと終わった・・・」 「お、何だお前もか?今日は早かったな」 「俺だって流石に週末くらいは早く帰りたいからな。年号修正の案件で最近残業ばかりだし」 俺はそう言うと、ここ最近は意外にも定時で仕事を終えている同僚の方へと顔を向けていた。 「5月から新しい年号に変わるって世間じゃ浮かれてるけど、IT系の俺達にしてみりゃ結構大きな問題だしな」 「確かちょっと前にも、新年号に対応しようとして表計算ソフトが開かなくなったことがあったよな」 「ちょっとしたY2K問題だぜ。まあその時は俺もまだ子供だったけど…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2019年03月14日更新

天国で見る夢

「よし・・・これで終わり、と・・・」 「何だ、もう終わったのか?」 「まあな。先週末は中間決算やら台風やらで結構バタバタしてたから、今週はずっと少しずつ残業してたんだよ」 そんな俺の言葉に、同僚が何かを思い出すように部屋の天井を見上げる。 「そういや今週はずっと俺の方が早く帰ってたもんな・・・でも、3連休って言ったって何か予定があるのか?」 「それは・・・別に無いんだけどさ・・・」 だがその返事にドヤ顔でも浮かべようとしたらしい彼が、ふと俺の背後に苦々しい視線を向ける。 それに釣られて俺もそちらに目をやる…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2018年11月22日更新

天国に息衝く母達

「ふぅ・・・今日は定時に上がれそうだな・・・」 「ああ、俺も何とか目途が付きそうだよ。週末くらいは早く帰りたいしな」 「まあ今年も新入社員は入らなかったから、新人の面倒を見るのに手間が割かれてないだけまだマシな方だよ」 俺はそう言ってもう定時5分前となった社内の時計に目をやると、ようやく一段落した今日の業務を見直していた。 「そういやあいつ、今年も後輩が出来なかったってぼやいてたなぁ」 「そう言ってられるのも今の内だろ。いざ新人が入ったら、自分の仕事なんかまるで手に付かなくなっちまうからな」 そして同僚と…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2018年08月08日更新

天国の花々

「よし・・・今月はこれで終わり・・・と・・・」 「もうすっかり慣れちまったけど、やっぱり月末ってのは何かと忙しいもんだな」 「まあ俺達なんかよりも、本当は経理や人事の方がよっぽど多忙なんだろうけどさ」 同僚とそんな会話をしながら、俺は何とか定時前に仕事を終わらせることが出来てホッと一息ついていた。 「そういやお前、明日は有給を取ってるんだっけ?」 「ああ・・・何でも人事部の方で有給取得を推進する動きがあるらしくてな。月初から休むのは何か気が引けるけど」 「今話題の働き方改革とかって奴か・・・まあこの業種で…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2017年10月08日更新

桃色の毒花

何処までも何処までも永遠に続くかに思える、僅かな弧を描く水平線。 私は静かな水面を湛えた大洋を進む大きな船の舳先に立ったまま、到着までまだ優に10日は掛かるであろう遠い異国の地へと思いを馳せていた。 だが晴れ渡った空を見上げていた私の耳に、不意に随分慌てていると見える荒々しい足音が届いてくる。 「ああ、クローナ殿!ここにいらっしゃったのですか?随分探したのですよ」 「どうかしたの?」 やがて私の前に姿を見せた2人の男達が、そんな私の質問に焦燥を募らせた声を上げていた。 「船員の1人が、急に意識を失ってバッ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%ed%bf%a7%a4%c... - 2013年06月03日更新

天国への帰還

無類のドラゴン好きという変わった趣味を持つ俺が日本の都会のど真ん中で本物の雌竜達による"天国"を見つけたあの日から2ヶ月余り・・・ 俺はコンビニでのバイトを終えて、家に帰るべく夕方の帰宅ラッシュで混雑した電車に揺られていた。 もう以前の厳しい暑さはすっかりと鳴りを潜め、この頃は半袖では少々肌寒さを感じることがある。 俺はあれからも何度か例の店へ足を運んだものの、流石に毎晩数千円も使っていたお陰でバイトで稼いだ貯金があっと言う間に磨り減ってしまった為、最近は少し自制しながら悶々とした日々を過ごしていた。 ま…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%d... - 2013年09月26日更新

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