ドラゴンの卵・・・それは世界に数ある珍味の中でも、最高級の味と稀少さを兼ね備えた幻の一品。
当然といえば当然だが、それを手に入れるためには相応の危険を冒す覚悟がなくてはならない。
なぜならこの卵は当然ドラゴンの棲む洞窟や森の奥深くまで獲りに行かなくてはならないのだが、ドラゴン達はこと繁殖の時期になると卵や産まれたばかりの子供達を守るために凶暴になるのだ。
不用意に人間などが彼らの縄張りに足を踏み入れようものなら、たちまちその恐ろしさを身をもって味わわされることになるだろう。

生物の気配が感じられない辺りに細心の注意を払いながら、俺はドラゴンの卵を求めて森の中を突き進んでいた。
富豪層に依頼を受けてドラゴンの卵を盗み出してくる・・・簡単な仕事だ。
少なくともこの俺にとっては、という意味だが。
直径40cm程度の真っ白に輝く竜卵は、たった1つ売るだけで1週間は遊んで暮らせるだけの大金が手に入る。
だがまずは、ドラゴンの住処を見つけなくてはならない。
そしてそれから初めて、ドラゴン達の目を盗んでお宝を盗み出すための段取りを考えるのだ。

木々の間を擦り抜けながら辺りを見回すと、ずっと奥の方に洞窟がぽっかりと口を空けているのが見える。
5mはあろうかという天井の高さが、それが大型の動物の住処であることを示していた。
どうやら、今夜も美味い食事にありつけるかもしれない。
俺は内心ニヤリとほくそえむと、そろそろと足音を立てないように洞窟に忍び寄った。
奥まった洞窟の闇の中を見渡すように首だけをそっと突き出してみると、踏み拉かれた木の葉を積み重ねて作られた台座の上にドラゴンの卵が1つだけ静かに安置されている。
それを確認して顔をほころばせると、俺はさらに首を巡らせて死角になった洞窟の最奥に目を凝らしてみた。
ほとんど何も見えないほどに真っ暗な洞窟の奥から、なにやら声のようなものが聞こえてくる。
「うぬ・・・ぅ・・・も、もう少し手加減してくれぬか?」
「なによ、情けないわね。まだ私は本気じゃないのよ」
ようやく意味のある言葉が聞き取れるほどまで近づいてみると、巨大な黒と桃色の影が複雑に絡み合っていた。
いや、よく見れば黒い影を桃色の影が押し倒しているような格好をしている。
複雑に見えたのは、天井に向かって伸びる大きな翼や地を這う尻尾のシルエットのせいだろう。
そして次の瞬間目に飛び込んできた光景に、俺は思わずゴクリと息を呑んだ。
屈強な鱗に覆われた雌雄のドラゴンが、まさしく今俺の目の前で繁殖の行為に耽っていたのだ。

「ほら早く出しなさいよ。あと10個は産まなきゃならないんだから」
「そ、そんなことを言ってもだな、ワシにも限界というものが・・・うあっ」
少し離れたところの物陰に隠れていた俺の耳にも、グシャッという何かを押し潰すような鈍い音が聞こえてくる。
それと同時に、恐らくは雄のドラゴンであろう黒い影がビクンと痙攣して悲鳴を上げた。
「あら、まだいっぱい出せるじゃないの。言っておくけど私を騙そうなんて考えたらただじゃおかないわよ」
「あぐぐ・・・」
快感に震えているのか、雄のドラゴンはなじるように投げかけられたその言葉にも消え入るような呻き声を返すばかりだった。
どうしよう・・・番いのドラゴンが両方ともいるなんて・・・
でも今はお取り込み中のようだし、こっそり卵を奪って逃げるのはできなくもないような気がする。
「た、頼むから今日はもう勘弁してくれんか」
「もう・・・そんな調子じゃ先が思いやられるわね」
ははは、全くだ。ドラゴンの夫婦にもかかあ天下というのか、雄が雌の尻に敷かれるということがあるのだろう。
すぐ目の前で繰り広げられているドラゴン達の滑稽なやり取りに、俺は思わずクスッという小さな笑い声を上げてしまった。
だがその微かな空気の振動が、熱く燃え上がっていた2匹のドラゴン達の耳に届いてしまう。

