どんな国でも、町でも、村であっても、これまでに1度も天災に見舞われたことがないという地域は恐らく存在しないだろう。
大風、竜巻、洪水、山火事、落雷、地震、噴火・・・
程度の差はあれ、人々は昔からこれらの災害から身を守るために知恵を絞ってきた。
家の床を高くし、森を伐採し、堤防を作り、柱を太くし、危険な地域には住まないというように。
だが天災のなかには、どうしても人の犠牲なくしては逃れられないものがある。
そしてついに、私が幼い時から愛してやまなかったこの平和な村にも、その類稀な天災が訪れた。
村の周囲をグルリと囲む山々を包んだ、緑豊かな森。
近頃その森の中から1匹の大きなドラゴンが姿を現し、村に被害を与えているという。
まだ誰かが犠牲になったというわけではなかったが、皆が寝静まった後連日のように畑が荒らされ家畜が奪われていくというのだ。
だがある夜村長が村の力自慢達を集めてドラゴンの襲撃を待ち伏せていたとき、ドラゴンは襲いかかってくる村人達を問題にもせずこう告げたという。
"これ以上村を荒らされたくなければ、我に若い娘を1人差し出すのだ"
人間とは恐ろしい生き物だ。人の命は何物にも換え難いという崇高な理念を内に抱きながらも、大勢の命と1人の命とを天秤にかければ、そんな理念など軽く消し飛んでしまう。
生け贄となる娘の人選は、その翌朝に行われた。
村に住む18歳から25歳までの若い娘たちが、20にも満たぬ籤の中から"当たり"を引かぬように戦々恐々と箱に手を入れる姿が、今でも目に焼きついている。
緊張と弛緩の繰り返しが数度続いた後、血のように真っ赤に塗られた唯一の籤を引き当てたのがこの私だった。

ドラゴンへ捧げられる生け贄が決定した瞬間、私はあまりの衝撃に籤をポトリとその場に取り落とした。
すでにその修羅場を潜り抜けた娘達の顔には同情が、これから籤を引くはずだった娘達の顔には歓喜が、そしてその様子を固唾を飲んで見守っていた娘達の両親には、深い安堵の表情が浮かんだ。
なぜ・・・私が・・・
全身の力が抜け、私はドサリとその場に崩れ落ちた。私には、私の死を嘆くはずの両親がいない。
物心ついたときにはすでに両親は他界し、私は親切な村人達に支えられてこれまで生きてくることができたのだ。
それが、こんな形で終わりを迎えるなんて・・・
焦点の定まらぬ目で呆然と中空を見つめていた私のもとへ、村長が近づいてくる。
「済まないローラ・・・残念だ・・・」

それからの3日間は、まるで光の如く一瞬で過ぎ去っていった。私の気を紛らわすためか連日のように宴が催され、数年に1度口にできるかどうかというような豪勢な食事が振舞われた。
村長でさえもが私のいうことを聞くようになり、私は束の間まるで神か何かになったかのように自由な生活を送ることを許されたのだ。
さらに不思議な事に、ドラゴンはその間全く村へ姿を見せようとはしなかった。
だがそれは同時に死へと続くカウントダウンのようでもあり、私にとっては生前葬にも等しい数日間だったのだ。

やがて4日目の朝を迎え、私はいよいよドラゴンに捧げられるために深い山道を登る準備をさせられた。
昨日までは全てを忘れて楽しく浮かれようとしていた村人達の顔に、どこか暗い影が落ち込んでいる。
彼らだって、本当は生け贄など出したくないのであろうことは一目でわかる。
だが村人達がドラゴンの爪牙にかかる前に私1人が犠牲になるだけで済むのなら・・・という暗い考えが、皆心のどこかに巣食ってしまっているらしかった。
「ではローラ・・・そろそろ行くとしよう」
「・・・はい」
村長に連れられて家の外へ出ると、村人達が総出で私を出迎えていた。
憐憫か、悲しみか、それとも後ろめたさなのか、彼らは私と目を合わせても何も話そうとはしなかった。
じっと私の最後の姿を見守る村人達に向けて深くお辞儀をすると、私は村長を含めた数人の男達に支えられたまま帰らずの山道へと足を踏み出した。