「む?だれかいるぞ」
突然、雄のドラゴンは妻の体を押し退けるようにして起き上がると、巨体を揺らしてこちらへと近づいてきた。
まずい、こんなところをドラゴンに見つかったら間違いなく殺されてしまう。
だが逃げようと体を浮かせる暇もなく、あっという間に俺の姿を見つけたドラゴンがじっとこちらを睨みつけていた。天を衝くような黒い翼が、一瞬にして俺の視界を覆い尽くす。
「あ・・・」
「ほう、人間がいるとは・・・まさか、ずっとそこで我々の様子を窺っていたわけではなかろうな?」
「え・・・い、いや、そんなことは・・・」
言葉ではそう否定しつつも、俺は思わず雌のドラゴンにたっぷりと精を搾り取られたであろう股間の肉棒へとその視線を移してしまった。
その瞬間、巨大なドラゴンの手に首根っこをガシッと掴んで持ち上げられてしまう。
「フフフ・・・嘘が下手なようだな・・・」
「あ・・・う・・・た、助けてくれ・・・」
「フン、今更命乞いか?大方我々の卵でも狙ってここへ忍び込んだのだろうが、お前の命運も尽きたようだな」
遠回しに死を宣告され、俺は猫のように中空に吊り下げられたまま顔を青褪めさせた。
そして発情期特有の妖しい目つきをした雌のドラゴンの前へ、ポイッと放り投げられてしまう。
ドサッ
「うぐっ・・・」
背中を強か地面に打ちつけてしまい、俺は痛みに顔をしかめて洞窟の天井を見上げた。
その視界の中に、2匹のドラゴンの恐ろしい顔が割って入ってくる。

「ああぁ・・・た、助けて・・・」
もはや、どこにも逃げ場はなかった。明らかに獲物を見つめるような鋭い4つの視線に晒され、心臓がギュッと握り潰されるような恐怖が湧き上がってくる。
「どうするかはお前に任せるぞ。ワシは少し休んでくるとしよう」
雄のドラゴンは妻に向かってそう言うと、黒い鱗に覆われた体を揺すりながら洞窟の外へと出ていった。
だが桃色の鱗が美しい雌のドラゴンは、相変わらずじっと俺の顔を睨みつけている。
そして、おもむろに俺の胸をドスッと片手で地面に押しつけてきた。
「や、やめてくれ・・・頼む・・・」
胸を圧迫する手から生えた鋭い鉤爪に恐れをなして、俺はか細い声で雌のドラゴンに訴えた。
「ウフフ・・・だめよ。だらしない夫の代わりに、あなたに相手をしてもらうわ」
「か、代わりってまさか・・・」
ビリリッ
「うあっ!」
俺の声を封じ込めるかのように、ドラゴンがその鉤爪を一閃した。
着ていた服とともに胸の皮膚がその鋭利な刃物に切り裂かれ、薄っすらと血が滲んでくる。
「ひぃっ・・・い、いやだ・・・」
胸に走った痛みと恐怖に、俺は必死で起き上がると這うようにしてドラゴンの元から逃げ出した。
だが、今度は上を向いた背中に鉤爪の一撃が加えられる。
ズバッ
「ぐああ!」
胸と同じようにして皮膚ごと服を引き裂かれ、俺はそのまま前のめりに地面へと倒れ込んだ。
だがドラゴンは容赦なく俺の体の上にのしかかると、無遠慮に振るう鉤爪で体中の服を引き裂いていく。

数分後、ボロ雑巾のようにズタズタになった服の切れ端をぶら下げたまま俺は雌のドラゴンの寝床の上へと寝かされていた。
ほとんど裸に近い俺の体のあちこちに、幾条もの真っ赤な血の筋が刻みつけられている。
そして服と同じように切り裂かれたズボンの切れ間からは、恐怖と苦痛に萎えたペニスがフニャリと弱々しい姿を覗かせていた。
そのペニスをゆっくりと握りながら、ドラゴンが背筋の凍りつくような笑みを浮かべて俺の顔を覗き込んでくる。
「ウフフフ・・・人間のモノは貧弱なのね・・・」
「あ・・・ぐ・・・よ、よせ・・・やめろぉ・・・はぅ・・・く・・・・」
シュルシュルッという音とともに、細かな鱗がペニスの裏筋を無造作に舐め上げていく。
その切ない快感にビクンと身を捩る度に、ドラゴンはますます手の動きを早めてきた。
ショリ・・・ショリショリ・・・
「うあっ・・・や、やめてくれ・・・もう・・・だめだ・・・」
「あら、もう限界みたいね・・・それじゃあ遠慮なく・・・」