1歩歩を進める毎に、私は心の内にだんだん死の恐怖が湧き上がってくるのを感じていた。
形はどうであれ、いずれ私はドラゴンに殺されてその腹に収まることになるのだろう。
鋭い牙の並んだ顎が、私の腕を、足を、無慈悲に食い千切っていく。
そして苦痛と恐怖に泣き喚く私を嗜虐的に見つめながら、ドラゴンが一時の楽しみに身を委ねるのだ。
あるいは見上げるように大きなドラゴンの口の中で、うねる舌に蹂躙されながら絶望を抱いて丸呑みにされるのだろうか。
噂だけでまだ見たことのないドラゴンの姿を想像しながら、時折その恐怖にガタガタと震え出してしまう。
鳥や獣達の鳴き声も聞こえなくなるほど森の奥まで進むと、急激に視界が開けていた。
森の中にぽっかりと穴が空いたかのような丸い平原の中央に、小さな泉が湧き出している。
そしてその傍らには、背の低い1本のブナの木が生えていた。
「綺麗・・・」
恐ろしいドラゴンの棲む森の奥に広がっていたその光景に、私は思わず自分の立場も忘れてゴクリと息を呑んだ。
「ここでよかろう」
村長の言葉とともに、私は泉の脇に生えていた木の枝に両手足を皮紐できつく結びつけられた。
ギュッ
「あうっ」
私は手首に食い込んだ紐の痛みに顔をしかめたが、それを結んだ男は申し訳なさそうに俯いて声を絞り出した。
「済まない・・・」
決して逃げられないようにということなのだろう。勿論私には逃げるつもりなど毛頭なかったものの、彼らにしてみれば私が"無事にドラゴンの手に落ちる"かどうかが村の運命を決める最も重要なことなのだ。

私を木に括り付け終わると、彼らは皆私に対しての憐憫の表情を浮かべながら広場を後にした。
1時間、2時間と、死神を待つ孤独な時間が過ぎていくにつれて、明るかった空の色は次第に蒼の濃さを増し、赤と橙のグラデーションを残しながら紫色に落ち込んでいく。
そして日が完全に落ちると、満天の星空に浮かぶ三日月だけが私を照らす唯一の光になった。
サワサワと風に揺れる草木が緑の匂いを私の鼻に運んでくる。そして、不思議な獣の匂いも。
静かに波打つ泉の水面を視界の端で見つめながら、私は断続的に聞こえてきた地面を踏み鳴らす音に耳を傾けていた。
ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・
そして、ついに足音の正体が私の前に姿を現した。

背中から腹にかけて体の半分以上を覆った漆黒の滑らかな鱗。
それが淡い月明かりを幾重にも反射して、キラキラと粒のような煌きを辺りに振り撒いていた。
精悍に尖った顎の先から、想像と寸分違わぬ鋭い牙が自己主張するかのように覗いている。
そして幻想的なエメラルドブルーに輝く瞳が木に括り付けられた私の姿を捉えると、ドラゴンは背に生やしていた翼を大きく左右に開いて咆哮を上げた。
「グオオオオオオオオオオオオオン!」
「あ・・・ああ・・・・・・」
私の目に映っていたのは、正しく悪魔そのものの姿だった。
空に輝く月の光すらも覆い隠してしまいそうな巨大な翼が、私の絶望の色を更に濃く染め上げていく。
ドラゴンは翼を折り畳むと、ゆらゆらと体を左右に揺らしながら私の方へと近づいてきた。
ああ・・・誰か助けて・・・・・・
恐ろしいモンスターの威容を見せつけられ、私は半ば固まりかけていた死の覚悟が粉々に砕け散ってしまったのを感じていた。

無機質な表情を浮かべながら私の傍までくると、ドラゴンは歩みを止めて私の顔を間近でじっと覗き込んだ。
「うう・・・」
悲鳴は上げまいと必死で目を瞑って恐怖に耐えるが、顔に吹き付けられるドラゴンの熱い吐息がじわじわと私の心の堤防を溶かしていく。
「・・・お前が我への捧げ者か?」
「・・・え?」
暗闇の中で聞こえた意外に穏やかな声に、私は思わず顔を上げていた。
私を必要以上に怯えさせぬためか、ドラゴンが少し距離を取ったところで低く蹲っている。
「なぜそんなところへ縛りつけられているのかと聞いておるのだ」
「そ、そうです・・・私があなたに捧げられた生け贄ですわ・・・」