ドラゴンはそう言いながらゆっくりと俺の上に跨ると、手にしていた限界ギリギリのペニスをそっと大きな膣の中へと導いていった。
「うあ・・・た、助けて・・・うわあああ・・・!」
まるで獲物を捕食するかのように鱗に隠れたドラゴンの膣が口を開け、バクンという音とともに俺のペニスを根元まで呑み込んでしまう。
クチュ・・・クチュチュ・・・
「ひぃ・・・よせ・・・くそ、離せぇぇ・・・」
徐々に高まってくる快感に恐怖を感じて必死でドラゴンの腹下から抜け出そうと両手を突っ張ってみるが、俺の体などよりも何倍もあるその巨躯を跳ね返すほどの力などあるはずがない。
硬い鱗に覆われたドラゴンの胸板を全力で殴りつけてみても、手が痛むばかりでドラゴンはビクともしなかった。
「あら、夫よりもずっと元気がいいわね。でも、ちょっと調子に乗り過ぎよ」
グシャッ
「あぐぁっ!」
あの雄ドラゴンを黙らせた強烈な圧搾が、まるでお仕置きとばかりにペニスに叩き込まれた。
「あ、あああ・・・」
苦痛にも似た強烈な刺激に耐えられず、ペニスの先から精がほとばしる。
一瞬にして抵抗する気力を消し飛ばされ、俺はぐたっと地面に倒れ込んだ。
「ウフフ・・・まだ暴れる力はあるかしら・・・?」
「う・・・ぐ・・・」
射精の快楽に痺れる右手を力なく持ち上げて些細な抵抗を試みるが、ドラゴンが淫靡な笑いを浮かべたまま再びその反抗の火を揉み潰す。
グシッ
「ぐあああっ!」
強靭な膣の筋肉がペニスを押し潰し、その衝撃に俺はまるで電流を流されたかのように激しく身を跳ねさせた。
持ち上げていた手からも最後の力がスッと抜けてしまい、絶望の表情を浮かべながら再び脱力して地面に横たわる。

「た、頼む・・・見逃してくれぇ・・・」
無駄だと知りつつも、もはや俺には命乞いの言葉を吐き出す以外に何もできることがなかった。
恐怖に引き攣る俺の顔に、鉤爪の生えたドラゴンの手が添えられる。
「だめよ。私の卵を狙うなんて・・・八つ裂きにしても飽き足らないくらいだわ」
ツツッ・・・
「ひぃ・・・」
容赦のない殺し文句とともに、頬の上を鋭い爪の先端がなぞっていく。
傷はできなかったものの、その痛みに俺はぎゅっと身を縮込めた。
つまり、これから俺は八つ裂きにされるよりも恐ろしい目に遭わされるのだ。
すでに体中には痛々しい爪跡が刻みつけられ、着ていた服はボロ布と化し、最大の弱点はドラゴンの手の内にあった。
だが、こんなものなどまだ粛清の序章に過ぎないということなのだろう。
「あなたには卵の一部になってもらうのよ。私の卵を奪おうとしたんだから、当然の報いね」
「あぅぅ・・・そ、そんな・・・」
「ウフフフ・・・でも別にお腹は空いていないから、肉は夫にあげて体力をつけさせたほうがいいわね・・・」
そう言いながら、鉤爪の先が頬から首筋へと移動する。
「苦しみたくなければおとなしくしてるほうがいいわよ。ちょっとでも私に歯向かったら・・・」
グリィッ
「うああっ!」
まだ何も抵抗していないというのに、ドラゴンは俺のペニスを再び締め上げて制裁を実演した。
「こうよ」
「うぐ・・・ぅ・・・」
快感と痛みと恐怖に思わず仰け反りそうになったが、首筋にあてがわれた爪先がそれを封じ込めた。

ヌチュッ・・・クチャッ・・・
「はぅ・・・く・・・」
涙に霞む視界の中で、ドラゴンは無抵抗になった獲物を貪り始めた。
確かに、こうして普通に責められている分には苦痛は感じない。
だがもしほんの少しでも逆らう素振りを見せれば、容赦なく地獄の苦しみを味わわされることになる。
そうは言っても、徐々に高まってくる快感と射精感を微動だにせず耐え続けるのは、人間の俺には到底無理な話だった。
グチュッ
「うあっ!」
唐突に鋭い快感が与えられ、思わずビクッと両手を地面から浮かせてしまう。
それを目ざとく見つけたドラゴンは、嗜虐的な笑みを浮かべて俺の顔を覗き込んだ。
「あら、暴れちゃだめだって言ったでしょ?」
「あ、ち、違うんだ!決して抵抗したわけじゃ・・・や、やめ・・・許して・・・」
ミシャッ
「わああっ!」
問答無用でペニスを擦り潰され、再びドラゴンに精を搾り取られてしまう。
その一撃でごっそりと体力を奪われ、俺は快感に悶えながらながらも暴れぬように必死で歯を食い縛った。
「健気なものね・・・でもどんなに従順を装ったところで、私にはあなたを助けてあげる気なんてないわよ」
「う、うぅ・・・わあああ・・・」
その微塵の情けもない一言に、俺は大声をあげて泣きじゃくった。