それを聞くと、ドラゴンがどことなく悲しげな表情を浮かべたような気がした。
「生け贄・・・か」
「わ、私を殺せば・・・もう村は襲わないと約束してくれるのでしょう?」
「確かにもう村を襲うことはないだろう・・・」
そう言うと、ドラゴンはのそりと起き上がって再び私のもとへと近づいてきた。
そして指の先からニュッと鋭い爪を伸ばす。
「ひっ・・・」
威嚇とも取れる突然のドラゴンの行動に、私は思わず短い悲鳴を上げた。
「だが、誰もお前を殺すと言った覚えはないぞ」
プツッという音を立てて、手首を括り付けていた皮紐が断ち切られる。
恐怖に弛緩した片腕が拘束を解かれ、ダラリと地面に向けて垂れ下がった。
「な、何を・・・」
「他は自分で解けるであろう?」
ドラゴンにそう言われて、私は慌てて手足を木に結びつけていた皮紐を解いた。

「私を食い殺すのが目的ではないのですか・・・?」
皮紐の食い込んでいた手首をさすりながら、恐る恐るドラゴンに問い掛けてみる。
「それが目的なら、わざわざこんな回りくどいことなどする必要がなかろう?」
そう言ったドラゴンの深い青緑色を湛えた瞳に、妖しげな輝きが宿っている。
確かに、このドラゴンなら村を襲って人間を食い尽くすことなど造作もないことだろう。
あの村の中に、刃物も通さぬ硬い鱗と空を自在に舞う巨大な翼に敵う人間などいるはずもない。
「お前には・・・我の夜伽の相手をしてもらいたいのだ」
言いながら音もなく立ち上がったドラゴンの股間で、雄々しい肉の棒が悠々と屹立していた。
「あ、ああ・・・・・・そんな・・・」
その絶対的なシンボルを見せつけられ、全身の力がスッと抜けてしまう。
私は絶望に打ちひしがれてドサリと地面に膝をつくと、両手で顔を覆って嘆いた。
私は、ドラゴンに食い殺されるのを覚悟していた。それでも私の犠牲で村が救われるのならばと・・・
それが・・・それが・・・

ドラゴンは悲嘆に暮れる私の傍に近寄ると、努めて穏やかな声で慰めの言葉を放った。
「これは我の頼みだ。強要はせぬ・・・どうしても耐えられぬというのならば、我が村まで送ってやろう・・・」
だがあの村の中に、私の居場所はもうない。
私は村を救うために身を捧げた者として村人達に崇められることはあっても、生きた私を受け入れてくれる場所などもうどこにもないのだ。この、巨大なドラゴンの懐を除いては・・・
「わ、わかりました・・・私はあなたに・・・この身を委ねますわ・・・」
その返事を聞いたドラゴンの眼に、深い憐れみの色が浮かんだような気がした。

かける言葉を失ったのか、ドラゴンは自らの体を仰向けに寝かせると私の心が落ち着くのを静かに待っていた。
大変な状況にいるというのに、不思議と恐怖は感じない。
ドラゴンの眼に、己の身勝手につき合わせられることになった私への気遣いの色が浮かんでいた。
「我はいつでもよいぞ・・・焦ることも、恐れる必要もない」
その言葉に後押しされるように意を決すると、私は地面に横たわるドラゴンの傍へと近寄った。
眼前に聳える漆黒の塔。所々歪に凹凸のあるその肉棒が、呼吸に合わせて前後に緩やかに揺れている。
私はゆっくりとその雄を掴むと、両手に余るドラゴンの性感帯をギュッと握り締めた。
「グウ・・・ウ・・・」
意外なほどに敏感な反応を示したドラゴンの様子に驚き、思わず手の力を緩める。
「あ・・・」
「構わぬ・・・続けてくれ・・・」
言われるままにゴツゴツとした肉の棒を根元から擦り上げると、ドラゴンの巨体が快楽にビクンと跳ね上がった。
「フゥ・・・フゥ・・・こ、これほどのものとは・・・」
まるで電撃に撃たれたかのように黒く尖った尻尾の先までをビリビリと痺れさせながら、巨獣が喘ぐ。