高く上っていた太陽が西に傾き、あてもなく外をうろついていたワシはしかたなく帰路についた。
あの人間は、もう妻に食われてしまったことだろう。馬鹿な奴だ。
ただでさえこの時期の我々は気が立っているというのに、あまつさえ卵を盗み出そうとするとは・・・
あの妻のことだ。人間も、さぞや悲惨な死に様を迎えたことだろう。
やがて洞窟が見えてくると、ワシはまた妻の責め苦を受けなくてはならぬのかと消沈しながら中に入っていった。
だが、意外なことにあの人間はまだ生きていた。
満足そうに体を丸めて眠る妻のそばで、人間がワシの寝床の上に仰向けに寝かされている。
ワシにこの人間を食えということなのだろうか?まあいい、ちょうど腹も減っていたところだ。
ワシは妻を起こさぬように足音を忍ばせると、そっと寝床に横たわる人間のもとへと近づいていった。

げっそりと憔悴した人間の顔を覗き込むと、人間は閉じていた目をゆっくりと開けた。
そしてワシの姿を認め、顔に恐怖の色を浮かべる。
だが不思議なことに、その口からは一言の言葉も発せられることはなかった。
ただひたすら、呼吸とともに揺れるワシの鼻先に吸いつけられるようにその目を動かしている。
もう、生きることを諦めたのだろう。ならば早くとどめを刺してやるのが、せめてもの情けというものだ。
人間の頭に狙いを定め、ゆっくりと牙の生え揃った顎を上下に開く。
だがその瞬間、人間はぎゅっと目を瞑ると大粒の涙をポロポロとその閉じられた瞼の間から溢れ出させた。
「む?」
ワシはそれに驚き、思わず口を閉じて人間の様子を観察した。
見れば、両手の指先がピクピクと小刻みな痙攣を繰り返している。
それに無言で零れさせた人間の涙は、恐怖やワシに対する呪詛の涙ではなく、深い後悔の涙だった。
体中に刻みつけられた無残な爪跡、ズタズタに引き裂かれた衣服。
そして、精も根も尽き果てて萎みきった小さな肉の棒。
この人間は、ワシの代わりにあの加減を知らぬ妻の相手を務めさせられたのだ。
命乞いしたくとも声も出せず、逃げようにも指先すら動かせぬようになるまで、ひたすらに地獄の責め苦を味わわされ続けたのだろう。
もはや食い殺されるのを待つだけのこの無力な人間にできることは、最後の涙を絞ってワシの情けに訴えかけることだけなのだ。
なんと憐れな・・・つい先刻までこの人間に燃やしていた殺意が、急速に薄れていく。
「まだ生きたいか・・・?」
頷くこともできぬのか、人間はパチパチと何度も瞬きしてその問に肯定の意を伝えてきた。
その度に、後から後から新たな涙が溢れ出してくる。
「・・・いいだろう。今度だけは見逃してやる。お前のお陰で、ワシも助けられたことだしな・・・」
その言葉に安心したのか、人間は大きく息をつくと静かに目を閉じた。

目に突き刺さる朝日の眩しさに目覚めると、俺はどこかの森の中に寝かされていた。
「た、助かった・・・のか?」
朦朧とした頭で辺りを見回すと、柔らかい土の上に巨大なドラゴンの足跡と尻尾を引きずったような跡がついている。
「わざわざ俺をここまで運んでくれたのか・・・」
もう、ドラゴンの卵を奪うなんて仕事はやめよう。なにも死にかけたからではない。
ドラゴンにも、他者を憐れむ心とそれを許す寛大さがあるのだ。
そんな彼らの子供達を私利私欲のために奪い取ってくるなど、やっていいはずがない。
それに、卵を産むために雄のドラゴン達がどれほど苦労しているのかを、俺はこの身で思い知ったのだ。
俺を救ってくれたあの黒いドラゴンのためにも、これからはドラゴン達の卵を守る立場につくことにしよう。
傍らに置かれていた衣服の残骸を身につけ、ゆっくりと立ち上がる。
新たな人生の道標のように雲の隙間から垂れこめる光のカーテンを眺めながら、俺は明るい希望を胸に木々のトンネルの中を陽気に歩き出した。

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