「・・・もしや、初めてなのですか・・・?」
明らかに未知の快感に悶えるドラゴンの様子に疑問を感じ、私は恐る恐るそう問い掛けた。
「・・・おかしいか?」
「え、いえ・・・そんなことは・・・」
荒い息をつきながら呟いたドラゴンの手が、固く握り締められる。次の快楽に備えているのだろう。
「この森で生まれて随分と久しいが・・・我はずっと孤独に生きてきた・・・」
再び手の平で肉棒を擦り上げられる刺激にブルブルと耐えながら、ドラゴンが先を続ける。
「鳥も獣も、我には決して近寄らぬ。何も拠り所のない生の苦しみは・・・人間のお前にはよくわかろう?」
生まれながらにして誰とも関わりを持つことができなかったドラゴンの苦悩は、両親のいなかった私の心にグサリと突き刺さった。
親がいないと聞かされたとき、ドラゴンへ捧げられることが決まったとき、私は胸の内で何故こんなにも不幸な星の下に生まれたのかと我が身を呪った。
だがそれでもこのドラゴンに比べれば、なんと幸せな人生だったことだろう。
己の浅はかさを悔やみながら見る見る膨張したドラゴンの肉棒を口に含むと、私は快楽に痙攣するその先端をペロリと舌先で舐め上げた。
「ヌアアアッ!」
一際強烈な快感に突き上げられ、ドラゴンが体を思い切り仰け反らせる。
次の瞬間、反射的に口を離したドラゴンの雄から真っ白な精が勢いよく噴出した。
噴水のように噴き上がった精がドラゴンの肉棒を濡らし、投げ出された尻尾の上にポタポタと垂れていく。
その稀有な光景を、私は呆然と見守っていた。
「ウグ・・・ググ・・・」
カチカチと恐ろしい牙を震わせながら、ドラゴンが初めて味わう射精の快楽に呻く。
だがキラキラと宝石のように輝くドラゴンの眼には怒りも憎悪もなく、ただ私の次の行動を促していた。

その視線に誘われるようにドラゴンに近寄ると、私は長いスカートの裾を捲り上げて快楽に戦慄く肉棒の上に跨った。
「本当に・・・よいのだな・・・?」
まるで自分に言い聞かせているかのように、ドラゴンが静かに呟く。
その問にゆっくり、しかし深々と頷くと、私は天を仰いで目を閉じたままドラゴンの肉棒目掛けて腰を落とした。

屈み込んだ娘の服の下に我の雄が消えた次の瞬間、ヌチャリという音を立てて熱い粘膜の感触が肉棒に塗りつけられた。
「ヌク・・・ア・・・ウ・・・」
人間のモノを収めるようにできている娘の秘所へ規格外の肉棒が捻じ込まれる度に、きつい締め付けと膣壁による滑らかな愛撫が徐々に我の理性を削り取っていく。
「グア・・・ア・・・」
「ああっ!」
娘の方も苦しいのか、少し、また少しと我の雄で貫かれる度に甲高い嬌声を上げる。
絶え間なく襲ってくる性の快楽に、我と娘はぐねぐねと身を捩りながらも声を押し殺して耐えていた。
「ア・・・アググ・・・」
「うう・・・ぁ・・・は・・・」
永遠とも思えるほどの長い長い挿入の刺激を堪能すると、やがて怒張していたはずの雄が完全に娘の膣内へと飲み込まれていた。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「フゥ・・・フゥ・・・」
無言の内に通じ合ったのか、お互いに呼吸を整えようと体の動きを止める。
「く、苦しくはないか?」
「あなたの方が・・・辛そうですわ」
確かに娘の言う通り、我は黙っていても少しずつ肉棒を締め上げてくる膣の躍動に時折牙を食い縛っていた。
だが、ドラゴンが人間の娘にいいようにあしらわれてばかりいては沽券に関わる。
これ以上の刺激を味わわされることに内心不安を抱えていたものの、我は精一杯虚勢を張って娘を焚き付けた。
「フ、フン・・・大したことはない。それで終わりではなかろう?」
そう言いながら娘の着ている服へ長い爪を伸ばすと、その体を傷つけぬように慎重に布を切り裂いた。
「あっ・・・」
服を奪われたのに驚いたのか、娘がビクッと身を縮める。
その途端、図らずも全力の込められた圧搾が我の雄に叩き込まれた。
グギュッ・・・
「ウウアアアッ!」
予想だにしていなかった突然の反撃に、思わず悲鳴を上げて身を仰け反らせてしまう。
「ガ・・・ウ・・・」
こ、こんな調子では下手に娘を刺激できぬではないか。
全身を貫いた快感の嵐に喘ぎながら娘の顔を見つめると、断りもなく服を切り裂かれたのが気に障ったのか、娘がキッと我を睨みつけていた。

何の予告もなく娘が前に身を乗り出し、漆黒の鱗に覆われた我の腹の上に両手をつく。
そして細い両足で地面をしっかりと踏みしめると、娘は我を捕えたその腰をゆっくりと前後に揺らし始めた。
「ま、待て・・・それはまだ早・・・ウアアアッ!」
次第に早くなる前後運動についていけず、愛液に濡れそぼった膣壁に肉棒が容赦なく弄ばれる。
グチュッ、グチュッ、ヌチャッ、グシュッ・・・
淫らな水音とともに耐え難い快感が怒涛のように押し寄せ、我は再び熱い精が込み上げてくるのを感じていた。

グシュッ、グシュッ、ズリュッ・・・
「ウ、ウヌヌ・・・ヌアアア〜〜〜!」
休みなく与えられた強烈な刺激の連続に、我はついに耐え切れず娘の中に精を放った。
ブシュウゥ・・・
「あああっ!」
一瞬にして熱湯を体内に流し込まれたかのような熱さが子宮を満たし、娘が悲鳴にも似た声を上げて身悶える。
その刺激で絶頂に達した娘の膣がキュッと収縮し、すでに押し潰されんばかりに締め付けられていた我の雄にさらなる圧力を叩き込んできた。
「グガアァァ・・・」
射精直後の肉棒を締め上げられ、我もまた娘の後に続くように野太い嬌声を上げると足の間から伸びていた尻尾をバタバタと暴れさせて悶え狂った。

「フゥ・・・フゥ・・・も、もうよい・・・充分だ・・・」
脳髄を残らず焼き尽くす快楽に翻弄され、我は息も絶え絶えに娘に懇願した。これ以上はさすがに耐えられぬ。
もし再び今程の快楽を味わわされたら、我は恐らく理性を失って眼前の娘の身を引き裂いてしまうだろう。
煮え滾る我の精を受けた娘は快楽と熱さにぐったりとうな垂れながらも、震える足になんとか力を込めてきつく雄を締め付けていた秘所から我を解放した。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・う・・・」
疲労のためか、地面に両手をついて荒い息をついていた娘が突然その場に崩れ落ちる。
「・・・大丈夫か?」
「は、はい・・・」
地面の上に苦しそうに横たわりながら、娘が擦れた声を絞り出す。
しばらくの間、我らはお互いに激しい行為に消耗した体をゆっくりと休めた。

「ゆっくり体を休めるがいい。その後で、無事に村まで送り届けてやろう」
しばしの休息に幾分力を取り戻すと、我はそっと起き上がってブナの木の根元に背を預けて休んでいた娘にそう声をかけた。その言葉に、娘がゆっくりと顔を上げる。
だが娘の口から返ってきた言葉は、我の予想を裏切るものだった。
「それは・・・それはできません・・・」
「何・・・?何故だ?」
「村の人達は皆、私があなたに殺されるのだと思って最後のもてなしをしてくださいました」
そう言って俯いた娘の顔に、暗い翳りが見え隠れしている。
「村のために命を落とすのだと言って、限られた食料も擲って精一杯私を送り出してくれたのです」
両手で顔を覆って嘆く声が、我の胸を強く締め付けた。
「それが・・・今更どんな顔をして村に帰れるというのですか?」
「では、お前にはもう・・・」
「帰る場所などどこにもないのですわ・・・」
何と言うことだ・・・孤独の辛さは誰よりもよく知っていたというのに、我は結局この娘の唯一の居場所を奪ってしまったのではないか。
己の愚かさを悔やみ、我は声を失ってしばらくの間呆然とその場に立ち尽くしていた。

長いこと悩んだ末、我はそっと娘に歩み寄ると静かに話しかけた。
「それならば・・・生涯我の傍にいてはくれぬか?」
「え・・・?」
キョトンとした顔で、娘が聞き返す。
「お前は、我が初めて気を許した人間なのだ。これからも我とともに暮らしてくれれば嬉しいのだが・・・」
「よ、よいのですか?私などがずっとあなたの傍にいても・・・」
そう言った娘の声に、押し隠しきれなかった歓喜の響きが混ざっていた。
行き場を失って途方に暮れていた娘にとっても、我の提案は渡りに船だったのだろう。
「お前の名はなんというのだ?」
「ローラ・・・ローラですわ。あなたの名前は?」
「我には名などないが・・・もし必要だというのなら、お前が名づけてはくれぬか?ローラ・・・」

白々と夜が明けてきた薄暗い空を眺めながら、私は伴侶となったドラゴンの名を思案して物思いに耽っていた。
この恐ろしくも心優しい巨獣は、私の人生において最も深く結ばれた大切な存在になることだろう。
その穏やかで美しい宝石のような瞳で私を見つめ、滑らかな鱗に覆われた逞しい両腕で私の体を掻き抱き、大きく広げられた一対の黒翼が私を守ってくれるのだ。
そして突如天啓のように閃いた1つの名を抱きながら、心配そうにこちらを見つめるドラゴンの方へと向き直る。
「決まったのか・・・?」
「・・・はい!」
私は大きく返事をすると、これから先幾度となく呼び続けるであろうその名をドラゴンに向かって声も高らかに叫んでいた。

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